【競馬サロン】読者の皆さん、こんにちは。

調教ライター・西村武輝です。

今週も「週末重賞全頭追い切りレポート」を公開いたします。

今週末は2024年で最初の札幌重賞「クイーンS」ですね。7月、8月では唯一の牝馬芝重賞、別定戦でもあり、ローカルGIIIとは思えない実力馬が例年多く参戦してくるレース。

今年も素晴らしいメンバー構成で行われることとなりました。

調教からは、やはり夏場に求められるコンディションのサジ加減。そして函館よりは広いとはいえ、やはり小回りの札幌コースへの対応力をどれだけ磨かれているかを確認しておきたいところです。

まずはシンプルに調整過程と動きの部分での気配評価、採点を行った以下のレポートをご確認ください。週末にはこの「調教診断」を軸として調教ライター・西村武輝の「印・見解・買い目」を公開する重賞の最終結論コラムもお届けいたします。こちらもどうぞご期待ください。

それでは以下「クイーンS」全頭追い切り診断となります。

●7月28日　クイーンS（GIII、札幌、芝1800m）
　
■アルジーヌ　助手騎乗　函館ウッド単走　小倉で走ってからの中3週となるため、流す程度の調整。まずまずの前進気勢を感じさせ、コーナリングや手前変換もスムーズだった。直線でやや素軽さを欠き、弾け切れなかった印象もあるが、渋ったウッドを苦にした部分もあったか。体調は良さそうで、この馬の力は出せる。【6】

■イフェイオン　川又騎手騎乗　札幌芝単走　1週前に栗東CWで猛時計を出しており、輸送後の今週は控えめな内容。まったくの馬なりながら直線ではブレの少ない、四肢を大きく使ったフォームから鋭く加速した。芝とのフィット感も申し分なし。中11週を感じさせない万全の仕上がり。【7】

■ウインピクシス　横山和騎手騎乗　札幌ダート単走　やや捌きを硬く見せ、走り全体もこじんまりとしてはいたが、踏み込みは力強い。初コンタクトだった鞍上が余念なく負荷を掛けたあたり、脚元や体調面に不安なしといったところ。前走時ほどの迫力はないものの、走れる状態だ。【6】

■ウンブライル　助手騎乗　函館ウッド併せ馬　3勝クラスを追走する併せ馬。相手を前に置いても力まず自然体で追走できており、直線でのギアチェンジに若干モタついたものの、ラストはしっかり伸びて併入としている。このひと追いで態勢整ったか。【6】

■エリカヴィータ　助手騎乗　函館ウッド併せ馬　札幌日経オープン（8/3）を予定しているオープン馬サトノエルドールを外でリードする併せ馬。直線で体が並ぶとこちらが先に手が動いてしまい、終始アオられ加減のまま併入となった。脚捌き自体はある程度軽快ではあったものの、気迫面の減衰はありそう。よくて平行線。【5】

■キタウイング　助手騎乗　函館ダート単走　道中はやや重心を高く見せるがいつものこと。直線ではまったくの馬なりのまま、躍動感ある動きから加速できていた。中10週とひと息入れての立て直し効果てきめん。【7】

■コガネノソラ　丹内騎手騎乗　函館芝単走　1週前までの乗り込みで仕上がっており、今週は疲れを残さず鞍上と息を合わせることに専念したような内容。直線では手前を替えず一本調子ではあったが、いい意味でリラックスできていたと考えていい。軽快さは抜群で、鞍上との意思疎通もしっかり。好気配と言える。【7】

■コンクシェル　助手騎乗　函館ウッド併せ馬　1勝クラスを外先導する併せ馬。幅員の狭いウッドコースでの併せ馬でかなり窮屈そうだったが、角度のキツい4角を見事なコーナリングでクリアし、直線に正対してからは相手に合わせて楽々併入とした。輸送の疲れはまったく感じさせず、いい状態で走れそう。【7】

■スタニングローズ　北村友騎手騎乗　函館ウッド単走　ある程度乗り込んでおり、今週は終いだけ重点の形。終始落ち着き払っており、促された直線では脚捌きをやや小さく見せたものの、まったくの馬なりを保って加速ラップで締めくくれていた。慣れないウッド追いだったことを考えれば、上々の内容だろう。デキはいい。【7】

■ドゥアイズ　鮫島駿騎手騎乗　札幌ダート単走　1週前に芝で速い時計を出しており、今週は疲れを残さないようダートコースで調整。序盤はリズム重視で、鞍上とピタッと折り合った状態で直線へ。ラストまでまったくの馬なりながら、重心をグンと沈めパワフルな脚捌きで駆け抜けていた。文句なしの好気配。【8】

■ボンドガール　助手騎乗　札幌ダート単走　美浦である程度乗り込まれており、今週は脚捌きを確認する程度。外ラチ沿いへ誘導された直線では、鞍上がおっつけ通しでやや素軽さを欠いたきらいも。それでも体を柔軟に使い、加速できていた。あとひと追い欲しいところだが、悪くない状態。【6】

■モズゴールドバレル　高杉騎手騎乗　札幌芝併せ馬　1勝クラスを外からマクる、小回り札幌を意識させる内容。体が並んでからはやや手応えで見劣っていたものの、バタバタにはならず余力を残して併入とした。2カ月ぶりだった前走を使われての上積みは見込める。【6】

■モリアーナ　武藤騎手騎乗　札幌ダート単走　高いモチベーションを感じさせるように、序盤から勢いに乗って加速、それでいてしっかり制御は効いており、外めへ誘導された直線では機敏にギアを上げ、溜めた脚を弾けさせていた。健康状態、精神面ともにかなりいい状況のようだ。高値で安定。【7】

■ラリュエル　佐々木騎手騎乗　札幌ダート単走　序盤はやや集中を欠く素振りがあり、直線に入っての手前の変換も少しモタつく。それでも直線半ばからの伸びには一定の迫力があった。気性面がやや気になるが、体調は上々の域。【7】


＜追い切り評価＞は最終追いを含めた中間の調整全体の総合評価となり、10段階評価（10が最高、1が最低）です。