おしらせ
常識ハズレの復活劇!アノ馬に何が!
2月1日、東京競馬場で行なわれた第23回根岸S(GIII・ダート1400m)で、重賞3勝目(うち交流重賞1勝)を挙げたフェラーリピサ(牡5、栗東・白井)。昨夏のエルムS以来5ヶ月の休養明けを乗り越えての勝利だったわけだが、この5ヶ月の休養には、競馬界の常識では有り得ないような壮絶なドラマがあった。管理する白井調教師はこう語る。 「昨年のエルムSを快勝後に原因不明の顔面神経痛のような症状になり、獣医の診断では非常に稀な症状で、これといった治療方法がないということでした」 確かに競走馬に顔面神経痛とは、あまり聞いたことがない。しかし、治療方法がないなか、どのように復帰までこぎつけたのだろうか。 「放牧に出さずに、自厩舎で手探りのリハビリと、それに合った調教メニューを模索しながら、何とか出走までこぎつけることができました。でもまさか…あんなに強い競馬をしてくれるとは…。この勝利はGI制覇以上に嬉しくて、目頭が熱くなりましたね。スタッフの努力に馬が応えてくれて、本当に感無量です」 感慨深そうに根岸Sの感想を述べてくれた白井師。復帰戦であれだけの強い勝ち方をしたからには、当然次の目標が気になるとことだ。 「栗東に帰厩してからも元気いっぱいなので、念願の大目標フェブラリーSに挑戦します。相手は歴戦の強豪ばかりですけど、この馬の能力を見極めるには最高の舞台ですから、是非ともベストの状態に仕上げて出走させてあげたいですね」 感動的な復活Vの先に見据えるは、皐月賞以来2度目、ダートでは初のGI挑戦となるフェブラリーSのタイトル。その舞台は得意にしている東京コース。しかもダートでは底を見せていないだけに、カネヒキリ、ヴァーミリアン、ダイワスカーレット…錚々たるGIホースたちを相手にどんな走りを見せてくれるのか、2月22日を楽しみに待ちたい。 <フェラーリピサ・プロフィール> フェラーリピサは、07年1月にデビュー。芝の新馬戦こそトーセンキャプテンをわずかに捕らえきれず2着に敗れたが、ダートに替わった2戦目から未勝利、ヒヤシンスSと連勝してオープン入り。再び芝に進路を替えスプリングS、皐月賞とクラシック路線を歩んだが共に大敗。その後ダートの交流重賞・兵庫チャンピンシップで重賞初勝利を飾ると、その後は一貫してダート路線で活躍している。 <白井寿昭調教師・プロフィール> 白井寿昭調教師は、78年に調教師免許を取得。厩舎開業初年度の79年こそ未勝利だったが、翌79年、80年は10、7勝と勝ち星を重ね、厩舎開業4年目の81年から昨年まで、27年連続で2ケタ勝利を継続中。フェラーリピサが制した根岸S終了時、通算5640戦661勝。中央重賞はフェラーリピサが挙げた2勝を含め41勝。ダンスパートナー、スペシャルウィーク、アグネスデジタル、メイショウボーラー、フサイチパンドラと5頭のGIホースを育て、計12個の中央GIタイトルを獲得している。中央以外でも交流重賞11勝を挙げており、アグネスデジタルで、海外GI・香港カップも制している。