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競馬サロン

齋藤翔人

2023/09/30 19:00

【スプリンターズS】 姉に続くスターホースへ 一気にスターダムを駆け上がるかママコチャ

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去る9月28日。ダーレー・ジャパンの公式X(旧ツイッター)が、1997年のフェブラリーSを制したシンコウウインディが、27日に30歳で亡くなったと伝えました。

シンコウウインディといえば、稀代の個性派ともいうべき存在。昇格初年度のフェブラリーSを制した実績は、言い換えれば、JRAのダートGIを初めて勝利した馬ということになりますが、それと同じくらい「噛みつき癖」のある馬としての印象が強いと思います。

1993年4月14日に生を受けたシンコウウインディは、父デュラブの日本における初年度産駒。ダート1200mの新馬戦を勝利した後、意外にもそこから芝の特別戦を3走。4、2、4着とまずまずの結果を残した後、ダート戦に戻ったあさがお賞を3馬身1/2差で完勝しましたが、6戦目の館山特別で最初の事件が起こります。

このレースで単勝1.9倍の断然人気に支持されたシンコウウインディは、直線で2番人気ダイワオーシャンの抵抗にあい、ゴール前では一騎打ちに。ところが、シンコウウインディはここで内から伸びるライバルを噛みにいってしまったのです。

「どんなことをしてでも、絶対に負けたくない!」という気持ちが、咄嗟の行動に表われたのでしょうか。しかし、この行動で減速したシンコウウインディは、結果クビ差の2着に敗れてしまいました。

それでも、第1回のユニコーンS(当時は秋の中山開催)に出走が叶い、初めて重賞の舞台に立つことになりましたが、今度は別の事件が発生。このレースで同馬に3馬身差をつけて1位入線を果たしたのは、単勝1.5倍と圧倒的人気に推されたバトルラインですが(前年の米国二冠馬サンダーガルチの半弟)、4コーナーで斜行、他馬の進路を妨害して10着降着。シンコウウインディにとっては、思わぬ形で初の重賞タイトルが転がり込んできたのです。

しかし、まだまだこれで終わらないのがシンコウウインディ劇場。

ユニコーンSは、かつて大井のスーパーダートダービー、盛岡のダービーグランプリとともにダート三冠シリーズを形成しており、二冠を賭けてスーパーダートダービーに出走したシンコウウインディは、絶好の手応えで迎えた直線。必死に逃げ粘るサンライフテイオーを捕らえるのに苦労し、ゴールまでおよそ70mの地点で、またしてもガブリ!

結果、噛みつくことはギリギリ叶わず、それで意気消沈したのかスピードダウン。サンライフテイオーの逃げ脚を「アシスト」するような格好で2着に敗れ、二冠達成はなりませんでした。

その後、ダービーグランプリで3着となり、4歳シーズン初戦の平安Sからブリンカーを着用したシンコウウインディですが、これが効果てきめん。2度目の対決となったバトルラインに、正真正銘、今度は先着を果たすも、同じ4歳馬のトーヨーシアトルとまったく並んでゴールイン。

写真判定の結果は1着同着で、2つ目のタイトルを獲得したことに間違いありませんが、勢いでは完全に上回っていただけに、陣営にとってはどうにもスッキリしない勝利だったかもしれません。
また、ファンもそんな空気を感じ取っていたのでしょうか。続くフェブラリーSでは、バトルラインやトーヨーシアトル。さらに、短距離路線から駒を進めてきたストーンステッパーなど、同期のライバルが上位人気を占める中、やや離れた6番人気に留まったことはある意味、仕方のないことでした。

ところが、シンコウウインディは自身に対する評価を分かっているかのごとく、この大一番で末脚爆発。泥田のような不良馬場をものともせずに迎えた直線。バトルラインを競り落としたストーンステッパー目がけて内ラチ沿いを一気に伸びると、噛みつき癖などなんのことと言わんばかりにお行儀良くマッチレースに持ち込み、ついにはクビ差先んじて1着ゴールイン。

重賞での繰り上がり優勝や、トーヨーシアトルとの1着同着。そして、噛みつき癖など。自らに対する疑念をこの一発ですべて振り払ったシンコウウインディは、文句なしの内容で、JRAの初代ダートGIウイナーに輝いたのです。

その後は脚部不安などもあり、6戦して勝利をあげられないまま現役生活にピリオドを打ったシンコウウインディ。種牡馬としても目立った成績を残せず、2007年からダーレー・ジャパンで試情馬、いわゆるアテ馬として暮らしていましたが、天才的に上手だったそうです。牝馬に噛みつく……なんてことはなかったと思いますが、適材適所とはまさにこのこと。しっかりと自分の居場所を見つけ、天寿を全うしました。

ちなみに、東京スポーツさんの記事によると、フェブラリーSの直前にはもう一悶着あったようで……。

実は、レース4日前の最終追いを坂路でおこなった際、パートナーを務めた厩舎の先輩フロインシャフトの首に噛みつきにいき、僅かに遅れてしまったそう。それでも、大一番で決めるところはしっかりと決め、GI馬にまで上り詰めたシンコウウインディは、間違いなく歴史に残る名馬でした。

シンコウウインディのご冥福を、心からお祈りいたします。


では予想に。

今回は、秋のGI開幕戦スプリンターズSの過去5年を深掘り調査。好走傾向から重視できそうな指標を探し、本命馬を見つけ出します。

(1)性別と今回の枠順
(2)前走人気
(3)前走枠順
(4)馬齢
(5)キャリア
(6)前走の馬体重の増減
(7)前走場所

近年の傾向から重視できそうな指標は、上記7項目。その中で、(1)は性別と今回の枠順です。まずは牡馬から。

牡馬は、今回1枠から4枠を引き、なおかつ1月から4月に生まれた馬が[3-1-4-8/16]。勝率18.8%、複勝率50.0%。単勝回収率162%、複勝回収率236%と、該当馬の半数が好走。

一方、牝馬は今回4枠から8枠を引き、栗東所属騎手が騎乗。なおかつ、前走14頭立て以上のレースに出走した馬が[1-3-1-6/11]。勝率9.1%、複勝率45.5%。単勝回収率20%、複勝回収率151%と、なかなかの成績。

逆に、今回1枠から3枠を引いた牝馬は[0-0-0-12/12]と、苦戦していました。

(2)は前走人気。
スプリンターズSは、前走、上位人気に推された馬が強いレース。前走2番人気以内、かつ前走3コーナーで2から7番手に位置していた馬は[3-4-1-3/11]。勝率27.3%、複勝率72.7%。単勝回収率100%、複勝回収率148%。好走率7割超の脅威的な成績。

また、前述した馬とも重なりますが、前走セントウルSで2番人気以内だった馬も[3-3-0-3/9]。勝率33.3%、複勝率66.7%。単勝回収率122%、複勝回収率147%と、負けていません。

次は(3)。前走の枠順について。
前走外枠を引いた馬が強さを発揮しているスプリンターズS。(2)と少し重なりますが、前走7、8枠を引き、なおかつその前走で4コーナー3から7番手に位置していた馬は[3-2-2-3/10]。勝率30.0%、複勝率70.0%。単勝回収率103%、複勝回収率174%。こちらも超抜の成績でした。

折り返しの(4)は馬齢です。
昨年は7歳馬のジャンダルムが勝利したものの、好走率が高いのは4歳以下の若馬。その中でも前走奇数番を引き、なおかつ前走上がりが7位以内の馬は[3-1-2-4/10]。勝率30.0%、複勝率60.0%。単勝回収率104%、複勝回収率178%。こちらも、該当馬の半数以上が好走していました。

(5)は、キャリアについて。
これまた少し前項と重なりますが、スプリンターズSは、消耗の少ない馬が好成績を収めているレース。キャリア11戦から15戦。なおかつ、父がニアークティック系以外の種牡馬であれば[1-3-2-3/9]。勝率11.1%、複勝率66.7%。単勝回収率32%、複勝回収率234%。好走率は7割に迫ります。

続いて(6)は、前走の馬体重の増減。
どういうわけか、前走馬体重の増減が、プラス4kgからプラス9kgの馬が良績を収めているスプリンターズS。その中でも、前走2着以内の馬は[3-3-1-1/8]。勝率37.5%、複勝率87.5%。単勝回収率128%、複勝回収率223%と、恐ろしいほどの成績でした。

そして最後は(7)。前走場所。
北九州記念組やキーンランドC組など、夏競馬の後におこなわれるだけあって、前走ローカル組が多いスプリンターズS。ただ、好走率が高いのは、前走中央場所のレースに出走した馬で、その中でも、母父がナスルーラ系種牡馬かネイティヴダンサー系種牡馬であれば[3-1-2-2/8]。勝率37.5%、複勝率75.0%。単勝回収率98%、複勝回収率387%。こちらも、好走率が8割に迫ろうかという超抜の成績でした。

これら7つの指標を踏まえ、印と買い目を下記のとおりとします。

◎6  ママコチャ
○1  ナムラクレア
▲2  テイエムスパーダ
☆16 モズメイメイ
△14 エイシンスポッター
△3  ピクシーナイト
△9  アグリ
△15 キミワクイーン
△10 マッドクール
△8  メイケイエール
△7  オールアットワンス
△4  ナランフレグ
△13 ジャスパークローネ


【買い目】

・馬単マルチ 6=1、2、3、4、7、8、9、10、13、14、15、16 計24点
・ワイド 6→1、2、3、4、7、8、9、10、13、14、15、16 計12点
・3連複ボックス 1、2、6、14、16 計10点


本命候補は、3項目に該当したナムラクレア、テイエムスパーダ、ママコチャの牝馬3頭。(1)が今回の枠順に関する指標で、これら3頭のうち少なくとも1頭は4枠より外を引いてくれると思っていたのですが、枠順が発表されると、なんと3頭すべてが牝馬にとって不利な内枠に……。

究極の選択でしたが、ここはママコチャを本命とします。

GI3勝馬ソダシの全妹ママコチャは、マイル戦の2、3勝クラスを勝利して出世したものの、ターコイズSが5着。阪神牝馬Sも9着と、マイルの重賞では結果が出ませんでした。
ところが、1年ぶりの1400m戦となったリステッドの安土城Sを完勝すると、初めてスプリント戦に出走した前走の北九州記念でも2着と好走。逃げ有利の馬場でしたが、いつもどおり好位差しの競馬で連対を確保し、大舞台に駒を進めてきました。

父クロフネは、過去にスプリンターズSを制した牝馬を2頭送り出しており、母父キングカメハメハの代表産駒といえば、史上最強スプリンターの呼び声高いロードカナロア。ママコチャ自身は、ここまで重賞未勝利ながら上位人気になりそうで、馬券的な妙味はあまりないかもしれませんが、それでも狙ってみたいと思える馬。姉ソダシは、現役屈指の人気馬といって間違いない存在で、ママコチャもここで一気にシンデレラロードを駆け上がり、短距離界のスターホースになってくれることを期待しています。

馬券は、ママコチャからの馬単マルチとワイドを、いつもどおり手広く購入。また、2項目以上に該当した上位5頭の3連複ボックスも買います。

そして、このスプリンターズSが終わると、夕方にはこれが最後の開催となるダービーグランプリが盛岡でおこなわれ、無敗の南関東クラシック三冠馬ミックファイアが出走。そして、夜にはスルーセブンシーズが出走する凱旋門賞があり、すべて馬券が買えるという、こんな幸せなことはありません。

それでは、日曜日も競馬を楽しみましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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