競馬ファンにとって、ここ数年で最も素晴らしい週末がやってきました。

先ほど終了したJBC4競走に、土曜日は2つの重賞。米国のブリーダーズCを挟んで、日曜日も2つの重賞。

強いていうならJRAでもGIが開催されれば……ですが、これ以上は望めませんし、来週も重賞が4レースあって、そのうち1つはGI。あまりにも充実しすぎている素晴らしい10日間です。

さて、予想へと移る前に、まずは先週の振り返りをしましょう。

取り上げるのは、土曜日におこなわれたアルテミスS。良血馬チェルヴィニアが、断然の支持に応えて完勝しました。

レースは、前走の新潟2歳Sで2着と健闘したショウナンマヌエラが好スタート。この日も逃げる展開となり、シュシュトディエス、スティールブルーと続いて、その直後にチェルヴィニア。2番人気サフィラは、そこから1馬身半差の6番手につけていました。

前半600ｍ通過は35秒9、同800ｍが48秒0と、非常にゆったりした流れ。後続に3馬身のリードを取って逃げるショウナンマヌエラ以外の8頭は8馬身ほどの隊列となり、4コーナーで差はやや凝縮。そのまま直線を迎えます。

こうなると、最後は瞬発力勝負。粘るショウナンマヌエラにスティールブルーが迫り、外からサフィラが襲いかかるも、2頭の間、狭いところを割って出たチェルヴィニアが素晴らしい末脚を繰り出し、残り100ｍで先頭に立ちます。

さらにそこから後続との差を徐々に広げると、最終的には1馬身3/4差をつけて先頭ゴールイン。ゴール寸前でスティールブルーを捕らえたサフィラが2着を確保しました。

前走、持ったまま6馬身差で未勝利戦を圧勝したチェルヴィニアは2連勝。デビュー戦こそ2着に敗れましたが、このレースは既に6着馬までが勝ち上がっており、そのうちチェルヴィニアを含めて2勝馬が3頭。重賞2着馬が1頭という、恐ろしいほどレベルが高いレースでした。

スローからの瞬発力勝負だったとはいえ、今回、最後の1ハロンは11秒0。おそらく、チェルヴィニア自身は10秒台のラップで走っており、順調にいけば2歳GIや来春のクラシックで十分に好走可能。世代を代表する1頭になるでしょう。

血統面では、父がハービンジャー。富士Sを勝ったナミュールに続き、産駒が2週連続で東京のマイル重賞を勝利しました。

一方、3代母は名牝ハッピートレイルズ。同馬を祖とするこの一族からは、1993年のマイルCSを勝利したシンコウラブリイをはじめ、は両手で収まりきらないほどの重賞ウイナーが誕生しています。

ただ、この一族は不思議と三冠レースに縁がなく、チェルヴィニアの母チェッキーノのオークス2着が最高です。もちろん、チェルヴィニアは一族の悲願を叶えうる逸材。また、チェッキーノは初仔ノッキングポイントから2頭続けて重賞ウイナーを送り出したことになり、名繁殖への階段を着実に駆け上がっています。

一方、2着サフィラも見所十分のレースでした。

完成度も含め、今回に関しては完敗を喫したものの、サリオスやサラキアなど、こちらも兄姉の大半がオープン馬という超良血。ハーツクライ産駒のため、おそらく本格化はまだ先でしょう。

先週も書いたように、ジャスタウェイやリスグラシューなど2、3歳時にマイル重賞で好勝負したハーツクライ産駒は、古馬になって手がつけられないほど強くなる可能性を秘めています。サフィラも、この先しばらく勝ち切れないレースが続く可能性はありますが、古馬になってからもしっかりと見守っていきたい存在。なにより、アルテミスSは勝った馬はもちろん、負けた馬からも後のGIウイナーが続出している超のつく出世レースであり、スティールブルーまでの上位3頭は、今後も要注目です。

それでは予想に。


今回は、京王杯2歳Sの過去5年を深掘り調査。好走傾向から重視できそうな指標を探し出し、軸馬を見つけたいと思います。

（1）キャリア
（2）東西別
（3）前走距離
（4）前走人気
（5）前走着差
（6）父の系統
（7）前走からの間隔
（8）前走場所


近年の傾向から重視できそうな指標は、上記8項目。その中で（1）はキャリアです。

キャリア2戦以下の好走率が高い当レース。その中でも、前走馬番が1から9番。なおかつ、前走重賞かオープン、もしくは未勝利戦に出走した馬が［3-3-3-9/18］。勝率16.7％、複勝率50.0％。単勝回収率123％、複勝回収率225％。該当馬の半数が好走していました。

一方、前走馬番が10から18番だと［0-0-1-15/16］。厳しい結果に終わっています。

（2）は、東西別成績について。

好走率や回収率など、関西馬が関東馬を圧倒している近年の京王杯2歳S。その中でも、前走時、馬体重増減なしか体重が増えていた馬。もしくは、前走が初出走だと［4-4-1-9/18］。勝率22.2％、複勝率50.0％。単勝回収率332％、複勝回収率242％。（1）と同じ好走率でした。

次は（3）。前走の距離。

芝1400ｍでおこなわれる京王杯2歳S。ところが、前走も1400ｍ戦に出走した馬の成績はいまひとつ。

一方、前走1400ｍ以外で芝のレースに出走。かつ、4コーナーで2番手以内に位置していた馬は［2-2-3-6/13］。勝率15.4％、複勝率53.8％。単勝回収率51％、複勝回収率133％。該当馬の半数以上が好走していました。

（4）は、前走人気です。

前走、上位人気に推されていた馬が強さを発揮している当レース。前走重賞かオープンで3番人気以内。なおかつ、今回1から6枠を引いた馬は［4-2-1-5/12］。勝率33.3％、複勝率58.3％。単勝回収率210％、複勝回収率200％。好走率は6割に迫ります。

対して、前走6番人気以下は［0-1-0-17/18］。苦戦していました。

折り返しの（5）は、前走着差について。

前走、完勝した馬が結果を残している京王杯2歳S。具体的には、前走2着に0秒3以上の差をつけて勝利。なおかつ、その前走で減量騎手以外が騎乗していた馬は［1-3-3-4/11］。勝率9.1％、複勝率63.6％。単勝回収率33％、複勝回収率140％。やや勝ち切れないものの、好走率は6割を超えています。

続いて、（6）は父の系統です。

非根幹距離の2歳重賞で、持久力が問われる当レース。父がロイヤルチャージャー系以外の種牡馬で、生月が3月生まれ以外。なおかつ牡・せん馬は［4-2-1-4/11］。勝率36.4％、複勝率63.6％。単勝回収率665％、複勝回収率338％。非常に分かりづらい条件で申し訳ありませんが、好走率は（6）と同じ。勝ち切っている点が魅力です。

逆に、父がロイヤルチャージャー系以外の種牡馬でも、どういうわけか3月生まれだと［0-0-0-11/11］。非常に苦戦していました。

（7）は、前走からの間隔。

やや間隔を開けてきた馬の好走が目立つ当レース。前走から中9週以上の間隔を開けてきた馬に栗東所属騎手が騎乗すると［2-3-1-2/8］。勝率25.0％、複勝率75.0％。単勝回収率231％、複勝回収率292％と、凄まじい成績でした。

そして最後は（8）。前走場所について。

前走、北海道組の活躍が目立つ京王杯2歳S。前走、札幌か函館でおこなわれたレースに出走し、なおかつ母父がネイティヴダンサー系以外の種牡馬であれば［2-1-2-3/8］。勝率25.0％、複勝率62.5％。単勝回収率231％、複勝回収率158％。（7）と同様サンプル数は多くありませんが、好走率は6割を超えていました。

これら8つの指標を踏まえ、印と買い目を下記のとおりとします。

◎12　ジャスパーノワール
○8　 ミルテンベルク
▲11　アスクワンタイム
☆6　 ゼルトザーム
△7　 コラソンビート
△4　 タヤスロンドン
△10　タイガードラゴン
△2　 ロジリオン
△1　 アグラード
△5　 アンバーニードル
△9　 バンドシェル

【買い目】

・単勝　12
・馬単マルチ　12＝1、2、4、5、6、7、8、9、10、11　計20点
・ワイド　12→1、2、4、5、6、7、8、9、10、11　計10点
・3連複軸2頭ながし　8、12→1、2、4、5、6、7、9、10、11　計9点


本命候補は、3項目に合致したミルテンベルクとジャスパーノワールの2頭。その中で、馬券的な妙味を考えてジャスパーノワールを本命としました。

前走、新潟の未勝利戦を勝ち上がったばかりのジャスパーノワール。裏開催の未勝利戦と非常に地味な条件ですが、逃げて上がり最速をマークしての完勝でした。

勝ち時計の1分8秒9もまずまず優秀で、今年の新潟芝1200ｍでは3番目のタイム。本馬より速いタイムで2度勝利したエールレヴリーは、先週の清津峡特別でも2着と好走しています。

また、今回乗り替わりになるとはいえ、田辺裕信騎手で心配はなさそう。不振の3月生まれという点は気になりますが、大外枠から一気の逃げ切りを期待。そして、ブリーダーズカップターフスプリントに出走する厩舎の先輩ジャスパークローネの前祝いとなるでしょうか。注目です。

馬券は、ジャスパーノワールの単勝と、同馬からの馬単マルチ、ワイド。さらに、対抗ミルテンベルクとの3連複軸2頭ながしを買います。

それでは土曜日も競馬を楽しみましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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