おしらせ
ハーツクライ死す 22歳
JRAは10日、種牡馬ハーツクライ(牡22)が9日に死んだと発表した。22歳だった。
ハーツクライは現役時に2005年有馬記念と2006年ドバイシーマクラシックのふたつのGIに優勝。2005年の有馬記念では当時無敗だったディープインパクトに初めて土をつけた。
2007年から社台スタリオンステーションにスタッドインすると、リスグラシュー、ジャスタウェイ、シュヴァルグラン、スワーヴリチャード、ドウデュース、サリオスらGI優勝馬を輩出。
2022年の種牡馬引退後も社台スタリオンステーションで余生を過ごしていたが、昨日3月9日に起立不能となり死んだ。
社台ファーム・吉田照哉氏のコメントは以下の通り。
「ハーツクライが昨晩、力尽きました。最期の最期まで気高く、弱みを見せずに旅立ったと社台スタリオンの担当者から聞きました。
育成期は足を振るような独特な歩様ながらも、調教走路で見せるバネの違いは明らかでした。それまでも多くのサンデーサイレンス産駒を手掛けてきましたが、跳ね方、敏捷性、推進力がケタ違いで、かなり自信を持って橋口弘次郎調教師にお渡ししました。
競走生活のハイライトはやはり4歳末から5歳にかけての3戦でしょうか。ディープインパクトを抑えた有馬記念。相手が相手だけに、その後、ハーツクライにダーティーなイメージがつくことを心配したのですが、次戦のドバイシーマクラシックの圧勝で、日本の競馬レベルがとてつもないところに進んでいることを証明してくれて、関係者、ファン、メディアの方を含めて皆さんが喜んでくれた。その姿を目の当たりにして私自身もこれ以上ないくらいに感激しました。普段はあまり声を出さずにレースを見るのですが、周囲は外国人関係者ばかりだったということもあり、最後の直線を迎えたところで、この時ばかりは橋口調教師とともにもっと離せ、もっと離せ!と熱く叫んだことを思い出します。キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスでもアスコット競馬場のゴール前で先頭に立ち、世界トップクラスと互角に戦ったシーンは、この業界にいるすべての方々を勇気づけたと思います。
種牡馬入りしてからも活躍馬を多数輩出してくれました。ハーツクライ自身と同様にアウェイに乗り込んでもパフォーマンスが落ちるどころか、むしろ強さを見せつける産駒が多く、海外遠征の高い壁や不安を突破してくれるきっかけとなった馬かもしれません。種牡馬引退後は放牧地で悠々自適に過ごしてくれていました。やっと訪れたこの快適な生活をもっと長く満喫して欲しかった、いつまでも生き続けて欲しかったのですが、突然の別れとなり残念でなりません。ドバイ国際競走を前に、このような知らせとなり何とも言えない因縁めいたものを感じております。
ハーツクライ、心の叫びという馬名も威圧的な雰囲気と相まって、とてもしっくり来るものでした。勝ったレース、負けたレースも含めて色々な景色を見せてくれました。感謝しています。どうか安らかに眠って欲しいと思います。
携わってくださった全ての関係者方々、応援していただいたファンの皆さま、配合相手に選んでくださった生産者の皆さま、この場を借りて厚く御礼申し上げます。今まで大変お世話になりました。ありがとうございました」
(Text:Ito)
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