競馬サロン

血統サイエンティスト ドクトル井上
80
2024/12/09 21:00
【朝日杯フューチュリティステークス2024 血統展望】今週も京都で2歳GI マイルであってマイルじゃない!?

≪今週の動画・朝日杯FS≫
▼今週もテーマは●●狙い!
皆さま、お元気ですか。血統サイエンティストのドクトル井上です。
この記事では、週末の重賞・朝日杯FS(GI、京都芝1600m)の展望をば。ごゆるりとお付き合いいただけますと幸いです。
■レースのポイント
先週の阪神JFに引き続き、朝日杯FSも京都競馬場が舞台となる。京都と阪神の外回り1600mは直線の長い外回りというレイアウトこそ同じだが、スタート後、向こう正面から3角にかけて京都はかなりの坂を登るのに対し、阪神の場合はほぼフラット。
京都の場合は登り坂でペースが緩み、1800m向きの馬でも追走しやすくなるため、結果として中距離向きの血統の馬が台頭しやすいというのは京都外回りマイルGIあるある。先週の阪神JFも前半から中盤にかけて12秒台のラップが刻まれる格好となり、労せず追走できた中距離型、距離短縮組が台頭する結果となった。
ということで、先週に引き続き今回もテーマは「中距離質なレースになるのでは?」を立脚点に予想を組み立てたい。
■各馬の個別検討
▼ミュージアムマイル
父はリオンディーズで、母のミュージアムヒルはハーツクライ産駒のJRA3勝馬。近親にセントライト記念や京成杯AHを制したキングストレイルなどがいる。
最近だと二冠牝馬チェルヴィニアで知られるハッピートレイルズ牝系だが、基本のキャラクターはフォルリとボールドルーラーの機動力で走る小回り向きの牝系。チェルヴィニアやその母チェッキーノのラインが例外なのであって、どちらかといえば小回り巧者、内回り巧者が多いファミリーだ。
ミュージアムマイルの勝った前走黄菊賞は内回りの2000m。レースを見ると4角のコーナーでポジションを押し上げるいかにもハッピートレイルズな勝ちっぷりだった。
リオンディーズ×ハーツクライで確かに中距離向きの配合とはいえ、前半が緩む京都マイルなら十分に対応可能。距離については心配していないものの、今回はGIで直線の長い大箱コースに替わるのがどうか。
ここまで3戦2勝の同馬。唯一敗れたデビュー戦はゲートを歩いて出たうえ、前が残る絶望的な展開での3着とまだまだ底を見せていないのは魅力だが、牝系のキャラクターから長い直線の最後で脚が売り切れるシーンも想定しておくべきでは。
▼トータルクラリティ
父は先日種牡馬引退が発表されたバゴで、母父はスペシャルウィーク。祖母のスルーレートはフラワーCの2着馬で、近親には中山牝馬Sを制し、宝塚記念でイクイノックスの2着&凱旋門賞でも4着に好走したスルーセブンシーズがいる。
典型的な中距離血統なので京都開催は好材料に。前半が緩んで追走しやすい流れになるのなら、この馬の中距離馬としての素質はここでも十分に通用する。
欧州血統のイメージが先行して「バゴ産駒」と聞くと何となく晩成傾向に思えてしまうが、2歳GIにおけるバゴ産駒の成績は【0-2-0-4】で、複勝率33.3%と決して悪くない数字。
特にバゴ産駒の育成に関して世界一の腕前を誇るノーザンファーム生産馬に限定すると、クロノジェネシス@阪神JF、ステラヴェローチェ@朝日杯FSの2戦2連対となっている。サンプル数こそ少ないがこれは十分に評価すべき数字だ。
この2頭に共通していたのが母からミスプロの血を入れて、バゴの母母クードジェニーを介したミスプロのクロスをデザインしていた点。
バゴの血統表を見ると、父ナシュワンや母父ヌレイエフは2歳からバリバリ活躍する血という感じはない。そのため、バゴ産駒の早期完成度を高めようと思えば、フランスの2歳GIを制し93年の仏最優秀2歳牝馬に選ばれたクードジェニーを刺激することしか方策がなさそうに見える。
そのクードジェニーはミスプロ×ヘイロー×ノーザンダンサーの妹レイズザスタンダードという配合。サンデーサイレンス大国の日本においてヘイローのクロスを作るのはわけないことだし、大種牡馬ノーザンダンサーを使えばレイズザスタンダード→ナタルマのラインを突っつくのも簡単な話。結果としてミスプロさえ入れておけば、クードジェニー増幅による早熟性の確保がスムーズに進むものと考えられる。
ちなみに「ノーザンファーム生産のミスプロクロス内包バゴ産駒」はこれまで9頭がJRAに登録されていて、クロノジェネシス、ステラヴェローチェ、トータルクラリティの3頭が重賞勝ち。
面白いのがこの9頭のうち実に5頭が今年の2歳世代だという点。
現2歳世代の配合を決める時期だったであろう20年の下半期から21年の初頭は、ちょうどステラヴェローチェが2歳重賞で好走を繰り返していた時期とオーバーラップする。天下の大牧場がクロノジェネシスで抱いた仮説をステラヴェローチェが証明する形になったことが、21年春の種付けにおける「ミスプロクロス内包バゴ産駒」の増加に繋がったように見える推移だ。
内回りと外回りの違いこそあるが、トータルクラリティは京都のマイルでデビュー勝ちの実績。しかも内回りにも関わらず加速ラップでブチ抜く優秀な内容だった。新馬戦らしく中盤が緩んでスローペースになったとはいえ、レースのラスト1Fを10秒台に入れて勝つのは並の脚力ではなし得ない。
本来はベストディスタンスより短い1600mとはいえ、京都外回りのコース形態を考えると十分に対応できるはずだし、日本で最もバゴ産駒を動かせるジョッキーが鞍上と言うのも心強い材料。
新潟2歳Sではいったんコートアリシアンに交わされながら差し返したところを見ると、バゴ譲りの重厚さ、底力をしっかり感じさせた。中距離質なレースなら上位候補の一角と見る。
▼アルテヴェローチェ
父はモーリス。母のクルミネイトはJRA未勝利に終わったが、その兄弟にはクラシックで活躍したクルミナルやダート重賞での好走があるピオネロなど活躍馬多数。
前走のサウジアラビアRCが強い勝ち方で、2歳の10月にして東京マイルを1分33秒0で走破。稍重の前半1000mを58秒5の緩みない流れで入っておいて、後半600mを34秒5の脚を使って突き抜けたあたり、マイラーとしての確かな能力を感じさせた。
ここ2戦で見せたパフォーマンスが圧倒的で、「来年のNHKマイルCはこの馬なのでは?」とも思ったりするのだが、それだけに中距離質になりがちな京都外回り1600mがどうか。
またモーリス産駒が京都の外回りマイルで未だ勝利がない事実も少々気がかり。これについては巡り合わせが大きいとは思っているものの、それでもGIで◎を打つにあたってはネガティブな材料なのは否めない。
▼パンジャタワー
父は新種牡馬のタワーオブロンドン。曾祖母ソニンクは優駿な繁殖牝馬で、近親にはソングラインやロジユニヴァースなどがいる。
この馬、昨年のサマーセールのカタログに記載があって、当時目星をつけていたのを予想をしながら思い出した。結局は上場キャンセルになったのだが、配合的にはかなり評価している。
母クラークスデールが好配合で、マキャヴェリアン3×3とヘイロー≒サーアイヴァーを軸にした父母相似配合。フランスの2歳GIモルニ賞とサラマンドル賞を制したマキャヴェリアンの早熟性とスピードを良く伝える繁殖牝馬だと考えられる。
そこに短距離GI勝ちのタワーオブロンドンを持ってきたパンジャタワーなので、これは短距離ベストのスピード型だろうというのが素直な感想。ただでさえマイルは長そうだし、京都の外マイルで中距離質なレースになってしまうと、スタミナ面でさらに苦しくなるのでは。
将来的には短距離重賞の常連になりそうで、今後もたくさんお世話になりそうな馬ではあるものの、今回中距離質なレースになるとすればやや下げて考えても。
▼アルレッキーノ
父はアメリカの芝GIで活躍したブリックスアンドモルタル。母チェッキーノはフローラSの勝ち馬でオークスの2着馬。きょうだいには今年のオークス&秋華賞を制したチェルヴィニアや新潟記念を制したノッキングポイントがいる。
人気を裏切った前走のサウジアラビアRCについては敗因明確。マイラーの追走力を要求されたことに尽きる。
10Fを中心に活躍した父ブリックスアンドモルタルに、母がフローラS勝ちのチェッキーノとあって、アルレッキーノはどこをどう切っても中距離馬。東京芝1800mが舞台だった新馬戦で、2歳の横綱クロワデュノールに迫り、マイルとはいえ中盤のラップがガツンと緩んだ2戦目の未勝利戦で7馬身差の圧勝劇を演じたことからもそれがわかる。
その一方でサウジアラビアRCのレース前半1000m通過は57秒7で、アルレッキーノ自身も58秒1で通過する格好に。さすがにこれは速過ぎた。高い能力があるとはいえ、マイラーの土俵に乗って勝負して勝ち負けになるほど性能が図抜けているわけではないので、マイルの流れを正面から追走したことで脚を使い過ぎ、最後はガス欠したという内容だった。
これって半兄ノッキングポイントと全く一緒の履歴だったりする。
ノッキングポイントもスローの東京マイルの新馬戦をぶち抜いて「すわ大物か!?」と騒がれたのだが、2戦目のサウジアラビアRCではグラニットのハイペース逃げに戸惑い敗戦。続く3戦目のジュニアCでも中盤に11秒台が並ぶマイル戦の流れに手こずり6着。
そして迎えた東京マイルの1勝クラス。中盤に12秒0が入るラップバランスになったお陰で、労せず追走できたノッキングポイントは中団から突き抜けて快勝。そしてその後は毎日杯2着→日本ダービー5着→新潟記念1着と中距離路線で結果を残したわけだ。
「アルレッキーノもこのパターンなのでは?」と考えると、前半が緩んで中距離質になりやすい京都外回りマイルは前走と同じ1600mでも条件好転と言える。メンバーを見ると是が非でも逃げたい短距離馬は少ないし、京都外回りマイルなりの流れで前半は進むはず。となれば2戦目までに見せた中距離馬としてのポテンシャルを評価する手はあるはずだ。
先手を取りたい馬が少ないのは、オリオールクロスの影響で揉まれず競馬を進めたいこの馬にとって、その意味でもプラス材料。マイペースで中距離質な流れに持ち込めれば十分に巻き返せる。
■まとめ
先週に引き続きの京都開催。中距離質なレースになると踏んでトータルクラリティとアルレッキーノの中距離馬としての素質を買いたい。
枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論は土曜日の夜に公開いたしますので、そちらもどうぞお楽しみに。
<プロフィール>
“血統サイエンティスト”ドクトル井上
在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。
好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。
凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。
▼今週もテーマは●●狙い!
皆さま、お元気ですか。血統サイエンティストのドクトル井上です。
この記事では、週末の重賞・朝日杯FS(GI、京都芝1600m)の展望をば。ごゆるりとお付き合いいただけますと幸いです。
■レースのポイント
先週の阪神JFに引き続き、朝日杯FSも京都競馬場が舞台となる。京都と阪神の外回り1600mは直線の長い外回りというレイアウトこそ同じだが、スタート後、向こう正面から3角にかけて京都はかなりの坂を登るのに対し、阪神の場合はほぼフラット。
京都の場合は登り坂でペースが緩み、1800m向きの馬でも追走しやすくなるため、結果として中距離向きの血統の馬が台頭しやすいというのは京都外回りマイルGIあるある。先週の阪神JFも前半から中盤にかけて12秒台のラップが刻まれる格好となり、労せず追走できた中距離型、距離短縮組が台頭する結果となった。
ということで、先週に引き続き今回もテーマは「中距離質なレースになるのでは?」を立脚点に予想を組み立てたい。
■各馬の個別検討
▼ミュージアムマイル
父はリオンディーズで、母のミュージアムヒルはハーツクライ産駒のJRA3勝馬。近親にセントライト記念や京成杯AHを制したキングストレイルなどがいる。
最近だと二冠牝馬チェルヴィニアで知られるハッピートレイルズ牝系だが、基本のキャラクターはフォルリとボールドルーラーの機動力で走る小回り向きの牝系。チェルヴィニアやその母チェッキーノのラインが例外なのであって、どちらかといえば小回り巧者、内回り巧者が多いファミリーだ。
ミュージアムマイルの勝った前走黄菊賞は内回りの2000m。レースを見ると4角のコーナーでポジションを押し上げるいかにもハッピートレイルズな勝ちっぷりだった。
リオンディーズ×ハーツクライで確かに中距離向きの配合とはいえ、前半が緩む京都マイルなら十分に対応可能。距離については心配していないものの、今回はGIで直線の長い大箱コースに替わるのがどうか。
ここまで3戦2勝の同馬。唯一敗れたデビュー戦はゲートを歩いて出たうえ、前が残る絶望的な展開での3着とまだまだ底を見せていないのは魅力だが、牝系のキャラクターから長い直線の最後で脚が売り切れるシーンも想定しておくべきでは。
▼トータルクラリティ
父は先日種牡馬引退が発表されたバゴで、母父はスペシャルウィーク。祖母のスルーレートはフラワーCの2着馬で、近親には中山牝馬Sを制し、宝塚記念でイクイノックスの2着&凱旋門賞でも4着に好走したスルーセブンシーズがいる。
典型的な中距離血統なので京都開催は好材料に。前半が緩んで追走しやすい流れになるのなら、この馬の中距離馬としての素質はここでも十分に通用する。
欧州血統のイメージが先行して「バゴ産駒」と聞くと何となく晩成傾向に思えてしまうが、2歳GIにおけるバゴ産駒の成績は【0-2-0-4】で、複勝率33.3%と決して悪くない数字。
特にバゴ産駒の育成に関して世界一の腕前を誇るノーザンファーム生産馬に限定すると、クロノジェネシス@阪神JF、ステラヴェローチェ@朝日杯FSの2戦2連対となっている。サンプル数こそ少ないがこれは十分に評価すべき数字だ。
この2頭に共通していたのが母からミスプロの血を入れて、バゴの母母クードジェニーを介したミスプロのクロスをデザインしていた点。
バゴの血統表を見ると、父ナシュワンや母父ヌレイエフは2歳からバリバリ活躍する血という感じはない。そのため、バゴ産駒の早期完成度を高めようと思えば、フランスの2歳GIを制し93年の仏最優秀2歳牝馬に選ばれたクードジェニーを刺激することしか方策がなさそうに見える。
そのクードジェニーはミスプロ×ヘイロー×ノーザンダンサーの妹レイズザスタンダードという配合。サンデーサイレンス大国の日本においてヘイローのクロスを作るのはわけないことだし、大種牡馬ノーザンダンサーを使えばレイズザスタンダード→ナタルマのラインを突っつくのも簡単な話。結果としてミスプロさえ入れておけば、クードジェニー増幅による早熟性の確保がスムーズに進むものと考えられる。
ちなみに「ノーザンファーム生産のミスプロクロス内包バゴ産駒」はこれまで9頭がJRAに登録されていて、クロノジェネシス、ステラヴェローチェ、トータルクラリティの3頭が重賞勝ち。
面白いのがこの9頭のうち実に5頭が今年の2歳世代だという点。
現2歳世代の配合を決める時期だったであろう20年の下半期から21年の初頭は、ちょうどステラヴェローチェが2歳重賞で好走を繰り返していた時期とオーバーラップする。天下の大牧場がクロノジェネシスで抱いた仮説をステラヴェローチェが証明する形になったことが、21年春の種付けにおける「ミスプロクロス内包バゴ産駒」の増加に繋がったように見える推移だ。
内回りと外回りの違いこそあるが、トータルクラリティは京都のマイルでデビュー勝ちの実績。しかも内回りにも関わらず加速ラップでブチ抜く優秀な内容だった。新馬戦らしく中盤が緩んでスローペースになったとはいえ、レースのラスト1Fを10秒台に入れて勝つのは並の脚力ではなし得ない。
本来はベストディスタンスより短い1600mとはいえ、京都外回りのコース形態を考えると十分に対応できるはずだし、日本で最もバゴ産駒を動かせるジョッキーが鞍上と言うのも心強い材料。
新潟2歳Sではいったんコートアリシアンに交わされながら差し返したところを見ると、バゴ譲りの重厚さ、底力をしっかり感じさせた。中距離質なレースなら上位候補の一角と見る。
▼アルテヴェローチェ
父はモーリス。母のクルミネイトはJRA未勝利に終わったが、その兄弟にはクラシックで活躍したクルミナルやダート重賞での好走があるピオネロなど活躍馬多数。
前走のサウジアラビアRCが強い勝ち方で、2歳の10月にして東京マイルを1分33秒0で走破。稍重の前半1000mを58秒5の緩みない流れで入っておいて、後半600mを34秒5の脚を使って突き抜けたあたり、マイラーとしての確かな能力を感じさせた。
ここ2戦で見せたパフォーマンスが圧倒的で、「来年のNHKマイルCはこの馬なのでは?」とも思ったりするのだが、それだけに中距離質になりがちな京都外回り1600mがどうか。
またモーリス産駒が京都の外回りマイルで未だ勝利がない事実も少々気がかり。これについては巡り合わせが大きいとは思っているものの、それでもGIで◎を打つにあたってはネガティブな材料なのは否めない。
▼パンジャタワー
父は新種牡馬のタワーオブロンドン。曾祖母ソニンクは優駿な繁殖牝馬で、近親にはソングラインやロジユニヴァースなどがいる。
この馬、昨年のサマーセールのカタログに記載があって、当時目星をつけていたのを予想をしながら思い出した。結局は上場キャンセルになったのだが、配合的にはかなり評価している。
母クラークスデールが好配合で、マキャヴェリアン3×3とヘイロー≒サーアイヴァーを軸にした父母相似配合。フランスの2歳GIモルニ賞とサラマンドル賞を制したマキャヴェリアンの早熟性とスピードを良く伝える繁殖牝馬だと考えられる。
そこに短距離GI勝ちのタワーオブロンドンを持ってきたパンジャタワーなので、これは短距離ベストのスピード型だろうというのが素直な感想。ただでさえマイルは長そうだし、京都の外マイルで中距離質なレースになってしまうと、スタミナ面でさらに苦しくなるのでは。
将来的には短距離重賞の常連になりそうで、今後もたくさんお世話になりそうな馬ではあるものの、今回中距離質なレースになるとすればやや下げて考えても。
▼アルレッキーノ
父はアメリカの芝GIで活躍したブリックスアンドモルタル。母チェッキーノはフローラSの勝ち馬でオークスの2着馬。きょうだいには今年のオークス&秋華賞を制したチェルヴィニアや新潟記念を制したノッキングポイントがいる。
人気を裏切った前走のサウジアラビアRCについては敗因明確。マイラーの追走力を要求されたことに尽きる。
10Fを中心に活躍した父ブリックスアンドモルタルに、母がフローラS勝ちのチェッキーノとあって、アルレッキーノはどこをどう切っても中距離馬。東京芝1800mが舞台だった新馬戦で、2歳の横綱クロワデュノールに迫り、マイルとはいえ中盤のラップがガツンと緩んだ2戦目の未勝利戦で7馬身差の圧勝劇を演じたことからもそれがわかる。
その一方でサウジアラビアRCのレース前半1000m通過は57秒7で、アルレッキーノ自身も58秒1で通過する格好に。さすがにこれは速過ぎた。高い能力があるとはいえ、マイラーの土俵に乗って勝負して勝ち負けになるほど性能が図抜けているわけではないので、マイルの流れを正面から追走したことで脚を使い過ぎ、最後はガス欠したという内容だった。
これって半兄ノッキングポイントと全く一緒の履歴だったりする。
ノッキングポイントもスローの東京マイルの新馬戦をぶち抜いて「すわ大物か!?」と騒がれたのだが、2戦目のサウジアラビアRCではグラニットのハイペース逃げに戸惑い敗戦。続く3戦目のジュニアCでも中盤に11秒台が並ぶマイル戦の流れに手こずり6着。
そして迎えた東京マイルの1勝クラス。中盤に12秒0が入るラップバランスになったお陰で、労せず追走できたノッキングポイントは中団から突き抜けて快勝。そしてその後は毎日杯2着→日本ダービー5着→新潟記念1着と中距離路線で結果を残したわけだ。
「アルレッキーノもこのパターンなのでは?」と考えると、前半が緩んで中距離質になりやすい京都外回りマイルは前走と同じ1600mでも条件好転と言える。メンバーを見ると是が非でも逃げたい短距離馬は少ないし、京都外回りマイルなりの流れで前半は進むはず。となれば2戦目までに見せた中距離馬としてのポテンシャルを評価する手はあるはずだ。
先手を取りたい馬が少ないのは、オリオールクロスの影響で揉まれず競馬を進めたいこの馬にとって、その意味でもプラス材料。マイペースで中距離質な流れに持ち込めれば十分に巻き返せる。
■まとめ
先週に引き続きの京都開催。中距離質なレースになると踏んでトータルクラリティとアルレッキーノの中距離馬としての素質を買いたい。
枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論は土曜日の夜に公開いたしますので、そちらもどうぞお楽しみに。
<プロフィール>
“血統サイエンティスト”ドクトル井上
在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。
好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。
凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。
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