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コラム

2011/01/21  【月刊UMAJIN編集部】インタビュー・コラム「「独占!」【月刊UMAJIN編集部】インタビューコラム」

岩田康誠&福永祐一/俺たちにしかできないダービーより濃い話

岩田康誠34歳、福永祐一31歳。同世代でありながら、これまで騎手としてまったく違う人生を歩んできたふたり。が、今は同じ戦場でともにトップジョッキーとして、その腕を競い合う。性格も、考え方も、そして騎乗スタイルも違うふたりだが、だからこそ語り合えることがある。ダービーについて、武豊騎手について、下の世代について、そして今の自分たちについて──

競馬雑誌初の夢の対談、『ダービーより濃い話』をたっぷりとお届けしよう。(2008/5/13発売 ウマジン!No.115に収録)

勢力図が動き始めた
少々前の話になるが、本誌の07年2月号で、東西11名のジョッキーに07年の抱負を語ってもらう企画があった。そこで福永祐一は、『06年からJRAに移籍してきた岩田クンにはずいぶんと活躍されてしまいましたから、今年は負けないようにしたい』と、岩田康誠を敢然とライバル視。トップジョッキーの発言だけに、中央騎手の勢力図がにわかに動き始めたことを感じさせた。あれから1年少々が経ち、火を付けた男と付けられた男が、今ここに対峙した。今改めて聞くお互いの存在、武豊騎手について、下の世代について、競馬のおもしろさについて──そして彼らふたりが目指すもの。

これじゃあいけないなって
──福永騎手にとって、岩田騎手とはどういう存在ですか?

岩田 はぁ…邪魔もんやと思ってるやろね…(笑)。

福永 いえいえ(笑)。やっぱりすごく刺激を受けますよ。年は岩田クンのほうが2つ上ですけど、ともに『ユタカ(武豊騎手)さんの次の世代』っていう意識がありますから。

岩田 もっともっと、僕らがユタカさんを脅かしていく存在にならなきゃいけない。

福永 まさにそうだと思います。10年騎手をやってきて、ヘンに落ち着きかけていた自分がいたんですが、そんなときに岩田クンが移籍してきて、これじゃあいけないな、って思いました。

岩田 祐一クンはコースも知り尽くしてるし、馬の御し方ひとつをとっても認めざるを得ないくらいうまいと思う。ただ、僕としてはもっともっと頑張ってほしい。もう一段階上に、ふたりでドーンと行こうよ。

福永 現状に満足せずにね。僕が一番岩田クンに刺激を受けたのは、そういうハートの部分。若いころは、みんなそれぞれに野心やどん欲さがあったと思うんですよ。でもいろんな経験を積んで、いろんな思いをして、だんだん自分に言い訳をするようになって…。僕も含めて、そういうのが薄れていく人が多いと思うんですよね。でも岩田クンは今なお真っすぐな熱い気持ちを持っていて、そんな岩田クンを見て、僕も自分で自分の限界を作っちゃいけないなって思ったんです。どこまでやれるかわからないけど、"ユタカさんを引きずり降ろすんだ"っていうぐらいの意識を持ってやらないと、危ない思いまでして競馬に乗ってる意味がない。でも、そういう気持ちをいつしか忘れてしまってましたね。何やってたのかな?って。

──岩田騎手から福永騎手を見て、自分にはない部分というと?

岩田 祐一クンは、馬への当たりだけじゃなく、人への当たりも柔らかい。僕が乗って引っ掛かる馬でも、祐一クンが乗ると掛からないとかね。すごい技術を持ってると思う。馬から下りて人と話すときも、ていねいにちゃんと考えて話してる。僕は馬から下りてもグワァーっていうタイプだから(笑)。最近はね、自分で納得できないことはできないっていうようにしてるんですけど、いっちゃダメなこともいってしまう(笑)。そこが僕のダメなところで…。

福永 僕もいいたいことはいいますよ。でも岩田クンは…短気(笑)。

岩田 短気なうえに、根に持つ(笑)。しかも、やられたらやり返すよ(笑)。とくに園田時代はレースでもそうだった。今はそんなことないけど、そのくらいの気持ちは常に持ってるよ。まぁ僕としては祐一クンの内にはいかないけどね(笑)。

福永 僕だって岩田クンの内は突けないですよ。絶対に締められますもん(笑)。でもそういうのって危険云々ではなくて、レースの駆け引きですもんね。

岩田 そうそう、それがおもしろい。祐一クンはもちろん、ユタカさんにしても安藤(勝己)さんにしても四位さんにしても、あの人たちとレースをするのはすごくおもしろい。

福永 大きいレースはとくにおもしろいですよね。ジョッキーのレベルも高いし、馬のレベル差も少ないから。まぁディープインパクトに駆け引きは通用しませんでしたけど。後ろから外を回ってこられたらどうしようもないですよね。

岩田 うん。たとえば18頭立てなら、ディープとユタカさん以外の17人がグルになるしかない(笑)。

福永 そうそう、みんなで囲んじゃわないと(笑)。

駆け引きは技術がないと
──レース中の駆け引きというと、福永騎手がシーザリオで勝った05年のオークスを思い出します。

福永 ああ、そうですね。邪魔をするっていうのではなく、競馬では相手を封じるっていうのも大事なことで、あのオークスではスタートでユタカさんにやられたし、3、4コーナーではノリ(横山典騎手)さんにやられました。でもそれが競馬です。結局、やられるような位置にいる自分が悪いんですよね。

岩田 そうそう、不利を受けるところにいるのが悪い。『あ?今日は勘が悪いなぁ』っていうときがあるんだよね。でも祐一クン、今競馬がおもしろいでしょ?

福永 そうですね。もっと勝てればもっとおもしろい。勝たなきゃいけないですね。

岩田 僕だってそうだよ。

福永 でも日本って特殊で、技量に差のあるジョッキーたちが同じ競馬場で乗るじゃないですか。だからたまにレースが壊れることもありますよね。

岩田 駆け引きは技術がないとできないからね。

福永 何にも考えてない人もいるから。ただ、たくさん勝ってる人で何も考えてない人はいないんじゃないかなぁ。

岩田 僕くらいかなぁ(笑)。

福永 岩田クンはね、何も考えてないって周りに思わせるのがうまい。

岩田 アホで通ってるから(笑)。でも実は、馬のことも人のことも展開のことも、すごく考えてるよ。自分が乗ってない馬の前のレースの展開まで、全部頭に入ってる。ただ、僕はそれだけ。勉強は全然できません…(笑)。

福永 でもホント、岩田クンの存在をきっかけに、僕ももっと上に上がっていかなければいけないという気持ちが大きくなりました。今まで同世代や下の騎手に抜かれたことがなかったから、同世代で『おっ、すごいな』って思ったのは岩田クンが初めてです。あ、別に自分がスゴイっていってるんじゃないですよ。ただ、下の世代はもちろん、同世代にもそう思える人間がいなかった。みんなこの記事を読んだら腹を立てるかもしれないけど、それくらい下の世代はまだまだ情けないと思う。僕なんかに負けてる時点で情けない。

上を見ないと成長できない

岩田 もっと伸びてほしいから僕もいうんだけど、今の若い子たちはまだ結果だけ。僕らの気持ちと彼らの気持ちは全然違う。30勝してようが40勝してようが、なんていうのかな…光るものを感じない。

福永 どこを目指すか、っていうことでしょうね。大切なのは、どれだけの技量を身に付けて、将来的にユタカさんや岩田クンと同じフィールドでどれだけの勝負ができるか。やっぱり上を見ないと上がっていけませんからね。

岩田 そうそう、上を見なくちゃ。

福永 言葉には出さなくても、たとえば「ユタカさんを引きずり降ろしてやろう」っていう気持ちが見えるジョッキーがいるかっていうと…

岩田 全然いない。あとは、どれだけ馬のことを考えて、馬と一緒に走るっていう気持ちを持てるかが重要だと思う。拳から手綱、ハミを通って、馬の背中、前脚、後ろ脚…目をつむってもその馬の中身、骨まで感じて一緒に走れるようになったら、絶対に上がっていけると思うよ。まぁそのためには経験と自信が必要なんだけどね。僕は今、それらをちょっとだけど感じることができてる。下乗りから数えて18年、死ぬほど乗ってきたし、死ぬほど怖い目にも遭ってきた。それで今、馬の上で死んでも全然構わないと思える。馬乗りだけじゃなくて、厩に行って寝ワラを上げたり手入れをしたり。そうすると、仕草とか目で会話ができるんだよ。何なのかな?、俺は好きなんだな、馬が。

福永 だと思います。

岩田 馬バカなんです(笑)。

福永 骨の動きか…僕も意識して乗ってみます。

岩田 そんなの感じてるの、僕だけなのかな?。

福永 みんなそこまで明かさないですからね。ユタカさんも騎乗論のようなことは全然いわないし、馬の話自体、あまりされませんから。

岩田 以前裁決に『岩田クン、頼むから若手にいろいろ教えてあげてくれ』っていわれたことがあって、『僕のやり方でいいんですか?』って聞いたら、『それは困る』って(笑)。でも最近になって、若い子の乗り方も良くなってきたよ。ほんのちょっと言葉をかけるだけで、全然変わってくるんだよね。

福永 馬乗りには正解がないですからね。ただ、さっき岩田クンがいったように、馬の動きを感じるっていう意識を持って乗る人間と、持たずに乗る人間とでは、たとえば同じように1年間乗っても成果は全然違うと思う。先輩にアドバイスをもらうっていうのは、そういう感覚があるんだっていうことを認識することが大事なんですよね。それを意識して乗っていれば、いずれわかる子はわかる。でも意識しないで乗っている子は、一生わからない。

岩田 それがわかれば勝ち星もついてくる。とりあえず今、若手で光るものがあるのは吉田隼人だね。

福永 僕もね、彼には注目してます。センスがある。

岩田 何の邪心もなく、ただレースに勝ちたいっていう気持ちだけで乗っているように見える。でも『僕はいっぱい勝ってるんだ』っていう、おごりは見えない。

福永 自分がうまくなることに対して、どん欲そうですよね。

岩田 ほかの子もうまいけどね。

福永 うん。でも、すごいジョッキーになりそうな可能性を感じるのは吉田隼人。

岩田 近い将来、関東のナンバー1に上り詰めるのは彼だろうね。

98年、初めてのダービー ──さて、ダービー、オークスについて少々お話を伺いたいんですが、まずダービーというレースは、おふたりにとってどういう存在ですか?

福永 一番ステータスがあるレース。多くの競馬関係者が目指すレースですし、ダービージョッキーという称号があるくらいですからね。ただ、僕のなかで"ダービーを勝ったら騎手を辞めてもいい"みたいな気持ちはありません。

岩田 馬にとっては一生に一度しかない3歳馬のグランプリだよね。誰もが目指しているレースなんだろうけど、僕自身は今のところ、それほど意識はしてないですね。

福永 でも最初はやっぱり、あの雰囲気に飲まれましたよ。一番最初に乗ったダービーがキングヘイロー(98年14着)で、いきなり2番人気で。初めて"雰囲気に飲まれる"っていう経験をしました。そういう経験をしたからこそ今の僕があるんですが、馬にとっては一生に一度のダービーですから、申し訳ないことをしたと思うし、乗せていただいた関係者にも申し訳ないと思っています。

岩田 そういえば祐一クンは、オークスを勝ちまくってるよね。

福永 たまたまいい馬に乗せていただきましたからね。

岩田 いや?すごいよ、すごい。牝馬って長い脚を使えないから、東京(コース)はどれだけ我慢して我慢して、ドンッ!っていけるかだよね。少し前までむちゃくちゃ嫌だったんだけど、最近は東京がすごくおもしろい。あの直線を長いと思ったらダメなんだよね、楽しまないと。

福永 でも、走る馬に乗らないと何にもできないですから。とにかくオークスっていうのは不確定要素が多いレースで。桜花賞から一気に800mも距離が延びるなかで、距離を経験している馬がほとんどいないんですからね。だからみんな強気にいけない部分があって、ペースも読みにくい。ただ、ダービーに比べてスローになりやすいし、まだ馬が完成されていないぶん、距離への適性がごまかせるっていうのはあります。僕にとってオークスは、こういったら一発狙えるんじゃないか…っていうのが、ハマった確率の高いレースではありますね。

岩田 ダイワエルシエーロも絶妙な逃げ切りだったし、去年もドンピシャ。それだけ長丁場がうまいっていうことだよ。

福永 ホントにたまたまなんですよね。だって、この時期の牝馬はまず体調を整えるのが難しいから、すべてが噛み合わないとなかなかうまくはいかないものです。だから、桜花賞もオークスも、力があるっていうだけじゃ勝てないレースではありますね。でも岩田クンは去年、ジャパンCを勝ったでしょ。すごくうらやましいですよ。

岩田 格別よ?(笑)。

福永 僕は有馬記念、勝ちたい。

岩田 僕も有馬記念、それから天皇賞勝ちたい! 天皇賞だけは、表彰台から下りて手袋をして、盾をもらうって聞いたんだけど。

福永 そうです、そうです。

岩田 へぇ?、余計勝ちたい(笑)。

楽しさを忘れないこと ──あの?、ダービー号なんですけど、ダービーは…。

福永 もちろん勝ちたいですよ。

岩田 そりゃそうですよ。ただ、まだ騎乗馬が確定してないんでね。

福永 僕は、オークスは賞金的に出られればムードインディゴで。抜けた馬がいませんから楽しみです。

──今年は福永騎手は1000勝、岩田騎手は500勝の記録がかかってますね。

福永 そうですね。あと50くらいなので、順調にいけば。

岩田 僕は500勝じゃまだまだ満足できないからね。でも1000勝はすごいよ、1000勝だよ!

福永 早いなぁって思いますね。もうそんなに乗ってたんだ…って。今まで数を意識したことってなかったんですけど、やっぱり結果で評価される世界だから、もっと数も勝っていきたいし、とにかくもっともっとうまくならなきゃダメだなって思ってます。じゃないと勝負できない。それから馬のことを思うこと。

岩田 うん。馬乗りの楽しさを忘れないことも。たとえビリ争いでも、隣の馬に勝ちたいっていう気持ちがあれば、それだけでおもしろい。とにかく今、頑張らないとダメなんだよ。ユタカさんが45、50歳になってから勝っても意味がない。脂が乗り切っているときに「俺は勝ったんだ!」っていう実績がほしい。

福永 ん?、無理…かなぁ。

岩田 そう、無理なの。でも無理を承知で行かないとダメ!

福永 そうですよね、自分で無理っていい切っちゃダメですよね。ますますユタカさんが楽になっちゃう。

岩田 ユタカさんの勝ち星をひとつでも獲れるように。でも今、僕たちが頑張ってるから、もう年間200勝は絶対にさせないよ。

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