【今週の重賞】[菊花賞]サトノダイヤモンド　ラスト1冠獲りへ視界良好　[富士S]ロードクエスト　高いレベルで安定

■10月23日、京都競馬場で牡馬クラシック3冠の最終戦・菊花賞（GI、芝3000m）が行われる。

サトノダイヤモンド（牡3、栗東・池江）は皐月賞で3着、日本ダービーではハナ差の2着と悔しい結果が続いた。前走の神戸新聞杯は2着にクビ差と見た目は辛勝だったが、折り合いに手を焼きポジションを下げる場面がありながらも直線ではスッと進出し、ゴール前の追い比べでは食い下がる2着馬をねじ伏せるという内容。叩かれてガスは抜けただろうし、気配も順当に上昇している。ラスト1冠獲りへ視界良好だ。常に攻めでは良く見せるタイプだが、その分を差し引いたとしても1週前追いが圧巻の内容だった。その週出走予定のオープン馬サトノラーゼンを相手に、栗東ウッドコースで併せ馬。4馬身ほど追走し、直線では内に潜り込み重心をグッと下げて加速を開始する。ゴール手前での動きの差は歴然で、最後は3馬身先着を果たしてみせた。ゴールを過ぎてもグイッと追われたあたりは、体調面絶好の証。前走快勝の反動は感じられず、申し分ない状態にある。

ディーマジェスティ（牡3、美浦・二ノ宮）は、半兄に札幌日経オープンで3着のワールドレーヴ、叔母にステイヤーズSで2着があるエルノヴァ。血統的に3000mは歓迎のクチだろう。前走のセントライト記念は勝負どころで外、外とポジションを上げると追い出しをワンテンポ遅らせる余裕を見せながら、各馬を退け皐月賞馬の貫禄を示した。スタミナ、そして立ち回りの巧さと切れを高いレベルで兼ね備えており、初となる関西圏でのレースがどうかだが、まず主役争いに加わってくるだろう。1週前追い切りには蛯名騎手が騎乗。形としては単走だが、大きく前を行く僚馬を一応の目標としてリズムよく進み、ビシッと追われた直線では矢のような伸び脚を披露した。フットワークには力感が溢れており、春より更に凄みを増している印象だ。順調そのもので、上積みは顕著。

ミッキーロケット（牡3、栗東・音無）は前走の神戸新聞杯でメンバー最速の脚を使い直線半ばでは先頭に躍り出んかの態勢を見せた。結局サトノダイヤモンドの頑強な抵抗に遭いクビ差2着に終わったが、3着とは3馬身差。夏の北海道シリーズで稼働し2勝を上積みした勢い、そして地力強化を強く印象付ける走りだった。前走で大きく体を減らしていたため、この中間は馬なりオンリーの調整が続くが、栗東坂路での1週前追いで4F52秒4-1F13秒1(馬なり)と、悪くない時計をマーク。大幅上積みまでは強調できないが、依然いい状態を維持できているようだ。

レッドエルディスト（牡3、栗東・笹田）は青葉賞で2着、神戸新聞杯で3着と健闘。未勝利戦が京都芝2200m、500万特別勝ちが中京芝2200mとあって、ゆったり運べる長距離戦で強いタイプだろう。日本ダービーは出遅れが祟り、9着。改めてここで真価発揮の走りを見せたい。1週前追いは坂路で終いをしっかり伸ばされる稽古を消化し、いい頃の迫力を取り戻しつつある。16日の日曜追いでは僚馬エアスピネル（牡3、栗東・笹田）に遅れてしまったが、これは相手が走りすぎた感。レッドエルディスト自身、悪くない伸びを見せており、今週のひと追いで仕上がってきそうな雰囲気だ。

プロディガルサン（牡3、美浦・国枝）は昨年の菊花賞でクビ差2着、今年のドバイターフで晴れてGIホースとなったリアルスティールの全弟。日本ダービーでは10着に終わったが、前走のセントライト記念では勝ち馬ディーマジェスティに寄られる不利がありながら3着を確保してみせた。折り合い面も含め進境著しく、上位争いに食い込んできそう。前走時はいささか余裕を持たせた仕上げだったが、この中間は美浦ウッドコースを長めから追われ、稽古駆けする古馬をアオりにアオッて併入フィニッシュするという意欲的な稽古を消化。上積みは大きい。

ウムブルフ（牡3、美浦・堀）は、未勝利勝ちのみの立場で皐月賞へ挑んだが1秒7差の10着に終わった。しかしその後同世代相手の500万特別を勝ち、そしてひと息入れて臨んだ前走札幌の1000万特別で5馬身差の圧勝。着実に力を増している。前々走が芝2400m、前走が芝2600m。ドイツ賞（現在のベルリン大賞）の連覇など、欧州で芝2400mのGIを4勝した名馬ウンガロがいる重厚な牝系の出で、長距離適性は抜群のものがありそう。その後休養を挟み、減っていた体は順調に回復。馬体面への懸念がなくなったことで、帰厩後はしっかりと負荷を掛ける調整が施されている。美浦ウッドコースでの1週前追いは僚馬マウントロブソン（牡3、美浦・堀）、エルマンボとオープン馬2頭を相手にした3頭併せ。隊列の中央から、抜群の手応えでグイグイと伸びて一杯に追われたマウントロブソンと併入を果たした。脚色では圧倒しており、デキはかなり良さそう。輸送を控える今週は、サラッと流す程度で大丈夫だろう。

■10月22日、東京競馬場で富士S（GIII、芝1600m）が行われる。

ロードクエスト（牡3、美浦・小島茂）は新潟2歳Sを快勝、NHKマイルで2着。そして前走、秋初戦だった京成杯AHで豪快な差し切り勝ちを収めた。春は皐月賞、日本ダービーとクラシックでも使われたが、適性はやはりマイルにありそう。相手は前走から強化された感はあるが、マイルCSへ向け、ここも通過点としたいところだろう。1週前追いは美浦坂路で2頭を追う併せ馬で、インに進路をとって楽に併入を果たした。切れ味はもちろんだが、道中の落ち着きも抜群。高いレベルで安定している。

ヤングマンパワー（牡4、美浦・手塚）は、前走の関屋記念で重賞2勝目。古馬となってからは足踏みが続いていた印象だが、そつのない立ち回りと切れ味を見せ勝ち切った前走の内容から、目下の充実ぶりが窺える。夏場にもかかわらず、馬体重プラス12キロで出走していたあたりも成長を物語るもの。中間はここを目標に坂路でしっかり調整されており、好気配にある。重賞連勝の可能性十分。

皐月賞馬イスラボニータ（牡5、美浦・栗田博）は、昨年のマイルCSで3着がある。勝ち鞍からは2年以上遠ざかっており、今年に入っての成績も振るわないが底力は最上位。過去東京で4勝、天皇賞・秋では3着に入るなどコース適性は申し分ない。鉄砲でも走れる気性だし、斤量58キロを克服すれば首位争いに加わってきていい。

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