情報提供 World RaceNews.com【WRN】
2019年03月30日(土)
ドバイワールドC(GI)ダ2000m
- 【レース格】★★★★★
- 【総賞金】1200万ドル
- 【開催競馬場】メイダン
- 【勝馬】
- 【騎手】
- 【トレーナー】
見解
【結果詳報】
現地時間30日(日本時間31日)、ドバイのメイダン競馬場にて行われたダート2000mのG1戦、ドバイワールドCは直線2頭のマッチレースとなり、叩き合いを制したThunder Snow(サンダースノー)が昨年に続いて1着となり、史上初の連覇を果たした。
残念ながら疝痛により、ケイティブレイブが出走を取り消した今年のワールドCは12頭立てとなり、その中で1番人気に推されたのは昨年このレースを5番人気で制したサンダースノー。2番人気は前走の前哨戦アルマクトゥームチャレンジラウンド3でそのサンダースノーに9馬身半差をつけて圧勝していたCapezzano(キャッペッザーノ)、3番人気はアルマクトゥームチャレンジラウンド1、2の2戦を連勝していたNorth America(ノースアメリカ)と、地元UAE勢が上位人気を占めた。
昨年の勝利が逃げ切りであったサンダースノーに対して、キャッペッザーノ、ノースアメリカの2頭も逃げ馬でありどの馬がハナを切ることになるか、注目であったが、昨年は出遅れて、自分の形に持ち込めなかったノースアメリカが好スタートを決めると、押してハナに立ち、キャッペッザーノは競らずに控える。ただし昨年同様に積極的な競馬を選択したサンダースノーがノースアメリカをピッタリマークする形となり、これにマーフィー騎手が騎乗のGronkowski(グロンコウスキー)も絡んでいき、UAE勢4頭がレースを引っ張る形となった。
向正面に入ると、グロンコウスキーがノースアメリカに迫り、2頭併走で先頭を走ると、直後にサンダースノーがつけ、Gunnevera(ガンナヴェラ)、Audible(オーディブル)、Seeking the Soul(シーキングザソウル)といったアメリカ勢力は後方に待機して脚を温存。3角から4角になると、前に行く3頭が早めのスパートで後続を離しにかかり、そのまま直線に入るとノースアメリカが遅れはじめ、一旦はグロンコウスキーが先頭に立ったが、これに徐々にサンダースノーが迫り、残り100m地点では馬体を合せての壮絶な叩き合いとなった。並ぶ様にゴールを掛け抜けたが、結局ハナ差でサンダースノーが1着なり連覇を達成した。3着は最後に追い込んだガンナヴェラが入り、ハナを譲った事で折り合いを欠いた2番人気のキャッペッザーノは最下位に終わっている。
昨年に続き、2年連続での優勝となったサンダースノーは父Helmet、母Eastern Joy(母の父Dubai Destination)という血統の5歳牡馬。過去にはクリテリウムアンテルナシオル、ジャンプラ賞と芝でもG1戦を2勝している馬だが、昨年からダート中心にシフトチェンジ。昨年にドバイワールドCを勝った後はアメリカに渡り、ジョッキークラブゴールドC招待で3着、ブリーダーズCクラシックで3着と好走するも勝たずにいた。
今年の始動戦となったのはアルマクトゥームチャレンジラウンド3であったが、キャッペッザーノに9馬身半差を付けられた2着となり、連覇に向けて不安を残していたが、見事に巻き返して連覇を達成した。通算成績は23戦8勝で、そのうちG1を4勝。今後についてだがレース後に鞍上のスミヨン騎手は『来年またこの舞台に戻ってこなければならない』と話す一方で、ビン・スルール調教師は『再びアメリカに挑戦したい。今年の最大の目標はブリーダーズCクラシックになると思う』とコメントしている。
ドバイワールドCの展望
30日(日本時間同日深夜)、ドバイ・メイダン競馬場ではドバイワールドCデーが開催される。ここでは、その中からメインレースとなるG1戦ドバイワールドC(ダート2000m)の展望をお伝えする。
日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなどでも競走馬を生産・所有しているゴドルフィン。ドバイワールドCは、その一大組織を率いるモハメド殿下によって1996年に創設された競走である。
創設時はナドアルシバ競馬場のダート2000mを舞台としており、2010年に開催地がメイダン競馬場に移った際、メイダン競馬場がダートコースに替わってオールウェザーコース(タペタ)を採用していたことから、ドバイワールドCをはじめとしたドバイワールドCデーのダート競走は、オールウェザーコースで行われるようになった。しかしながら、オールウェザーコースは管理上の問題やダートを主戦場とするアメリカ調教馬の参戦減を招いたため、2014年限りで廃止され、翌2015年からは再びダートコースに戻された。
現在では、アメリカのブリーダーズCクラシックと並んでダート中距離路線の最高峰に位置付けられるレースとあって、過去の勝ち馬にはシガーやシルバーチャーム、ドバイミレニアム、プレザントリーパーフェクト、カーリン、アロゲートなど、錚々たる面々が名を連ねる。なお、前述のシルバーチャームのほかにもキャプテンスティーブやムーンバラッド、ロージズインメイ、モンテロッソといった優勝馬は、引退後に日本で種牡馬入りしている。
一方、日本調教馬に関しては、オールウェザーコースで行われていた2011年にヴィクトワールピサが優勝。その際、2着にも日本のトランセンドが入り、日本調教馬がワンツーフィニッシュという快挙を達成した。だが、それ以外の年では日本調教馬は苦戦しており、2001年に2着と健闘したトゥザヴィクトリーを除くと、全馬が4着以下に敗れている。
次に、舞台となるメイダン競馬場だが、競馬場があるのはドバイ国際空港から南西におよそ15キロのところ。かつてナドアルシバ競馬場があった場所に隣接する形で建設されており、施設内にはホテル、ショッピングモール、映画館なども併設されている。
コースは、1周2400mの芝コースと1周1750mのダートコースで構成されており、芝コースには4コーナー奥へ伸びる直線コースがある。最後の直線の長さは、芝が450m、ダートが400m。ダート2000mのスタート地点は直線の中ほどに設けられ、各馬はそこからコースを1周するが、スタートから1コーナーまでは300mもないため、多頭数になった場合、外枠に入った先行馬は外を回らされる危険がある。
さて、ここからは出走予定馬の中から注目馬を紹介していきたい。今年のドバイワールドCには、日本から出走するケイティブレイブなど、7頭の遠征馬を含めた13頭が出走するが、中でも最も注目が集まるのが、レース史上初の連覇が懸かるゴドルフィンのThunder Snow(サンダースノー)だろう。
昨年、出走10頭中5番人気という評価ながら、2着に5馬身3/4差をつける逃げ切り勝ちを収めたサンダースノー。前哨戦のG1マクトゥームチャレンジラウンド3では、逃げ馬を捉えられずに2着に敗れていたが、本番では鞍上C.スミヨン騎手の好判断によって先手を奪うと、そのまま後続を寄せ付けずに快勝した。
その後、同馬はアメリカのG1ブリーダーズCクラシックを目標に夏から再始動。復帰戦となったイギリスのG1インターナショナルSでは、久々の芝ということもあってかシンガリ負けを喫したものの、アメリカに渡って出走したG1ジョッキークラブゴールドCやブリーダーズCクラシックでは2着、3着に好走した。そして今シーズン、昨年2着に終わったマクトゥームチャレンジラウンド3から始動したが、前年同様、勝ち馬に逃げ切りを許して2着に敗戦。昨年よりもさらに大きい9馬身半差という大差をつけられてしまった。
今回、こうした状況下で本番を迎えることから僅かながら不安もあるが、叩き良化型ということを考えると、一度使われた今回は変わってきそうである。また、前走での着差についても、逃げ馬に有利なメイダン競馬場の特性を考えると、あまりアテにしない方が良いだろう。昨年のように逃げの手に出るのか、それとも控えるのか。この馬の出方がレース展開を大きく左右する可能性もあるだけに、スミヨン騎手がどのような判断を下すのかが気になるところである。
そのサンダースノーを前哨戦のマクトゥームチャレンジラウンド3で寄せ付けなかったのが、地元のCapezzano(キャッペッザーノ)。2017年のG3戦UAE2000ギニーがサンダースノーの3着、昨年のG2ゴドルフィンマイルがブービーとなる13着など、重賞では苦戦することの多かった馬だが、前走では直線で追いすがるサンダースノーを突き放す圧巻のレースぶりを見せた。昨秋から始まった2018/2019シーズンでは、ここまで4戦3勝。2走前のハンデ戦でも14馬身差の楽勝劇を演じるなど、今シーズンは好調ぶりが目立つ。今回に関しては、前回ほど楽に行けるとは思えないが、楽に先手を奪えるようであれば渋太さを発揮して勝ち負けに持ち込むかもしれない。
UAE勢と同じく、過去10年で最多タイとなる4勝をマークしているアメリカ勢。今年は5頭が出走を予定しているが、ここ2、3年に比べると層はやや薄い。しかしながら、日本生まれのハーツクライ産駒Yoshida(ヨシダ)を筆頭に、G1勝ちのある馬も少なくなく、ダートの本場の意地を見せる可能性は大いにある。そのヨシダは、初のダート戦になった昨秋のG1ウッドワードSで自身2度目のG1制覇。続くブリーダーズCクラシックでは、勝負所で外を回った分、追い込み届かず4着に敗れたが、ダートでもトップクラスの力があるところを示した。前走のG1ペガサスワールドカップターフ招待Sは、オーナーサイドの使い分けによって久しぶりに芝のレースに出走したが、改めてダートに戻って期待したい。
また、ウッドワードSやブリーダーズCクラシックでヨシダと対戦しているGunnevera(ガンナヴェラ)は、2年連続となるドバイワールドC挑戦。昨年はコンディションが整わず惨敗を喫しているが、昨年11月のブリーダーズCクラシックでは内から追い込んで2着に入っている。末脚を武器とする馬だけに、先行勢に有利なメイダンの馬場がどうか、という不安はあるものの、展開が向くようであれば十分に上位争いが可能だろう。
同じことは1月末のG1ペガサスワールドカップ招待Sで2着に入ったSeeking the Soul(シーキングザソウル)にも言える。こちらも差し脚を武器としている馬だけに、馬場と展開に左右される可能性が大きいが、全てG1だった直近の3レースで好走しているように能力は高い。一昨年のG1クラークH以来となるG1戦2勝目をこの大舞台で飾る可能性はある。
アメリカ勢では、上記の3頭のほかに昨年、日本においてチャンピオンズCにも出走したPavel(パヴェル)とAudible(オーディブル)が出走する。ともにアメリカでダートのG1を制している実力馬で、前述の3頭にも劣らない力を持っていることから、流れひとつで上位争いに加わってきそうだ。
そのほかでは、昨年のマクトゥームチャレンジラウンド3の優勝馬で、今年はマクトゥームチャレンジラウンド1、ラウンド2の両G2を勝利して本番に臨むNorth America(ノースアメリカ)、昨年のコリアCの2着馬で前走のマクトゥームチャレンジラウンド3では、サンダースノーからクビ差遅れの3着に善戦した韓国のDolkong(ドルコン)あたりも注意しておきたい。
最後に、日本から挑むケイティブレイブだが、これまでにも述べてきたようにメイダン競馬場は先行馬有利の傾向が強い。それだけに、過去には逃げて勝利したこともあるケイティブレイブにしてみると、馬場を味方につけられる可能性がある。初めてコンビを組むJ.モレイラ騎手や陣営がどのような作戦を立ててレースに臨むのか、注目して見てみたい。
※記載している出走予定馬については3月29日(午後6時)時点でのものであり、今後、出走取消等により出走しない場合もありますので予めご了承ください。
