【桜花賞】2歳女王メジャーエンブレム　攻め抜いた調整

4月10日、阪神競馬場で桜花賞（GI、芝1600m）が行われる。

メジャーエンブレム（牝3、美浦・田村）は、GI馬の称号を引っさげ臨んだ前走クイーンCで圧巻のレースぶりを見せた。1000m通過57秒8というハイペースを自ら作り出し、直線に入るとあっという間に後続を突き放しての逃げ切りVで、1分32秒5の勝ち時計は冬の東京開催における歴代2位タイ。進化を続ける2歳女王が堂々の主役として桜の舞台に向かう。中間は短期放牧を挟んだが、帰厩最初のウッド追いで抜群の伸びを披露。1週前のウッド追いは、形としては単走だが5秒以上先に行かせた馬を目標に序盤から軽快に進むと、ラスト1Fでは射程圏内に捉えようかという動きを見せた。直線ではしっかり負荷を掛けられ、時計は5F64秒6（一杯）と破格のもの。ここまでビッシリと追ったのはデビューから初めてのことで“断然の1強”ムードに奢ることなく、攻めに攻め抜いてきた印象だ。今週は流す程度で大丈夫だろう。

シンハライト（牝3、栗東・石坂）はここまで無傷の3連勝。前走チューリップ賞ではジュエラー（シンザン記念2着）、デンコウアンジュ（アルテミスS1着）、ウインファビラス（阪神JF2着）らを下したことで、打倒メジャーエンブレムの最有力馬に躍り出た。道中で折り合えて、ラストにしっかり弾ける競馬センスの高さが持ち味だが、2走前そして前走といずれもハナ差の争いを制しているように勝負根性も抜群。2歳女王との追い比べに持ち込めれば、Vの可能性は十分ありそう。前走時で430キロと華奢な馬だがこの中間、馬体維持に汲々としておらずしっかり攻められているあたり、体調の良さが窺える。池添騎手が跨った1週前追いでは仕掛けられての機敏な反応を見せた。ひと息入っていた前走を叩かれ、気配は順当に上昇しているようだ。

ジュエラー（牝3、栗東・藤岡）は、デビュー2戦目で牡馬相手のシンザン記念に挑み、メンバー最速の末脚から2着に入った。器は世代トップ級と見て差し支えないだろう。前走チューリップ賞は1番人気に応えられず、シンハライトの驚異的な粘りの前に屈したが道中で窮屈だったことを考えれば、勝ちに等しい走破内容だった。評価は揺るがない。前走時は体つきにやや余裕があり、その分この中間はしっかり攻め込めているあたりは好感が持てる。1週前追いでは古馬相手に追走先着を果たし、坂路4F51秒6（一杯）と自己ベストをマーク。上昇度で言えばシンハライト以上か。

1、2着馬に切れ味の違いを見せ付けられた感のあるチューリップ賞3着馬ラベンダーヴァレイ（牝3、栗東・藤原英）だが、減った体が戻ったものとは言えプラス20キロと走りやすい状態ではなかったはずだし、直線では狭くなるシーンがありながらの健闘だった。3カ月半ぶりの一戦を使われた上積みを考えればここでも上位争いに加わってきておかしくない。馬体維持が念頭にあるのか、中間はやや緩めの調整だが、1週前追いではオープン馬フィエロを追い詰める動きを見せていた。これだけ動ければ大丈夫だろう。

レッドアヴァンセ（牝3、栗東・音無）は“出世レース”として知られるエルフィンSの勝ち馬だ。3番人気に支持された前走チューリップ賞は8着と案外な結果に終わったがエルフィンS好走の反動か、馬体重はマイナス14キロ、しかも最後に枠入れとなる大外枠が祟って駐立仕切れない状態からのゲートオープンとなり、出遅れてしまったもの。直線はこの馬なりに伸びてはいるし、情状酌量の余地はある。GI舞台で巻き返したいところだろう。中間の攻めは緩めで、上積みは強調しづらいが減っていた体は徐々に回復しつつあり、前走よりはいい状態での出走が叶いそうだ。

前走のフィリーズRで勝利を収めたソルヴェイグ（牝3、栗東・鮫島）は、ダイワメジャー産駒らしい先行力が魅力だ。500万条件を勝ち切れないとあって、フィリーズRでは8番人気に留まっていたがインで巧みに立ち回り、2着に1馬身以上の差を付け完勝。枠や馬場に恵まれた印象があるにせよ、GIIの舞台で見事に才能を開花させている。クラシック本番とあって当然相手は一気に強化となり、マイル戦も初めて。試金石の一戦となるが、前々でレースができる強みを活かして粘り込みたい。新コンビとなる蛯名騎手が駆け付けた1週前追いでは、終いでスムーズな伸びを見せた。鞍上の指示にしっかり従い、折り合えていたあたり、あと1Fはなんとかなりそうだ。

7分の4となる抽選対象組では、2004年の桜花賞馬ダンスインザムードを母に持つカイザーバルが、注目の存在か。桜花賞と同じ阪神芝1600mで迎えたデビュー戦は2着に4馬身差をつける圧勝。その後は輸送による馬体減や道悪の影響もあり人気に応えられないレースが続いたが、前走500万特別の君子蘭賞でようやく2勝目を挙げた。しっかり脚が溜まった際の切れ味は重賞でも通用の雰囲気があり、GIのここでも流れひとつで上位進出がありそう。出走となれば中1週となるが、中間に15-15を消化できており、この馬なりの好調はキープか。

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