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競馬サロン

田原基成

2021/01/16 19:56

【京成杯】陣営の未来予想図において、ここは通過点。GI馬を思わせる逸材の本命に迷いはない。/日経新春杯/中山10R/小倉11R

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【中山11R 京成杯】

イチロー二世、ダルビッシュ二世、中田英寿二世。

「〇〇二世」と呼ばれるアスリートが後を絶たない。

むろん、これを誘発するのは本人ではなくマスメディア。ひと昔前に「スターシステム」という言葉が氾濫したが、ネットが発達していない時代は特にひどかった。野茂英雄の登板日、ビジター球場のロッカールームに大挙する日本人メディア。監督だったトミー・ラソーダ氏が日本人メディアを一喝したエピソードもあるほど、常軌を逸していたのだ。

競馬の世界はどうだろう。

こちらは本人=馬が「私は〇〇二世!」などと言うわけがないから、騒ぎ立てるのは周囲に限定される。ただひとつ、不思議なことに競馬メディアが

「この馬はアーモンドアイ二世!」
「ディープインパクトの生まれ変わり!」

などとファンを煽るようなことはあまり見かけない。意外なほど彼らは沈着冷静。馬券で痛い目に遭った、もしくは美味しい思いをしたからこそ、おいそれと名馬を引き合いに出すことがためらわれるのだろう。

一体誰が、過去の名馬になぞらえるのか?

答えは「調教師」だ。

古い話だが、私の記憶違いでなければ無敗の皐月賞馬アグネスタキオンはデビュー前から「兄アグネスフライトより上」との評価だった。その兄は河内洋に喉から手が出るほど欲しかったダービージョッキーの称号をプレゼントした馬。ダービー馬より上なんて……周りの反応はさぞ冷ややかだったはず。それを結果で黙らせたのは周知の事実。

そこで、京成杯のタイソウだ。

「使う前にCウッドで追い切ったとき、サダムパテックの新馬戦と同じぐらいの時計が出ていました」

声の主は西園師。2012年のマイルCSを制したGI馬を引き合いにし、この馬の将来性を高く評価した張本人だ。むろん、周りが「タイソウは第二のサダムパテックですね!」などと言うことはないだろう。誰も言わないなら自分が言う……皮肉でもなんでもなく、本当に競馬村は面白い。

レースを振り返ると、好スタートから折り合いも問題なし。直線を向いてアッサリ突き抜けて見せた。計時したタイムは強調できるものではなかったが、ラスト3Fはいわゆる【加速ラップ】。まったくスキのないレース運びだ。

当時2着に負かしたマイプレシャスは先週中京芝未勝利を勝ち上がり。レースレベルの一定のものが保証できる。何より冬競馬かつコーナー4つ、急坂芝2000mを制した価値は計り知れない。京成杯の舞台とほぼ同じなのだから。

思えばサダムパテックは中山芝2000mの弥生賞勝ち馬。その次走、東京開催だった皐月賞でも2着とクラシック戦線の中心馬として君臨した。同世代にオルフェーヴルがいたことは不運としか言いようがないが、確かな能力と自力があったことは翌年のマイルCS勝利が証明済み。

この中間、ウッドで行われた1週前追い切りは圧巻のパフォーマンス。体重60キロ以上の乗り手を背に、外を回ったうえでラスト1Fは12秒フラット……決して「調教番長」ではなく、調教の動きがレースに直結する点もタイソウの良いところ。

「結果が出れば、サダムパテックと同じように弥生賞→皐月賞→ダービーと歩ませたい。ここは大層頑張ってもらわないとね」

軽いジョークが飛び出すほど口の動きは滑らか。GI馬の足跡を辿るだけの自信ありとの心境が透けて見えるようだ。陣営が描く未来予想図において、ここは通過点でしかないのだろう。

「札束の殴り合い」セレクトセールが行われたのち、北海道セプテンバーセールにて648万円の値でひっそりと落札されたタイソウ。記憶に新しい昨年のクラシック戦線は、日高産の2頭が無敗の三冠馬に輝いた。ここで2億円超えの超良血馬・グラティアスを打ち負かすことがあれば楽しみが増える。

「第二のコントレイル誕生か?」

今度は西園師ではなく珍しいことにマスメディアが色めき立つ番。そしてそれは、私が見たい未来予想図でもある。

今年の京成杯、タイソウの本命に迷いはない。

相手本線に抜擢するのはヴァイスメテオール。

1000m通過65秒台の超スローで流れた前走。その流れにあって好位追走から折り合いに苦労する様子もなく、直線も鞍上のコントロールにしたがったコース取り。この馬のレースセンスは極めて高い。秋の東京新馬戦勝利→京成杯のローテーションは昨年2着馬スカイグルーヴと同じ。ちなみにシルクレーシング×ノーザンファームの組み合わせも同馬と相違なく、このレースと好相性のキングカメハメハ産駒という点も含めて侮れない1頭だ。

タイムトゥヘヴンも要注意。

2着馬に1秒4差をつけた前走は圧巻のパフォーマンス。2分3秒0の走破タイムは同日のホープフルS2着相当だからフロックで叩き出したものではないだろう。間隔が詰まったローテーションがどうかも、ノーマークにはできない。

グラティアスはこの位置。

単勝1倍台の圧倒的人気に応えた前走。セレクトセールで2億円以上の値をつけた逸材に疑いなし、と言いたいところだが……当時は逃げ馬と直線インを突いた内枠の馬が上位独占のレース。控える競馬を経験できなかった点も含め、全幅の信頼を置くには躊躇してしまう。

【中山11R 京成杯予想の印】
◎2 タイソウ
〇5 ヴァイスメテオール
▲1 タイムトゥヘヴン
☆3 グラティアス
△12 ディクテイター
△6 テンバガー

【3連複/フォーメ】2-5,1,3-5,1,3,12,6(9点)


【中京11R 日経新春杯】

下限が51キロ、上限が57.5キロ。

名物ハンデ重賞・日経新春杯。今年は最大ハンデ差6.5キロの戦いになる。

予想において斤量がパフォーマンスに与える影響は意識すべきもの。しかし、それはあくまで「その馬に与えるパフォーマンス」として捉えなければならない。私がハンデ戦を予想する際に禁じ手としているのは「ヨコの比較」。物差しにするのは過去の自分であるべきだ。

少し話が逸れるが、ある一定の領域に足を踏み入れたアスリートは「自分との戦い」という言葉を口にする。大目標である勝利を忘れたわけでもなく、ライバルを軽視しているわけでもない。

自分に勝つこと=大前提となる目的を達成すること。

自分の能力を100%発揮できれば負けるはずがない、と言い換えることもできるだろう。昨年のスポーツ界で言えば、圧倒的な強さでリーグ優勝→日本一を達成した福岡ソフトバンクホークスがそれに当たるのかもしれない。

私が今回取り上げたいのは、サンレイポケット。

この馬が今回、ハンデキャッパーから与えられた斤量は55キロ。タテの比較で捉えたとき、これより重い57キロを何度も経験している点は見逃せないだろう。

栄特別。
中京スポニチ賞。

57キロの斤量で勝利を飾った2戦の内訳を挙げるとこのようになる。特筆すべきはいずれも中京芝だったこと。上がり3F33秒台の栄特別に小雨降りしきる中京スポニチ賞……馬場不問の適性を証明しているのだ。

長らく続いていた連続馬券圏内は前走アルゼンチン共和国杯でストップ。夏競馬を使われ、立て続けの関東遠征で馬体重減が止まらなかったことが凡走の引き金となったのだろう。敗因は極めて明白。

中京芝成績は【2-0-0-0】。
左回り成績は【3-1-2-1】。
特殊な今の中京芝。

あらゆる角度から追い風を受けるサンレイポケットの本命に迷いはない。

相手本線に抜擢するのはショウリュウイクゾ。

この馬で強調すべきはローテーション。叩き2戦目での成績【1-1-0-3】に対し、中10週以上の休み明けでは【0-2-2-1】と明確な差が出ているのだ。それに照らし合わせたとき、休み明け好走→間隔を詰めた臨戦過程だった前走大敗も頷ける。【1-2-1-1】と安定感が際立つ芝2200m替わりのここは見直す手だ。

バレリオも軽視禁物。

好走→凡走が続く馬だが、今回の舞台となる冬競馬では【2-0-0-1】。このなかには中京芝2200mでの勝利も含まれていた。休み明けを苦にするタイプでもなく、ケアしておきたい1頭。

【中京11R 日経新春杯予想の印】
◎4 サンレイポケット
〇14 ショウリュウイクゾ
▲7 バレリオ
☆9 ヴェロックス
△11 クラージュゲリエ
△10 アドマイヤビルゴ
△13 レイホーロマンス
△5 ミスマンマミーア
△3 サトノソルタス

【3連複/フォーメ】4-14,7,9-14,7,9,11,10,13,5,3(18点)


次に、自信の一鞍。

【中山10R ジャニュアリーS】

ジャスパープリンスで強調すべきは5走前。中山ダート1200mで行われたフェアウェルS、勝利を収めたこのレースで下した馬は昨年のカペラS勝ち馬ジャスティンだった。

その後は1400mや海外GIと複雑なローテーションを使われてきたが、今回は待望の中山ダート1200m替わり。砂を被らず運べる外枠替わりかつ、冬競馬のダート成績【3-0-1-0】を考えると本命以外の評価は下せない。

【中山10R ジャニュアリーS予想の印】
◎14 ジャスパープリンス
〇13 サザンヴィグラス
▲2 ウルトラマリン
☆3 ラプタス
△12 コパノフィーリング
△15 ロードラズライト
△16 スナークライデン
△6 サンライズカラマ
△1 リュウノユキナ
△7 シュウジ

【3連複/フォーメ】14-13,2,3-13,2,3,12,15,16,6,1,7(21点)


最後に太鼓判レース。

【小倉11R 門司S】

良馬場ダート1700mでは【1-0-2-0】馬券内率100%を誇るソリストサンダー。重賞挑戦の前走は淀みない流れで見せ場たっぷりの2着と、GI馬相手に好勝負を演じてみせた。この枠なら自分のタイミングで動けるだろうし、格の違いを証明するレースとなりそうだ。

【小倉11R 門司S予想の印】
◎11 ソリストサンダー
〇5 ぺオース
▲15 メイショウエイコウ
△3 サトノギャロス
△7 アディラート
△8 オメガレインボー
△4 スズカフロンティア
△14 プレスティージオ
△16 クリノフウジン
△1 コンカラー

【3連複/フォーメ】11-5,15-5,15,3,7,8,4,14,16,1(15点)

田原基成のプロフィールはこちら
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