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競馬サロン

調教ライター 西村武輝

2024/12/21 18:00

有馬記念 2024 最終結論【調教】冬はいちばん走れる季節 操縦性抜群のベラジオオペラを信頼【重賞深掘りPROJECT】

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【有馬記念 2024|調教診断】自己ベスト更新!精神面最高潮の馬を【S評価】前走時の動き凌駕のベテラン穴馬も見逃せない!

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今週金曜午後に衝撃のニュースが飛び込んできましたね。

天皇賞・秋→ジャパンCと連勝し、中間の調整は順調そのもの。昨年制した有馬記念で連覇有終Vを狙い、堂々の最有力馬として臨んでくるはずだったドウデュースがハ行のため取り消し、そのまま引退となることが発表されました。

GI有力馬の突如回避というと……古い話ですがダイワスカーレットのオークス回避(熱発)を思い出しました。2007年の話ですね。

あれも衝撃でしたが、今回は“国民的行事”の最有力馬が枠順決定後の回避ですから、さらにその度合いは大きい。“物言わぬ生き物とつきあっていくこと”の難しさをあらためて感じさせられました。

とにかく今後は無事にスタッドインし、素晴らしい子供たちをターフに送り出して欲しい。願わくば「ドウデュース産駒」が古馬王道三冠制覇、有馬記念連覇を成し遂げるという壮大なドラマを見たいところです。

それでは2024年「有馬記念」の予想に参りましょう。

まずは過去5年の馬券対象馬15例の調教傾向を見ていくこととします。

最終追いは10例がコース(美浦ウッド5/栗東CW4/栗東ポリ1)、5例が坂路。

コース組10例のうち中間に坂路でも追っていたのが8例。昨年1着ドウデュース、2022年3着ジェラルディーナの2例だけがコースオンリーでした。また坂路組は2022年2着ボルドグフーシュなど5例すべてで中間にコース追いをこなしており、やはりハイレベルメンバーに揉まれつつコーナー6回を通過するグランプリとあってコース追いはマストと考えていい。

調教強度は最終追いで「馬なり」が12例、「強め/仕掛け」が3例。やはり近年のビッグレースの傾向として、直前はサラッと済ませ疲れを残さないほうがいいということでしょう。

ドウデュースが最終追いポリトラックで朝日杯を制した際は、これはこれである意味衝撃だったんですが、これも“最終追いは疲れを残さず微調整”のトレンドの端緒だったように感じます。同馬はポリ最終追いを勝ちパターンとして「4シーズン連続でGI制覇」の偉業をモノにしたのはご存じの通り。

最終追いで負荷を掛けた例外3例は2021年勝ち馬エフフォーリア、2019年勝ち馬リスグラシュー、同年3着ワールドプレミア。

エフフォーリアとワールドプレミアは追わせるタイプ。“疲れ”とトレードオフしてでも最終追いで仕掛け、ギアを上げる感覚を残して本番に向かった策が吉と出たものでしょう。それでもエフフォーリアはウッド3F38秒0-1F11秒4(仕掛)、ワールドプレミアは坂路4F54秒5-1F12秒8(強め)と、終いの味付け程度ではありましたが。

それを考えるとリスグラシューは最終追い坂路4F51秒3-1F12秒3(強め)と余力こそ残っていたにしても、引退レースの直前追いとすれば意欲的過ぎるほどの速い全体時計をマーク。

いかにもハーツクライ産駒らしく尻上がりに成長してきた女傑の強靭さを信じ切り、余念のない負荷を矢作厩舎は掛けたんでしょう。

以上、過去の傾向を踏まえ「有馬記念」追い切り診断で【8点】【7点】と上位評価された馬を見ていきましょう。

■アーバンシック C.ルメール騎手騎乗 美浦ウッド併せ馬 2歳1勝馬を追走し、直線手前から併走に持ち込む。仕掛けられた相手の加速に対し機敏に対応し、バランスのいい走りのまま加速。まったくの馬なりのまま相手に合わせて併入とした。1週前はやや力んで終いの伸びを欠いたが、この動きなら文句なし。【7】

■ジャスティンパレス 助手騎乗 栗東坂路単走 この秋は坂路調整で安定しており、今回の最終追いも坂路。強い前進気勢がありつつ序盤にしっかり折り合えたようで、ラストは軽く促されると四肢を大きく使って伸びた。秋に2戦使われた疲れは感じさせず、高いレベルで安定。【7】

■スタニングローズ 助手騎乗 栗東坂路単走 1週前にある程度速い時計を出しており、今週は終いの反応に磨きを掛けることに専念。ゆったり入ってもまったく力まず、ラストで機敏に手前を替えると楽に切れた。体幹が安定していたのは好感。GI快勝後の中5週だが、反動どころかさらに良くなってきたようだ。【7】

■ダノンデサイル 安田師騎乗 栗東CW単走 1週前に横山典騎手が騎乗しての併せ馬を行っており、今週は指揮官が騎乗し息を整える程度の内容。やや踏み込みは浅いが、回転そのものは軽快で加速も滑らか。いい意味で遊びがあり、力まず進めていたのもいい。好仕上がり。【7】

■ディープボンド 幸騎手騎乗 栗東CW単走 道中はベテランらしく落ち着き払って進んで行く。直線でズブいのはいつものことで、鞍上も理解したうえで余念なくグイグイとしごき、馬はそれに応えていい伸びを披露した。ラストの迫力は前走時を凌駕しており、上積みはかなりありそう。【7】

■ブローザホーン 菅原明騎手騎乗 栗東坂路併せ馬 2歳未勝利へ早めに取り付き併走。時計に派手さはないものの、貫禄の違いを見せるように、ドシッと落ち着いた走りをキープ。最後はわずかに切れ負けしたが、手応えにお釣りは残っていた。この秋2回使われ、ようやく本調子か。【7】

■ベラジオオペラ 上村師騎乗 栗東CW併せ馬 1週前に自己ベストを更新する時計を出しており、今週は微調整程度。目標馬をキャッチアップする際に気持ちがグンと入ったようだが、そこで指揮官がしっかり我慢させる。直線でも力を溜めこむことを教えるように併走を続け、そのまま併入とした。少しでも促せば突き抜けそうな雰囲気にあり、精神面は最高潮か。夏負けの影響があったという前走時から一気に気配上昇。絶好の仕上がり。【8】

■レガレイラ 戸崎騎手騎乗 美浦ウッド併せ馬 いつも通りの3頭併せ。直線序盤ではタイトに挟まれるもリズムを崩さない。外の馬が仕掛けられて加速すると、これに即対応しギアを機敏に上げまた並び掛ける。結局内の馬に1馬身先着、外の馬に手応え優勢で併入とした。操縦性、戦闘意欲の高さともに、引き続きいい状態にあると見ていい。【7】

▼「有馬記念」全頭追い切り評価はコチラ
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あと1頭【7】点評価の馬がいましたが、残念ながら割愛。ドウデュースの調整はいちばん良く見えたジャパンCからの上積みこそ感じなかったものの、盤石のものでした。

調教採点メンバー内最高【8】点はベラジオオペラ

今年の大阪杯で2番手から渋太く押し切り、見事初のGIタイトルをゲットしましたね。

続く宝塚記念は勝ちにいって早めに動く展開のアヤ、そして脚を取られる重たい馬場の影響がありながら3着と踏ん張りました。調整面で言えば、1週前がハードワーク過ぎたせいなのか珍しく最終追いを坂路で行っていた。その辺も微妙に影響したのかもしれません。

秋初戦だった天皇賞・秋は夏負けが尾を引いて本調子になく、スタートで躓く不利もありながらドウデュースに0秒4差6着で、ここからも能力の高さがうかがえます。

その後はジャパンCに進む予定だったとのことですが、立て直しを優先しパス。年内は有馬一本に絞って立て直しを図られました。

目論見通り順調に回復したようで、2週前、1週前とCWでハードな3頭併せを敢行。

特に巧みなコーナリングでインへ潜り込み、飛ばした外の2頭を突き放しての最先着とした1週前の動きは絶品。5F65秒0(一杯)は自己ベスト更新の時計でした。

となると最終追いを坂路に切り替えた宝塚記念の轍を踏むのでは……というところでしたが、なんのことはない、日曜追いで坂路併せ馬を消化。そして最終追いはルーティン通りのCW併せ馬で、終い重点ではあるものの稽古駆けする調教パートナー・セオと併走し闘志をグンと溜めこむ、文句なしの攻めをこなせました。

ジャパンCをパスしたことによる立て直し効果、そしていちばん走れる涼しい時期とあって体調面は過去最高レベルでしょう。もちろん張り詰めた精神面も最高潮。

初経験となる中山芝2500mという舞台がどうかですが、自在性、操縦性の高さが持ち味でむしろドンと来いのはず。距離自体も日本ダービーがタスティエーラにタイム差なしの4着なら、問題なくこなせるはずです。

枠順もイン前で立ち回りたい馬にとってはほぼ理想的。不動の主戦・横山和騎手とのコンビで2つ目のビッグタイトル奪取となる可能性は大と見て本命とします。

対抗はレガレイラ。秋2戦、攻めでは素晴らしい動きを見せ、本番で人気を裏切るという結果続き。ここはさすがにガクンと来て不思議のないシチュエーションですが、1週前ウッド5F66秒3-1F11秒7(強め)、日曜追い坂路2F24秒3-1F11秒6(強め)と中間はさらに攻めを強化してきた。

馬のコンディションに応じて負荷をしっかり調節する木村厩舎ですから、疲れどころかさらに攻めてヨシという確信があってのことでしょう。

2022年の有馬記念。前走の天皇賞で鬼脚を使いパンサラッサを差し切った反動がどうかと思われた木村厩舎のイクイノックスが、日曜追い坂路で(当時の印象としては)“まさか”の一杯追い。結局最終追いを泰然とこなし、本番は横綱相撲で勝ち切ったのは皆さまご存知の通り。その例が思い浮かぶところです。

最終追いでは外の馬がちょっとオーバーペースだったんですが“それならそれで”と自然にギアを上げた戦闘意欲の高さには目を見張るものがありました。戸崎騎手への手替わりが刺激となり、ここしばらくの不完全燃焼ぶりを払拭するきっかけになる可能性十分。古馬との力関係はホープフルSで撃破したシンエンペラーを物差しに考えればまったく問題ありませんし、斤量54キロも魅力。

「暮れの中山」は約束の地。1年ぶりに牡馬強豪勢を蹴散らす走りがあっていい。

ダノンデサイルは最高に上手く乗られたにせよ、一頓挫明けの日本ダービー完勝は優れた能力の証明。今週の攻めはいかにも緩かったんですが、ゴチャついて力を出せなかった菊花賞の悪いイメージを払拭させてやるような、走ることへのモチベーションを高めることに主眼を置いた調整だったようですし、意図した通り馬も体を大きく使って、走る楽しさを思い出したような雰囲気でした。

となると……この最内枠は逆に仇かなというところですが、スムーズに逃げられさえすれば能力をフルに発揮できそう。シャフリヤール、またスタニングローズがどこまで絡んでくるかが未知数で、そのあたりを割り引いて▲としましたが、先頭ダノンデサイル、番手でベラジオオペラという“横山親子ライン”でのペースメイクに持ち込めれば、そのままゴール前はこの2頭のマッチレースとなるシーンも考えておきたい。

アーバンシックの充実ぶりはわざわざ語るまでもないでしょう。ダノンデサイルの不発があったにしても、菊花賞は冷静に折り合い、早めに動いても変に消耗しない操縦性の高さから圧勝。ルメール騎手がこの馬を選ぶのも納得です。

ただし1週前追いで力んでしまい、大差追走とはいえ遅れ入線に終わっており精神面のブレが出てきたかなというところ。最終追いも一瞬の加速はいいものがありましたが、相手に合わせたとはいえ、最後の最後にもう1枚だけギアを上げて欲しかった。☆評価までとします。

△1番手で4年前の2着馬ディープボンド。今年は天皇賞・春で3着、前走の京都大賞典でアタマ差2着なら、いまだ力量に衰えなしと考えていいでしょう。昨年は京都大賞典(3着)からジャパンC(10着)→有馬記念(15着)と尻すぼみ。さすがにJCは東京の決め手比べで分が悪く、舞台設定的に向いているはずの有馬は余力が残っていない状況だったか。

今年もJC、またはアルゼンチン共和国杯と東京で使う可能性があったようですが、スルー。ひと息入れて有馬記念に向かってきますね。「凱旋門帰り」「凱旋門帰り」「JCから中3週」という過去3年と比較すると秋に1回使って中10週と、今回はもっとも理想的な臨戦過程。

コース適性は4歳時に証明済み。状態面は目論見通りフレッシュかつ上向きで1週前にCW65秒8(一杯)をマーク。有馬記念時の調整でCW5F65秒台を出すのは2着した2021年(この時は65秒7)以来です。またそのときは凱旋門賞帰りだったためか、最終追いは「馬なり」。今回最終追いは目一杯まで追われてますが、年齢の違いと前走国内戦からの中10週ということを考えれば違和感なし。

今春からコンビを組む幸騎手は完全に手の内に入れている感がありますし、大駆けに警戒すべきでしょう。

ジャスティンパレスは背腰に問題があるようで、以前のCWメインからこの秋は坂路メインの調整にスイッチ。それでもGIで4着、5着は底力のなせる業ですし、スイッチされた調整方法を違和感なく受け入れる馬の理解度の高さも特筆もの。この中間も坂路メイン。大レースでの連続好走で“フレッシュさ”が懸念点となりますが、この中間はハツラツと動けており、見た目上、疲れはそこまでではなさそう。

余力をある程度残せているのは、坂路メイン調整の“副産物”かもしれません。とはいえ中間の最速はこの秋で最も遅い4F54秒6まで。坂路最終追い組でもあり、さすがに本命級にはできず、△2番手としました。

スタニングローズは動きだけならベラジオオペラに次ぐ、2番手グループ。前進気勢を感じさせつつ力まず、いかにも体調が良さそうなブレの少ないフォームが印象的でした。しかし坂路オンリー調整がどうしても引っ掛かるポイント。枠もやや厳しく感じるところです。紫苑Sは大外枠から勝ちましたが、12頭立てでしたしクビ差の辛勝でした。ムーア騎手も不思議と有馬記念での好走歴がなく、押さえまで。

最後にブローザホーン。舐められた宝塚記念ホースが有馬で復活……は古すぎる話で恐縮ですが、メジロパーマーの例が思い浮かぶところ。今週の攻めで見せた華奢さを感じさせない、ドシッと貫禄ある走りが印象的でした。2回使われ、グングンと本調子を取り戻しつつあるのは間違いありません。

希望する雨は降らなさそうですが、枠は好枠。荒れている内側の走路もこの馬ならむしろ大好物か。激走に警戒。

以下、最終結論です。どうぞご参考に!


<調教ライター・西村武輝「有馬記念」最終結論>
◎5 ベラジオオペラ
○8 レガレイラ
▲1 ダノンデサイル
☆3 アーバンシック
△9 ディープボンド
△11 ジャスティンパレス
△13 スタニングローズ
△4 ブローザホーン

【単勝】5(1点)
【馬連】5=8,1,3,9,11,13,4(7点)
【3連複/フォーメ】5,8=5,8,1,3=5,8,1,3,9,11,13,4(24点)
【3連単/フォーメ】5,8→5,8,1,3→5,8,1,3,9,11,13,4(36点)


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