競馬サロン

2023/10/21 19:00
【菊花賞】 夏を越えて輝きを放つサトノグランツ 父仔3代制覇へ、川田将雅騎手が今週も魅せる
121以前とは比べものにならないほど各距離帯の路線が整備された近年。そこへ海外のビッグレース=凱旋門賞という選択肢も加わりました。また、1986年までの天皇賞(秋)は3歳馬に出走資格がありませんでしたが(第1回を除く)、それが撤廃されて以降は古馬に挑戦する馬も増加。実際、直近2年は3歳馬が勝利しています。
また、今年の二強は春二冠で1、2着を仲良く分け合っており、これは1995年のジェニュインとタヤスツヨシ以来。その前は、77年のハードバージとラッキールーラまで遡ります。しかも、これら2組は菊花賞で再戦が実現しなかったため、そういった意味でも今年の菊花賞は「異例」といえるでしょう。
ちなみに、菊花賞における皐月賞馬vsダービー馬の成績は、皐月賞馬が12勝4敗と圧倒しています。ただ、2頭がワンツーを決めたのは1973年と98年だけ。一方が勝ってもう一方が連を外してしまうケースもあれば、二強が揃って敗れるケースもあります。
例えば、ビワハヤヒデやナリタトップロードが勝った菊花賞。これら2頭は、皐月賞馬とダービー馬をまとめて負かし、春二冠惜敗の無念を晴らした馬として思い出深いですが、ともに「三強」の一角を成す馬でした。
逆に、春二冠で4着以下に敗れるか、もしくは不出走だった「夏の上がり馬」が、菊花賞で二強を負かした例は少なく(ネオユニヴァースやメイショウサムソンなど二冠馬は除く)、76年の皐月賞馬トウショウボーイとダービー馬クライムカイザー。さらには、あのテンポイントをまとめて撃破したグリーングラスまで遡らなければなりません。
他にも、タスティエーラにまつわる珍しいことがいくつかあり、例えば、同馬は春一冠を獲得したにも関わらず、三冠レースはすべて別々の騎手が騎乗。これは、2002年の皐月賞馬ノーリーズン以来ですが(ドイル騎手で皐月賞1着、蛯名正義騎手でダービー8着、菊花賞は武豊騎手が騎乗)、ノーリーズンは、菊花賞でなんとスタート直後に落馬。結果、10番人気のヒシミラクルが優勝し、2着も16番人気ファストタテヤマが入ったことで、グレード制導入以降の菊花賞では、最も荒れたレースとなりました。
さらに、ダービー馬が菊花賞に直行するのは、グレード制導入以降、初めてのこと。そう考えると、タスティエーラが克服しなければならない課題は多いように思えますが、課題というよりも前例がほぼないといったほうが正しく、もし同馬が好走すれば、これがまた菊花賞の新たなトレンドになっていくかもしれません。
そんな、珍しいことが目白押しの菊花賞。またしても「二強」によるワンツーとなるのか。それとも、これらをまとめて負かす馬が現われるのか。
早速、過去5年を深掘り調査。好走傾向から重視できそうな指標を探し、軸となる馬を見つけ出します。
(1)キャリア
(2)生産牧場
(3)前走馬体重
(4)市場取引価格
(5)前走着順
(6)前走人気
(7)前走上がり
(8)調教師
近年の傾向から重視できそうな指標は、上記8項目。その中で、(1)はキャリアです。
キャリア7、8戦の馬が好走している菊花賞。そのうち、どういうわけか鹿毛が好調で、なおかつ母父がネイティヴダンサー系以外の種牡馬であれば[2-2-4-7/15]。勝率13.3%、複勝率53.3%。単勝回収率80%、複勝回収率183%。該当馬の半数以上が好走していました。
次は(2)。生産牧場です。
クラシックの舞台で強さを発揮する「絶対王者」ノーザンファームの生産馬。菊花賞は過去5年で2勝に留まっているものの、3着内15頭中11頭は同場生産馬です。
その中でも、父がロイヤルチャージャー系の種牡馬。なおかつ、今回5から8枠を引いた馬は[1-4-4-6/15]。勝率6.7%、複勝率60.0%。単勝回収率96%、複勝回収率190%。素晴らしい成績でした。
(3)は前走馬体重。
中型馬の好走率が高い当レース。ピンポイントにはなりますが、前走馬体重が460kg以上、480kg以下。かつ、前走重賞かオープンで馬番が1から12番だと[5-3-0-7/15]。勝率33.3%、複勝率53.3%。単勝回収率228%、複勝回収率130%。該当馬は現在5連覇中で、勝ち切っている点が魅力です。
(4)は、市場取引価格について。
ワールドプレミアやアスクビクターモアなど、セリにおいて高値で購買された馬が活躍している菊花賞。国内のセリにおいて、税込7,000万円以上で購買された馬は[2-2-2-3/9]。勝率22.2%、複勝率66.7%。単勝回収率117%、複勝回収率175%。サンプルは多くないものの、7割に迫ろうかという好走率でした。
折り返しの(5)は前走着順。
これまたピンポイントですが、近年の菊花賞は、前走重賞かオープンの2着馬が[2-2-2-3/9]。勝率22.2%、複勝率66.7%。単勝回収率206%、複勝回収率182%で、(4)と同じ好走率。
また、前走神戸新聞杯1、3着馬も[2-1-1-4/8]。勝率25.0%、複勝率50.0%。単勝回収率95%、複勝回収率113%。半数が好走していました。
続いて(6)は前走人気です。
菊花賞は、前走重賞かオープンで1番人気に推されていた馬も強く[4-0-1-2/7]。勝率57.1%、複勝率71.4%。単勝回収率395%、複勝回収率195%。サンプルは少ないものの、凄まじい成績です。
(7)は前走上がり。
またまたピンポイントな指標ですが、菊花賞は、前走上がり2位の馬が[2-0-2-3/7]。勝率28.6%、複勝率57.1%。単勝回収率74%、複勝回収率154%。素晴らしい成績を収めていました。
そして最後は(8)。調教師について。
牡馬クラシックで素晴らしい成績を収めている友道康夫調教師。菊花賞でも抜群の成績を収めており[1-1-1-3/6]。勝率16.7%、複勝率50.0%。単勝回収率108%、複勝回収率156%。サンプルは少ないものの、出走馬の半数が好走していました。
これら8つの指標を踏まえ、印と買い目を下記のとおりとします。
◎11 サトノグランツ
○14 ソールオリエンス
▲16 ショウナンバシット
☆15 ファントムシーフ
△5 パクスオトマニカ
△8 サヴォーナ
△3 シーズンリッチ
△7 タスティエーラ
△4 ダノントルネード
△12 ハーツコンチェルト
△9 ノッキングポイント
△1 トップナイフ
△13 ナイトインロンドン
【買い目】
・馬単マルチ 11=1、3、4、5、7、8、9、12、13、14、15、16 計24点
・ワイド 11→1、3、4、5、8、9、12、13、15、16 計10点
・3連単1着固定ながし 11→5、14、15、16 計12点
・3連複軸1頭ながし 11→5、14、15、16 計6点
本命は、6項目に合致と断トツで多かったサトノグランツ。3項目合致のソールオリエンスとショウナンバシットを対抗、単穴とし、他いつもどおりではありますが、出走馬の大半に印をつけてしまいました。
前走の神戸新聞杯をレコードで制したサトノグランツ。父父ディープインパクト、父サトノダイヤモンドともに神戸新聞杯と菊花賞を連勝しており、前走に続いて父仔3代制覇が懸かる一戦となります。
11着と敗れたダービーは二強に及ばなかったものの、当時の上がりはメンバー中2位。騎乗した川田将雅騎手からも「秋が楽しみになりました」とのコメントが聞かれたとおり、秋初戦を快勝しました。
春二冠の実績は、あまりにも偉大なディープインパクトやサトノダイヤモンドには及びませんでしたが、力をつけた今、追いつく可能性は十分にあるとみます。
馬券は、サトノグランツからの馬単マルチとワイド。さらに、同馬を1着に固定し、2項目以上に合致した相手4頭への3連単と3連複軸1頭ながしも購入。
手広くながしすぎた相手の中で密かに期待しているのは、単穴ショウナンバシット。この馬もまた父の父がディープインパクトで、父はシルバーステートです。
シルバーステート自身は、二度の屈腱炎が原因で大舞台に立つことなく、また長距離戦に出走することもなく引退を余儀なくされました。ただ、菊花賞馬のライスシャワーやダンスインザダークと同じく母系にニジンスキーを持っており、長距離適性は高かったのではないかと推測(直系のマルゼンスキー産駒でも、ホリスキーとレオダーバンが菊花賞を勝利)。
2500m以上の産駒成績は[0-2-2-5/9]。勝ち切れていないものの悪くはなく、昨年の菊花賞でセイウンハーデスが17着と敗れているものの、京都に変わる今年は激走があってもなんら不思議ではありません。
そしてもう一頭、血統面で期待しているのがナイトインロンドン。こちらは1項目も合致せずノーマークにしなければなりませんが、母父メジロマックイーンという血統が非常に気になるため△を打ちました。
自身が菊花賞を制してから30年以上。孫のオルフェーヴルとゴールドシップが勝利してから10年以上が経過したものの、令和の時代にマックイーンの血が三度躍動することはないでしょうか。そして、父グレーターロンドンもまた、現役時は脚部不安に悩まされた馬ですが、同馬のおいは2017年の菊花賞馬キセキ。菊の大輪を獲得するに相応しい血統といえます。
それでは日曜日も競馬を楽しみましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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