【東京11R　アルゼンチン共和国杯】

「キャリアのある先輩たちにまじって厳しいレースを経験させてもらう。今後につながってくれれば」

声の主はオーソリティを管理する木村哲也調教師だ。

関係者コメントは「本音と建て前のせめぎ合い」。予想における重要なファクターであることは間違いないが、意識しすぎると思考の海から抜け出せなくなる。見極めは決して簡単じゃない。

木村調教師で思い出すのは紫苑S。1番人気に支持されたスカイグルーヴに関する調教師コメントには驚かされた。

（春のレースぶりを振り返って）
「残念だったなあと思っています」

（中山のコースについては）
「何とか頑張ってくれればなあと思っています」

（メンバーも変わりますが）
「何とか食らいついていけるように、応援したいと思います」

まるで他人事のよう……良くも悪くも自分に正直な人なのだろう。このコメントを見ると、同じシルクレーシングのオーソリティに対する勝負気配は容易に想像がつく。

前提として、アルゼンチン共和国杯は外枠が圧倒的不利なレース。各馬のスタミナを容赦なく奪う二度の坂越え……道中はできるだけ消耗を抑え、インのポケットで力を溜める。これが王道の勝利パターン。

トーセンジョーダン。
フェイムゲーム。
シュヴァルグラン。
パフォーマプロミス。

歴代勝ち馬にはのちの天皇賞（春）3着内馬がズラリと並ぶ。徹頭徹尾、狙いはステイヤータイプだ。

ここはユーキャンスマイルから入る。

菊花賞3着、天皇賞（春）で2度の掲示板内確保。ステイヤー適性は群を抜いており、左回りは【3-0-0-2】。馬券圏外に敗れた2戦は天皇賞（秋）とジャパンCに限定される。

積み重ねた実績から、すでにGI出走可能賞金は取得済み。それを承知で斤量58キロを背負う条件を秋初戦に選んだ意味……社台ノーザングループの戦略を置いて他ならないだろう。

天皇賞（秋）はアーモンドアイ。
ジャパンCはサートゥルナーリア。
有馬記念はフィエールマン。

上記の馬に加えてコントレイル、デアリングタクトといった非社台系ライバルホースが登場するとなれば、勝ち負けを望むのは酷というもの。色々な可能性を考慮したうえで、この馬の適性がマッチする舞台としてアルゼンチン共和国杯が浮上したと捉えるのが自然だ。

【3-0-1-0】

これは前走GIかつ今回1-3番人気に支持されたノーザンファーム生産の関西馬の成績。いかに彼らが計画性をもったローテーションを採用しているかが見て取れる。長年にわたり、TOP OF TOPの地位を築き上げるゆえんだ。

迷いはない。

ユーキャンスマイルが私の本命だ。

相手本線に抜擢するのはラストドラフト。

完全な差し・追い込み決着だった前走ケフェウスSは、積極的にポジションを取りに行ったことが裏目と出てしまった形に。約6カ月ぶりのレース間隔も悪い方向に出てしまったのだろう。寒い時季の重賞は京成杯勝利、同じ左回りの中日新聞杯2着など好走多数。鞍上にはこのレースで【1-2-1-1】と相性抜群の戸崎圭太……何やら不気味な雰囲気を漂わせる1頭だ。

さらにはサンレイポケット。

明らかに距離が短い毎日王冠出走は、強い勝負気配を感じられないローテ。ただ、その理由が「当レースへの間隔があくのを防ぐため」だとすれば納得はいく。脚質の融通が利かないタイプだけに勝ち切るのは容易ではないが、左回り適性と距離延長の臨戦過程を評価。

オセアグレイトも軽視禁物。

直線でスムーズさを欠いたメトロポリタンS、イン有利のCコース替わりで外枠を引き当てた目黒記念、良績に乏しい芝2000mだった七夕賞。近3走敗因にはそれぞれ明確な理由がある。完全な差し・追い込み決着を先行して3着に粘ったダイヤモンドSは着順以上の好内容。見限るにはまだ早い。

【東京11R　アルゼンチン共和国杯予想の印】
◎５ ユーキャンスマイル
〇２ ラストドラフト
▲８ サンレイポケット
☆14 オセアグレイト
△12 メイショウテンゲン
△６ トーセンカンビーナ
△18 オーソリティ
△３ ベストアプローチ
△17 ゴールドギア
△１ バレリオ
△７ アイスバブル

【馬単/ながし】5-2,8,14(3点)
【3連複/フォーメ】5-2,8,14-2,8,14,12,6,18,3,17,1,7(24点)
【3連単/フォーメ】5-2,8,14-2,8,14,12,6,18,3,17,1,7(27点)


【阪神11R　みやこS】

クリンチャーの本命はすんなり決まった。

阪神ダート1800mで施行される今年のみやこS。直線に急坂がそびえる条件ゆえ、当該距離＋アルファのスタミナが問われる、いわば「スピード馬殺し」の舞台だ。

阪神コースは芝時代にすみれSを勝利し、阪神大賞典でも3着好走……砂路線に転じても【0-3-1-0】とまったく大崩れなし。阪神ダートでの4戦中3戦で上がり3F最速と急坂をものともしない切れ味も、先行押し切りタイプが多いここではプラス。相手探しに専念したい。

現在1番人気の支持を集めているのはベストタッチダウン。

初ダートの昨年6月以降、4勝を積み上げた新星。特に1分48秒1の好時計で逃げ切った前走太秦Sは自身のポテンシャルを証明するものだった。夏を越し、一気に本格化を遂げた可能性は否定できない。

しかし、私が危惧しているのは「スピード馬殺し」の阪神ダート1800m替わりで臨む点。

芝・ダート問わず京都では【4-0-0-0】と負け知らず。例年のみやこSなら本命候補と言えるのだが、圧巻のパフォーマンスを披露した逃げ馬に楽々ひとり旅を敢行させるほど甘くはない。

ワイドファラオ。
スワーヴアラミス。
エアアルマス。

重賞勝ち馬3頭はいずれも前々で運びたいタイプ。控える競馬では脆さを覗かせる馬でもあり、1番人気のオッズと抱えるリスクの割が合わない……そんな印象だ。

対照的に、評価を上げたいのは2頭の穴馬。

まずはマグナレガーロ。

オープンクラスの壁にぶち当たっている現状だが、3走前はのちにクリンチャーを負かしたウインユニファイドを子ども扱い。当時のパフォーマンスは圧巻で、軽くは扱えない。

ナムラカメタローも要注意。

稍重-不良ダートでの成績【1-0-2-3】に対し、良馬場ダートでは【4-0-0-0】。得意の馬場コンディションでの施行が濃厚となれば必然的に評価は上がる。乾いた砂はこの馬にとって「庭」だ。

【阪神11R　みやこS予想の印】
◎６ クリンチャー
〇２ マグナレガーロ
▲３ ナムラカメタロー
☆10 エアアルマス
△５ ベストタッチダウン
△９ スワーヴアラミス
△７ ヒストリーメイカー
△８ エイコーン

【3連複/フォーメ】6-2,3,10-2,3,10,5,9,7,8(15点)


次に、自信の一鞍。

【東京10R　錦秋S】

残念ながら、ダノンファストにオープンクラスで戦えるほどの芝適性はなかったようだ。仕切り直しとなる今回は【3-2-0-0】連対率100%かつ全レースで上がり3F最速を記録するダート替わり。デビュー以来手綱を握り続ける鞍上・横山典弘なら仕掛けるタイミングも熟知していることだろう。

【東京10R　錦秋S予想の印】
◎７ ダノンファスト
〇15 ニューモニュメント
▲10 マッスルビーチ
☆11 バンプトンハート
△５ グローリーグローリ
△２ サトノギャロス
△13 ププッピドゥ
△16 フラワーストリーム

【3連複/フォーメ】7-15,10,11-15,10,11,5,2,13,16(15点)


最後に太鼓判レース。

【阪神10R　道頓堀S】

阪神芝1400mで【1-2-0-0】連対率100%を誇るムーンチャイム。

平坦コースを苦手とするフシがあり、阪神開催の恩恵をどの馬よりも得た印象。開幕週の阪神芝で内枠を引き当てた点も含め、ここは狙える条件が揃った。

時計の速い馬場コンディションを踏まえ、3連複フォーメーションの2列目には持ち時計上位馬を中心にピックアップ。

【阪神10R　道頓堀S予想の印】
◎１ ムーンチャイム
〇12 ガゼボ
▲４ ジョーアラビカ
☆９ メイショウチタン
△２ ステイオンザトップ
△10 オールザゴー
△11 イーサンパンサー
△８ シャイニーロック

【3連複/フォーメ】1-12,4,9-12,4,9,2,10,11,8(15点)


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