競馬サロン
血統サイエンティスト ドクトル井上
2024/11/08 18:00
デイリー杯2歳ステークス2024 最終結論【血統】メリハリのきいた配合形 京都外回りでサーゲイロードクロスを狙おう
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≪今週の動画・エリザベス女王杯≫
▼スローの末脚比べで火を噴く●●
皆さま、お元気ですか。血統サイエンティストのドクトル井上です。
この記事では土曜日の京都メイン・デイリー杯2歳Sの最終結論をば。
■考察
例年頭数が揃わない重賞ではあるのだが、加えて今年は目玉になる馬がいない。アドマイヤマーズやセリフォス、ジャンタルマンタルといった明確な主役がいないのに頭数不足。うーむ……という感しかないが、それでも気を取り直して予想にあたろう。
▼ロヴィーサ
交流重賞・兵庫CSを制したリプレーザの全妹にあたる。リオンディーズ×マンハッタンカフェは、リプレーザの他、春天を制したテーオーロイヤル、関屋記念2着のディオなどが出る相性の良い組み合わせだ。ノーザンダンサーがうるさいリオンディーズに対して、ノーザンダンサーを引かないマンハッタンカフェ。緊張と緩和のバランスが優れているのが要因だろう。
京都芝1800mが舞台となった新馬戦では3番手から直線はインを突きデビュー勝ち。最後までラップが落ち込まなかったあたり、京都外回りへの適性はなかなか高そう。平坦向きのサーゲイロード6×5がなせる業か。
後は中3週で速い時計が1本という調教過程をどう捉えるか。
▼ランフォーヴァウ
父はロードカナロア。母キネオダンサーはJRAの芝中距離で3勝。祖母オールアイキャンセイイズワウはアメリカの芝マイルGIIで2着があり、リヴァーマン4×3のクロスが特徴的だ。
ランフォーヴァウの新馬戦は1人気に支持されながら結果は6着。ここだけ見ると買いにくいのだが、レースを見ると、出遅れ→後方追走→3-4角中間でイン前有利の馬場を雑に外を回して進出→ラストの坂で止まるという「何ともまぁ……」なレースっぷり。
ターゲットのコメントに「240915_クソ雑外回し」とメモが残っていたので、当時の私はよっぽど衝撃を受けたようだ。ノーカンで良し。
ブレイディヴェーグやレッドモンレーヴなど重賞級の産駒が増えてきつつあるカナロア×ディープの組み合わせだが、芯が入ってくるのに時間がかかる傾向にあり、2歳から3歳上半期にかけての重賞成績は【3-1-2-29】で複勝率17.1%。
このうち1400m以下が【3-0-1-9】、複勝率30.8%に対し、1600m以上だと【0-1-1-20】、複勝率9.1%。長い距離だと体力不足を露呈する結果となっている。
このメンバーなのでさすがに無印とはいかないが、さりとて本命視もリスキーな印象がある。
▼ダイシンラー
「サトノダイヤモンドにはカーリアンを合わせろ教」の敬虔な信者たる私ではあるが、タイキシャトルとの組み合わせだけは邪教扱い。
というのもこの組み合わせは妙に打率が低いのだ。デヴィルズバッグクロスが前面に出るのが原因だろうか。牡馬のサンプルが少ないので牝馬限定のアンチニックスという可能性も。このあたりは今後も検証が必要になる。
初めて「サトノダイヤモンド×タイキシャトル持ち繁殖」の組み合わせで勝利を挙げたのがこのダイシンラー。重馬場の札幌芝1500mというタフな条件を勝ち切ったあたり父譲りの体力はありそう。
牝系を見ると阪神の米子Sで2年連続2着のサワノパンサーが出るファミリー。新馬戦の走りを見てもやはり上がりのかかるマイルがベターだろう。
▼サウンドバッハ
鞍上A.シュタルケでさすがに三度見。「根本厩舎が短期免許の外国人騎手に依頼するのっていつぶりだろう?」と思って調べてみたら、去年のクリスマスイブ、フェアウェルSのヴァンデリオンにムルザバエフ先生を乗せた時以来だった。意外と最近やね。
ちなみに近10年の「根本厩舎&短期免許外国人」の成績は【1-1-1-7】で複勝率30.0%。案外悪くない。
門別で3戦連続で馬券になっていないところを見るとサッパリ買えない気がするのだが、4走前、1700mのターフチャレンジで門別2歳大関格のリコースパローに0秒2差というのは評価できる。ここ3戦は1200mで距離が短かったということにしてしまえば、実質1勝クラスのここならワンチャンス、という狙いがあっても。
コジーンにフジキセキにミスプロにノーザンテースト(≒ファーノース)という組み合わせは、薄目で見ればイスラボニータみたいなもの。その気になればハナには立てるはずなので、うっかり粘り込みを考える手も。
▼ドラゴンブースト
トウカイミステリー(北九州記念)、ドラゴンファング(阪急杯3着)、ナムラビッグタイム(芝1200mのOP特別3勝)などが出るチャキチャキの短距離牝系。牝祖サーテンシークレットの北米的なパワー、スピードが強いファミリーで、ここの性質が代を経ても衰えないのが特徴的だ。
ドラゴンブーストの母トーコーディオーネはインリアリティ5+4×4+5を抱えており、さらにパワー方面に尖らせた感じ。ドラゴンブーストも将来的には短距離に寄るだろうし、外回りよりは内回りの適性だろう。スプリンターでも距離を誤魔化せるレース質なので、その点でどこまで距離を我慢できるか。
▼ローレルオーブ
ウシュバテソーロ(ドバイワールドC)やボールドブライアン(東京新聞杯)が出た千代田牧場自慢のシジェームサン牝系。上記2頭がそうだったように、とにかくこの牝系は完成が遅い。同牝系の2-3歳におけるOP成績は【0-0-1-16】で複勝率5.9%に留まる。
ウインブライト産駒も現状は内回り向き(というか洋芝巧者)の傾向だし、京都の外回りの2歳重賞でどうなのか? という感は否めない。
▼エイヨーアメジスト
ロンドンタウン(エルムS)などが出たキャタラクトの牝系。基本はダート向きの性質を伝えるファミリーだ。
ハビタット≒クリスエスを抱える母カシノアンバーはいかにも平坦向きの特徴を伝えそうで、京都替わりは悪くないだろうが、さすがに7頭立てと言えど脚力が足りるかどうか。
■デイリー杯2歳Sの最終結論
◎7 ロヴィーサ
○5 ランフォーヴァウ
▲4 サウンドバッハ
△1 ダイシンラー
△6 ドラゴンブースト
【3連複/フォーメ】7=5,4=5,4,1,6(5点)
ただでさえ少頭数なのに、出走各馬は帯に短し襷に長しな面々。今回は◎ロヴィーサの京都外回り適性に期待した。
明らかに攻め切れていない中間の過程は気になるが、それでもサーゲイロード6×5の京都適性には抗いがたい。
○ランフォーヴァウに関しては前走の変わり身は納得。というか初戦が酷過ぎただけ。乗り難しいところがあるようなので、そこをテン乗り坂井騎手がいかに御すか。
▲サウンドバッハはロマン枠。芝に戸惑って終了する危険性も低くないが、1600mの距離は魅力的。京都外回りで重い印を回したい馬がいなさすぎて、我ながらえらいところに着地してしまった感も。
馬券は◎から○▲を2列目に置いた3連複フォーメーションで。
<プロフィール>
“血統サイエンティスト”ドクトル井上
在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。
好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。
凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。
=重賞深掘りPROJECT関連動画=
【DATA診断/エリザベス女王杯】お宝DATAハンター リーダー・ハットリ
【調教診断/エリザベス女王杯】調教ライター・西村武輝
▼スローの末脚比べで火を噴く●●
皆さま、お元気ですか。血統サイエンティストのドクトル井上です。
この記事では土曜日の京都メイン・デイリー杯2歳Sの最終結論をば。
■考察
例年頭数が揃わない重賞ではあるのだが、加えて今年は目玉になる馬がいない。アドマイヤマーズやセリフォス、ジャンタルマンタルといった明確な主役がいないのに頭数不足。うーむ……という感しかないが、それでも気を取り直して予想にあたろう。
▼ロヴィーサ
交流重賞・兵庫CSを制したリプレーザの全妹にあたる。リオンディーズ×マンハッタンカフェは、リプレーザの他、春天を制したテーオーロイヤル、関屋記念2着のディオなどが出る相性の良い組み合わせだ。ノーザンダンサーがうるさいリオンディーズに対して、ノーザンダンサーを引かないマンハッタンカフェ。緊張と緩和のバランスが優れているのが要因だろう。
京都芝1800mが舞台となった新馬戦では3番手から直線はインを突きデビュー勝ち。最後までラップが落ち込まなかったあたり、京都外回りへの適性はなかなか高そう。平坦向きのサーゲイロード6×5がなせる業か。
後は中3週で速い時計が1本という調教過程をどう捉えるか。
▼ランフォーヴァウ
父はロードカナロア。母キネオダンサーはJRAの芝中距離で3勝。祖母オールアイキャンセイイズワウはアメリカの芝マイルGIIで2着があり、リヴァーマン4×3のクロスが特徴的だ。
ランフォーヴァウの新馬戦は1人気に支持されながら結果は6着。ここだけ見ると買いにくいのだが、レースを見ると、出遅れ→後方追走→3-4角中間でイン前有利の馬場を雑に外を回して進出→ラストの坂で止まるという「何ともまぁ……」なレースっぷり。
ターゲットのコメントに「240915_クソ雑外回し」とメモが残っていたので、当時の私はよっぽど衝撃を受けたようだ。ノーカンで良し。
ブレイディヴェーグやレッドモンレーヴなど重賞級の産駒が増えてきつつあるカナロア×ディープの組み合わせだが、芯が入ってくるのに時間がかかる傾向にあり、2歳から3歳上半期にかけての重賞成績は【3-1-2-29】で複勝率17.1%。
このうち1400m以下が【3-0-1-9】、複勝率30.8%に対し、1600m以上だと【0-1-1-20】、複勝率9.1%。長い距離だと体力不足を露呈する結果となっている。
このメンバーなのでさすがに無印とはいかないが、さりとて本命視もリスキーな印象がある。
▼ダイシンラー
「サトノダイヤモンドにはカーリアンを合わせろ教」の敬虔な信者たる私ではあるが、タイキシャトルとの組み合わせだけは邪教扱い。
というのもこの組み合わせは妙に打率が低いのだ。デヴィルズバッグクロスが前面に出るのが原因だろうか。牡馬のサンプルが少ないので牝馬限定のアンチニックスという可能性も。このあたりは今後も検証が必要になる。
初めて「サトノダイヤモンド×タイキシャトル持ち繁殖」の組み合わせで勝利を挙げたのがこのダイシンラー。重馬場の札幌芝1500mというタフな条件を勝ち切ったあたり父譲りの体力はありそう。
牝系を見ると阪神の米子Sで2年連続2着のサワノパンサーが出るファミリー。新馬戦の走りを見てもやはり上がりのかかるマイルがベターだろう。
▼サウンドバッハ
鞍上A.シュタルケでさすがに三度見。「根本厩舎が短期免許の外国人騎手に依頼するのっていつぶりだろう?」と思って調べてみたら、去年のクリスマスイブ、フェアウェルSのヴァンデリオンにムルザバエフ先生を乗せた時以来だった。意外と最近やね。
ちなみに近10年の「根本厩舎&短期免許外国人」の成績は【1-1-1-7】で複勝率30.0%。案外悪くない。
門別で3戦連続で馬券になっていないところを見るとサッパリ買えない気がするのだが、4走前、1700mのターフチャレンジで門別2歳大関格のリコースパローに0秒2差というのは評価できる。ここ3戦は1200mで距離が短かったということにしてしまえば、実質1勝クラスのここならワンチャンス、という狙いがあっても。
コジーンにフジキセキにミスプロにノーザンテースト(≒ファーノース)という組み合わせは、薄目で見ればイスラボニータみたいなもの。その気になればハナには立てるはずなので、うっかり粘り込みを考える手も。
▼ドラゴンブースト
トウカイミステリー(北九州記念)、ドラゴンファング(阪急杯3着)、ナムラビッグタイム(芝1200mのOP特別3勝)などが出るチャキチャキの短距離牝系。牝祖サーテンシークレットの北米的なパワー、スピードが強いファミリーで、ここの性質が代を経ても衰えないのが特徴的だ。
ドラゴンブーストの母トーコーディオーネはインリアリティ5+4×4+5を抱えており、さらにパワー方面に尖らせた感じ。ドラゴンブーストも将来的には短距離に寄るだろうし、外回りよりは内回りの適性だろう。スプリンターでも距離を誤魔化せるレース質なので、その点でどこまで距離を我慢できるか。
▼ローレルオーブ
ウシュバテソーロ(ドバイワールドC)やボールドブライアン(東京新聞杯)が出た千代田牧場自慢のシジェームサン牝系。上記2頭がそうだったように、とにかくこの牝系は完成が遅い。同牝系の2-3歳におけるOP成績は【0-0-1-16】で複勝率5.9%に留まる。
ウインブライト産駒も現状は内回り向き(というか洋芝巧者)の傾向だし、京都の外回りの2歳重賞でどうなのか? という感は否めない。
▼エイヨーアメジスト
ロンドンタウン(エルムS)などが出たキャタラクトの牝系。基本はダート向きの性質を伝えるファミリーだ。
ハビタット≒クリスエスを抱える母カシノアンバーはいかにも平坦向きの特徴を伝えそうで、京都替わりは悪くないだろうが、さすがに7頭立てと言えど脚力が足りるかどうか。
■デイリー杯2歳Sの最終結論
◎7 ロヴィーサ
○5 ランフォーヴァウ
▲4 サウンドバッハ
△1 ダイシンラー
△6 ドラゴンブースト
【3連複/フォーメ】7=5,4=5,4,1,6(5点)
ただでさえ少頭数なのに、出走各馬は帯に短し襷に長しな面々。今回は◎ロヴィーサの京都外回り適性に期待した。
明らかに攻め切れていない中間の過程は気になるが、それでもサーゲイロード6×5の京都適性には抗いがたい。
○ランフォーヴァウに関しては前走の変わり身は納得。というか初戦が酷過ぎただけ。乗り難しいところがあるようなので、そこをテン乗り坂井騎手がいかに御すか。
▲サウンドバッハはロマン枠。芝に戸惑って終了する危険性も低くないが、1600mの距離は魅力的。京都外回りで重い印を回したい馬がいなさすぎて、我ながらえらいところに着地してしまった感も。
馬券は◎から○▲を2列目に置いた3連複フォーメーションで。
<プロフィール>
“血統サイエンティスト”ドクトル井上
在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。
好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。
凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。
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【DATA診断/エリザベス女王杯】お宝DATAハンター リーダー・ハットリ
【調教診断/エリザベス女王杯】調教ライター・西村武輝
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