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競馬サロン

調教ライター 西村武輝

2024/10/19 18:00

菊花賞2024 最終結論【調教】鞍上の進言で変更の調整パターンが吉と出るか コスモキュランダ本命【重賞深掘りPROJECT】

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【菊花賞 2024|調教診断】シン・王道ローテで臨むあの馬を【S評価】!

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10月半ばを過ぎたとは思えない暖かさ(暑さ?)の残る今週末。日曜日はいよいよ3歳クラシック最終戦「菊花賞」が京都で開催されますね。

前置きは今回省いてさっそく過去の調教傾向から見ていくことにしましょう。

サンプルは京都開催だった2023年、2020-2017年の5年間の馬券対象馬15例。 最終追いはコースが12例、坂路が3例でコース組が圧倒。坂路組も2020年勝ち馬コントレイルなど3例すべてで1週前にCW追いをこなしており、中間のコース追いは必須ですね。

コース組も12例中2017年3着ポポカテペトル以外11例が中間に坂路で追っていました。併用調整かつ最終追い場所がコースというのが望ましい条件。 そして15例すべての馬が週末追いをこなしており、いい健康状態で臨んでいたであろうことが確認できます。 最終追いの調教強度は「一杯」が2例、「強め/仕掛け」が4例、残り9例が「馬なり」。想像に難くありませんが、やはり長丁場を走るにあたって余力残しの状態がいいということでしょう。

1週前、最終と2週続けて「一杯」に追われたのは2018年2着エタリオウだけ。ズブくて調教で動かない馬だったので、これはこれでこの調整パターンで良かったということでしょう。

以上を踏まえ、まずは「菊花賞」追い切り診断で【8点】【7点】と上位評価された馬を見ていきましょう。

■アーバンシック【7】
石神深騎手騎乗 美浦ウッド併せ馬 前後に馬を置く隊列で入り、直線では2頭の間に割って入る3頭併せ。格下2頭相手に抜群の手応えで貫禄たっぷりにに進み、左右がギアを上げると即応しこちらも加速する。結局馬なりのまま1頭に併入、1頭に先着とした。体調はもちろん気持ちの張りも高いレベルにありそう。好気配キープ。

■ウエストナウ【7】
西村淳騎手騎乗 栗東CW単走。1週前に自己ベストを更新しており、今週は鞍上との意思疎通を確認するような軽めの調整。直線に入ってもリズム感を保ったままジワッと加速していく、ラストに軽く促されると重心をさらに沈めることができていた。近2走の坂路最終追いからCW最終追いに切り替えたのがどう出るかだが、気配は依然高いレベルにある。

■コスモキュランダ【7】
助手騎乗 美浦ウッド併せ馬 2歳1勝馬を3馬身ほど先に行かせて追走。比較的速いラップを刻む相手を楽に追い詰め、コーナーでは威嚇するような素振りで気迫満点といったところ。相手も良く走ったが、手応え圧倒で切れ勝ちし1馬身抜け出しての先着とした。前走時より体を柔軟に使えており、好仕上がりだった前走からもう1段階良化を果たした印象。

■ダノンデサイル【7】
安田翔師騎乗 栗東坂路単走 1週前に横山典騎手が騎乗しCW5F63秒8を出したのが実質の最終追いで、今週は日本ダービー時と同様13-13ペースで流す程度の内容。意図した通りリラックスして進み、四肢を大きく使った雄大なフォームで駆け抜けた。中間は順調そのものでCWで2週続けて好時計。久々を感じさせず、持てる力をフルに出せそう。

■ハヤテノフクノスケ【7】
助手騎乗 栗東坂路単走 序盤から比較的速いラップを刻み、終いに目一杯追われる意欲的な調整を行った。序盤から単走とは思えない気迫を見せ、鞍上の仕掛けにもスッと反応。力強い踏み込みからいい加速を示した。やや急仕上げ気味も、動きは申し分なし。

■ピースワンデュック【7】
柴田善騎手騎乗 美浦ウッド単走 1週前にウッド5F65秒4と速い時計を出したのが実質の最終追い。輸送を控えた今週は鞍上との意思疎通を深めるような軽めの調整だった。道中はリズムよく進み、直線では独特の低重心フォームでジワジワと加速。ラストで鞍上がスタミナの上限値を探るように仕掛けると、さらに脚を伸ばすことができていた。好気配。

■ヘデントール【8】
戸崎騎手騎乗 美浦ウッド併せ馬 左右からタイトに挟む“木村厩舎流”の3頭併せ。格下2頭相手ではあったが最優勢の手応えで進み、走りのバランスも抜群。自然体のまま気持ちを乗せて加速し、左右2頭に合わせるようにして併入とした。1週前追いではジオグリフを圧倒していたし、目下最高潮の仕上がりと言える。

■ミスタージーティー【7】
坂井騎手騎乗 栗東坂路併せ馬 1週前CW追いで自己べストに迫る好時計をマークしたのが実質の最終追い。今週は2歳馬相手の併せ馬で疲れを残さず、気持ちを維持させるのに専念したような内容だった。ラストは脚力の違いで抜け出し、そこからもスピードをしっかり維持。前走時とは一変の素軽さで、気配は大幅上昇か。

■メイショウタバル【7】
浜中騎手騎乗 栗東CW単走 序盤で前を行く集団が視界に入ったためか若干掛かり気味となるが、なんとか収まりをつけて直線へ。馬なりを保って体を大きく使い、ラスト3Fは13秒6-11秒3-11秒3と失速することなく駆け抜けている。前走快勝の反動は感じられず、気配は高いレベルで安定。【7】

■メリオーレム【7】
助手騎乗 栗東芝併せ馬 同じ菊花賞に出走する僚馬アドマイヤテラと併せ馬。直線では内に入って相手をアオり、楽な手応えのまま併入とした。1週前にはドウデュースの調整パートナーを務めるなど、いい状態をしっかりキープできているようだ。

▼「菊花賞」全頭追い切り評価はコチラ
https://uma-jin.net/new/salon/salon_detail/19971/0/112

牡馬クラシック最終戦ですし、涼しくなってきて調整もしやすいということかよく見せる馬が多く【8】【7】点評価が多くなってしまいました。

最高【8】点は木村厩舎お得意の3頭併せをこなし、最優勢の動きを見せたヘデントール。その最終追いでは外先行の馬がややオーバーペース気味に抜け出す格好でしたが、これにスッと対応し楽に並び掛けていった反応面には、手綱を握った戸崎騎手も相当手応えを感じたという談話を残しています。1週前追いでは米遠征を控えるジオグリフを圧倒。文句なしの好気配です。

オシェア騎手との息が合わずチグハグだった青葉賞の敗戦から立ち直り、近2戦で改めて豊富なスタミナと競馬センスをアピール。それまでは流れに乗れない面が目立っていましたが、前に行く意識を植え付けられたのもいいですね。

今回が初の関西遠征。そして近2走が少頭数での競馬だったのに対し、フルゲート18頭立て。さらに結果を出してきたルメール騎手の手離れと克服課題が並ぶあたり割り引いて対抗としましたが、勝ち負けになっていい素材だと思います。昨年日本海S勝ちから臨んで菊花賞を制したドゥレッツァの再現なるか。

◎はコスモキュランダ。 常に稽古で安定した動きを見せるタイプですが、最終追いで見せた伸びやかさ、柔軟さは前走時以上。気迫の面も十分で1回使われた効果はてきめんですね。1週前ウッド→日曜坂路→最終ウッド馬なりと調整パターンは理想形。 これまでは1週前に強い負荷を掛ける調整パターンだったんですが、今回の1週前は終い重点の馬なり。これはM.デムーロ騎手の進言を容れたもので、これが最終追いの柔軟な動きに繋がったように思えます。未知の3000mを走るにあたって余力温存、折り合う感覚の涵養という意味でもこの策が吉と出そう。

京都2歳Sは凡走も、馬がまだ未完成でしたし再三の不利も祟ったもの。マクって長くいい脚を使う脚質はいかにも京都向きだし、右回りでの安定感は中山重賞での好走ぶりから証明済み。 メイショウタバルが引っ張って上がりを要する展開となりそうなのも好材料。ラスト1冠を手にする可能性は十二分です。

その逃げるであろうメイショウタバルが▲。同馬が“体力お化け”であることは、勝利した前走・神戸新聞杯時のコラムで強調させていただき、しっかり◎を打ちました。菊花賞でも当然本命……というところでしたが、報道で皆さんご存じの通り、最終追いで悪癖と言える引っ掛かる面を見せてしまいましたよね。

前走時の最終追いでは前に行く別組の併せ馬を視界に入れても泰然と走れていましたが、同様のシチュエーションだった今回は浜中騎手がボヤいたように力んでしまった。精神面の状況は前走ほどでないのかも。それでもしっかり収まりをつけ、ラスト3Fは馬なりのまま36秒2。1Fごとのラップ構成を見ても失速せずに済んでいるあたり、さすがの“体力お化け”っぷりだと言えます。

日曜日の関西地方は天候が回復するとのことですが、土曜の雨が多少なりとも残るのは好都合。本番で引っ掛かり大失速というシーンも十分あるでしょうが、そう思われて舐められる逃げ馬ほど怖いものもない。同型ピースワンデュックとの兼ね合いがどうかですが、何が何でもハナなのはこちら。

印は3番手としましたが、あれよの押し切りを警戒しこの馬からの馬単は買っておきます。

馬場入場後に皐月賞を除外となった経緯があり、調整に慎重さが求められた日本ダービーでジャスティンミラノを完封。今回のメンバー内で総合力最上位なのはダノンデサイルで間違いないでしょう。ぶっつけは当初からの予定通り。調整は順調で1週前ハードトレ、当週は坂路で流すというルーティンを踏襲できています。

ただしやはり菊花賞の歴史上、1回使った組が圧倒的に有利。勝利はフィエールマンの中15週が最長の間隔です。昨年ダービーからのぶっつけだったタスティエーラがジンクスブレイクに挑みましたが2着まで。まあ、この2着にしても歴史的偉業レベルと言っていいし、これで“潮目が変わった”のかもしれませんが。 調教傾向で言えばダノンデサイル自身のルーティンではあるんですが、日曜追いを行っていない。上述したように菊花賞で京都開催過去5回の馬券対象15例はすべて週末追い(ほとんどが日曜追い)を消化しており、この点も引っ掛かるところ。☆までとします。

☆もう1頭がアーバンシック。セントライト記念は強い勝ち方で、中間も順調。勢いという点ではこの馬が一番かもしれません。ただし攻めで見せている気迫は、あくまで主観的なものではあるんですが、前走時のほうが若干だけよく見えました。上積みを感じたコスモキュランダと比較すると、その点がどうしても物足りない。前走はトラックバイアスに恵まれた面はあり、最高に上手く乗られた感も否めません。

もちろん前走と同じルメール騎手が連続騎乗。 さらに言えばヘデントールと天秤に掛け、同騎手がこちらを選んだという背景は心強い限りですが、前走ほどすべてが上手くいくか?という点で割り引き。春のクラシック2冠は同血のいとこレガレイラと共に歩み、両頭とも結果を出せませんでした。1頭となって挑むラスト1冠戦で勝利を掴む……というドラマも見たいところではありますが、☆までとします。

△1番手にピースワンデュック。逃げて2連勝して臨んだ前走・阿賀野川特別は出遅れ、不本意な馬群中団待機策となりましたが、柴田善騎手渾身のレース運びでルメール騎手が騎乗した同期の素質馬バッデレイトをねじ伏せ勝利。おそらく陣営が“ここを勝って菊花賞”を強く意識していたであろう一戦で、勝つと負けるとでは天と地ほどの開き。大きなハナ差勝ちでした。そこで下したバッデレイトが神戸新聞杯で凡走(1秒2差7着)に終わったのは案外も、同馬が中京馬場への適性がそこまでなかったことを考えれば、一応不問に付せます。

関西遠征は初で京都への適性もどうかですが、まだ底を見せていない魅力たっぷり。前走で仮に逃げない形でも走れることを証明できたのも大きい。理想は大逃げメイショウタバルを先に行かせ、第2集団先頭か。阿賀野川特別勝ち馬は昨年リビアングラスが菊花賞4着、2018年ユーキャンスマイルが菊花賞3着、2017年ポポカテペトルが菊花賞3着、そしてだいぶ遡りますが2008年オウケンブルースリが神戸新聞杯3着を挟んで菊花賞勝ちという、優良ローテ。

前走1番人気を裏切った△メリオーレム。重賞に入るとやはりパンチ不足なのか……という走りではありましたが、渋った中京馬場がまったくフィットしなかった影響も。ある程度馬場が回復してやれそうな今回、圧勝した西部スポニチ賞の走りは見直されていい。今年から小倉芝2600m戦に変更となった西部スポニチ賞。新潟の日本海S、阿賀野川特別と並んで新たな菊花賞への腕試し戦として機能してくかもしれません。

ミスタージーティーはズブかった前走時の攻めと比べ、今回は一気に素軽くなってきた。矢作師が素質を信じる存在だけに見限れません。半姉タッチングスピーチはエリザベス女王杯3着。京都記念2着。

【7】点組のうちハヤテノフクノスケは今週の動きだけ見ればかなりいい部類に入りますが、中6週という間隔を考えると1週前がCW70-40に毛が生えた程度。今週がいきなり坂路で速いラップを刻み、ラストに目一杯追うという調整で、推測になりますが夏の疲れを考慮してかスロー調整に徹し、今週のひと追いで帳尻を合わせてきた感が否めません。京成杯4着の実績から怖さはあるものの、その京成杯にしても直前は「馬なり」でした。

ウエストナウは最終追い「CW/馬なり」。傾向からはいい方に入りますが、この馬自身過去2回の重賞は最終追い「坂路/一杯」で今回はパターンを変えてきました。今回の1週前がCW5F63秒5(一杯)と超ハードだったことを踏まえての馬なりなんでしょうが、これがどう出るか。京都重賞2着で敬意は払いたいところですが、ここまで3戦というキャリアの少なさもフルゲートGIではハンデになりそう。

この2頭は消しとします。


以下、最終結論です。どうぞご参考に!

<調教ライター・西村武輝「菊花賞」最終結論>

◎9 コスモキュランダ
○16 ヘデントール
▲10 メイショウタバル
☆4 ダノンデサイル
☆13 アーバンシック
△1 ピースワンデュック
△14 メリオーレム
△6 ミスタージーティー

【単勝】9(1点)
【馬連】9=16,10,4,13,14,1,6(7点)
【馬単】10→9,16,4,13,14,1,6(7点)
【3連複/フォーメ】9,16=9,16,10,4,13=9,16,10,4,13,14,1,6(30点)
【3連単/フォーメ】9,16→9,16,10,4,13→9,16,10,4,13,14,1,6(48点)


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=重賞深掘りPROJECT関連動画=

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