おしらせ
【今週の重賞】[安田記念]GI6勝目を狙うグランアレグリア 課題はローテか
■6月6日、東京競馬場で第71回・安田記念(GI、芝1600m)が行なわれる。
春のマイル王決定戦・安田記念。過去の勝ち馬を見ると、ロードカナロアやジャスタウェイ、モーリス、さらにさかのぼればウオッカやダイワメジャー、アグネスデジタルといった歴史的な優駿がそのリストに名を連ねている。反面、2016年モーリスや2019年、2020年のアーモンドアイなど圧倒的人気を背負った1番人気が頭を取りこぼしたりする、馬券的に波乱の多いレースという性格も。暑さが増すうえ、連戦の疲れが出る春シーズン末期という時期的な設定が、平穏な決着を妨げるのかもしれない。
今年の1番人気は昨年の覇者・グランアレグリア(牝5、美浦・藤沢和)で決まりだろう。デビュー戦以降、重賞戦線でほぼ勝ち負けの走りを続けており、GIは5勝、マイル重賞も5勝。昨年の安田記念ではあのアーモンドアイを撃破し、前走のヴィクトリアマイルも2着に4馬身差をつける圧勝劇。すでに史上最強レベルのマイラーといっても過言ではない。課題はただひとつ、前走から中2週の臨戦過程。負けるはずのない相手に4位入線(降着で確定着順は5着)したNHKマイルCは遠征競馬からの中3週が響いたもの。もともと気性面に難があった馬なので、その後はゆったりとした間隔でしかレースに使われていない。もっとも詰まったローテでも前走の中5週が最短。またデビュー以来、3連戦したことがない。今年初戦の大阪杯(4着)は初の距離2000mを悪馬場で走って少なからず疲れもあったはず。中18週→中5週→中2週と続くローテがどう出るか。死角はその一点のみだ。
4歳勢の大将格はサリオス(牡4、美浦・堀)になるか。朝日杯FSを制してクラシック有力候補となるも、皐月賞、ダービーと続けてコントレイルに敗退。秋は菊花賞路線に進まず、初の古馬対戦となる毎日王冠を快勝。続くマイルCSはグランアレグリアに次ぐ2番人気に支持されたものの、大外枠が災いし5着止まり。今年初戦の大阪杯も道悪が向かなかったか、同じく5着に終わった。東京芝1800mの毎日王冠で強い勝ち方を見せているが、そのときの斤量は54キロだった。今回初の58キロを背負って歴戦のマイラーたちに伍すことができるか。管理するのはこのレース3勝の名将・堀師。昨年有馬記念で2着に走った半姉・サラキアを見ても潜在能力があるのは間違いない。ただし、その半姉が本格化したのが5歳後半であり、現時点での完成度については気がかりである。
マイルGIの舞台なら一昨年の覇者・インディチャンプ(牡6、栗東・音無)も黙ってはいない。2019年東京新聞杯で重賞初勝利を飾ると、マイラーズC4着を挟んで安田記念を制覇。秋にはマイルCSにも勝ち、同年のJRA賞最優秀短距離馬に輝いた。昨年もマイラーズC優勝後、安田記念で3着、マイルCS2着と力を示す。その後はより短い距離を模索し、阪神C3着、阪急杯4着ときて、目標の高松宮記念は3着だった。マイル実績は申し分なく、レース適性も問題なし。ただし距離を縮めた近3戦は明らかにパフォーマンスを落としており、それが距離適性によるものなのか、あるいは年齢的な衰えなのかは慎重に見極める必要がある。また昨年のマイルGI2戦ではグランアレグリアに完敗しており、すでに勝負付けは済んでいる。
台風の目になりそうなのが、3歳で参戦するシュネルマイスター(牡3、美浦・手塚)だ。父はマイルGIを4勝し欧州年度代表馬にも輝いた名マイラー・キングマン。母は独オークスの勝ち馬という良血で、ノーザンファームが海外生産した馬である。中山マイルのひいらぎ賞で強い走りを見せたあと弥生賞に出走。血統背景から距離不安も囁かれたが2着に好走する。そしてNHKマイルCではC.ルメール騎手の手綱に導かれGI制覇を達成した。今年のメンバー相手に能力面では現状、太刀打ちできないだろう。しかし古馬と比べて実にマイナス4キロという斤量54キロはあまりにも有利。それまでGIはおろか重賞勝ちすらなかったリアルインパクトが11年に本レースを優勝したのも、54キロの“ハンデ”の恩恵が大だった。ルメール騎手が乗らないことも含めて、取捨にもっとも悩まされる一頭だ。
上昇度という点ではケイデンスコール(牡5、栗東・安田隆)の名が挙がる。新潟2歳Sに優勝し、NHKマイルCでは14番人気のノーマークの身で2着に突っ込み、観衆を騒然とさせた。しかしその後は長いスランプに陥り、馬券圏内ゼロの8連敗。多くの人が早熟馬だったか……と思っていたのだが、今年の京都金杯では岩田康騎手のイン差しが決まり、12番人気での大穴勝利。好走歴皆無の右回り、しかも1ハロン長いと思われた中山記念でも2着に好走。そしてマイラーズCは急遽の鞍上変更にも関わらず先頭ゴールインを決め、完全復活&本格化を世に知らしめた。近親に重賞7勝のバランスオブゲームと重賞6勝のフェイムゲームがおり、若駒時から高齢まで息長く活躍できるのはこの血筋の特徴のよう。古馬一線級との対戦はこれが初めてで、通用するかどうかは未知数なものの、充実度はメンバー随一。手綱が岩田康騎手に戻るのも好材料だ。
ほかには、昨年のNHKマイルC勝ち馬で、前走京王杯SCを制して調子を上げてきているラウダシオン(牡4、栗東・斉藤崇)。鞍上のM.デムーロ騎手がオークス優勝でノッてきている点も見逃せない。2017年朝日杯FS優勝馬で重賞5勝のダノンプレミアム(牡6、栗東・中内田)、2019年ダービー2着馬で、昨年の大阪杯では1番人気(3着)にも支持されたダノンキングリー(牡5、美浦・萩原)、3連勝で東京新聞杯を制し、重賞ウイナーの仲間入りを果たしたカラテ(牡5、美浦・高橋祥)など、不気味な面々もスタンバイ。登録段階で15頭と頭数は寂しくなりそうなものの、メンバーレベルは濃く、白熱した戦いが期待できそうだ。
(Text:Hattori)
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