【先週のお別れ】福島で大波乱を起こしたアノ馬が登録抹消

[3月30日抹消]
マデイラ（牡8、栗東・荒川）
通算成績
43戦4勝

デビュー2連勝、ファンタジーSで4着（勝ち馬スイープトウショウ）したマチカネエンジイロの第2仔。父はクロフネ、ひとつ下の弟にはこちらもデビュー2連勝し、GI・朝日杯FSで3着などしたゴッドフリートがいる。キャロットクラブにて一口価格4万5000円、総額1800万円で募集され、のち栗東の荒川義之厩舎で管理された。

2011年10月末の2歳デビュー戦から、2016年いっぱい（7歳シーズン）まで走り、全43戦で4勝。1番人気に推されることは1度もなく、また、特にこれといったタイトルを勝ち得た訳でもなかったが、幾度となく馬券ファンの評価を覆す掴みどころのない競走生活だった。デビュー戦は8番人気の低評価に反発し、後方大外から豪快な差し切り勝ち。……が、2勝目が遠く、次の美酒に酔うまでにおよそ2年2カ月・18戦のキャリアを要す。ただ、5歳シーズンを迎えた2014年の年初から急遽覚醒し、4カ月のあいだに3勝を上乗せ。瞬く間にオープンクラスへと駆け上がった。

最も熟成された飲み頃だったのは2015年7月の七夕賞。

オープン入り後、クラスの壁に阻まれ苦戦の走りが続いていた同馬とあって、当日は16頭中の最低16番人気。しかも相手は京都1800m日本レコードホルダーのグランデッツァや、重賞4勝・香港C2着のトウケイヘイロー、復調気配にあったGI馬アルフレードなど錚々たる面々。結果は目に見えているかと思われたが、レースでは最軽量ハンデ52キロの恩恵、また、好位インをそつなく追走させた大野騎手の手腕も光り、勝ち馬グランデッツァから0秒3差3着に奮戦した。複勝は4000円、3連単100万6440円は当レース史上最高払い戻し金額となっている。

その後は馬券に絡むことはなかったとはいえ、同年のディセンバーSで10頭中8番人気で4着、2016年7月函館記念ではこれまた16頭中16番人気で4着、ラストランとなった同年12月のディセンバーSでも14頭中13番人気を覆し4着に健闘。7歳シーズン終了までのおよそ5年2カ月、大きな怪我なくJRA全10場すべてを渡り歩いた。

なお、8歳となった今年も現役続行の予定だったが、中間過程で脚元に故障を発症。レースには出走することなく、そのまま競走馬登録抹消となっている。

[3月30日抹消]
カオスモス（牡7、栗東・森）
通算成績
33戦3勝

祖母は社台ファーム生産のサンデーサイレンス産駒ながら、欧州でデビューし仏で重賞勝ち、英オークスで4着に入ったサンデーピクニック。そのサンデーピクニックの仔にデビューから無傷3連勝でアーリントンCを勝ったトーセンキャプテン（父ジャングルポケット）、そして素質馬と期待されるも中央で1回走ったのみ（10着）で、故障により現役を退いたメアリーズガーデンがおり、カオスモスはそのメアリーズガーデンの初仔として2010年に生を受けた。2011年の北海道サマーセールにおいて、小田吉男さんに420万円で落札され、同氏の所有馬として栗東・森厩舎入り。ちなみに馬名は「混沌（カオス）と調和（コスモス）からの造語」とのこと。

大型馬で、デビュー前に熱のこもった稽古を再三こなしながら太めが残る体で迎えた2012年6月のデビュー戦だったが、好位からなんなく差し切り勝ちを収め、素材の確かさをアピール。その後京王杯2歳Sでの3着など、オープン級で好走を続け、同年12月の千両賞ではそつのない立ち回りから2勝目をモノに。自己条件では力が違った。ちなみにここで1馬身1/4差の2着だったのが、後のGI馬コパノリチャードだ。明けてシンザン記念で4着、アーリントンCで2着（このレースでは、コパノリチャードがリベンジを果たす格好で優勝）と、引き続き健闘。順調に行けばNHKマイルCで上位人気の一角を占めるかと思われたが、その後骨膜炎を発症し1年弱の休養を余儀なくされる。

2014年の1月、オープン特別のニューイヤーSで復帰。ここではプラス16キロという体を持て余すような感じでブービー15着に終わったが、続く洛陽Sで3着と一変の姿を見せると、復帰4戦目だった同年4月のダービー卿CTでは勝ち馬カレンブラックヒルにクビ差の2着に入る。その後クラス再編で準オープンへ降級したが、3戦目で勝ち上がり、以降はオープン級の芝マイル戦常連馬として活躍を続けた。

なお、2017年2月26日には、その日が引退デーだった武幸四郎騎手を鞍上に迎え、同騎手にとって最後の重賞挑戦となる阪急杯に出走。果敢に主導権を握ってレースを進めたが、10着に終わった。そしてJRA所属としてのラストランは3月26日の六甲S（11着）。なお、このレースに騎乗した新人・川又騎手にとって、これが初のメインレース登場かつ初のオープンクラスでの騎乗だった。新旧騎手の去来を思い出に、カオスモスは中央の舞台へ別れを告げている。今後は地方への移籍が濃厚だ。

3月27日?4月2日までの登録抹消は他89頭。

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