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血統サイエンティスト ドクトル井上

2024/10/07 21:00

【秋華賞 2024 血統展望】牝馬三冠最後の戦いはタフで差しが届く傾向に

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≪今週の動画・秋華賞≫
▼2強対決に待ったをかける穴馬が!?


皆さま、お元気ですか。血統サイエンティストのドクトル井上です。

この記事では、週末の重賞・秋華賞(GI、京都芝2000m)の展望をば。ごゆるりとお付き合いいただけますと幸いです。

過去のレース傾向
内回りコースが舞台とあって先行有利のレースをイメージしてしまいそうだが、京都開催の秋華賞は中団以降からの差しが強い

京都開催過去10回分の秋華賞において、前受けして勝ち切ったのは、昨年の三冠牝馬リバティアイランドのみ。そのリバティアイランドもレース中盤までは中団で様子を見つつ運び、勝負どころで動いて位置を押し上げるレース内容だった。

内回りコース、3角過ぎからの淀の下り坂、そして皆が勝ちたいGIという種々の条件が組み合わさって、レースは早めに動くことがほとんど。そのためペースは激化しやすく、結果として脚を溜めていた差し馬にチャンスが回ってくる格好になりがち。

ヒモ穴に関しても関しても同様の文脈で考えたい。京都開催過去10回分の秋華賞において、6番人気以下の馬が3着以内に好走したのは7例存在したが、そのうち5例は4角10番手以下の馬によるもの。穴を狙うなら「前ではなく後ろから」という点も念頭に置いておこう。

各馬の個別検討
チェルヴィニア
父はハービンジャー、母チェッキーノはフローラSの勝ち馬で、オークスでもシンハライトの2着に好走。伯父に東スポ杯などを制したコディーノがいる血統。ハービンジャー×チェッキーノなので、配合的には真っ当な中距離馬という感じだ。

桜花賞は休み明けの大外枠で前に壁を作れず、締まったペースなのにガツンと引っかかってしまったのが敗因。それを修正したオークスは出遅れながら大外からズバっと差し切り勝ち。アルテミスSで見せた脚力を証明する形となった。

京都開催の秋華賞におけるハービンジャー産駒は【1-0-1-1】で、サンプル数は少ないながら好走馬が複数出現。また同産駒は改装後の京都2000mでは2着が異様に多いとはいえ、高い連対率、複勝率をマークしており、軸としては十分に狙いが立つ。

加えてハービンジャー×キンカメなら馬場が渋っても対応できるはず。実際にハービンジャー産駒が馬券になったのはいずれも重馬場の2017年だった。

懸念材料を挙げるとすれば、薄いとはいえ気難しさを伝えるオリオールの7×7があるため、揉まれるような競馬になったときにどうかという点。これまではいずれもうまく揉まれない形に持ち込めていたため、引っかかった桜花賞以外はしっかり走れていたのだが、内回りの多頭数でゴチャついたときにどうなるか? というのはちょっと気にしておいても。

ただラッキーなことに今年はフルゲートにならない見込みだし、力さえあれば外を回しても間に合うのが秋華賞というレース。差し脚の素晴らしさに関してはオークスを見ても明らかだし、小回り向きの馬も多いハッピーパス、ハッピートレイルズの牝系ということで、内回りをこなす器用さもあると見た。

右回りを懸念視する声も聞こえるが、桜花賞の一戦だけでは判断できないというのが私見。またルメール騎手が乗るのであれば、それほど気にする必要はなかろうと。同騎手は年齢を重ね確かに衰えが見られるところもあるが、馬をコントロールする技術に関してはまだまだ国内トップクラスの存在だ。名手の完璧なエスコートにも期待したい。

ステレンボッシュ
エピファネイア×ルーラーシップ×ダンスインザダーク×ウインドインハーヘアという配合どおりの大箱向き本格派。実馬を見ても胴と脚の長いスラっとした体形で、血統の良いところが素直に出ているように見える。

確かにオークスこそチェルヴィニアの2着に敗れたが、勝負どころでスムーズに捌けなかった分の差。決して力負けではない。

とはいえやはり気になるのは、秋華賞は京都の内回りコースが舞台という点。ステレンボッシュは外回りの長い直線でノビノビと脚を伸ばす形に強みがある配合で、馬体や走りからもそれは明らか。

小回りで窮屈な走りを強いられると、コーナリングで力をロスしてしまわないだろうかという点が気がかり。実際に中山1600mが舞台だった2歳のサフラン賞では、休み明けで大幅に馬体が増えていたのはあるにせよ、その後サッパリ振るわないスプリングノヴァにハナ差とはいえ遅れを取った。内回りであるがゆえに思わぬ不覚を取るシーンは考えておいても良いのでは。

この世代の牝馬はチェルヴィニアとステレンボッシュの2強であるという見立ては春先と変わっていないものの、内回りの秋華賞なら器用さを兼ね備えるハッピーパス、ハッピートレイルズの牝系に属する分、チェルヴィニアの方が上なのでは? と見ている。

クリスマスパレード
父はキタサンブラック。母ミスエリカはJRA1勝。半姉に現2勝クラス、函館2歳Sで5着があるミスヨコハマがいる血統。

前走の紫苑Sで本命にした時の根拠は「母ミスエリカの配合が小回り向きだよね」というもの。

北米マイルの名牝テピンと同じソング=モカシンの全姉妹クロスにボールドルーラーやロベルト、アリダーなどが絡む形になっており、北米血統らしい機動力やスピードが前面に出た配合となっているのが特徴。

クリスマスパレードの前走・紫苑Sも、番手をサッと確保しスピードを活かして器用に立ち回る競馬だった。内回りの京都芝2000mが舞台である点はプラスに働くだろう。

その一方で考えておくべきなのは、(1)先行馬にツラい秋華賞で前受けして粘れるのか、(2)加藤士厩舎は関西遠征苦手なんじゃないか説、(3)前走の反動ってないの? 3点。

先に述べたように、秋華賞は後ろからの差しが届き先行馬に厳しいレース質だし、管理する加藤士厩舎は厩舎開業以降、阪神で1勝、京都ではなんと0勝と厳しい成績に留まる。

そして何より、前走で2000mを1分56秒6という異次元の時計で駆け抜けた反動がただただ心配。トレセンでほとんど速い時計を出さない10日競馬でGIに臨むのはシンプルに体調面でどうなのか? という不安が先に立つ。

いずれにせよ脚質&上がり性能から厳しいレースを余儀なくされそうだし、ここでは苦戦するビジョンが浮かんでしまう。前走で◎を打ったように配合面を高く評価する1頭なのだが、今回に関しては静観がベターか。

チルカーノ
父はハービンジャー、母は秋華賞&エリザベス女王杯で3着の実績があるアロマティコ。半兄に皐月賞馬のジオグリフがいる。

ハービンジャー×キングカメハメハは有馬記念馬ブラストワンピースやエリザベス女王杯を制したモズカッチャンと同じ好相性の組み合わせで、チェルヴィニアもここに含まれる。

ジオグリフ・チルカーノきょうだいが属するペルースポート牝系は、直線平坦コース巧者、コーナー4つの中距離巧者が多いのが特徴で、サンバレンティン(七夕賞、福島記念)やオーバーザウォール(福島記念)など、平坦直線コースの中距離だけでメシを食う方々が少なくない。

兄のジオグリフは直線に急坂のある中山で皐月賞を制したが、札幌2歳Sでも強い勝ち方を見せ、札幌記念でも惜しい2着に好走したあたりは、やはりペルースポートだねという感じ。母のアロマティコも京都のGIで好走した実績がある。

チルカーノは2走前に同舞台の稲荷特別で敗れたとはいえ、ハービンジャー産駒のこの馬にとって、当時は少々時計が速すぎた印象も。適度に時計と上がりのかかる直線平坦の中距離であれば一発を期待できる配合パターンなので、ロマン枠で印を回したい1頭だ。

コガネノソラ
父はゴールドシップ、母マイネヒメルはJRAの芝中距離で4勝。牝系からは香港ヴァーズや日経賞などを制したウインマリリン、ラジオNIKKEI賞を制したウインマーレライ、昨年の阪神JF3着馬のコラソンビートなどが出る。

以前にも触れたように、コスモチェーロの牝系はその祖母エイプリルワンダーがフェアトライアル≒フェロッシャー2×2という強烈なニアリークロスを抱えるため、ここからフェアトライアル的な機動力をしっかり受け継ぐのが特徴。

そのうえフサイチペガサスからヘイローを引くため、サンデーサイレンス系との配合でもれなくヘイローのクロスも発生する。

ただでさえ機動力寄りの牝系なのに、ヘイローの素軽さも加わることで、内回り・小回りの窮屈なコーナーをスイスイ走れる馬がより一層出やすくなる恰好なわけだ。

また父ゴールドシップは母父ロージズインメイとの組み合わせが好相性。牝馬が強いパターンでもあり、オークス馬のユーバーレーベンやクイーンS2着のウインピクシスなどがこのパターンを踏襲していた。

クイーンSでは2着のボンドガールとクビ差だったことから、紫苑Sでボンドガールに1馬身以上の差をつけたクリスマスパレードとの比較で、クリスマスパレードの方が上では? と見る向きもあるだろうが、紫苑Sのクリスマスパレードは距離ロスのない立ち回りだったのに対し、クイーンSのコガネノソラは外枠から枠なりに馬群の外を回す格好。道中の距離ロスは大きく、1枠から序盤で内ラチピッタリを回っていたボンドガールとの走行距離差はかなりのものがあった。

それを加味すれば、コガネノソラのパフォーマンスの方がクリスマスパレードのそれより上だったと判断する次第。

しかもダイワメジャー牝馬のボンドガールは2000mより1800mの方がベターな馬だろうから、紫苑SよりクイーンSの方がパフォーマンスレベルは高かったと見る。その比較からもコガネノソラの走りの方をより評価したい。

差し馬が強い秋華賞にあって脚を溜められる脚質は魅力的だし、ゴールドシップ産駒なのも、季節柄降雨もあり得る秋華賞を考えるうえでは好材料だろう。

GI初勝利騎手が次々に誕生している昨今の流れに丹内騎手が続く可能性も考えておきたい。

まとめ
2強からはチェルヴィニアを上に取りたい。運動神経の良い馬が多く、小回り巧者も少なくないハッピーパス、ハッピートレイルズの牝系出身なので、超本格派のステレンボッシュよりも京都内回り2000mへの対応力は高いと見る。

穴馬としては機動力溢れるコスモチェーロ牝系コガネノソラを1番手に。ゴールドシップ産駒で洋芝重賞勝ちの実績があり、降雨も多い秋華賞の成績を考えると馬場への対応力も魅力だ。

また「ロマン枠」として、直線平坦コースの中距離に強いペルースポート牝系出身のチルカーノにも印を回したい。

枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論は土曜日の夜に公開いたしますので、そちらもどうぞお楽しみに。

<プロフィール>
“血統サイエンティスト”ドクトル井上

在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。
好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。
凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。



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