言うまでもなく、ローズSは秋華賞のトライアルレースだ。

トライアルレースに臨む陣営の心理を推察したとき、考えられることは2つ。

1.本番へのひと叩き
2.本番への権利獲り

残暑が厳しい秋の中山・阪神秋競馬は夏競馬の延長戦の趣を持つ。ラビットラン、タッチングスピーチ、クロコスミア、タガノエトワール……ローズSで波乱を演出してきた馬が夏実績馬だったことは決して偶然ではない。

まずは、今年のメンバーで実績上位と目される馬を紐解く。

パラディレーヌはオークス4着からの参戦。芝1800mは【2-1-1-0】と大崩れがなく、得意距離替わりでの巻き返しが期待される1頭だ。とはいえ気がかりなのは、夏競馬の経験がないこと。前述したように、秋の阪神開催は夏競馬の延長戦。未知の気候適性を踏まえると重い印は打てない。

NHKマイルC3着のチェルビアットも上位評価の想定。こちらも夏競馬未経験かつ、前走は直線での進路取りが神がかっていたレース。未勝利戦で勝ち馬から0秒9離された芝1800mは本当に合うのだろうか？

どれも決め手に欠ける印象。ならばここはオークス馬・カムニャックで仕方ない。

牝馬クラシック戦線は本当に特殊。オークスまでの期間、多くを阪神芝外回りor東京芝が占める。内回りをこなせる器用さなど不要、求められるのは広いコースで発揮される持続力ある末脚だ。

前述3頭のうち、東京or阪神芝外回りで勝利を収めたのはカムニャックのみ。これまで挙げた3勝すべて上がり3F33秒台と、切れ味に秀でた点もまた阪神芝外回りで施行されるローズSへの適性を示すものだ。

「カムニャックも叩き台なのでは？」

そう思われるかもしれないが、この馬はデビュー時とオークス時で大きな馬体重の変動がない。“自分で体を作る馬”と形容すべきか、良くも悪くも2歳時から大きく変わらない印象を受ける。変わらないこと＝常に安定したパフォーマンスを発揮することができるということだ。

余談だが、阪神芝1800m×川田将雅×友道康夫×牝馬の成績は【2-3-3-2】馬券内率80％。ローズSにめっぽう強い騎手と3歳トライアル戦で良績が目立つ調教師が再タッグ結成となれば好走は約束されたも同然か。ここは素直にカムニャックの実績を信頼する。

相手本線には抜擢するのはマトラコーニッシュ。

牝馬限定戦の1勝クラスを勝って臨む馬。格の部分で足りない面は否めないが、新馬戦に前走と、勝つときは次位に0秒7差以上をつける上がり3Fをマークしておりポテンシャルは本物と言える。社台ノーザン系クラブ馬に優秀な母系、池添兄弟のタッグと穴妙味をそそる追い風多数。ノーマークにはできない。

ミッキージュエリーはこの位置。

目下3連勝中の上がり馬。3勝すべて逃げ切り勝ちとスピードが強調されているが、差し追込勢が有利な本レースとはマッチしない。それでもレコード勝ちの前走が破格の強さだったのは事実。ピンかパーかのタイプだとは思うが、持ち時計通りに走れば間違いなく足りる馬ゆえ一定の評価は必要か。

さらにはタガノアビー。

オークス3着後に臨んだ前走2勝クラス。陣営としては確勝を期した一戦だと思われるが、勝ち馬を捕らえることはできなかった。それでも休み明けを思えば悲観する内容ではないし、叩き2戦目は【2-0-0-0】とパフォーマンスを上げる傾向あり。差し追込馬有利のレース傾向も含め、要警戒だ。内枠を引き当てたミッキーマドンナも週中から評価を上げる形とする。

◎11 カムニャック
〇12 マトラコーニッシュ
▲７ ミッキージュエリー
☆９ タガノアビー
△１ ルージュソリテール
△５ パラディレーヌ
△８ チェルビアット
△２ ミッキーマドンナ

【馬連】11＝12,7,9(3点)
【馬連/BOX】12,7,9(3点)
【3連複/軸1頭】11＝12,7,9,1,5,8,2(21点)