【今週の重賞】[安田記念]アーモンドアイ　貫禄の違い見せるか[鳴尾記念]好素材ギベオン　巻き返し狙う

■6月2日、東京競馬場で安田記念（GI、芝1600m）が行われる。

牝馬3冠＋ジャパンCを制し、昨年の年度代表馬に選出されたアーモンドアイ（牝4、美浦・国枝）。今季初戦は自身初の海外遠征となるドバイターフで、環境への慣れや調整に苦労はあったはずだが、早めに抜け出すと経験豊富なヴィブロスらを封じてみせた。これでGIは5連勝。現時点でJRA最強の存在と言って差し支えない。今回も海外帰りの中8週で調整面の難しさはあるだろうが、その懸念を凌駕するポテンシャルの持ち主。マイルは久々ながら、スピードの持続力にモノを言わせるタイプだし桜花賞など3戦して3勝なだけに問題はない。国内復帰戦で貫禄勝ちを見せ付けたいところだ。2週前追いでは序盤から前向きな走りを見せ、先週はC.ルメール騎手を背に抜群の折り合いぶりを披露した。疲れは感じられず、至極順調。

ダノンプレミアム（牡4、栗東・中内田）は、一昨年の朝日杯FSで2着ステルヴィオに3馬身半と決定的な差をつけ2歳王者の座を掴んだ。昨年は皐月賞回避、ぶっつけの日本ダービーが僅差ながら6着、秋は蹄の不安で全休と不本意なシーズンに終わったが、今年に入り金鯱賞快勝、マイラーズC快勝と輝きを取り戻している。ここまでダービー以外すべてで勝利の7戦6勝、マイルでは3戦3勝。アーモンドアイ相手でもまったく見劣らない大器が、2つ目のGI獲りへ虎視眈々だ。中間は在厩で調整されており、順調に調教メニューを消化。先週は川田騎手が騎乗してコースで好タイムをマークし、これが実質の最終追いだった。あとは微調整程度でよく、目論見通りピークのデキで臨めそうだ。

アエロリット（牝5、美浦・菊沢）は、2017年のNHKマイルCを制し昨年このレースではクビ差2着。前走のヴィクトリアマイルは5着に終わったが、海外遠征帰りながら1000m通過56秒1、1400m通過1分18秒8（タワーオブロンドンの東京芝1400m戦レコードが1分19秒4）と衝撃のハイラップを刻んでの逃走から踏ん張ったものだった。能力は超一流の域にあり、コース適性の高さを考えれば今年も勝ち負けの競馬となる可能性十分だ。前走から中2週とあって先週金曜日にウッドコースで流されたのが中間の初時計だが、気分良く終いの脚を伸ばせていた。一定の上積みはありそう。

ほか、昨年の覇者モズアスコット（牡5、栗東・矢作）、昨年のマイルCSを制したステルヴィオ(牡4、美浦・木村）、2月の東京新聞杯で強い勝ち方を見せたインディチャンプ（牡4、栗東・音無）、一昨年のマイルCS勝ち馬ペルシアンナイト（牡5、栗東・池江）らも春のマイル王の座を狙う。

■6月1日、阪神競馬場で鳴尾記念（GIII、芝2000m）が行われる。

ギベオン（牡4、栗東・藤原英）は、昨年春に毎日杯で2着、NHKマイルCで2着に入り、12月の中日新聞杯で重賞初勝利。スピードと瞬発力を兼備しており、母は米でGIを2勝という血統背景も頼もしい好素材だ。今年に入りパンチを欠くが、金鯱賞はさすがに相手が強かったし不本意な2番手で脚が溜まらなかった。前走のダービー興CTはハンデ57.5キロが厳しく距離も忙しかったか。中距離路線の主役級入りを目指し、好相性の阪神で巻き返したいところだろう。2週前、先週とコースでシャープな動きを見せており、2カ月ぶりを思わせない仕上がりにある。

メールドグラース（牡4、栗東・清水久）は、精神面肉体面の強化ぶりが著しく今年に入り2勝クラス、3勝クラスと連勝後、ひと息入れて臨んだ新潟大賞典で重賞初挑戦初制覇。今回は別定戦となり斤量2キロ増、相手関係も強化されるが、目下の充実度からすればあっさりの可能性まで。前走好騎乗を見せたD.レーン騎手が引き続き鞍上なのも好材料だ。先週土曜にウッド6F77秒2の猛時計を叩き出しており、勝ってさらに気配上昇のよう。

ほか、重賞初勝利を狙う良血馬タニノフランケル(牡4、栗東・角居）、快速脚質が阪神開幕週の馬場と合いそうなブラックスピネル（牡6、栗東・音無）、大阪杯13着からの巻き返しを期すステイフーリッシュ（牡4、栗東・矢作）らも上位進出を狙う。
（Text：Nishimura）

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