【弥生賞】サトノクラウン　ポテンシャルは世代NO.1

3月8日、中山競馬場では3着馬までに優先出走権が与えられる皐月賞トライアル、弥生賞（GII、芝2000m）が行われる。

重賞ウイナーが大挙集結する一戦だが、その勝ちっぷりにもっとも大物感が漂っていたのはサトノクラウンの東京スポーツ杯2歳S勝ちだろう。新馬戦から中3週での関東臨戦。そのためかゲートでチャカつくなど落ち着きがなく、レースでも後手に回って直線ではほぼ行き場がなくなる苦しい展開に。万事休すかと思われたが、狭いところをこじ開けるように割って入り、残り100m過ぎで進路が開けると弾けて一気に他馬を差し切ってみせた。鞍上ライアン・ムーア騎手の手腕に拠るところは大きかったながら、馬に応える力があったからこその結果。精神面はともかく、総合的なポテンシャルは世代ナンバーワン級なのは間違いない。今回が3カ月半の休み明けとなり、仕上がり具合が焦点か。1週前の木曜、美浦へ駆け付けた福永騎手が跨ってウッドコースで追われたが、時計は平凡ながらも古馬オープンを含む先行馬2頭に先着。途中ラップを緩める“堀流”の調教パターンにも動じることなく、ピタリ折り合えていた。動きは申し分なく、馬体の張りや毛ヅヤも上々。ブランクを感じさせない仕上がり状態にある。

シャイニングレイはオープン特別からGIIに格上げされ（正しくは旧ラジオNIKKEI杯2歳Sの格上げ移設ではあるが）、初の開催だったホープフルSの初代ウイナー。揉まれずに好位外めからスムーズなレース運びが叶ったからにせよ、最後は鞍上が手綱を緩める余裕さえ見せての完勝だった。キャリア1戦1勝の身で初の関東遠征をこなし、スローペースのなかしっかり折り合いラストに弾けることができたあたり、競馬センスは相当高そうだ。賞金的には十分余裕があり、ここでシャカリキになる必要はないはずだが、2週前に坂路4F51秒3（一杯）、1週前は50秒8（一杯）と猛時計を連発。お釣りを残しているであろうつくりでこれだけのタイムが出ていると考えれば、センスだけでなくエンジン性能そのものも超抜の域にありそう。行き掛けの駄賃とばかりにこのレースをかっさらって行って不思議はない。

11月16日の500万特別をそつのない立ち回りから勝利したベルラップは、中1週で臨んだ前走京都2歳Sでも好位で上々の立ち回りを見せ、最後はクビ差でタイトルをもぎ取った。追われてヨレるあたりはまだ若さが残っているが、競馬センスと勝負根性は間違いなく世代上位のものがあり、ここでも上位争いに加わってくるだろう。前々走が7頭立て、前走が8頭立てのレースでの勝利で、今回も登録馬が11頭と比較的頭数が収まったレースとなるのはこの馬にとって好材料。放牧からの帰厩後は坂路で入念過ぎるほどに追われており、2週前の時点で坂路4F51秒7（一杯）をマークするなど、緩んだ雰囲気は皆無だ。

好メンバーの揃っていた新設重賞いちょうSを未勝利勝ちから中1週での関東遠征ながら、レコードタイム更新のオマケ付きで勝利したのがクラリティスカイだ。前走のGI朝日杯でもいったん先頭に立ち、見せ場を十分に作っての3着。跳びが大きいタイプで東京、阪神外回りがハマった感はあるにせよ、その器はかなり大きそうだ。ひと息入っているが帰厩後はひと追いごとに気配を上げてきており、川須騎手（レースは横山典騎手を予定）が騎乗したウッドでの1週前追いでは1秒以上先に行かせた古馬1000万下を追い詰め同入に持ち込むなど、ほぼ万全の仕上がりと言っていい。血統面から距離に不安なし、と陣営は目論んでおり初の中山コースを苦にしなければ争覇圏突入は可能だろう。

トーセンバジルは過去2敗を喫しているが、いずれも素質馬ティルナノーグと接戦を演じた末に敗れたもの。前走の500万条件勝ちが同じ中山芝2000mだし、初の重賞挑戦ながら見劣る感はない。短期放牧からの帰厩後はここを目標に狂いなく調整され、意欲的に併せ馬を消化できている。1週前追いはこちらが岩田騎手騎乗、先方が体重の重い助手が騎乗していたとは言え年長のオープン馬に対し追走先着を果たした。重賞勝ち勢と異なり、ここでの権利獲りが至上命題なだけに余念のない仕上がりで臨んでくるはずだ。

グァンチャーレは、5着までがアタマ＋ハナ＋クビ＋クビという大接戦だった前走シンザン記念を勝利。中山2000mへの条件替わりがどうかだが未勝利勝ちは小回り小倉の芝1800m戦で、前走後に鞍上武豊騎手が「マイルがギリギリなぐらいで、距離は長いほうがいい」と言っていたこともあり、むしろ歓迎のクチだろう。ひと息入れてリフレッシュした効果か馬体はふっくらと見せ、そのおかげで攻めもしっかりこなせている。武豊騎手が跨ったウッドでの1週前追いでは、手応えにお釣りを残して軽快な切れを披露。前走と同レベルのデキにありそうだ。

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