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血統サイエンティスト ドクトル井上

2024/09/30 21:00

【毎日王冠 2024 血統展望】今年も輝きを放つか「ディープ&ストームキャット」

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≪今週の動画・毎日王冠≫
▼敢えて小回り向きの馬を狙う理由とは!?


皆さま、お元気ですか。血統サイエンティストのドクトル井上です。

この記事では、週末の重賞・毎日王冠(GII、東京芝1800m)の展望をば。ごゆるりとお付き合いいただけますと幸いです。

過去のレース傾向
とにかくこのレースと相性が良いのが父ディープインパクト×母父ストームキャットの配合パターン。これまでにのべ5頭が出走してエイシンヒカリ、リアルスティール、19年ダノンキングリーの3勝に加え、サトノアラジンと21年ダノンキングリーの2着が2回。

【3-2-0-0】で勝率60.0%、連対率100%なわけだから、これは相性バツグンと呼んで差し支えないだろう。

また父ディープ×母父ストームキャット配合の代表で、後継種牡馬の筆頭たるキズナの産駒も、昨年初めてソングラインが出走しハナ差の2着と好走。1人気だったのでさもありなんという感じかもしれないが、やはり好相性は健在のようだ。

毎日王冠に限らず、ディープ×ストームキャット配合の種牡馬は東京芝1800mを得意にしていて、このコースにおけるキズナ産駒の通算成績は、【12-14-15-64】で勝率11.4%、複勝率39.0%。回収率も単勝149%&複勝128%とベタ買いOKの数字となっている。

同じく「ディープ×ストームキャット」種牡馬のリアルスティールも【5-3-6-26】複勝率35.0%と高水準の産駒成績を記録している。

大種牡馬ディープインパクトは天に召されたわけだが、ディープ×ストームキャットはその後継種牡馬の産駒によって毎日王冠で輝きを放ち続ける可能性は高いと見る。今年も該当種牡馬の産駒にはマークが必要になりそうだ。

各馬の個別検討
ヨーホーレイク
父はディープインパクト。母クロウキャニオンはトンデモなく優秀な繁殖牝馬で、ボレアス、カミノタサハラ、ヨーホーレイクという3頭の重賞勝ち馬を輩出し、この3頭を含め9頭のOP馬の母となった。初仔のキラウエア以降、毎年産駒を産んでいるうえでこの打率というのは正直かなり驚愕。繁殖牝馬界の"レジェンド"と言えよう。

ちなみに種付けされた種牡馬は全て自身を所有していた金子オーナーの馬。結局金子オーナーが凄いという話になるのでは? という感じも。

今回は7着だった日本ダービー以来の東京コースとなるが、ディープにカーリアンが入るので、大箱そのものは合っている印象。内回りだった前走の鳴尾記念よりは走りやすいはず。

母系にヴェイグリーノーブルが入るディープ産駒はプログノーシス、トーセンラー、スピルバーグなど、古馬になってからひと皮剥ける馬も多く、6歳の年齢は全く問題ない。そもそもヨーホーレイクは使った回数が少ないので、勤続疲労も心配しなくて良いだろう。

その一方で、ヴェイグリーノーブルが入るディープ産駒はバークレア≒オリオールというスタミナ色の強いニアリークロスが発生するためか、特に牡馬は距離が延びて良さが出る馬が多い傾向にある。

プログノーシスの金鯱賞にしろ、ヨーホーレイクの2重賞にしろ、基本は2000m以上あったほうが良さそうで、芝1800m以下の重賞では56回出走して勝ったのは3回。そのうち2回は"京都の鬼"トーセンラーによるもの(きさらぎ賞&マイルCS)。距離適性というより舞台適性で勝ってしまった感も。

そのため今回のヨーホーレイクについては、1800mの距離に戸惑わず力を発揮できるかどうかが争点になる。

シックスペンス
父はキズナ。母フィンレイズラッキーチャームはアメリカでダート7FのGIマディソンS勝ち。母父トワーリングキャンディもダート7FのGIマリブS勝ちの実績がある。

母の血統を見てみると、ダンジグ4×4やクリプトクリアランス4×3があり、いかにも短距離のダッシュ力に優れた配合という印象。ダートの短距離で実績を残したのは納得の配合形だ。

その母にキズナが配されたシックスペンスに抱いているのは、母譲りのダッシュ力や加速力が活きる中山向き、小回り向きの小脚型という印象。スプリングSで超スローからラスト2F10秒9→10秒8の流れを抜け出したように、一瞬でトップギアに上げられる、ギアチェンジ性能に優れた回転力のあるマイラーに見える。

普通に考えれば直線の長い東京コースではあまり買いたくないタイプなのだが、今年の毎日王冠ならば狙う余地があるのでは?

というのも今年の毎日王冠には明確な逃げ馬がいないから。逃げ候補はヤマニンサルバムとホウオウビスケッツになりそうだが、2000mベストのヤマニンサルバムの逃げはそれほどガンガン行く形ではないし、ホウオウビスケッツは前を見ながらの番手策でここ2戦結果を残しているので、わざわざハナを取りに行くのかは疑問。

ハイペースで流れるとすればマテンロウスカイがかつてのように暴走気味に逃げたときだろうが、逃げて早々に失速した前走ドバイターフをもってしてもなお鞍上が逃げにこだわるとは思えず。馬の気分に任せての競馬になるはずで、無理に出していくことはないだろう。

となると、前半1000m通過が59秒台、下手をすると60秒くらいかかる2010年代に多かった毎日王冠の流れを想定。リアルスティールが勝った17年(前半100m60秒0-上がり600m33秒5)やアエロリットが勝った2018年(同59秒0-33秒8)のような、上がりだけ速いレースになるパターンを考えるべき。

スローペースで流れた毎日王冠は小回り向きの機動力を備えた馬がラスト2Fの脚の回転力だけで抜け出してしまうことも少なくない。

カンパニーがウオッカを下した2009年の毎日王冠が代表例で、この年は前半1000mの通過が60秒0で流れ、ラスト2Fが11秒1→11秒6の22秒7。このペースで"府中の女帝"ウオッカを交わしたカンパニーは、中山記念の連覇や産経大阪杯制覇など、小回り中距離での活躍が目立つベテランだった。

ちなみにこの勝利の後、カンパニーは天皇賞・秋でもウオッカを下すのだが、その天皇賞・秋の上がり2Fも22秒9(11秒3→11秒6)と最後まで失速しない形だった。

カンパニーが8歳で大成したのはトニービンとノーザンテーストのハイペリオンによるところが大きい一方、本質的なカンパニーは祖母クラフティワイフの北米的な軽いスピードとバレークイーンのフェアトライアル、レディジュラー的な機動力で走る馬。

毎日王冠と天皇賞がスローペースのダッシュ力勝負になってくれたがゆえに、それまで散々敗れ続けたウオッカに対して往復ビンタを喰らわせることができたのだろう。

基本的に小回り向きの機動力を備えた、脚の回転が速い馬は、高回転数を長時間維持できないため、東京のような長い直線だとラストで失速しがち。

ただスローペースの場合は、エンジンを早めに吹かすことなく残り400mを迎えることができるうえ、馬群もひとかたまりに凝縮した恰好になりやすい。

ここからヨーイドンで追い出すと、エンジンの点火に時間がかかる大箱向きの馬に比べて、ピッチ走法で走る小回り向きの馬の方がトップスピードへの移行が早い分、馬群から先に抜け出せる。しかもスローペースの恩恵で余力はタップリ。最後の減速も抑えることができる。

そのためストレッチランナーの差しが間に合わず、小回り向きの馬が大箱で勝ってしまうという結果になるわけだ。

東京では大箱向きの馬を狙いたくなるものだが、ペースによってはあえて小回り向きだとアタリをつけている馬を狙うのも手になる。

今回のシックスペンスはまさにそのパターン。ラスト2F10秒9→10秒8の流れを余裕綽々で抜け出したスプリングSは圧巻で、ギアチェンジ能力なら現役屈指。スローからのラスト2F加速力勝負で決着をつける絵は十分に描ける。

東京芝1800mと相性の良いキズナ産駒でもあるし、ここは巻き返しに期待したい。

ローシャムパーク
父はハービンジャー。母レネットグルーヴはJRAの芝中距離で3勝を挙げ、3代母はオークスと天皇賞・秋を制した名牝エアグルーヴという良血馬。

父ハービンジャー×母父キングカメハメハは、オークス馬チェルヴィニア、有馬記念を制したブラストワンピースやエリザベス女王杯を制したモズカッチャンと同じ好相性の組み合わせで、牝系のキャラクターも踏まえると、血統どおりの中距離馬というイメージ。牝系からは5歳の今が最盛期という感じもあり、夏休みで枯れてしまった心配はしなくて良い。

ここでも力は最上位なのだが、距離は2000から2400mがベストに見えるため、今回は久々の1800mへの対応がポイントになる。道中もっとゆったり運べる距離の方がベターな感は否めない。

またハービンジャー産駒ということもあって、極端に上がりが速くなった時にどうか。ハービンジャー牡馬の古馬重賞勝ちはブラストワンピースの有馬記念や札幌記念に代表されるように、上がりのかかるレースで達成されることがほとんど。

反対に上がりの速い東京コースでは苦戦傾向にあり、ハービンジャー牡馬・セン馬の東京芝古馬重賞における成績は【0-1-0-34】で複勝率2.9%。馬券になったのは今年のエプソムCにおけるニシノスーベニアのみという状況。これが牝馬だと【4-2-2-8】で勝率25.0%、複勝率50.0%で、全く傾向が異なることも覚えておきたい。

ローシャムパークには同条件の3勝クラス・むらさき賞を上がり600m33秒3の脚を使って勝ち切った履歴はあるが、上がり順位だけ見ると3位。重賞のメンバーで一瞬の脚比べになると遅れを取るリスクは考えておきたい。

今回は明確な逃げ馬がいない一方で、有力馬は中団から進める馬が多いため、極端なハイペースにはならないことが予想される。場合によっては極限の上がり勝負になることもあり得る。

想定される人気を考えるとあまり強くは推せないのでは? というのが率直な感想だ。

ダノンエアズロック
父はモーリス、母はオーストラリアの名牝モシーン。半姉にマイルで活躍したプリモシーンなどがいる。

モレイラ騎手騎乗とあってダービーでも5人気に支持されたが結果は14着。返し馬の段階からイレ込んでいる感じがあり、気性の難しさを感じさせるレースだった。それを思うと今回距離を詰めるのはプラスになるはず。姉のプリモシーンもマイラーだったわけだし。

ここ3戦は2000m以上の距離を使われているが、1800mはデビューから2連勝を飾った舞台。もちろんペースはあるものの、とはいえ2400mよりは走りやすいはず。

ちなみにモーリス×デインヒルという組み合わせの馬はJRAの2100m以上の競走で5戦して馬券なし。シャトル先のオーストラリアでは長めの距離をこなす馬が出ているが、こと日本においては12Fは長過ぎるようだ。

モーリス産駒は東京の芝1800mで【17-10-8-52】で、勝率19.5%&複勝率40.2%。ノースブリッジのエプソムC、ディヴィーナの府中牝馬S、シュトラウスの東スポ杯と重賞でも活躍しているように、得意とするコースのひとつ。

ダノンエアズロックもこの舞台では2戦2勝と適性は高く、舞台替わりで変わり身を見せる可能性は十分にあるだろう。

まとめ
スローペースに決め打ちしてシックスペンスの小脚、回転力を評価したい。好相性のキズナ産駒なのもプラス要素に。

またダノンエアズロックのスケール感にも期待。同舞台のアイビーSで見せたパフォーマンスは十二分に評価できるはずだ。

枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論は土曜日の夜に公開いたしますので、そちらもどうぞお楽しみに。

<プロフィール>
“血統サイエンティスト”ドクトル井上

在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。
好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。
凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。

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