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競馬サロン

白井寿昭

2019/08/19 17:00

アカデミック連載『ダンジグ』(part1)

【第1章・スピード優位の馬】

・ダンジグに対する認識

ダンジグ。
彼はスピードを武器にするノーザンダンサー系の中でも、突出したスピードを持っていた。
これは世界中のホースマンが持つ共通認識。
それは今後も変わらないだろうし、私も同様の考え方でダンジグの血統に接してきた。

改めて言う。
ダンジグはスピード。
決して距離をこなす馬ではない。
そんな認識を改めて確認したところで、これまでに聞いたことのない質問をしてみたい。

ダンジグの特徴をひと言で現すスピード。
これは、どの馬から影響を受けたものなのだろうか?

ダンジグの名を聞けば、誰もがスピードに特化した血統と答える。
しかし、それは真実なのか?
単なる固定観念に過ぎないのではないか?
スピードのみにフォーカスが当てられているダンジグだが、それ以外の特徴や可能性があったかもしれない。

もちろん、その逆もある。
様々な視点から検証した結果、ダンジグに対する認識に変化がなければ、それはそれでいい。
むしろ、そうであってほしいと私は願っているのだが…。

・馬を見る二つのポイント

競走馬の特徴を把握するとき、私は二つの視点で考える。
一つは血統。
もう一つが体型だ。

血統に関する本を読み漁れば、前者に対応することは可能だろう。
私も競走馬に関する多くの本を読み、自身のセールスポイントとした。
考えてもみてほしい。
インターネットの普及した現在と違い、船便で海外の競馬雑誌を取り寄せていた時代のことを。
そんな面倒なことを好んで行う人間が何人もいるはずがない。
しかし、それこそがライバルとの差となるわけだ。

だが、私は血統の知識を得ただけでは満足せず、それと同等──あるいはそれ以上に、自分の目で馬を見ることを大切にしてきた。

どのような体型をしているのか?
例えば、胴や脚の長さはどれくらいなのか?
トモの格好、蹄の形や飛節の状態はどうか?
1頭の馬を見るとき、私がチェックする項目は多岐に渡る。

ここで馬体と血統をリンクさせる。
目の前にいる競走馬の血統と馬体を見比べ、このパーツは父母のどちらの影響を受けているのか?
そんなことを考えるわけだ。

例えば、アーモンドアイ。
彼女が距離をこなす理由として、フサイチパンドラの影響とする声は少なくない。
しかし、アーモンドアイとフサイチパンドラはタイプがまるで違う馬だ。
フサイチパンドラの名を出してもらえるのは嬉しいが、アーモンドアイはフサイチパンドラではなく、もっと他の馬の影響を受けているのではないだろうか?
その考えに行き着くために、その答えを探すために馬体を見るのだ。

前置きが長くなってしまったが、この考え方をまずは知っておいてほしかった。
それは本項の主人公でもあるダンジグも例外ではない。
ダンジグはノーザンダンサーに近い馬。
しかし、瓜二つというわけでもないからだ。

【第2章・スピード×スピード】

・見た目からしてスプリンター

1977年生まれのダンジグが種牡馬として活躍をした1980年代は、私が野心に溢れていた時代にぴたりと重なる。

当時、私は世界中のセリへと足を運び、その度に様々な牧場を訪れていた。
ノーザンダンサー系の種牡馬に限らず、世界中の多くの種牡馬を見ることができた。
その経験は大きな財産となり、あの頃に得た知識が、現在も私の礎になっている。
動けるときに動いておくもの、と心の底から思う次第だ。

もちろん、ダンジグも実物を見ている。

当時、私は目の前にいるダンジグを「スプリンター」と断定した。
理由は血統ではなく、彼の体型。
前回のテーマでもあった血統と馬体に関する話は、このときの体験談につながるものだ。

ダンジグの父ノーザンダンサーは馬格のある馬ではなく、ゆえに迫力もそこまでなかったと聞く。
もちろん、ノーザンダンサーに関しては資料から得た知識でしかないのだが、それが正解であるのなら、私の前にいるダンジグはノーザンダンサーの印象に近い馬だった。
ダンジグからノーザンダンサーのイメージを膨らませたほどだ。

では、ダンジグが他のノーザンダンサー系の種牡馬と異なっていた点。
そして、ノーザンダンサー自身とも違っていたと思われる点。
それは胴の長さ。

胴の詰まった体型の馬はスプリンターになりやすい。
ダンジグの系統が流行る前から誰もが持ち、現在も変わらずに通用する認識。
ゆえに私は「相当なスピードを持っているはずの馬」という感想を、目の前にいたダンジグに持った。
この体型であれば、ノーザンダンサーよりもスピード豊富な馬であって不思議はない。
そう感じたのだ。

・スピード×スピードの意味

では、ノーザンダンサーを超えるダンジグのスピードは、どこからの影響を受けたものなのか?
それを考えるためにあるのが血統だ。

スピードという簡単な言葉で表現されることの多いダンジグの血統を、改めて確認してみたい。
父がノーザンダンサー、母父にアドミラルズヴォヤージ、その先がペティション。
この血統構成に対して、私は「スピード×スピードの掛け合わせ」という認識を持っている

なぜ?
血統に詳しい読者の中には、そんな疑問を持つ方もいるかもしれない。
それも当然だろう。
私もそこにひとつの疑問を持ち、その答えを考えたことがある。

前回の連載を覚えているだろうか?
ノーザンダンサー系の中でも、スピードに富んだ系統と説明したリファール。
その主軸として、私はファロス、フェアウェイの全兄弟に注目した。

前回の連載で取り上げたばかりなので、今回はサラッと説明するに留めるが、簡単に言えば兄のファロスはスピード系であり、フェアウェイはスタミナ系。
つまり、ノーザンダンサーの祖であるファロス×リファールの母父コートマーシャルの祖であるフェアウェイの掛け合わせはスピード×スタミナと表現すべき。
このような疑問が浮かぶのも、当然のことではないか?

ファロスとフェアウェイは、血統構成上は同列の扱いになる全兄弟。
ゆえにファロスとフェアウェイを掛け合わせれば、そこにインブリードが発生することになるわけだが、この兄弟のインブリードについて、私は「スピードに富むファロスの影響が強く働く」という結論をリファールの項で導き出した。
そして、その考え方はダンジグに関しても共通している。

先にあげたペティションもフェアトライアルの産駒。
ダンジグの中にもファロスとフェアウェイのインブリードが成立しているためだ。
しかも、リファールはファロス-フェアウェイの4×4だったのに対し、ダンジグはファロス‐フェアウェイの4×5。
ファロス優位のインブリードとなっている。
ゆえにリファールよりもスピードが増したと私は考えているわけだ。

【第3章・ダンジグ産駒導入のきっかけ】

・世界経済と競走馬

ダンジグが生まれたのは1977年。
いまから40年も前の話だ。
彼が種牡馬として活躍を始めた当時、日本の生産界でダンジグの子を連れてこようと考える人間は、私の知る限りでは一人もいなかったと思う。

しかし、無知だったわけではない。
先見の明がなかったわけでもない。
むしろ、その逆。
ノーザンダンサーが隆盛の時代に、ダンジグの存在を認識していない生産者は少なかった。
ただ、ダンジグの産駒を受け入れるだけの下地が、当時の日本にはなかった。
それだけの話だ。

競馬の世界は、経済と密接に関係している。
競走馬が経済動物である限り、その関係性に変化はないだろう。
発展していく血統がどの国で生まれ、どの国に求められ、どの国へと伝わっていったのか?
その流れを改めて見てほしい。
その流れこそが、世界経済の移り変わりである。

アメリカの景気が良くなれば、血統馬は大西洋を渡る。
オーストラリアの景気が良くなれば、血統馬たちは南下を始めた。
日本の競馬が一気に発展した時期は1980年代の後半。
戦後最大の好景気で、今後も体験することのない異常な状況だった時代。
いわゆる「バブル景気」が、日本の競馬産業を押し上げた最大の功労者と私は考えている。

バブル景気が与えた影響は大きい。
しかし、負の遺産だけを残した「リーマンショック」などと違い、バブル景気には現在もプラスと考えられる功績がある。
サンデーサイレンスを筆頭とする世界レベルの名馬の導入。
名馬たちの血は不況の時代を潜り抜けて、現在の日本競馬にも大きな影響を残しているではないか。

経済の変化に注目せず、競馬産業を語ることはできない。
これは人生のほとんどを競馬とともに過ごしてきた私だからこそ言える、競馬の世界の真実である。

・生産者の考え方とは

ダンジグに話を戻そう。
彼は競走馬としてのキャリアが3戦と少なかった。
そのすべてが圧勝だったらしいが、ダンジグの現役時代のパフォーマンスが世界に知れ渡ったのは、彼が種牡馬として実績を出してからの話。
ダンジグの産駒が走り出し、評判が評判を呼んで「すごい馬がいる」ということになったわけだ。

このコラムを筆頭とした私の拙文を読んでいただいている読者の方は、すでに理解されていると思うが、サラブレッドがキャリアを過多に積むことを私はプラスと考えていない。

競走馬にとって、現役時代の成績を上げることこそが最重要。
そして、私はその最前線にいた人間。
走り続けることに対しての否定はしないが、1頭のサラブレットが競走馬から繁殖馬と用途を変更したとき、遺伝力を残した状態で繁殖に上がった馬のほうが、成功する確率は高い。

これは一貫した私の考え方。
そして、それに合致する典型例のような存在がダンジグだ。
このような馬の産駒が走ることに対し、私は何の疑いも持たないし、積極的に導入したいと考えるタイプだろう。
実際、そのような考えをベースとして行動し、多くのオーナーに馬を薦めてきた。
しかし、生産者の発想はそこまで単純ではないのだ。

活躍馬を出し続ければ、産駒の値段が高くなって行くことは理解している。
だが、不確定要素の多い状況で、手を出すことはリスクを伴う。
海の向こうにいる種牡馬の産駒なら、なおさらのことだろう。
なにせ、実態がつかめないのだから。

インターネットが普及した近年とは違う時代の話。
誰もが慎重だったのだ。

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