おしらせ
二大セールで明暗くっきり!【アメリカ・ノベンバーセールレポート その1】
世界的金融危機の影響で日米はじめ各国の様々な産業が大きな痛手を被っているなかでキーンランド社、そしてファシグティプトン社によるノベンバー(11月)セールが米ケンタッキー州レキシントンで開催された。明暗がくっきりと分かれるかたちとなった両セールのレポートを2回に分けてお届けする。 1)繁殖牝馬史上最高額取引も! ファシグティプトン・ノベンバーセール 11月2日に行われたファシグティプトン社のセールは世界的不況の逆風から苦戦も予想されたが好調で総売上は前年比135%となる7028万ドル、1頭あたりの平均価格は前年比159%となる約77万ドル、100万ドルオーバーで取引された馬も19頭出現するなど、全体的に活発な取引が行われた。 ここでもっとも注目された話題はジャジル、ラグストウリッチズと2年連続でベルモントSへ優勝馬を送り込み、日本のファンにとってはカジノドライヴの母としても知られているベターザンオナー(12歳)が繁殖牝馬としてセール世界レコードとなる、1400万ドル(日本円で約14億円)で落札されたこと。これはあらゆる競走馬のセール取引のなかでも史上2番目の高額取引である。また、1週間前にBCカップジュヴェナイルフィリーズを制したばかりの2歳牝馬スターダムバウントも上場され、このセール2番目の高値となる570万ドル(約5億7千万円)で落札された。 現地の競馬サークル関係者によれば、ファシグティプトン社は今年シェイク・モハメド殿下(ドバイ)の関連する会社に買収され、殿下の全面的な支援を受け話題に富んだ馬を広く集めるなど積極的なマーケティング戦略を展開。その結果、現在の金融不況にもかかわらずセールで活況を見せる結果になったのではないか、とのこと。 殿下の意向がどの程度ファシグ社の戦略に反映されたのか、また今後どのぐらい殿下が「セール・取引」というジャンルに係ってくるかは不明な点が大きい。しかし、いずれにせよ世界の競走馬市場においてモハメド殿下とそのファミリーグループの影響力は計りしれないものがあり、今後もその動向には注目せざるを得ないところである。 (後編ではキーンランドセールの模様をお届けします)