競馬サロン
2024/10/05 20:10
凱旋門賞2024 最終結論【血統】今年こそ歴史が動く 名伯楽の危惧に悲願成就の可能性を見たり!
≪今週の動画・凱旋門賞≫
▼悲願成就なるか!? 出走馬を徹底分析!
皆さま、お元気ですか。血統サイエンティストのドクトル井上です。
この記事では日本時間の日曜夜にフランスのパリロンシャン競馬場で開催される・凱旋門賞の最終結論をば。
■考察
近年の凱旋門賞で存在感を増すのがフランケルの血で、昨年は父父フランケルのエースインパクトが勝利し、2着ウエストオーバー、3着オネストがフランケル産駒。一昨年もフランケル産駒のアルピニスタが制し、2021年は3着馬ハリケーンレーンがフランケルの産駒だった。
フランケルの母アーバンシー、そしてアレグレッタに遡るラインが重要で、近5年の凱旋門賞における3着以内馬15頭のうち、アレグレッタもしくはその全きょうだいの血を引いていなかったのはわずか2頭だけ。
確かに欧州ではガリレオ&シーザスターズというアーバンシー産駒の種牡馬が幅を利かせているのはあるが、それでもここまで上位を占有するのであれば、当然それに該当する馬を狙った方がスマートだろう。
心配される馬場状態だが、日本時間の土曜夕方にフランスギャロが発表したペネトロメーターの値は3.6。思いのほか回復しつつある印象で、なおかつ土曜日のパリは気温こそ上がらないが晴れ予報。レース当日の天候によっては稍重(ペネトロメーター3.4)に近いコンディションまで回復する可能性も考えられる。
また内ラチ沿いに設けられていた仮柵が外れ、直線ではオープンストレッチが導入されるため、基本的には内枠有利の傾向。外枠に入った馬は多少割り引きたい。
▼ソジー
パリ大賞、ニエル賞というパリロンシャン12Fの重要な3歳戦を連勝中。前走のニエル賞では仏ダービーで遅れを取ったルックドゥヴェガにリベンジを果たした。
舞台適性という点は申し分ないし、好枠も引いて立ち回りもしやすい。鞍上からは「良馬場の方が…」というコメントも出ているが、母がシャマルダル×モンズン×オールドヴィックなので多少渋った方がいいのではという感じも。
後は管理する凱旋門賞8勝の名伯楽・A.ファーブル師のトーンがあまり上がってこない点だけをどう見るか。「今年の地元の3歳世代のレベルはトップクラスではないかも」みたいな発言が出ているように、ファーブル師の感触はどうにも辛口。個人的にはそこが引っかかる。
▼シンエンペラー
今年、日本調教馬で唯一参戦するのがこのシンエンペラー。
日本ダービーで◎にしたときにも述べたように、同馬の母スターレッツシスターが素晴らしい繁殖牝馬で、ガリレオやアリシドン=アクロポリスのスタミナとミスワキ由来の柔らかさを高い次元で仔に伝えることができる。
配合相手の傾向より長い距離をこなせる産駒を出すのが特徴で、シンエンペラーやその全兄で凱旋門賞を制したソットサスの父はマイラー種牡馬のシユーニだし、マイボーイチャーリーやアクラメーションといったスプリント種牡馬から、シスターチャーリーやマイシスターナットといった中距離GI馬、重賞馬を送り出した。シンエンペラーも距離は十分にこなせる。
愛チャンピオンSを差し損ねた馬が凱旋門賞で好走することは少なくないので、ローテーションの面でも好感。陣営のコメントを見るかぎり、叩いた上積みもかなりありそうだ。
唯一のネックは枠が気持ち外になった点。欧州競馬らしくタイトな馬群になるだろうが、どうにか内に潜り込みたい。
▼デリウス
凱旋門賞で特注のフランケル産駒に今年唯一該当するのがこの馬。クールモアのマグナー総帥が"バリードイル"のA.オブライエン厩舎ではなく、フランスのルジェ厩舎に預託したというのもなかなか気になるプロフィールだ。
牝系を見ると3代母エルジャジから仏オークス馬のラファやその産駒で短距離GIスプリントCを制したインヴィンシブルスピリットなどが出ている。
パリ大賞3着、ニエル賞2着とソジーの後塵を拝す結果が続いているが、いずれもタフな重馬場のコンディション。インヴィンシブルスピリットが出たスピード豊かな牝系のフランケル産駒、しかも母父は不良馬場の凱旋門賞で人気を裏切ったデイラミ(ちなみにこの時の勝ち馬がモンジューで、2着がエルコンドルパサー)と考えれば、馬場が軽くなれば、同じ重馬場でも稍重に近い重馬場であれば、パフォーマンスを上げるイメージが描ける。
ソジーが人気するようなら、馬場を見つつ敢えてこちらから入る手はありそう。鞍上の"いおりん"こと、イオリッツ・メンディザバル騎手(←スカイディグニティ懐かしいですね)から好感触のコメントが出ていたのも後押しに。いおりん脱臼しないでね。
▼ブルーストッキング
追加登録料を払ってここへ臨む同馬。今年に入って一気に本格化した印象で、牝馬限定GI2勝に加えて、"キングジョージ"でも2着に好走した。
キャメロット×ダンシリかつ祖母からもヒズマジェスティを引くので、重い馬場への対応力は抜群。2走前の英インターナショナルSは軽くて平坦なヨーク馬場への対応力の差が出たと思えば度外視可能だろう。こちらもソジーと同じく好枠を引けたのもプラスになろう。
▼ファンタスティックムーン
最も空模様を気にしているのはこの馬の陣営だろう。ドイツダービー馬シーザムーンの産駒で、ドイツ地区の重要プレップレース・バーデン大賞の勝ち馬というプロフィールだけ見ると、馬場が重ければ重いほどプラスというタイプに見えるのだが、陣営としては「これ以上1滴たりとも雨は降ってくれるな」というスタンス。
登録段階から「馬場が悪くなったら回避すっかんな!」と言い続けた甲斐があって(?)、今週はほとんど雨が降らず、稍重寄りの重馬場で競馬ができそう。ちなみに陣営は「ペネトロメーター3.6以上はまかりならん」「日曜日に雨が降れば1レースか2レース後に出走の有無を判断する」とえらく具体的なプランまで示してくれている。気合いの入ったスクラッチ上等の構えだ。
前走のバーデン大賞ではGI3勝馬のドバイオナーを相手にしなかったように、打点の高さは十分なレベル。しかも前走で記録した2分28秒03は出色で、近10年で最も速い勝ち時計だった。
ちなみに次位は2021年のトルカータータッソが記録した2分29秒21で、トルカータータッソはその次走で凱旋門賞を制覇した。バーデン大賞の高速時計はアテになるのだ。
しかも今回ファンタスティックムーンが引いたのはオープンストレッチを活かせる2番ゲート。「11着に敗れた昨年より体調はよっぽど良い」と陣営も強気で、出てくるようなら一発の期待も。陣営にてるてる坊主の作り方を教えてあげたい。
■凱旋門賞の最終結論
◎10シンエンペラー
○12デリウス
▲3 ファンタスティックムーン
☆13ソジー
△7 ブルーストッキング
△9 ルックドゥヴェガ
△14ロスアンゼルス
【3連複/軸1頭】10=12,3,13,7,9,14(15点)
【3連単/フォーメ】10→12,3,13→12,3,13,7,9,14(15点)
【馬連/BOX】10,12,3(3点)
【ワイド/BOX】10,12,3(3点)
日本時間の土曜夕方にフランスギャロが発表したペネトロメーター値は「3.6」。週初めからだんだんと馬場が回復しているうえ、土曜のパリは晴れ予報。
加えて日曜のパリは曇りの予報で、雨の降り出しもレースの時点ではギリギリ我慢してくれる可能性が出てきた。想定される馬場状況は稍重寄りの重馬場(Souple)で、ペネトロメーター3.5くらいのイメージ。
雨がドシャドシャ降るようならサドラー3×3にドイツ血統アルペンケーニッヒを引くセヴェナズナイトの前残りでヒモ荒れ……とも考えていたが、さすがにそれはちょっと無理筋っぽい。馬場が回復した想定で予想を組み上げる。
◎シンエンペラーは日本ダービーでも本命を打ったように配合を高く評価している存在。母スターレッツシスターはホント優秀です。
「勝てば好条件で種牡馬入りできるからなんとかここをモノにしてくれ!」というのが日本ダービーでシンエンペラーに本命を打ったわりと大きな理由だったのだが、それは凱旋門賞でも同様。日本馬初の凱旋門賞馬となれば、強力なバックアップ体制でのスタッドインする道が拓けるはずで、私はその未来が見たい。
血統背景のみならず、好走馬の多い愛チャン組(しかも差し損ねたのがグッド)、海外2戦目で環境への適応度UP、エンジンのかかりの遅い馬に直線の長いコースと外的要因も追い風に。
ついでに言えばソジーを管理するファーブル師は地元の3歳世代について「トップクラスではないかもね」という何とも煮え切らないコメントを出している。
ソジーを間近で見てきた凱旋門賞8勝を誇る名伯楽のトーンが上がらないのは、これまでに師が管理した凱旋門賞馬と比較して、ソジーに対して巷の評価ほどの確信を抱いていないということなのでは。個人的な感覚としても、今年の現地馬には例年に比べて圧倒的な存在はいないと感じていたので、ファーブル師のコメントは納得のいくものだった。
だとすれば、海の向こうからの来訪者たるシンエンペラーにもチャンスはあろうというもの。
枠が気持ち遠い点とどうやってもオッズは貰えない点はいかんともしがたいが、それでも「夢を託す」という、競馬予想・馬券の基本に立ち返れば、この馬に本命を打つほかないだろう。日本ダービーで◎を打った馬に凱旋門賞でも◎を打てる日がくるとは思ってもみなかった。なんとも感慨深いものです……。
○デリウス、▲ファンタスティックムーンは馬場が回復すると決め打ちして評価を上げた。デリウスはフランケル×スピード牝系、ファンタスティックムーンは陣営のコメントどおりペネトロメーター3.5以下なら走れる。
☆4番手評価にソジー。こちらは地元の大将格。ギュイヨンなのでこの枠を活かして乗ってくれるはずだ。
仏ダービー馬△ルックドゥヴェガはマイルから中距離ベストのロペデヴェガ産駒なので、前走の失速が12Fの距離にある危険性を危惧した格好。
もう1頭のダービー馬、愛ダービー勝ち馬△ロスアンゼルスは管理するA.オブライエン厩舎とパリロンシャン開催の凱旋門賞がすこぶる相性の悪い点が気になった。とにかく好走率が低く、パリロンシャンの改装後は1頭も3着以内に走っていないというのは世界トップの名門のイメージとかなりの齟齬がある。
馬券は◎シンエンペラーからの3連複と○▲☆を2列目においた3連単フォーメーション。シンエンペラー含め、少しでも馬場が乾いた方が良さそうな印上位3頭の馬連ワイドBOXも買っておこう。デリウスもファンタスティックムーンもそこそこオッズはもらえそうなので。
<プロフィール>
“血統サイエンティスト”ドクトル井上
在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。
好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。
凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。
▽その他主宰者の【凱旋門賞2024予想】コラム
◆【覆面馬主1号】「ルックドゥヴェガやソジーより上」レベルの高いレースを経験した牝馬
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=重賞深掘りPROJECT関連動画=
【DATA診断・毎日王冠】お宝DATAハンター リーダー・ハットリ
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