競馬サロン

覆面馬主7号
91
2010/01/01 00:00
◎老馬主vsツウ「新潟競馬場拉致編」

先週金曜日の老馬主さんとのやり取り。
老馬主さんの事は大好きなんだが、物凄くせっかち且つマイペース。以前書いた「ススキノ駅伝」のエントリーを読んでもらえればわかると思うが、先週金曜日も老馬主劇場に付き合わされることに・・・。ただの愚痴だから、暇な人しか読まない方がいいよ・・・。
---老馬主劇場---
トゥルルルル
トゥルルルル
オイオイなんだよ・・・
こんな早い時間から電話なんて・・・
どの馬かが脚やっちまったか?
通「はい、おはようございます」
老馬主「はいはい、おはよー」
通「今日はまた一段と早いですね・・・、まさか脚やっちゃった馬でも居ましたか?」
老「いやいや、どの馬も順調っしょ!そんなことより、明日のレースいいとこあるっしょ?通君は競馬場行けるのかな?」
通「ハイ!もちろん行くつもりですよ!老馬主さんは行かれないっておっしゃってましたよね・・・」
通心の声(え?ウソでしょ・・・用事は?なに、世間話?朝6時から世間話的な感じ?)
老「いやぁ、なんだかこのメンバー見たら勝てそうだから、行こうかと思ってるんだよねー」
通「あ!そうですか!都合ついたならよかったです!当日競馬場で待ち合わせますか?」
通心の声(やべー・・・老馬主さん来るんじゃ、また引っ張りまわされるな・・・)
老「いや・・・これから飛行機で東京に入ろうと思ってるんだぁー」
通「え?本日いらっしゃるんですね!空港まで車向かわせますか?」
通心の声(まじか・・・これから来るって、絶対夕飯誘われるパターンじゃん・・・、絶対ブログ更新できねーぞ・・・)
老「昼前には着くと思うから、とりあえず赤坂でソバでも食いませんか?」
通「いいですねぇー!昼から前祝いやっちゃいますか!」
通心の声(え?昼から?しかも、つい軽々しくノリでOK出しちゃったよ・・・。しかも「とりあえず・・・」って事は夜もだよな?確か、今日仕事山積みだったよな・・・なんでいつも急なんだよ・・・)
老「空港着いたら電話するねー!」
通「ハイお待ちしております!お気をつけていらしてくださいねー!」
これはまずい・・・
11時には羽田に着くと言うことは、12時には赤坂に着くはずだ。
それまでに今日やらねばならない仕事をすべて片付けなければ・・・。
えーっと、打ち合わせは4件!?!?!?
うそだろ・・・
そんなにいっぱい打ち合わせ詰め込んでったっけか・・・?
昨日の酒も抜けきっていない朝6時。
手帳を片手に、タバコとコーヒーで強制的に脳を覚醒させながら、先ほどの軽いノリの返事を後悔していた。急な事態にどう対応していいものか考えながら「思案のしどころじゃのぉ」などと独り言をつぶやきながら、シャワーを浴びようと風呂に向かう。
ちらっと時計を確認すると、まだ6時14分だ。
シャワーから上がり、体重計に乗りながら手に取った歯ブラシに歯磨き粉をのせる。なんてことは無い朝のルーティンだが、全てが上の空だ。
馬主なんかをやっていると、朝の電話と言うのは恐怖以外のなにものでもない。なぜなら、朝かかってくる競馬関係者からの電話はほとんどと言っていいほど「故障の報告」だ。ドキドキしながら電話に出たのに、明るい声で「通君おはよー」と来たものだから、拍子抜けしたまま話を進めてしまった。
上の空だったとはいえ、返事をしてしまった以上、このミッションはこなさなければならない。幸いにもまだ6時14分だ。少し早く出社すれば仕事はこなせるはずだ。老馬主さんはソバを食った後は、散歩をして、ホテルにチェックインしてからしばし昼寝をし、スッキリ起きた後に夕飯。これはここ10年変わっていないルーティンだから、今日も同じパターンだろう。
となれば、12時からのランチミーティングをズラせば今日の業務はクリアできる。しかし、そこには一つ大きな問題がある。14時からの打ち合わせにほろ酔い気分で参加しいつもの調子が出せるか?ということだ。
ノンアルコールビールでごまかしが効くほど老馬主さんの目は節穴ではない。そして、なにより恐ろしいのが老馬主の奥様だ。奥様ときたら「若いんだからまだ食べられるっしょ!」「体が大きいんだからまだまだ飲めるっしょ!」が口癖だ。
ぶっちゃけ俺は若くは無い。
あなた達よりは若いだけで、世間一般では「若いからたくさん食べられる」と言う年齢はとうに過ぎている。とツッコめれば楽なのだがそうはいかないのが老馬主の老馬主たるゆえんだ。酒を断るという手もあるにはあるのだが、その最終手段を使うと著しく機嫌が悪くなる。機嫌が悪くなれば子供のように拗ねる。とはいえ、ほろ酔い気分でこなせるほど14時からの打ち合わせも簡単ではない。
そんなことを考えながら、いつもより2時間ほど早く家を出た。
出社する途中で、片っ端から部下を叩き起こし、ランチミーティングじゃなくてモーニングミーティングにすることを告げる。今すぐ出社しろ!と言う俺に対し、一様に「マジっすか?」と機嫌の悪そうな返答を浴びせてきやがる。アドレナリンが分泌されてくるのが分かった。
朝活が流行っていると聞いて久しいが、個人的には「朝っぱらからなにやってんだよ・・・」と言う感想しかなかったが、部下の不機嫌な反応にさらされ、アドレナリンが一気に放出し異常ににテンションが高まった事で、なるほど!朝活ってこういうテンションで会社に行けるのか!と、おかしな気づきを得ながら会社に向かっていた。
ちらっと時計を確認すると、6時45分だ。
これでなんとか、ランチミーティングの時間はズラす事に成功した。しかし、まだ14時からの打ち合わせをどうするのかを決めていない。朝からガヤガヤしてるマックやスタバで打ち合わせするのも冴えないので、上等なサンドイッチとスタバのコーヒーを買い込んで会社の大会議室でモーニングミーティングを開催することに決めた。
11時12分
老馬主から空港に着いたとの連絡だ。
老「はいはい、着いたよー」
通「お疲れ様です!ホテルに先にチェックインしますか?」
老「いやいや、朝ごはん食べないで来たから直接そば屋に向かうよ。通君は何時頃来られそうかい?」
通「はい、12時前には到着できると思いますので席確保しておきますね!」
老「はいはい、頼みましたよー」
ふう・・・。
老馬主さん腹減っているということは、そんなに飲むつもりは無いかもしれないな。それなら、14時からの打ち合わせも大丈夫か?いや、あのお方は自分が飲まなくても俺には飲ませるはずだ。14時からの打ち合わせにはありのままで対応するしかない・・・と覚悟を決めた。
11時56分
赤坂・砂場
かつては行列が出来て昼時にはなかなか入れなかったのだが、最近はそれほどの混雑は見られなくなっており、この日もスムーズに4人席を確保することが出来た。赤坂砂場と言えば、「ありがとうございます!」と言う掛け声ではなく「ありがとう存じます!」という掛け声で統一されているのが特徴で、語尾が上がり気味に「ありがとう存じまーす!」と言われると、聞きなれないその語感に毎回なにやら背中がむず痒くなる。
通「とりあえず、もうすぐ連れも来ますので、卵焼きと焼き鳥と板わさと鳥わさを下さい」
砂場店員「かしこまりました。ありがとう存じまーす!」
ってな感じで注文していると、老馬主がニコニコしながら暖簾をくぐって入ってきた。
老「おう!通君早いねー。なに、もう注文してくれてるのか?」
通「長旅ご苦労様でした。はい!いつものヤツを一通り注文しておきました。体調はお変わりないですか?」
老「うん。大丈夫だよ。」
通「そうでしたか!それは良かったそれはそうと、明日のレース楽しみ・・・」
老「あ!そうそう!今日ね、東京のホテル取ってないんだよ。ご飯食べたら、銀座ブラブラして時間潰してるから、通君の仕事終わったら今日のうちに新潟に入っちゃえばいいっしょ!」
通「・・・・・・・・・・・・・・」
通心の声(この人、人の話し遮ってなに言ってんの?東京にホテルとって無い?しかも新潟に今日のうちに入っておくだと?マジか・・・、たまんねーな・・・、この人には俺の都合なんてカンケーねーのかよ、なんて日だ!)
通「え?今日入っちゃいます?新潟?」
老「それの方がいいっしょ!」
通「はい・・・そうですね。では、すぐに新幹線とホテルの手配しますね。」
老「ああ、スイマセン、ビール二本頂戴!」
砂場店員「かしこまりました!ありがとう存じまーす!」
っておい・・・
俺が動揺して隙を見せた瞬間にビール頼みやがった・・・。
だから、なんなんだよ「ありがとう存じまーす」って・・・。
と、店員に心の中で八つ当たりをしながら頭の回転速度を上げた。
本日中に新潟に入るんじゃ、東京を16時頃には出たいって言うことだよな・・・。
俺の仕事が終わってから向かおうや!と言ってくれているものの、その言葉を信じて仕事を続けようものなら、また20分おきに電話をかけてきて「どうだい?仕事終わったかい?」と、煽られ続けるんだろうな・・・と確信した。
通「ちょっと外で予約の電話してきますね!」
老「はいはい。頼みますねー!」
これはいかん。
泊まりの準備もしてきてないし、ホテル満室とかで取れない・・・って嘘でもついてみるか?いや、そんなことをしてもすぐにバレる。もうこうなったら、今日新潟に入るしかない。しかし、打ち合わせをどうする?14時のあと、16時からの打ち合わせもあるぞ。幸いにも、16時からの打ち合わせの相手は馬主仲間の一人だ。こうなったら、彼も新潟に拉致して、新幹線の中で打ち合わせをするしかないな・・・。
通「老馬主さん、ホテル取れましたよ!僕今日、先輩馬主さんと16時から打ち合わせだったのですが、老馬主さんが東京来てるから、一緒に新潟行きましょう!って誘っておきましたよ。「打ち合わせは新幹線ですればいいっしょ!」って老馬主さんが言ってますよ!って言っちゃったので口裏合わせてくださいね!」
老「はいはいわかったよー、それじゃぁ一杯、どうぞどうぞ!」
通「ありがとうございます!」
なんでだ。
なんで、この人はここまでマイペースなのだ。
こういう流れになってしまったのなら仕方が無い、「今は酒を飲まんぞ!」これだけは勇気を持って言わなければ。
早めに、新潟に出発するためには仕方が無い事だと許してくれるだろう。
通「老馬主さんスミマセン、今日はこのあと新潟に移動もすることですし、夜もガッツリ飲むでしょうから、昼の酒はホドホドにして、軽くビールだけにしておきませんか?このあと、恒例の昼寝も出来ませんし、昼から熱燗に走ってしまうと移動しんどいですよね?」
通心の声(どうだ?自分の仕事の事は言わずに、あくまで老馬主さんの体調を気遣っての発言のように表現してみたが、効いているのか?聞いているのか?刺さったか?刺さったのかー???)
老「うん、もともとそのつもりだよー、通君は飲む気満々だったんだねー(笑)」
通「・・・・・・・・・。」
違うわい!
飲みたくなかったんだよ!
とは言えるはずもなく「夜はその分飲みますよー!」と、意味のわからない宣言をし、覚えたての煙草をふかし、青空を見つめながら、自由を求め続けた15の昼・・・
じゃなくて金曜の12時20分・・・
以上。
何故、予告もなく土曜日分のブログを更新できなかったのか・・・
何故、予告もなく土曜の朝一に新潟競馬場にいたのか・・・
何故、ツイッターでつぶやく暇も無かったのか・・・
お判りいただけたであろうか?
老馬主vs通の戦いはこれからもつづく・・・。
この物語はフィクションです。
じゃーな!
老馬主さんの事は大好きなんだが、物凄くせっかち且つマイペース。以前書いた「ススキノ駅伝」のエントリーを読んでもらえればわかると思うが、先週金曜日も老馬主劇場に付き合わされることに・・・。ただの愚痴だから、暇な人しか読まない方がいいよ・・・。
---老馬主劇場---
トゥルルルル
トゥルルルル
オイオイなんだよ・・・
こんな早い時間から電話なんて・・・
どの馬かが脚やっちまったか?
通「はい、おはようございます」
老馬主「はいはい、おはよー」
通「今日はまた一段と早いですね・・・、まさか脚やっちゃった馬でも居ましたか?」
老「いやいや、どの馬も順調っしょ!そんなことより、明日のレースいいとこあるっしょ?通君は競馬場行けるのかな?」
通「ハイ!もちろん行くつもりですよ!老馬主さんは行かれないっておっしゃってましたよね・・・」
通心の声(え?ウソでしょ・・・用事は?なに、世間話?朝6時から世間話的な感じ?)
老「いやぁ、なんだかこのメンバー見たら勝てそうだから、行こうかと思ってるんだよねー」
通「あ!そうですか!都合ついたならよかったです!当日競馬場で待ち合わせますか?」
通心の声(やべー・・・老馬主さん来るんじゃ、また引っ張りまわされるな・・・)
老「いや・・・これから飛行機で東京に入ろうと思ってるんだぁー」
通「え?本日いらっしゃるんですね!空港まで車向かわせますか?」
通心の声(まじか・・・これから来るって、絶対夕飯誘われるパターンじゃん・・・、絶対ブログ更新できねーぞ・・・)
老「昼前には着くと思うから、とりあえず赤坂でソバでも食いませんか?」
通「いいですねぇー!昼から前祝いやっちゃいますか!」
通心の声(え?昼から?しかも、つい軽々しくノリでOK出しちゃったよ・・・。しかも「とりあえず・・・」って事は夜もだよな?確か、今日仕事山積みだったよな・・・なんでいつも急なんだよ・・・)
老「空港着いたら電話するねー!」
通「ハイお待ちしております!お気をつけていらしてくださいねー!」
これはまずい・・・
11時には羽田に着くと言うことは、12時には赤坂に着くはずだ。
それまでに今日やらねばならない仕事をすべて片付けなければ・・・。
えーっと、打ち合わせは4件!?!?!?
うそだろ・・・
そんなにいっぱい打ち合わせ詰め込んでったっけか・・・?
昨日の酒も抜けきっていない朝6時。
手帳を片手に、タバコとコーヒーで強制的に脳を覚醒させながら、先ほどの軽いノリの返事を後悔していた。急な事態にどう対応していいものか考えながら「思案のしどころじゃのぉ」などと独り言をつぶやきながら、シャワーを浴びようと風呂に向かう。
ちらっと時計を確認すると、まだ6時14分だ。
シャワーから上がり、体重計に乗りながら手に取った歯ブラシに歯磨き粉をのせる。なんてことは無い朝のルーティンだが、全てが上の空だ。
馬主なんかをやっていると、朝の電話と言うのは恐怖以外のなにものでもない。なぜなら、朝かかってくる競馬関係者からの電話はほとんどと言っていいほど「故障の報告」だ。ドキドキしながら電話に出たのに、明るい声で「通君おはよー」と来たものだから、拍子抜けしたまま話を進めてしまった。
上の空だったとはいえ、返事をしてしまった以上、このミッションはこなさなければならない。幸いにもまだ6時14分だ。少し早く出社すれば仕事はこなせるはずだ。老馬主さんはソバを食った後は、散歩をして、ホテルにチェックインしてからしばし昼寝をし、スッキリ起きた後に夕飯。これはここ10年変わっていないルーティンだから、今日も同じパターンだろう。
となれば、12時からのランチミーティングをズラせば今日の業務はクリアできる。しかし、そこには一つ大きな問題がある。14時からの打ち合わせにほろ酔い気分で参加しいつもの調子が出せるか?ということだ。
ノンアルコールビールでごまかしが効くほど老馬主さんの目は節穴ではない。そして、なにより恐ろしいのが老馬主の奥様だ。奥様ときたら「若いんだからまだ食べられるっしょ!」「体が大きいんだからまだまだ飲めるっしょ!」が口癖だ。
ぶっちゃけ俺は若くは無い。
あなた達よりは若いだけで、世間一般では「若いからたくさん食べられる」と言う年齢はとうに過ぎている。とツッコめれば楽なのだがそうはいかないのが老馬主の老馬主たるゆえんだ。酒を断るという手もあるにはあるのだが、その最終手段を使うと著しく機嫌が悪くなる。機嫌が悪くなれば子供のように拗ねる。とはいえ、ほろ酔い気分でこなせるほど14時からの打ち合わせも簡単ではない。
そんなことを考えながら、いつもより2時間ほど早く家を出た。
出社する途中で、片っ端から部下を叩き起こし、ランチミーティングじゃなくてモーニングミーティングにすることを告げる。今すぐ出社しろ!と言う俺に対し、一様に「マジっすか?」と機嫌の悪そうな返答を浴びせてきやがる。アドレナリンが分泌されてくるのが分かった。
朝活が流行っていると聞いて久しいが、個人的には「朝っぱらからなにやってんだよ・・・」と言う感想しかなかったが、部下の不機嫌な反応にさらされ、アドレナリンが一気に放出し異常ににテンションが高まった事で、なるほど!朝活ってこういうテンションで会社に行けるのか!と、おかしな気づきを得ながら会社に向かっていた。
ちらっと時計を確認すると、6時45分だ。
これでなんとか、ランチミーティングの時間はズラす事に成功した。しかし、まだ14時からの打ち合わせをどうするのかを決めていない。朝からガヤガヤしてるマックやスタバで打ち合わせするのも冴えないので、上等なサンドイッチとスタバのコーヒーを買い込んで会社の大会議室でモーニングミーティングを開催することに決めた。
11時12分
老馬主から空港に着いたとの連絡だ。
老「はいはい、着いたよー」
通「お疲れ様です!ホテルに先にチェックインしますか?」
老「いやいや、朝ごはん食べないで来たから直接そば屋に向かうよ。通君は何時頃来られそうかい?」
通「はい、12時前には到着できると思いますので席確保しておきますね!」
老「はいはい、頼みましたよー」
ふう・・・。
老馬主さん腹減っているということは、そんなに飲むつもりは無いかもしれないな。それなら、14時からの打ち合わせも大丈夫か?いや、あのお方は自分が飲まなくても俺には飲ませるはずだ。14時からの打ち合わせにはありのままで対応するしかない・・・と覚悟を決めた。
11時56分
赤坂・砂場
かつては行列が出来て昼時にはなかなか入れなかったのだが、最近はそれほどの混雑は見られなくなっており、この日もスムーズに4人席を確保することが出来た。赤坂砂場と言えば、「ありがとうございます!」と言う掛け声ではなく「ありがとう存じます!」という掛け声で統一されているのが特徴で、語尾が上がり気味に「ありがとう存じまーす!」と言われると、聞きなれないその語感に毎回なにやら背中がむず痒くなる。
通「とりあえず、もうすぐ連れも来ますので、卵焼きと焼き鳥と板わさと鳥わさを下さい」
砂場店員「かしこまりました。ありがとう存じまーす!」
ってな感じで注文していると、老馬主がニコニコしながら暖簾をくぐって入ってきた。
老「おう!通君早いねー。なに、もう注文してくれてるのか?」
通「長旅ご苦労様でした。はい!いつものヤツを一通り注文しておきました。体調はお変わりないですか?」
老「うん。大丈夫だよ。」
通「そうでしたか!それは良かったそれはそうと、明日のレース楽しみ・・・」
老「あ!そうそう!今日ね、東京のホテル取ってないんだよ。ご飯食べたら、銀座ブラブラして時間潰してるから、通君の仕事終わったら今日のうちに新潟に入っちゃえばいいっしょ!」
通「・・・・・・・・・・・・・・」
通心の声(この人、人の話し遮ってなに言ってんの?東京にホテルとって無い?しかも新潟に今日のうちに入っておくだと?マジか・・・、たまんねーな・・・、この人には俺の都合なんてカンケーねーのかよ、なんて日だ!)
通「え?今日入っちゃいます?新潟?」
老「それの方がいいっしょ!」
通「はい・・・そうですね。では、すぐに新幹線とホテルの手配しますね。」
老「ああ、スイマセン、ビール二本頂戴!」
砂場店員「かしこまりました!ありがとう存じまーす!」
っておい・・・
俺が動揺して隙を見せた瞬間にビール頼みやがった・・・。
だから、なんなんだよ「ありがとう存じまーす」って・・・。
と、店員に心の中で八つ当たりをしながら頭の回転速度を上げた。
本日中に新潟に入るんじゃ、東京を16時頃には出たいって言うことだよな・・・。
俺の仕事が終わってから向かおうや!と言ってくれているものの、その言葉を信じて仕事を続けようものなら、また20分おきに電話をかけてきて「どうだい?仕事終わったかい?」と、煽られ続けるんだろうな・・・と確信した。
通「ちょっと外で予約の電話してきますね!」
老「はいはい。頼みますねー!」
これはいかん。
泊まりの準備もしてきてないし、ホテル満室とかで取れない・・・って嘘でもついてみるか?いや、そんなことをしてもすぐにバレる。もうこうなったら、今日新潟に入るしかない。しかし、打ち合わせをどうする?14時のあと、16時からの打ち合わせもあるぞ。幸いにも、16時からの打ち合わせの相手は馬主仲間の一人だ。こうなったら、彼も新潟に拉致して、新幹線の中で打ち合わせをするしかないな・・・。
通「老馬主さん、ホテル取れましたよ!僕今日、先輩馬主さんと16時から打ち合わせだったのですが、老馬主さんが東京来てるから、一緒に新潟行きましょう!って誘っておきましたよ。「打ち合わせは新幹線ですればいいっしょ!」って老馬主さんが言ってますよ!って言っちゃったので口裏合わせてくださいね!」
老「はいはいわかったよー、それじゃぁ一杯、どうぞどうぞ!」
通「ありがとうございます!」
なんでだ。
なんで、この人はここまでマイペースなのだ。
こういう流れになってしまったのなら仕方が無い、「今は酒を飲まんぞ!」これだけは勇気を持って言わなければ。
早めに、新潟に出発するためには仕方が無い事だと許してくれるだろう。
通「老馬主さんスミマセン、今日はこのあと新潟に移動もすることですし、夜もガッツリ飲むでしょうから、昼の酒はホドホドにして、軽くビールだけにしておきませんか?このあと、恒例の昼寝も出来ませんし、昼から熱燗に走ってしまうと移動しんどいですよね?」
通心の声(どうだ?自分の仕事の事は言わずに、あくまで老馬主さんの体調を気遣っての発言のように表現してみたが、効いているのか?聞いているのか?刺さったか?刺さったのかー???)
老「うん、もともとそのつもりだよー、通君は飲む気満々だったんだねー(笑)」
通「・・・・・・・・・。」
違うわい!
飲みたくなかったんだよ!
とは言えるはずもなく「夜はその分飲みますよー!」と、意味のわからない宣言をし、覚えたての煙草をふかし、青空を見つめながら、自由を求め続けた15の昼・・・
じゃなくて金曜の12時20分・・・
以上。
何故、予告もなく土曜日分のブログを更新できなかったのか・・・
何故、予告もなく土曜の朝一に新潟競馬場にいたのか・・・
何故、ツイッターでつぶやく暇も無かったのか・・・
お判りいただけたであろうか?
老馬主vs通の戦いはこれからもつづく・・・。
この物語はフィクションです。
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