先日行われたJBCクラシックの3連単3010円的中など、ダートに特化して勝負強さを発揮する“伝説の元ジョッキー・渡辺壮”。実力拮抗で混戦模様の下半期のダート頂上決戦を鋭く斬ります！


☆渡辺壮プロフィール☆
1985年騎手デビュー。金沢リーディングを通算6度獲得。2006年に引退するまでに通算2086勝、生涯勝率27.1%、連対率43.6%という驚異的な成績を残した。金沢競馬最大のレースとして知られる白山大賞典を91年から3連覇、北國王冠でも5勝を挙げるなど、大一番での勝負強さも光った。金沢競馬が生んだ伝説的な名手。引退後は月刊UMAJIN「重賞REPLAY」執筆、UMAJIN.netでもダートGI特集の集中連載などを担当。元騎手ならではの鋭い視点による考察には定評がある。


【渡辺壮の出走予定馬解説・チャンピオンズC】

インティ
みやこSは大外枠もあり、ハナを切れずに2番手から。1000m通過59秒0の速いペースで雁行状態となり、息を入れることもできず、4角ではウェスタールンドと接触して為す術なく終わってしまった。ここ2走の結果からもやはりハナを切る競馬が間違いなくベスト。今回は主張すればハナを奪えそうな組み合わせであり、主戦の武豊騎手に戻って自分の競馬ができればフェブラリーSに続くGI制覇も十分可能とみる。

ウェスタールンド
骨折明けとなったみやこSで3着。前崩れの流れだったとはいえ、早めに動いて勝ちに行く競馬をした結果だけにレースぶりとしては評価できる。いかにも休み明けという感じだった前回の調整過程からひと叩きしたことで最終追い切りの動きも着実に鋭さを増してきた。昨年2着のレースで鞍上スミヨンも2度目。今年も上位争いできる下地がある。

ヴェンジェンス
前走は展開がハマったのは確かだが、1200mから1400mを主戦場にしていた馬が1800mで結果を出せるようになったのは成長の証といえる。以前あった揉まれ弱さも距離を延ばしたことで馬群を捌きやすくなり、ウィークポイントをカバーしやすくなった。秋3戦目だけに他馬と比べると状態面での上積みは薄そうだが、近走は堅実に走っているのでGIでも大崩れはなさそうだ。

オメガパフューム
JBCクラシックではハナ差届かなかったが、浦和は後方から運ぶには不利なコース形態。それを出遅れて結果を出したのは収穫といえそう。ただ向正面以外ではずっと左手前で走っていたように、左回りはやはり手前替えがスムーズではない。そのあたりは鞍上デットーリに替わって一段上のパフォーマンスが発揮できるか見物である。

クリソベリル
春は同世代相手にワンサイドゲーム続き。初の古馬相手となった前走でも左回りを難なくこなして4馬身差の楽勝だった。ここまで無傷の5連勝とまだ底を見せておらず、2走前には砂を被る形でも結果を出している。昨年ルヴァンスレーヴが勝っているレースだけに3歳でも大きく割り引く必要はないが、違うのは一線級と戦っていない点。ルヴァンスは古馬相手に南部杯を制してここに臨んでいた。一気に相手が強化されて、人気でマークされる立場だと死角もありそうだ。

ゴールドドリーム
南部杯は1.3倍の断然人気に推されながら3着という結果。休み明けで余裕残し、前半行きたがった面があったにしても物足りない内容だった。当レースは昨年こそ直前回避も4歳時に勝利。実績としては申し分ないが、6歳秋を迎えて大きく変わる要素も少ないだけにまた善戦止まりのシーンも想定しておきたい。

サトノティターン
前走のブラジルCは力の違いを見せて3馬身差の快勝。重賞では春のマーチSを勝ったあと、平安S、エルムSと敗れているが、左回りの方が能力を発揮できる馬。今まで全6勝のうち5勝が左回りダート。中京ダートは初コースだが、鞍上のムーアは2017年にゴールドドリームでチャンピオンズCを勝っており、立ち回り次第では上位食い込みがあって不思議ない。

チュウワウィザード
JBCクラシックは接戦を制して交流GI初制覇。この馬のセールスポイントは何と言ってもデビューから3着を外したことがない堅実な点。中央、地方も問わず、先行しても差しても競馬できる自在性が強み。中京ダートは勝ち鞍こそないものの、【0.1.1.0】とコース経験はあり、軸にするには一番相応しい馬と言えそうだ。