競馬サロン

2023/11/11 19:00
【エリザベス女王杯】 この勝負服からもう一頭の女王が誕生するか 常識外れのGI制覇に挑むブレイディヴェーグ
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12月28日のホープフルSまで、8週連続でおこなわれるGIの開幕戦、エリザベス女王杯。GIウイナーは前年覇者のジェラルディーナだけで、例年に比べてやや小粒といえますが、まだGIに出走したことがない未知の魅力を秘めた逸材が複数出走。楽しみなメンバー構成となりました。
早速、予想へと移りたいところですが、先週JRAでおこなわれた重賞をまだ振り返っていませんでした。11月4日におこなわれた京王杯2歳Sを取り上げたいと思います。
勝ったのは、1番人気のコラソンビート。ウメノファイバー以来25年ぶりに牝馬が制し、勝ち時計の1分20秒6は2歳コースレコードでした。
レースは、好スタートを切ったオーキッドロマンスを制して、大外枠からジャスパーノワールが逃げる展開。バンドシェルとタイガードラゴンが3番手を併走し、ミルテンベルク、ゼルトザームと続いて、コラソンビートはちょうど中団7番手に位置していました。
600m通過は34秒2と、平均よりほんの少し速いペース。この時点で、逃げるジャスパーノワールのリードは早くも6馬身ほどとなり、その差をキープしたまま直線を迎えます。
直線に入ってもなお、リードをキープし続けたジャスパーノワール。しかし、後続が徐々に差を詰め、残り200mでオーキッドロマンスが先頭に立つと、コラソンビートとロジリオンがこれを追って、上位争いは3頭に絞られます。
その後、ゴール寸前でオーキッドロマンスを捕らえたコラソンビートが1着でゴールイン。クビ差2着にロジリオンが入り、オーキッドロマンスがハナ差3着に続きました。
勝ったコラソンビートは、2歳新種牡馬スワーヴリチャードの産駒。これが産駒初の重賞勝ちで、2歳リーディング争いでも、全種牡馬を通じて再び首位に立ちました(2023年11月5日現在)。
一方、母の父はオルフェーヴルで、11月5日現在、JRAのレースに出走した母父オルフェーヴルは計32頭と決して多くないものの、その中から、ホープフルSを勝ったドゥラエレーデ。函館2歳S2着の後、もみじSを勝ったナナオ。そしてコラソンビートと、活躍馬が複数出ており、今後も注目です。
また、コラソンビートの戦歴で注目したいのは、なんといってもデビュー戦でしょう。このレースで3着に敗れたコラソンビートですが、勝ったボンドガールは、次走のサウジアラビアロイヤルCで2着となり、2着チェルヴィニアは未勝利戦とアルテミスSを連勝。
さらに、4着マスクオールウィンと5着アンジュグルーヴも未勝利を脱出し、6着キャットファイトは、未勝利戦を勝ち上がった後のアスター賞を5馬身差でレコード勝ち。6月4日、東京5レースの新馬戦は、早くも「伝説の新馬戦」と称されそうなほど、とてつもないメンバー構成だったわけです。
その中で、最初に3勝目をあげたコラソンビートの将来は、もちろん有望。騎乗した横山武史騎手がレース後コメントしていたとおり、少なくとも、マイルまでは十分にこなすでしょう。
一方、2着に惜敗したロジリオンも好内容。道中は勝ち馬とほぼ同じ位置にいたものの、直線、坂の途中で前が詰まり、仕掛けが遅れてしまいました。タラレバをいってもしょうがないですが、これがなければ勝っていても不思議ではなく、直線が長い競馬場のレースに出走した際は、引き続き注目です。
それでは予想に。
今回は、エリザベス女王杯の過去5年を深掘り調査。好走傾向から重視できそうな指標を探し、本命馬を見つけ出します。
(1)騎手
(2)生産牧場
(3)前走レース
(4)前走4コーナーの位置取り
(5)前走人気
(6)前走馬番
(7)前走頭数
(8)馬主
近年の傾向から重視できそうな指標は、上記8項目。その中で(1)は騎手です。
やや乱暴な括りですが、エリザベス女王杯はルメール騎手とミルコ・デムーロ騎手を含む「カタカナジョッキー」が大活躍。[4-2-3-9/18]で、勝率22.2%、複勝率50.0%。単勝回収率119%、複勝回収率158%。昨年もデムーロ兄弟とレーン騎手が1、2着(同着)を独占するなど、素晴らしい成績を収めていました。
(2)は、生産牧場について。
ノーザンファーム生産の関西馬が過去5年で4勝している当レース。その中でも、ロイヤルチャージャー系種牡馬の産駒が[4-1-3-8/16]。勝率25.0%、複勝率50.0%。単勝回収率134%、複勝回収率141%。(1)と同じく、該当馬の半数が好走していました。
次は(3)。前走レースです。
前走レースに注目すると、近年のエリザベス女王杯で健闘しているのは府中牝馬S組と札幌記念組。そのうち、母父がネイティヴダンサー系種牡馬かナスルーラ系種牡馬であれば[3-3-1-5/12]。勝率25.0%、複勝率58.3%。単勝回収率111%、複勝回収率160%。該当馬の半数以上が好走していました。
(4)は、前走4コーナーの位置取り別成績。
近年のエリザベス女王杯は、前走先行組と追込み組の好走率が高いレース。
まず、前走先行組は、前走重賞に出走し、4コーナーで3番手以内に位置。かつ、当時の上がりが12位以内であれば[2-4-1-5/12]。勝率16.7%、複勝率58.3%。単勝回収率72%、複勝回収率174%。(3)と同レベルの好走率。
一方、前走4コーナーで13番手以下に控えていた馬は、他に条件をつけなくても[1-1-2-4/8]。勝率12.5%、複勝率50.0%。単勝回収率811%、複勝回収率412%。該当馬の半数が好走していました。
折り返しの(5)は前走人気。ここも2パターン紹介します。
まずは、前走重賞かオープンで5から9番人気の馬。この場合は、前走馬番が1から4番であれば[1-4-0-6/11]。勝率9.1%、複勝率45.5%。単勝回収率73%、複勝回収率271%と、まずまず。
一方、前走重賞かオープンで2番人気以内の馬は、その前走で勝ち馬から0秒9差以内の敗戦を喫していれば[3-0-2-3/8]。勝率37.5%、複勝率62.5%。単勝回収率167%、複勝回収率190%。こちらは、好走率が6割を超えていました。
(6)は、前走の馬番です。
(5)で見たように、前走内枠に入った馬が頑張っている当レース。一方、前走外枠に入った馬も頑張っており、前走馬番が10から18でキャリア20戦以下。なおかつ、前走左回りのレースに出走した馬は[3-0-2-5/10]。勝率30.0%、複勝率50.0%。単勝回収率750%、複勝回収率249%。かなりの好成績です。
続いて、(7)は前走の出走頭数について。
近年のエリザベス女王杯は、前走16頭立てか、17頭立てのレースに出走した馬が好調。(5)(6)とやや重なりますが、その中でも前走奇数馬番を引いていた馬は[1-2-2-5/10]。勝率10.0%、複勝率50.0%。単勝回収率54%、複勝回収率185%と、なかなかの成績でした。
そして最後は(8)。馬主。
今度は(2)とやや重なりますが、エリザベス女王杯は、ノーザンファームと関わりの深いクラブ法人の所有馬がめっぽう強いレース。
とりわけ、サンデーレーシングかキャロットファームの所有馬で、今回の馬番が偶数。なおかつ、前走馬体重が460kg以上だと[4-0-1-4/9]。勝率44.4%、複勝率55.6%。単勝回収率238%、複勝回収率183%。勝率の高さは魅力です。
これら8つの指標を踏まえ、印と買い目を下記のとおりとしました。
◎1 ブレイディヴェーグ
○6 ディヴィーナ
▲13 サリエラ
☆7 ジェラルディーナ
△8 シンリョクカ
△9 アートハウス
△3 ハーパー
△11 ライラック
△10 ククナ
△5 イズジョーノキセキ
△4 ローゼライト
【買い目】
・馬単マルチ 1=3、4、5、6、7、8、9、10、11、13 計20点
・ワイド 1→3、4、5、6、8、9、10、11、13 計9点
・3連複軸1頭ながし 1→3、6、7、8、9、13 計15点
本命は、単独4項目に合致したブレイディヴェーグ。3項目合致のディヴィーナを対抗としました。
エリザベス女王杯が古馬混合となって以降、レース史上2番目に少ないキャリア(ラヴズオンリーユーと並びタイ)4戦で臨むブレイディヴェーグ。激走の疲れと間隔を考慮されたとはいえ、前走ローズSから臨んだ馬は過去に1頭しかおらず、ある意味、常識外れのローテーションといえるでしょう。
勝てば、昨年の天皇賞(秋)を制したイクイノックスと並び、最少キャリアでのJRA古馬混合GI制覇。ただ、重賞未勝利でGI初出走ながら今回も上位人気に推されるため、正直なところ、馬券的な妙味は薄いといわざるを得ません。
とはいえ、絶望的な位置からマスクトディーヴァに迫ったローズSの内容や、秋華賞でのマスクトディーヴァのパフォーマンスを見る限り、間違いなく、この世代では上位にランク付けされる存在。ルメール騎手も、オークス2着のハーパーではなくこちらを選んでおり、それだけブレイディヴェーグの実力を高く評価しているのだと思います。
また、かつては考えられなかった、いわゆる「直行ローテ」を一般的にするなど、時に過去の常識を壊し、不可能と思われることを可能にして勝利を重ね続けてきたのが「絶対王者」ノーザンファームの育成。素晴らしい能力を持つブレイディヴェーグが常識外れのGI制覇を成し遂げても、なんら不思議ではありません。「絶対女王」リバティアイランドと同じサンデーレーシング所有馬から、もう一頭の女王が誕生するか注目です。
馬券は、ブレイディヴェーグからの馬単マルチとワイド。さらに、2項目以上に合致した6頭への3連複軸1頭ながしを買います。
それでは日曜日も競馬を楽しみましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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