おしらせ
[天皇賞・春]ディープボンド 阪神施行の恩恵は大[青葉賞]ワンダフルタウン 距離延長は歓迎
■5月2日、阪神競馬場で第163回・天皇賞・春(GI、芝3200m)が行なわれる。
例年、京都競馬場で行なわれている古馬の頂上戦だが、今年は改修工事のため、阪神競馬場で施行される。阪神競馬場で春の天皇賞が開催されるのは、昨年天寿を全うしたビワハヤヒデが優勝した1994年以来、実に27年ぶりのこと。戦後、阪神で施行されたのは、このときを含めて4回しかない。近年はステイヤーの資質を持つ上級馬が限られるせいか、ここ10年で実に3頭もの馬が連覇を達成している。昨年もフィエールマンが前年に続いて優勝したが、同馬はすでに引退。今年は新たな“長距離王”の誕生を目撃できるはずだ。
上位人気に推されるのは、まずアリストテレス(牡4、栗東・音無)だろう。3歳春に若駒S、すみれSとオープンで連続2着に入って力を示す一方、ソラを使う若さを見せて春のクラシック本番には進めず。しかし3カ月の休養を経て夏の新潟で復帰すると、レベルの高い条件戦を連勝。勢いに乗って出走した菊花賞では、コントレイルの無敗3冠をあわや阻止するかという見事な走りを見せて2着に好走した。年が明けたAJCCでは不良馬場をものともせず1番人気に応えて重賞初制覇。だが、続く阪神大賞典でも圧倒的1番人気に推されたが、道中かかる面を見せ、最後も伸び切れずに7着に敗退した。近親にダービー馬・フサイチコンコルドをはじめ、アンライバルドやヴィクトリー、リンカーンなどがいる華やかな一族の出身。世代トップクラスの能力を有しているのは明らかだが、前走で見せたスタミナ不足は気になるところ。最後に急坂がある阪神は例年の京都開催よりもスタミナを求められるはずで、施行場変更の影響を大きく受ける1頭だ。
“最強の2勝馬”カレンブーケドール(牝5、美浦・国枝)も人気を集めるのは間違いない。スイートピーS優勝後、12番人気の低評価で臨んだオークスを2着に激走。重賞制覇は時間の問題と思われたが、紫苑S3着から、4戦連続で重賞2着。その中には秋華賞とジャパンCのGI2戦も含まれている。今年始動戦の日経賞はひさびさに1番人気に推されたものの、ここもやはり2着だった。惜敗続きに陣営も業を煮やしたのか、昨年の有馬記念から長らく手綱をとっていた津村騎手を降ろしたが、それでも勝ち星はつかめず。今回はクイーンC(4着)以来の戸崎騎手へ乗り替わる。安定感があるので馬券の軸には向いているように映るが、3000m以上の出走経験はない。阪神芝3200mを克服できるかどうかは未知数だ。
ふたつ目の金メダルを狙うのがワールドプレミア(牡5、栗東・友道)。京都2歳Sで3着、若葉Sで2着に好走するも骨折を発症し、春のクラシックを棒に振る。復帰戦の神戸新聞杯で3着に入ると、続く菊花賞では武豊騎手の絶妙な手綱捌きでGI戴冠を果たした。初の古馬対戦となった有馬記念でも3着に好走し、古馬になっての飛躍を期待されるが、その後体調が整わず長期休養へ。昨秋のジャパンCで復帰し6着。有馬記念5着を経て、年明け初戦の日経賞で3着と、調子を戻しつつある。登録馬中2頭しかいないGIウイナーの1頭で、長距離戦・菊花賞の勝ち馬ということもあり格的には最上位の存在。だが、その菊花賞はダービー馬も皐月賞馬も不出走、その後重賞を勝った馬が1頭もいない低レベル戦だった。さらに、デビュー来コンビを組んでいた武豊騎手が負傷の影響も考慮され乗り替わりになるのもマイナス材料だ。
ここに来て注目を集めるのは、阪神大賞典を快勝したディープボンド(牡4、栗東・大久保)。上位馬の回避で出走できた皐月賞は10着だったが、次走・京都新聞杯では中団追走から最後熾烈な追い比べを制して重賞ウイナーに。その後もダービー5着、菊花賞4着と大舞台でも掲示板を確保。古馬初対戦の中山金杯は大敗したものの、阪神大賞典ではぶっちぎりの圧勝劇を演じ、GII2勝目を挙げた。2着馬につけた0秒9差は同レース過去20年で最大のもの。しかも力の要る重馬場での勝利だけに、スタミナ面に関しては1ハロン延長もまったく問題ないだろう。阪神での変則開催の恩恵をもっとも受けるのはこの馬だ。
人気になりそうなカレンブーケドールやワールドプレミアを日経賞で下したのは、牝馬のウインマリリン(牝4、美浦・手塚)だ。昨春ミモザ賞に勝つと、続くフローラSも連勝して重賞初制覇。鞍上・横山武騎手にとっても初めての重賞勝利だった。オークスでは後に牝馬3冠を達成するデアリングタクトの2着に好走。秋華賞は15着に大敗するも、続くエリザベス女王杯では歴戦の古馬相手に4着と健闘を見せた。AJCC6着のあと、日経賞では先行策から早めに抜け出し先頭ゴールイン。GI未勝利の牝馬の身ながら、今年の手薄なメンバーならGII2勝は格負けしていない。皐月賞でGI初優勝を成し遂げたノッてる横山武騎手を背に、1953年レダ以来、68年ぶりの牝馬戴冠の快挙なるか。ちなみに牝馬による日経賞制覇も33年ぶりの記録であり、中山芝2500m施行下では初めてだった。
ほかには、天皇賞・春は昨年4着、一昨年5着と善戦している重賞3勝馬・ユーキャンスマイル(牡6、栗東・友道)、青葉賞とアルゼンチン共和国杯を連勝、ダイヤモンドSでも2着に入り、長距離重賞で結果を残すオーソリティ(牡4、美浦・木村)、ダイヤモンドS3着、ステイヤーズS1着とこちらも長距離戦得意のオセアグレイト(牡5、美浦・菊川)など、一発大駆けを狙う伏兵勢もエントリー。過去のデータがアテにならない“仁川のマラソン戦”は真の予想力が試されそうだ。
■5月1日、東京競馬場で第28回・青葉賞(GII、芝2400m)が行なわれる。
牡馬クラシックの第2戦・日本ダービーのトライアルレースで、2着までの馬に優先出走権が与えられる。青葉賞組は過去に一度もダービーを勝ったことがない反面、かつてはシンボリクリスエスやゼンノロブロイなど、後にGI戦線を席巻する活躍馬が本番で2着に入っており、例年注目を集める重要なステップレースである。もっとも、ダービー2着馬を輩出したのは2012年のフェノーメノが最後で、その後は来ても3着止まり。近3年ダービーで馬券に絡んだ馬はおらず、尻すぼみ傾向にある。間隔をあけるローテーションが主流になりつつある現在、中3週で東京芝2400mにおける連続好走を求めるのは酷になってきているのかもしれない。
今年の出走予定馬の中で唯一の重賞ウイナーがワンダフルタウン(牡3、栗東・高橋忠)だ。昨年6月の阪神新馬戦では出負けが響いて2着に敗れたものの、勝ったのは後にホープフルSを制するダノンザキッド。続く新潟の未勝利は圧倒的1番人気に応えて2歳コースレコード勝ち。萩S3着を経て、京都2歳Sでは中団後方から4コーナーで大外を回しながらも、直線で他馬をねじ伏せて重賞初制覇を果たした。今年は弥生賞から始動の予定だったが、爪の怪我のため回避。皐月賞は断念して、ここに出走してくる。1週前の追い切りではCWコースの自己ベストタイムを更新しており、気になる爪の状態も問題なさそう。京都2歳Sでは後に重賞に勝つラーゴムやバスラットレオンを下しており、能力は世代上位に位置する。鞍上の和田竜騎手は「スタミナがあって距離延びていいタイプ」と口にしており、2ハロン延長はむしろ歓迎のクチかも。人気の中心になるのは確実だ。
エフフォーリアが皐月賞で快勝を収めたことで脚光を浴びるのがキングストンボーイ(牡3、美浦・藤沢和)だろう。昨夏の札幌新馬を断然人気で勝ち上がると、続くサウジアラビアRCでも2番人気に支持されるが、出遅れと不良馬場が響いて5着敗退。しかしベゴニア賞では尻上がりのレースラップのなか、後方から差し切る強い競馬を見せた。今年初戦の共同通信杯は4着だったが、勝ったのはご存知・エフフォーリア。2着馬ヴィクティファルス、3着シャフリヤールがともに次走で重賞を優勝し、5着のステラヴェローチェも皐月賞で3着に好走。この“出世レース”での4着が着順以上の評価を得るのは必至と見る。単なる重賞4着馬と見ている競馬ファンは少ないかもしれない。皐月賞勝ち馬でダービーでも2着に走ったエポカドーロの半弟。母のダイワパッションも2歳時にフェアリーS、3歳春にフィリーズRと重賞を連勝しており、血筋的に完成度が早そうなのは魅力。ただし、近年の好走馬のほとんどに2000m以上の勝利経験があり、1800mまでの勝ち鞍しかない本馬にスタミナの裏付けがないのは気がかりなところである。
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※キングストンボーイについて文中の記述を4月27日14時50分に一部修正しております。
【修正前】
この“出世レース”での4着に着順以上の評価を与えていいのは衆目の一致するところだろう。
↓
【修正後】
この“出世レース”での4着が着順以上の評価を得るのは必至と見る。単なる重賞4着馬と見ている競馬ファンは少ないかもしれない。
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2戦2勝の土つかずで出走してくるのがノースブリッジ(牡3、美浦・奥村武)だ。昨年9月の中京芝2000mの新馬戦を逃げ切りでデビュー勝ち。ひと息入れたあと、中山芝2000mの特別戦・葉牡丹賞に出走すると、ここもハナを奪いそのまま後続に4馬身差をつけて先頭ゴールイン。その後、爪に不安が出てレースに使えなかったが、状態もよくなり、ここを目標に丹念に乗り込まれている。近親にローレルゲレイロやディープボンドがおり、前者はNHKマイルCで2着、後者は昨年の京都新聞杯を優勝と、3歳春に結果を残しているのは強調できるポイント。デビューから芝2000mを逃げて連勝しており、持続力のあるスピードは距離が延びてもよさそうだ。
そのほかにも、新馬勝ち直後に挑戦したホープフルSで7着と善戦し、青葉賞と相性のいい山吹賞に勝ったアオイショー(牡3、美浦・中舘)、2015年から2017年にかけ連続で青葉賞勝ち馬を輩出したアザレア賞の勝ち馬リーブルミノル(牡3、栗東・本田)、近親に青葉賞勝ち馬でダービーでも2着に好走したアドマイヤメインがいる水仙賞優勝馬・レッドヴェロシティ(牡3、美浦・木村)、年明けの1勝クラスで豪快なマクリ勝ちを決めて弥生賞では3番人気(7着)にも推されたワンデイモア(牡3、美浦・国枝)など、好走圏内入りがありそうな馬が多数参戦。混戦模様の今年は、栄えあるダービーへの切符をつかむチャンスが各馬にありそうだ。
(Text:sakura kyosuke)
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