競馬サロン

2023/10/28 19:00
【天皇賞(秋)】 世界最強イクイノックスに死角なしか カギを握るのは「もう一頭」のハーツクライ産駒
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今年も天皇賞(秋)がやってきました。
1ヶ月後のジャパンCも素晴らしいメンバーが集結しそうですが、例年「現役最強馬決定戦」といえるメンバーが集まるのは天皇賞(秋)のほう。グレード制が導入された1984年以降の天皇賞(秋)で今年の11頭立ては最少ですが、世界ランク1位に昨年のダービー馬。さらにGI馬が複数出走してくるため、まさに少数精鋭のメンバー構成といえるでしょう。
ところで、去る10月20日。大好きなホッカイルソーが、31年の生涯を終え天国へと旅立ちました。
亡くなったことは本当に悲しかったのですが、同馬が繋養されていたダーレージャパンの公式X(旧ツイッター)が訃報を伝えると、リプライ欄はあっという間に温かいコメントでいっぱいに。「ホッカイルソーは、こんなにも多くの人に愛されていたんだ」ということが分かり、少し嬉しくなりました。
どういうわけか、以前から推しの馬や騎手をなかなか見つけられない私。ただ、ホッカイルソーだけは別格で、そのきっかけとなったのが1995年の菊花賞。勝つと予想しながら3着に敗れたあの日から、ホッカイルソーのことが大好きになりました。
これは競馬に限らないことで本当に不思議だなと思うのですが、例えば、ある馬(騎手)に対する人気やファンの多さと、その馬(騎手)が勝利したGIの数が比例しているかといわれれば、必ずしもそうとは限りません。その最たる例がステイゴールドでしょう。
GI出走20回。そのうち12回も掲示板を確保し、2、3着が計6回。条件戦やGII・GIIIも含めれば数はさらに多くなりますが、引退レースとなった通算50戦目の香港ヴァーズで、凄まじい追込みを決めて大団円。GI勝利はこの1勝だけですが、種牡馬となってからも大成功を収め、今なお熱狂的なファンが多数いるスーパースターです。
そして、実績などはステイゴールドに及びませんが、GIを勝っていないホッカイルソーにも多くのファンがいたことが分かり、それだけでも嬉しくなりました。
とはいえ、私はホッカイルソーが出走する度に全国の競馬場を飛び回ったほどの「追っかけ」ではありません。また、牧場まで会いに行くようなこともしておらず、純粋なホッカイルソーファンの方々から「ファン失格」の烙印を押されても、なにも反論できません(苦笑)。それでも、今まで最も好きになった馬は? と問われれば、間違いなくホッカイルソーと答えます。
ところで、なぜ人はステイゴールドやホッカイルソー、ナイスネイチャのような惜敗が多い馬。昔の言い方であれば「シルバー(ブロンズ)コレクター」や「イマイチ君」に惹かれるのでしょうか。心理学者さんに論文でも書いてほしいところですが、完璧ではなくどこかスキがある……。そして憎めないというのが人間らしくて、おそらくそこに惹かれるのだと思います。
ステイゴールドが、4歳で天皇賞(春)を勝利していれば。
ナイスネイチャが、一度でも有馬記念を勝っていれば。
逆にここまでの人気は出なかったかもしれませんし、ホッカイルソーが菊花賞や天皇賞(春)を勝っていれば、ひょっとすると私もそこまで好きになっていなかったかもしれません。
そのホッカイルソー。引退後は生まれ故郷の北海牧場で種牡馬入りしたものの、僅かの産駒を残しただけで種牡馬も引退。同場解散後、土地を買収したダーレー・ジャパン・ファームで繋養されていましたが、長年情報が出ていませんでした。
私も、過去に何度か調べたものの情報は出ず、諦めていたのが正直なところ。それが2020年11月。ダーレージャパンの新卒採用者対象プログラムである「ゴドルフィン道場」のツイッター公式アカウントに、ホッカイルソーが繋養されていることがツイートされたのです。
あの時の嬉しさは、おそらく一生忘れることはないでしょう。
また、先日亡くなった97年のフェブラリーS覇者シンコウウインディも、同場で繋養されていました。馬主でも関係者でもない私がこんなことを言うのはおこがましいこともしれませんが、過去の名馬を複数繋養してくれていたダーレー・ジャパン・ファームには、本当に感謝しかありません。
ホッカイルソー号のご冥福を、心からお祈りいたします。
それでは予想に。
今回は、天皇賞(秋)の過去5年を深掘り調査。重視できそうな指標を探し、そこから軸馬を見つけます。
(1)前走クラスと人気
(2)馬齢
(3)前走着差
(4)キャリア
(5)馬主
(6)前走間隔
(7)前走上がり
(8)前走馬番
(9)騎手
近年の傾向から重視できそうな指標は、上記9項目。その中で(1)は前走クラスと人気です。
最強馬決定戦ともいわれる天皇賞(秋)は、波乱が起きにくいレース。実績馬がしっかりと力を発揮することが多く、中でも、前走GIかGIIで2番人気以内の馬は[5-5-4-7/21]。勝率23.8%、複勝率66.7%。単勝回収率57%、複勝回収率131%。3着内馬の大半がこの指標に該当していました。
(2)は馬齢。
過去2年は3歳馬が勝利しているように、若馬優勢の当レース。4歳以下で、前走11頭立て以上のレースに出走。なおかつ、母父がネイティヴダンサー系以外の種牡馬であれば[4-2-3-6/15]。勝率26.7%、複勝率60.0%。単勝回収率71%、複勝回収率116%。こちらも、好走率は5割を優に超えています。
次は(3)。前走着差について。
近年の天皇賞(秋)は、前走接戦を演じた馬が好調。具体的には、前走タイム差なしで勝利するか惜敗した馬が、今回1から10番を引くと[4-3-1-4/12]。勝率33.3%、複勝率66.7%。単勝回収率89%、複勝回収率138%。(1)と同様、好走率は7割に迫ります。
(4)はキャリア。
(2)とやや重なりますが、天皇賞(秋)は消耗の少ない馬が健闘しているレース。具体的には、キャリア10戦以下の、どういうわけか鹿毛か青鹿毛が好成績で[4-3-1-3/11]。勝率36.4%、複勝率72.7%。単勝回収率97%、複勝回収率123%。好走率は7割を超えていました。
折り返しの(5)は馬主です。
天皇賞(秋)は、クラブ法人の所有馬が強いレース。やや乱暴な括りではありますが、キャロットファーム、シルクレーシング、サンデーレーシング、GIレーシング所有馬の中で、前走3コーナーで6番手以下に位置していた馬は[5-2-2-1/10]。勝率50.0%、複勝率90.0%。単勝回収率121%、複勝回収率144%。凄まじい成績を叩き出しています。
他、ダノックス所有馬も[0-1-1-2/4]。複勝率50.0%、複勝回収率120%と、頑張っていました。
(6)は、前走からの間隔について。
現代競馬は、前哨戦を使わない、いわゆる「直行ローテ」が主流になりつつあります。(5)とやや重なりますが、前走から中20週以上の間隔を開け、なおかつ前走4コーナーで6番手以下に位置していた馬は[4-2-2-2/10]。勝率40.0%、複勝率80.0%。単勝回収率90%、複勝回収率132%。こちらも超抜の成績でした。
続いて、(7)は前走上がり。
最強馬決定戦ゆえ、前走上位の上がりをマークしていたことが必須ともいえる当レース。具体的には、前走上がり3位以内の関東馬。なおかつノーザンファーム生産馬は[5-1-2-2/10]。勝率50.0%、複勝率80.0%。単勝回収率121%、複勝回収率121%。(5)(6)と同様、これまた凄まじい好走率でした。
(8)は前走馬番。
前走外枠を引いた馬が健闘している当レース。前走馬番が12から18。かつ、前走2000m以外のレースに出走した馬は[2-2-2-3/9]。勝率22.2%、複勝率66.7%。単勝回収率46%、複勝回収率124%。文句なしの好成績です。
そして最後は(9)。騎手について。
過去5年を対象とするため、最高でも5回しか騎乗できない騎手を取り上げることはまれ。ただ、天皇賞(秋)においてルメール騎手は絶対的な存在で[4-0-1-0/5]。勝率80.0%、複勝率100%。単勝回収率174%、複勝回収率122%。3着内率パーフェクトはもちろんのこと、4度勝ち切っている点は驚異としかいいようがありません。
これら9つの指標を踏まえ、印と買い目を下記のとおりとしました。
◎7 イクイノックス
○3 ドウデュース
▲4 ダノンベルーガ
☆10 ジャックドール
△9 プログノーシス
△6 ジャスティンパレス
△5 ガイアフォース
△8 ヒシイグアス
【買い目】
・馬単マルチ 7=3、4、5、6、8、9、10 計14点
・ワイド 7→4、5、6、8、10 計5点
・3連単フォーメーション 3、7→5、6、8、9、10→3、7 計10点
・3連単ボックス 3、4、7 計6点
---------------------
10月28日19時55分編集部追記 10月28日19時公開の齋藤翔人氏執筆天皇賞・秋予想コラムにつきまして、コラム内に誤記がありました。
以下の通り訂正の上、お詫び申し上げます。
【誤】・3連単フォーメーション 3、7→5、6、8、9、10→3、7 計12点
【正】・3連単フォーメーション 3、7→5、6、8、9、10→3、7 計10点
---------------------
本命は、9項目中7項目に合致したイクイノックス。以下、5項目合致のドウデュースを対抗、3項目に合致したダノンベルーガを単穴としました。
イクイノックスの強さ、凄さは今さら語るまでもありませんが、もし一つあげるとするなら、どんな条件でも勝ち切ることではないでしょうか。
これまで勝利した4つのGIは(1)東京の天皇賞・秋。(2)中山と阪神の非根幹距離のGI有馬記念と宝塚記念。(3)ドバイシーマクラシックと、大きく3つに分類できるかと思います。
(1)は左回りの直線が長いコース。(2)は右回りの直線が短い小回りコース。(3)は(1)と似ているものの、海外の競馬場でおこなわれるレース。とりわけ(1)と(2)は条件が大きく異なり、一昨年のエフフォーリアも天皇賞(秋)と有馬記念を連勝しましたが、あのアーモンドアイですら、有馬記念は9着惨敗。この両レースを制することは、非常に難易度が高いのです。
それを難なくやってのけたイクイノックスは、歴史的名馬に肩を並べるくらいのところまできており、世界ランク1位に相応しい存在。スターズオンアースが出走していれば、多少、話は変わっていたかもしれませんが、それでも凡走は考えづらいところです。
一方、対抗のドウデュースは、イクイノックスが過去先着を許した2頭のうちの1頭。皐月賞では先着しているものの、イクイノックスもそのとき勝った訳ではないので(ジオグリフの2着)、純粋な意味でリベンジできていないのはこの馬だけです。
そのドウデュースもまた、ダービーと、GIではありませんが阪神の内回り2200mでおこなわれた京都記念という、正反対のレースを制した馬。しかも、2着に0秒6差をつける圧勝でした。今回は、それ以来8ヶ月ぶりの実戦になるものの、現時点では世界最強馬と互角の対戦成績なだけに、ガチンコのライバル対決を期待したいところです。
馬券はまず、イクイノックスからの馬単マルチとワイドを購入。そして、イクイノックスとドウデュースのどちらかが1着、どちらが3着となる3連単フォーメーションも買います。ただ、イクイノックス1着、プログノーシス2着、ドウデュース3着は安い配当になりそうなので、この買い目は増額した方が良いかもしれません。
また、昨年の当レースで本命に推したダノンベルーガは3項目に合致。パンサラッサに僅かクビ差届かず馬券も外れてしまいましたが、今年こそハーツクライ産駒の成長力を期待(ドウデュースやヒシイグアスにもいえますね……)。前述した2頭との3連単ボックスを買います。
それでは日曜日も競馬を楽しみましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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