競馬サロン

覆面馬主7号
195
2010/01/01 00:00
私の競馬2015「俺の年度代表馬 by覆面7号」

子供の頃の我が家にはモノが欲しければ違う視点から5回プレゼンをしなければならないという掟があり、グローブ一つ買ってもらうのに無い知恵絞って5回のプレゼンテーションをした。全てに「何故そう思うのか?」という根拠を聞かれる。正直めんどくさい事この上なかった。勉強しろと言われたことは一度も無いが「五体満足に産んだ以上、後は自己責任。嫌なら勉強なんてしなければ良い。しかし、それで稼げなくてもそれは全て自己責任」こう言われたのが小学校入学の時。欲しいモノを手に入れるためには知恵が必要であり、自然と学力や洞察力を磨かなければ生きていけないという事を学んだ。
小学3年生の頃には正月になると花札やおいちょかぶ大会が開かれる。
お年玉は親や親せきに全て巻き上げられた。
ルールをあまり知らないなんて事は言い訳にならない。
弱肉強食の世界では知恵の無い者や体力の無い者は「養分」にされるのが掟であり、食物連鎖の最下層に位置していた事を実感した幼少期だった。人間が理不尽だと思っている事は、自然界では普通の事なのかもしれないとも思った。
そんな時にたまたま目にした競馬。
いつも俺からお年玉を巻き上げていた大人たちがこぞって「競馬は難しい」と言う。
それでも、毎週末になると赤鉛筆を片手に口は軽やかに、しかし目は競馬新聞を睨みつけていた。
子供心に不思議な光景だった。
何故そんな難しい事を大人はするのか?
それが、競馬に触れた最初の感想だった。
そんな事を思い出したのは、今年17歳になった息子から有馬記念の数日前に連絡があったからだ。しばらく会っていないが、ずいぶん声変わりをしていて俺に似ずバンド活動なんかをやっている!と嬉しそうに話をしてきた。
親が変われば育ち方も変わるのか…。
6歳までしか一緒に暮らしてはいないが、彼の中に「俺」は無くなってしまったのか…、と自業自得とはいえ切なくなった。
最初の女房との離婚が成立するまでは随分厳しく育てたものだ。
有馬記念が当ればサンタは来るし、有馬記念が外れればサンタはこない。金杯が当ればお年玉は配られるが、金杯が外れればお年玉は無しだ。11月末産まれの彼はジャパンカップの動向は常に気になっていたようである。彼が小学6年生の時にジャパンカップを外し「今年の誕生日プレゼントは無いぞ」といった時、「そんなんだから離婚されちゃったんだね、今ならよく分かるわ」と返された時は、なかなかのカウンターパンチを繰り出せるようになったんだなぁ・・・と感慨深かったのを覚えている。
「それは厳しい育て方ではなく理不尽な育て方ですね…」と偉い学者さんに指摘されたのは離婚後数年経ってからであったが、「理不尽を教えて何が悪い?」と聞き返した事を思いだし、息子も災難だったな…と、今になって少し反省している。
一通り現状報告を聞いた後、そんな育てられ方をした息子が電話でこう言って来た。
「俺も来年大学受験だから、お金かかっちゃうけどよろしくね!」
「どこ受けるんだ?」
「〇〇大学」
「は?そんなに頭良かったのか?お前…」
「そうでもないよ」
「そうでもないって言うけど、難しいだろ?」
「頑張るよ!あ、それより、有馬記念頑張ってね!じゃー!」
まるで、トンビが鷹を産んだ気分だ。
俺が調教師なら、ある種、息子は「転厩してしまった馬」のようなものだ。
見守るしかできないし、今更俺が「大学なんて行ってどうすんだ?」などと口出しするには遅きに失している。
有馬記念が外れたら学費が出ない・・・、とは思っていないだろうが、欲しいものが有る時には競馬の話と結びつけてしまう教えだけは身に沁みついているようだ。三つ子の魂百までとはよく言ったものだ、彼の中に「俺」を見つけて嬉しさがこみ上げた。
その瞬間、モーリスが転厩し、素質を開花させた事が頭に浮かんだ。
血がそうさせたのか、育てられ方がそうさせたのか、答えはわからない。
スクリーンヒーローというトンビが鷹を産んだのか、それとも、堀厩舎という最高の親の元に転厩したことで素質を開花させたのか…。
モーリスの最初の預託先であった吉田厩舎を自分と重ねた。
どちらが良かったかは解らない。転厩しなければ素質は開花しなかったかもしれないし、転厩しなくても素質は開花したかもしれない。
しかし、一つ言えることは、転厩前後のどちらが良かったという事ではなく、全てが今のモーリスの礎になったという事だ。
負ける事、勝てない時期がある事、うまく行かない時期がある事、それらも「今」を形成するすべての要素だったのだろう。
何が正しいかなんてわからない。
わからないからこそ人生は面白いし、競馬は面白い。
過去を受け入れ、今を生き、未来を創る。
サラブレッドは「今」しか見ていないだろう。
理不尽を受け入れ「今」を懸命に輝かせているサラブレッドに俺は惹かれる。
モーリスよ、お前は産まれた時からモーリスなのか?
それとも、全ての人のその時の「今」を自らに詰め込んでモーリスとなったのか?
俺は産まれた時から俺なのか?
それとも、俺という器に、関わった人すべてのその時の「今」が詰まって俺になり得ているのか?
であれば、俺は皆であり、皆が俺である。
皆に感謝し、今を懸命に生きよう。
この事を教えてくれたモーリスに、2015年、俺の年度代表馬を捧げる。
小学3年生の頃には正月になると花札やおいちょかぶ大会が開かれる。
お年玉は親や親せきに全て巻き上げられた。
ルールをあまり知らないなんて事は言い訳にならない。
弱肉強食の世界では知恵の無い者や体力の無い者は「養分」にされるのが掟であり、食物連鎖の最下層に位置していた事を実感した幼少期だった。人間が理不尽だと思っている事は、自然界では普通の事なのかもしれないとも思った。
そんな時にたまたま目にした競馬。
いつも俺からお年玉を巻き上げていた大人たちがこぞって「競馬は難しい」と言う。
それでも、毎週末になると赤鉛筆を片手に口は軽やかに、しかし目は競馬新聞を睨みつけていた。
子供心に不思議な光景だった。
何故そんな難しい事を大人はするのか?
それが、競馬に触れた最初の感想だった。
そんな事を思い出したのは、今年17歳になった息子から有馬記念の数日前に連絡があったからだ。しばらく会っていないが、ずいぶん声変わりをしていて俺に似ずバンド活動なんかをやっている!と嬉しそうに話をしてきた。
親が変われば育ち方も変わるのか…。
6歳までしか一緒に暮らしてはいないが、彼の中に「俺」は無くなってしまったのか…、と自業自得とはいえ切なくなった。
最初の女房との離婚が成立するまでは随分厳しく育てたものだ。
有馬記念が当ればサンタは来るし、有馬記念が外れればサンタはこない。金杯が当ればお年玉は配られるが、金杯が外れればお年玉は無しだ。11月末産まれの彼はジャパンカップの動向は常に気になっていたようである。彼が小学6年生の時にジャパンカップを外し「今年の誕生日プレゼントは無いぞ」といった時、「そんなんだから離婚されちゃったんだね、今ならよく分かるわ」と返された時は、なかなかのカウンターパンチを繰り出せるようになったんだなぁ・・・と感慨深かったのを覚えている。
「それは厳しい育て方ではなく理不尽な育て方ですね…」と偉い学者さんに指摘されたのは離婚後数年経ってからであったが、「理不尽を教えて何が悪い?」と聞き返した事を思いだし、息子も災難だったな…と、今になって少し反省している。
一通り現状報告を聞いた後、そんな育てられ方をした息子が電話でこう言って来た。
「俺も来年大学受験だから、お金かかっちゃうけどよろしくね!」
「どこ受けるんだ?」
「〇〇大学」
「は?そんなに頭良かったのか?お前…」
「そうでもないよ」
「そうでもないって言うけど、難しいだろ?」
「頑張るよ!あ、それより、有馬記念頑張ってね!じゃー!」
まるで、トンビが鷹を産んだ気分だ。
俺が調教師なら、ある種、息子は「転厩してしまった馬」のようなものだ。
見守るしかできないし、今更俺が「大学なんて行ってどうすんだ?」などと口出しするには遅きに失している。
有馬記念が外れたら学費が出ない・・・、とは思っていないだろうが、欲しいものが有る時には競馬の話と結びつけてしまう教えだけは身に沁みついているようだ。三つ子の魂百までとはよく言ったものだ、彼の中に「俺」を見つけて嬉しさがこみ上げた。
その瞬間、モーリスが転厩し、素質を開花させた事が頭に浮かんだ。
血がそうさせたのか、育てられ方がそうさせたのか、答えはわからない。
スクリーンヒーローというトンビが鷹を産んだのか、それとも、堀厩舎という最高の親の元に転厩したことで素質を開花させたのか…。
モーリスの最初の預託先であった吉田厩舎を自分と重ねた。
どちらが良かったかは解らない。転厩しなければ素質は開花しなかったかもしれないし、転厩しなくても素質は開花したかもしれない。
しかし、一つ言えることは、転厩前後のどちらが良かったという事ではなく、全てが今のモーリスの礎になったという事だ。
負ける事、勝てない時期がある事、うまく行かない時期がある事、それらも「今」を形成するすべての要素だったのだろう。
何が正しいかなんてわからない。
わからないからこそ人生は面白いし、競馬は面白い。
過去を受け入れ、今を生き、未来を創る。
サラブレッドは「今」しか見ていないだろう。
理不尽を受け入れ「今」を懸命に輝かせているサラブレッドに俺は惹かれる。
モーリスよ、お前は産まれた時からモーリスなのか?
それとも、全ての人のその時の「今」を自らに詰め込んでモーリスとなったのか?
俺は産まれた時から俺なのか?
それとも、俺という器に、関わった人すべてのその時の「今」が詰まって俺になり得ているのか?
であれば、俺は皆であり、皆が俺である。
皆に感謝し、今を懸命に生きよう。
この事を教えてくれたモーリスに、2015年、俺の年度代表馬を捧げる。
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