おしらせ
【メルボルンC・2011】現地からの直前レポート
今年も南半球最大の競馬の祭典、メルボルンC(フレミントン、GI・芝3200m)の季節がやってきた。スプリングレーシングカーニバルと銘打ち、この日と前後して近隣の各競馬場も含めて1年で一番の盛り上がりを見せている。 メルボルンCはオーストラリアの国を挙げての関心ごとで、メルボルンのあるヴィクトリア州などはこの日は祝日としてお休み。その他のエリアでも、「今日はメルボルンCだから」という理由で仕事をサボってもお咎めがないという冗談のような話もある。 電柱の1本1本からショッピングモールまで街のあちこちがまさに競馬一色。この日はメルボルンC名物のパレードが行われたが、路面電車をはじめとした市内の交通機関がストップしても誰も文句を言うようなことはなく、パレードが行われるスワンストン通りにビッシリと人垣を作っていた。 パレードで一番の歓声が上がったのが、このレース12回の優勝実績を持つ生ける伝説バート・カミングス調教師の乗ったオープンカーが観客の前を通ったときだ。昨年は断然の支持を集めたソーユーシンクを送り込みながら3着に敗れたが、今年は伏兵の立場としてプレセデンス(セン6)とイーロ(牡6)の2頭で挑む。こういった気楽な立場のときほど怖い存在である。 また、今年のメルボルンCは、ソーユーシンクという絶対的な支持を集めるヒーローの不在で混沌の様相。メジャーな前哨戦とされるコーフィールドカップ(コーフィールド、GI・芝2500m)やコックスプレート(ムーニーバレー、GI・芝2040m)の勝ち馬の出走がないことからもその状況は頷ける。 目下、1番人気に支持されているのが、昨年の覇者でフランスから遠征のアメリケン(牡7)だ。昨年の54.5キロから、今年は58キロのトップハンデを課せられての出走になる。昨年のこのレース以来、実は勝ち星から遠ざかっていたが、地元でステップとして使った10月22日のムーニーバレーカップ(ムーニーバレー、GII・芝2500m)でゴール前軽々と抜け出す大楽勝を見せた。調教で見せる走りも昨年同様キビキビとしており、よほどこの地の水が合うようだ。管理するアラン・ド・ロワイヨデュプレ調教師は「どんなレースでも、2年続けて勝つのは容易じゃないし、ましてはメルボルンC、簡単じゃないよ。でもね、彼を信じているよ」と謙虚さの中にも自信をのぞかせている。 これに続く2番手グループまさに群雄割拠。実績では愛セントレジャー(カラ、GI・芝2800m)でダンカンとの同着優勝を経てここに臨むジュークボックスジュリー(牡6)が筆頭で、フランスからの遠征馬で昨年のアメリケンと同様にこちらの有力ステップであるジーロンC(ジーロン、GII・芝2400m)を勝ったドゥナデン、そしてメルボルンCの3日前に行われたこのレースへの最終便と言われるレクサスS(フレミントン、GIII・芝2500m)を快勝したニオット(セン7)らの名前が挙がっている。 なかでも注目したいのがドゥナデン。管理するのがミケル・デルザングル調教師とくればピンとくる人も少なくないはず。メイショウサムソンが凱旋門賞に遠征した際の受け入れ先であり、現在長期遠征中の田中博康騎手の面倒も見ている人物だ。このドゥナデンの調教にも田中騎手は跨った経験があるというのであるから、日本人なら応援したくなろうというもの。また、当初は騎乗予定であったクレイグ・ウィリアムズ騎手が、直前の開催で騎乗停止処分を受けたが、この代打としてクリストフ・スミヨン騎手を起用する予定となっている。間際のドタバタ劇のためこの時点でもまだ確定ではないものの、もしスミヨン騎手が騎乗するようなら、これまた日本の競馬ファンに縁深い騎手だけに、注目の度合いが上がりそうだ。(土屋 真光) ★「競馬・日本代表を応援しよう!」海外競馬特集はコチラ! ★海外競馬ネタ盛りだくさん【平松さとしコラム】はコチラ ★ハイランド真理子がお届けする【世界オモロイ競馬ニュース】
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