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競馬サロン

覆面馬主7号

2010/01/01 00:00

◎老馬主vsツウ「わんこタラバ編」

81
とある土曜日の午前中。
一本の電話が鳴る。

トゥルルル。

7号「老馬主さんおはようございます!」
老馬「ああ、7号君おはよう。今日も馬券やってるの?」
7号「いえ、今日はなんだか気乗りしなくてボーっとしてましたよ。今日は平安Sだけ買おうと思ってます」
老馬「それはちょうど良かった!大変な事が起こってさ…」
7号「え?どうかされましたか?」
老馬「君に誕生日プレゼントでもらったiPadあるだろ、あれが全く使えなくなっちゃってさ、今日も使おうと思ったんだけどウンともスンともいわないんだよ」

7号心の声(マジか・・・そんなの俺じゃなくてアップルストアに連絡してくれよ・・・とは言えないよな・・・。ん?それはちょうど良かったって言ったか?どういう意味だ?ま、いいか、それよりiPadね・・・。)

7号「え?本当ですか?最近は使っていましたか?」
老馬「ああ。先週も使ってたんだけど、今週急に使えなくなっちゃったんだよ…」

7号心の声(はぁ?そんな事あるか?)

7号「え?電源は入りますか?」
老馬「電源はつくよ!」
7号「あ、そうですか。ではJRA-VANかなにかのアプリが使えなくなってしまったんですか?」

老馬「アプリ????」

7号心の声(あああああ。アプリで通じなかったらなんて言えばいいんだよ・・・)

7号「画面に緑の馬の絵が書いてあるアイコンが押せなくなってるんですかね?」

老馬「アイコン????」

7号心の声(あああああ。アイコンで通じなかったらどうやって説明すればいいんだよ・・・)

7号「緑で四角い小さい馬の絵が描いてありますよね?」
老馬「ああ。それは見られるよ。そうじゃなくて、地方競馬の馬券を買おうと思ってるんだが、使えなくなっちゃってさ。」

7号心の声(マジか・・・。この人基本的にやっぱり何も解ってねー。地方競馬の馬券を買えるアプリなんてインストールしてねーよ・・・。使えなくなっちゃってさ・・・って、まるで使ってたみたいな言い方してるけど、アプリダウンロードしてないんだから、使えるわけ無いだろうよ・・・。幻でも見たのか?それとも白昼夢か?iPadってのは心で思ったことがなんでも出来るとでも思ってるのか?それにしたって、電話でインストールとか、ダウンロードとか、APPストアとか、サインアップとか、ログインとか、カード認証とか、説明できねーよ・・・)

7号「いえ、老馬主さん、大変申し訳ないんですが、地方の馬券を買うためのアプリ・・・といいますか、地方馬券を買うための機能をまだその中に取り込んでいないんですよ、だから今すぐには買えませんが、今日は土曜日ですから盛岡か何かの馬券ですか?」
老馬「そうそう、盛岡に知り合いの馬が出るから、単勝だけでも買っておこうと思ったんだけど、買えなくてさ。」
7号「それなら、僕が変わりに買っておきますよ!いくら買います?」
老馬「そうかい?それなら、単勝3万円買っておいてもらえるか?」
7号「え?3万ですか?盛岡の平場のレースで3万も馬券買ったら、オッズ下がりますよ。それでも、いいですか?」
老馬「そうかい?じゃぁ5000円くらいにしとくか?」
7号「そうですね、それくらいで十分じゃないですか?あとは3連単で買いましょう!」
老馬「それはそうとさぁ、アンタ月曜日からセールで北海道入るって言ってたっしょ?」
7号「はい。日曜日に東京競馬場行って、その足で羽田から北海道入りしようと思っているので、実際は日曜日の夜ですけどね!」
老馬「そうか、前にアンタが行ってみたいって言ってた札幌のカニ料理屋あるっしょ。」
7号「はい。」
老馬「あれね、今日の18時に予約取れたさ!」
7号「はい・・・????」
老馬「今から札幌くればいいっしょ!そしたら、パソコンの設定もしてもらえるし!」

7号心の声(マジか・・・。マジで言ってるのか。月曜日に予約しておくって言ってたくせに、なんで土曜日に予約してるんだよ・・・。予約取れたさ・・・じゃねーよ!この人、俺が本当に暇だと思ってやがる・・・、あ・・・、俺が馬券買ってないのを確認して暇そうだと確信した上で、それで、それはちょうど良かった!って言いやがったのか・・・。しかもパソコンじゃなくてiPadだし・・・ツッコミ所満載じゃねーか・・・)

7号「え?今からですか?ちょっと明日のオークスを見に東京競馬場行こうと思ってたんですが・・・」
老馬「札幌で一緒に見ればいいっしょ!」

7号心の声(だよな・・・そういうことだよな・・・、俺には断る権利はないんだろうな・・・)

7号「わかりましたよ・・・。今から用意して行きますね。それよりカニ屋さん土曜日なのによく予約取れましたね。」
老馬「そりゃ、君が行きたいっていうんだから無理言って空けさせたさ。」

7号心の声(うわぁぁぁぁ、また値打ち付けられた・・・。ただ単に連絡したら予約取れただけだろうよ・・・。俺は何でこういう質問をしちまうのかな、いつも・・・。値打ちつけてくるに決まってるのに・・・)

7号「そうでしたか!僕の為に申し訳ありません。今からですと、おそらく17時頃には札幌につけると思います」
老馬「そうかい。じゃージャスマックで風呂入って待ってるよー」

なんだこの会話・・・。
なんで、俺の予定は全て無視されて、前倒しで北海道入りしなけりゃならんのだ。
それにしても本当にマイペースな人だ・・・

16時千歳空港着

「おい、7号君!」

7号「えええ?どうしたんですか?ジャスマックで風呂入ってたんじゃないんですか?」
老馬「いやね、7号君、裏道知らんから札幌までいつも時間かかるだろ?だから今日は色々教えてあげようと思ってな!」
7号「そんな事の為にわざわざ千歳まで来てくれたんですか?」
老馬「待ってて血圧上がるよりいいっしょ(笑)」
7号「ですね・・・ははは・・・」
老馬「ところで、アンタ、お腹空かしてきたかい?」
7号「はい、空いているといえば空いてますが、羽田でちょっとソバは食べましたよ」
老馬「そうか、ソバといえば最近赤坂の砂場には行ってるか?」
7号「砂場には行ってないんですが、神田の藪そばが火事から復活したので、藪そばには行きましたよ!」
老馬「そうか、あそこも老舗だもんな」
7号「はい。あの店も変わった雰囲気かもし出してますよね。砂場さんと同様、ありがとう存じまーす!っていう独特の言い方は一緒ですが、あの入店した時に言われる『いらっしゃいー』の『いー』をすごく伸ばすじゃないですか!あれ聞いてると、百人一首の大会にでも来てるような気になってくるんですよね。あと注文入れた後、女将が厨房に向かってメニュー読み上げるじゃないですか!あれがなんだかたまらなく日光江戸村っぽくて癖になりますよね。あの女将、実は電動で動いてる人形だって噂あるみたいですよ(笑)」
老馬「ははは!アンタ相変わらず失礼だねー。最近砂場ばっかり行ってたし、アンタの話し聞いてたら藪そばも行きたくなって来たよ。今度私も藪そば行ってみるかな(笑)」
7号「今度東京いらっしゃった時は一緒に行きましょう!すごく綺麗になってますよ。」
老馬「ところでアンタ、そばと言えば、わんこそばは食べたことあるか?」
7号「あ!盛岡の馬券取って、わんこそばでも食べに行きたくなったんですか?いいですね!盛岡冷麺とわんこそば、今度岩手まで食べに行きましょうよ!僕も馬券乗らせてもらってしっかり儲けましたし、ご馳走しますよ!」

そうこうくだらない話をしていると老馬主さんのイライラも無いまま順調に札幌市内に。
確かに、裏道も詳しく、いつもよりは15分ほど早い到着。
とはいえ、ここでホントですね!いつもより全然早いじゃないですか!なんて言ってしまえば、また値打ちをつけられる。かといって、まったく感動したそぶりも見せなければ不機嫌になる。なんて言おうか逡巡していると、老馬主さんが衝撃の一言。

老馬「そうそう、アンタ、今日のカニなんだけどさ・・・」
7号「はい・・・」
老馬「二人で食べるんだけどさ・・・」
7号「はい・・・」
老馬「さっき、店主から連絡あってさ・・・」
7号「はい・・・」
老馬「2.5キロのタラバだってさ!」
7号「2.5キロですか!って、え?2.5キロ?」
老馬「そうだよ、2.5キロね!アンタほぼ一人で食べなくちゃいけないけど行けるっしょ!」
7号「・・・・・・・・・・・・」

7号心の声(無理だって・・・。タラバ2.5キロを一人で食べるなんて流石に無理だって。2人で食べる量じゃ無いでしょうよ・・・。どういう注文の仕方したら2人の飯に、2.5キロのタラバが手配されるんだよ・・・。大好きなカレーだって1キロがやっとなのに・・・肉だって500gのステーキで限界なのに、タラバ2.5キロって・・・。死ぬな。俺は完全にタラバに殺される。これは誰か呼ばなくちゃ絶対に無理だ。)

7号「老馬主さん、そんなものすごいカニ、二人で食べ切れなくて残すのも勿体無いですし、他にも誰か呼びましょうよ!」
老馬「ん?そうするかい?じゃー岩手のわんこそば…なんていう、実現するかどうかも分からないタラレバの先の話じゃなくて、アンタ今日タラバご馳走してくれればいいっしょ!7号君がご馳走してくれるらしいからって言って、トレーニングセールで札幌に来てる友達2人居るから、呼んじゃうか!」
7号「え?あのお二人も札幌入ってるんですね!今日の今日ですぐに来てくれますかね?」
老馬「そうだね・・・ま、だいじょぶっしょ!」

そうこうしているうちに店に到着。車を駐車場に止めに行っている間に老馬主さんは先に店内へ。


7号「お待たせしてすみません。車止めてきました!って・・・え?」
老馬「ああ!7号君お疲れさん!」
老馬友人1号「ああ!7号君ご無沙汰!」
老馬友人2号「お!7号君また太ったんじゃない?」
老馬「今日は7号君がご馳走してくれるって言ってるし、甘えさせてもらっちゃおうね!」


ヤラレタ・・・
老馬主さん、車の中で知り合い馬主に電話して無かったよな?
俺が駐車場行ってる間に電話して呼んだとしても、この二人が既に店に居るってのはいくらなんでも早すぎるよな。これ、最初から、4人で予約してやがるぞ・・・。じゃ無けりゃ2.5キロのタラバなんて手配させねーよな・・・。まただよ。また騙されて、俺が支払いしなくちゃいけなくなったよ。午前中電話有った時から、4人でタラバを堪能し、あわよくば俺からトレーニングセールの狙い馬まで聞きだすつもりだったんだな・・・。そこに、盛岡の馬券が当たったもんだから方針変更で、支払いまで俺にかぶせてきやがった・・・。

ヤラレタよ。老馬主さん・・・アンタやっぱりすげーよ。完全に手のひらの上だよ・・・。

老馬「じゃー乾杯!ここの店はね、店主が目の前でカニを捌くところから見せてくれて、最高の茹で加減でカニを出してくれるんだよー!7号君じゃんじゃん食ってねー!」
7号「あ、はい・・・」

7号心の声(知ってるよ、初めて来たのはたしかだけど、俺が食いに行きたいって言って教えた店ジャン。まるで、自分の方が昔から知ってるみたいに言いやがって・・・)

店主「これからバンバン捌いて、タラバのレア!ミディアムレア!ミディアム!ウェルダン!湯がき方の違いと部位の違いで味が全然変わりますので、全て堪能してもらいますね!じゃー行きますよ!用意は良いですか?」

7号心の声(ん?用意は良いか?って?どういうこと?)

店主「はい、まずレア!」
一同「おいしいねー」
店主「はい、もう一本レア!」
一同「いやぁ!たまらんねー」

この店のすごいところは、関節ごとに捌いては茹で、捌いては茹でという繰り返しで、食べたらまた店主にカニの脚を戻し、次の関節を捌き、また茹でて出してくれるところにある。ただし、ペースは異常に早い。

店主「次はミディアムレアいきますよー!」
老馬「これ、7号君どうぞ!」
7号「・・・」
店主「はい、そこ食べたら一度こちらに脚を戻してください!続いて、違う部位のミディアムレア!」
老馬「はいこれも7号君どうぞ!」
7号「・・・・・・」
店主「はい!どんどん行きますよ!次はミディアム!」
老馬友人1号「はい、これは7号君どうぞ!」
7号「・・・・・・・・・」
店主「続いては、焼きだよ!いい感じに焼けてるねー!最高の焼け具合だ!」
老馬「はい、7号君どうぞ!」
老馬友人1号「はいはい、僕のも7号君どうぞ!」
老馬友人2号「よ!まだまだ行けるね!はいはい!じゃんじゃん!頑張って!」

老馬「ははははは!まるでわんこそばだ!アンタ、わんこそば食べたいって言ってたしちょうど良かったねー(笑)もう岩手行かなくていいっしょ(笑)」

確かに!
ほぐせばカニの繊維が蕎麦みたいに細長くなるから、これも一種の蕎麦のようなものですもんね!日本唯一のわんこタラバですね!老馬主さんサスガっす!

・・・・・・とでも言うと思ったか!!!!!!

いい加減にせー!

というノリツッコミを炸裂させたとか、させなかったとか・・・

その上、更に追い打ちをかけるがごとく、設定しなおしたiPadで無邪気に撮ったカニの写真を俺に送ってきた老馬主が一言。

写真だけじゃなくて、タラバ一匹送ろうか?


カニなんてしばらく見たくねーわ!

と言えたとか、言えなかったとか・・・

老馬主との戦いはまだまだ続く・・・

この物語はフィクションです(笑)

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