2023/04/25 UMAJiN.net/データ部「重賞攻略データ」
【天皇賞・春(GI)攻略データコラム】馬券のカギは“前哨戦の着順” 新装京都のデータも徹底分析!
天皇賞・春(GI) 4歳上 定量 京都芝3200m
※2013年以降、過去10年分のレースデータを基に分析する。
■人気
・1番人気/【3.3.0.4】
勝率30.0% 複勝率60.0%
・2番人気/【5.0.1.4】
勝率50.0% 複勝率60.0%
・3番人気/【1.2.1.6】
勝率10.0% 複勝率40.0%
・4番人気/【1.1.4.4】
勝率10.0% 複勝率60.0%
・5-9番人気/【0.2.2.46】
勝率0.0% 複勝率8.0%
・10番人気以下/【0.2.2.73】
勝率0.0% 複勝率5.2%
1番人気は過去10年だと3勝、複勝率60.0%と、ひと息の成績に映るが、直近は6年連続で連対を続行している。実は、それ以前の1番人気は10連敗を喫しており(2007-2016年)、さらに2008年に3着に入って以降は8年連続で馬券圏内に入ることができなかった。
現在の連続連対は、大阪杯がGIに昇格した2017年からスタートしている。おそらく春のGI戦線で距離の棲み分けができるようになった結果、長距離適性のある馬がしっかりとファンの支持に応えられるようになったからと推測される。
実際、3連単の配当を見ても、2009年から2016年にかけて10万円オーバーしていたのに、2017年以降は2020年の5万馬券が最高配当と、荒れなくなってきている。
1番人気以外では、過去10年で最多の5勝を誇る2番人気と、複勝率60.0%と人気のわりに好走率が優秀な4番人気に目がいく。
一方、5番人気以下からは勝ち馬が出ておらず、好走率も激減。10番人気以下は2016年以前は3年連続で馬券に絡んでいたものの、2017年以降は2020年スティッフェリオの11番人気2着1度きりだ。
新装・京都競馬場はまだ傾向が読みづらいために波乱の余地がないとはいえない。しかし阪神で代替開催されたここ2年も堅い決着に収まっており、前述のような大きな傾向を見ても、無暗に穴狙いに走るのは危険と思われる。
■年齢
・4歳/【4.2.4.28】
勝率10.5% 複勝率26.3%
・5歳/【5.4.1.41】
勝率9.8% 複勝率19.6%
・6歳/【1.3.2.33】
勝率2.6% 複勝率15.4%
・7歳/【0.0.3.17】
勝率0.0% 複勝率15.0%
・8歳/【0.0.1.12】
勝率0.0% 複勝率7.7%
年齢別の成績は、4歳馬の好走率がもっとも高く、年齢が増えるごとに好走率は低下していく。実数を見ても、3着内の頭数は4歳と5歳で10頭ずつ。基本的に4歳馬と5歳馬が中心と見ていいだろう。
一方で、穴をあけるのは高齢サイド。6番人気以下で馬券になった8頭のうち、6頭は6歳以上。2020年11番人気2着のスティッフェリオは6歳、2019年8番人気3着のパフォーマプロミスは7歳だった。
人気のいかんにかかわらず、6歳以上の取捨は「前走着順」。前走で4着以内に走っていると【1.2.5.27】で、複勝率は22.9%とそこそこながら、人気になりにくい分、複勝回収率は167%と大幅黒字を計上しているのだ。高齢馬は近走調子がいい馬を狙うのが、ひとつのセオリーになりそうだ。
☆前走4着以内の6歳以上馬⇒アフリカンゴールド、シルヴァーソニック、ディアスティマ、ヒュミドール
■騎手・厩舎 東西比較
◎騎手
・美浦/【4.2.5.37】
勝率8.3% 複勝率22.9%
単勝回収率56% 複勝回収率100%
・栗東/【6.7.4.96】
勝率5.3% 複勝率15.0%
単勝回収率20% 複勝回収率50%
・外国/【0.1.1.4】
勝率0.0% 複勝率33.3%
単勝回収率0% 複勝回収率280%
◎厩舎
・美浦/【5.2.3.32】
勝率11.9% 複勝率23.8%
単勝回収率65% 複勝回収率94%
・栗東/【5.8.6.104】
勝率4.1% 複勝率15.4%
単勝回収率18% 複勝回収率53%
関西圏のGIにもかかわらず、栗東所属の騎手より、美浦所属の騎手のほうが好走率が上。回収率にいたってはダブルスコアをつけている。
これは後述する関東馬の良績に起因しているようで、美浦所属のジョッキーが関東馬に乗ったときは【3.2.3.17】勝率12.0%、複勝率32.0%と、さらに成績が上昇する。
おまけに改装後の馬場状態は手探りな面も多いはずで、栗東所属騎手の“アドバンテージ”が減殺される恐れがある。それは以前に比べればイーブンな状況ということで、美浦所属騎手にとってはマイナスにならないだろう。
また厩舎成績も、関西馬より関東馬のほうが好走率も回収率も優秀。関東馬にとっては長距離輸送を伴う長距離レースだけに、反動や疲労が大きくなりやすい。ゆえに安易に出走させるケースが減り、勝算のある馬に絞って参戦することが多いのではないか。
それと、このたびの改装により出張馬房もより快適なものになっている可能性があり、それも関東馬好走の“後押し”につながるかもしれない。
最後に、たまたまかもしれないが、関東馬5勝のうち4勝が連覇によるもの(2013年・2014年のフェノーメノと2019年・2020年のフィエールマン)。今年は関東馬・タイトルホルダーが連覇に挑むが、果たして!?
☆関東馬⇒アスクビクターモア、エンドロール、タイトルホルダー、トーセンカンビーナ、ヒュミドール
■前走レース
・日経賞/【4.2.3.43】
勝率7.7% 複勝率17.3%
・阪神大賞典/【2.4.4.47】
勝率3.5% 複勝率17.5%
・大阪杯(GI)/【1.1.0.2】
勝率25.0% 複勝率50.0%
・ダイヤモンドS/【0.1.1.16】
勝率0.0% 複勝率11.1%
今年の登録馬の主な前走4レースの成績を紹介する。
近2年連続で勝ち馬を出している日経賞組のチェックポイントは「前走着順」。同組の好走馬は1頭の例外を除いてすべて前走で3着以内に走っており、その成績は【3.2.3.17】勝率12.0%、複勝率32.0%、複勝回収率146%。例外の一頭は5着から巻き返した2014年のフェノーメノで、同馬は前年の覇者だった。
阪神大賞典組はより前走着順のハードルが高くなり、そこで1着だった馬が【2.2.2.3】勝率22.2%、複勝率66.7%と、同組好走馬の大半を占めている。
GI昇格後の大阪杯組は字面の好走率は高いものの、サンプル数が少なく、また連対した2頭はどちらも当日1番人気に推されたGI馬であった(2017年1着キタサンブラック、2018年2着シュヴァルグラン)。今年の大阪杯組・マテンロウレオは重賞勝ちは3歳限定のきさらぎ賞のみであり、実績は遠く及ばない。
ダイヤモンドS組は劣勢を強いられているうえに、馬券に絡んだ2頭はいずれも同レースの優勝馬だった(2015年3着フェイムゲーム、2022年3着テーオーロイヤル)。勝ち馬が出走しない今年はかなり厳しいだろう。
☆日経賞で3着以内⇒タイトルホルダー、ディアスティマ
☆阪神大賞典1着⇒ジャスティンパレス
■新装・京都競馬場の傾向
約2年半の改修・休止期間を経て、先週より新装相成った京都競馬場。コースレイアウトこそ外回りの4コーナーが緩やかになったこと以外は変わりないものの、馬場は路盤から入れ替えたという。
そこで、たった1週、12レース分とはいえ、コース特性に基づく芝レースの諸データを調べてみた。
◎枠順
・1枠/【1.1.1.13】
勝率6.3% 複勝率18.8%
・2枠/【0.0.1.17】
勝率0.0% 複勝率5.6%
・3枠/【1.1.1.16】
勝率5.3% 複勝率15.8%
・4枠/【1.2.1.16】
勝率5.0% 複勝率20.0%
・5枠/【4.1.2.14】
勝率19.0% 複勝率33.3%
・6枠/【2.1.1.18】
勝率9.1% 複勝率18.2%
・7枠/【0.3.2.23】
勝率0.0% 複勝率17.9%
・8枠/【3.3.3.19】
勝率10.7% 複勝率32.1%
(内外比較)
・1-4枠/【3.4.4.62】
勝率4.1% 複勝率15.1%
単勝回収率38% 複勝回収率32%
・5-8枠/【9.8.8.74】
勝率9.1% 複勝率25.3%
単勝回収率41% 複勝回収率87%
(外回り限定)
・1-4枠/【1.3.2.44】
勝率2.0% 複勝率12.0%
単勝回収率4% 複勝回収率19%
・5-8枠/【8.6.7.48】
勝率11.6% 複勝率30.4%
単勝回収率56% 複勝回収率105%
まず枠順の傾向を見ると、意外にも内めの枠より外めの枠のほうが成績がいい。好走率トップは5枠で、次いで成績がいいのは8枠。一方、2枠は連対馬を出せなかった。
内寄りの1-4枠と、外寄りの5-8枠の合算成績を比較しても、5-8枠のほうが好走率が高く出ている。
さらにこの外枠優位の傾向は、外回りコースでさらに顕著になる。外回りコースに限定した、1-4枠と5-8枠の比較を見ると、その差はより広がり、回収率にいたっては、5-8枠の複勝はプラス収支を残すほどであった。
実は、改修前も春の開幕当初は外枠有利の傾向が出ていた。1週だけの結果で軽々には言えないものの、新装京都になっても馬場傾向は以前とは変わりがないのかもしれない。
少なくとも、「開催前半だから内枠有利で外枠不利」と考える必要はなさそうだ。
◎脚質
・逃げ/【2.2.2.6】
勝率16.7% 複勝率50.0%
・先行/【4.4.4.25】
勝率10.8% 複勝率32.4%
・差し/【5.4.5.57】
勝率7.0% 複勝率19.7%
・追込/【1.2.1.47】
勝率2.0% 複勝率7.8%
(外回り限定)
・逃げ/【1.1.2.5】
勝率11.1% 複勝率44.4%
・先行/【2.3.3.19】
勝率7.4% 勝率29.6%
・差し/【5.3.3.36】
勝率10.6% 複勝率23.4%
・追込/【1.2.1.31】
勝率2.9% 複勝率11.4%
◎外回り限定・上がり順位別
・1位/【3.2.1.4】
勝率30.0% 複勝率60.0%
・2位/【3.3.1.7】
勝率21.4% 複勝率50.0%
・3位/【2.2.1.1】
勝率33.3% 複勝率83.3%
・4-5位/【1.1.2.13】
勝率5.9% 複勝率23.5%
・6位以下/【0.1.4.67】
勝率0.0% 複勝率6.9%
脚質別の成績は開幕週らしく、逃げがトップで、続いてが先行と、前に行ったほうが有利だった。
ただし、こちらも外回りに限定すると、逃げ先行の成績が依然優位とはいえ好走率はやや下降し、その分、差し追い込みの好走率が上昇する。特に追い込みでの好走馬4頭は、すべて外回りコースでのものだった。
外回りで差しが台頭する傾向は、上がり順位にも表れている。外回りで行なわれた9レースのうち、上がり3位以内の馬が8勝2着7回と、連対馬の大半を占めていたのだ。
まとめると、外回りコースでは先行力がありつつも、上がりの脚や決め手がしっかりしている馬が好走する、と考えてよさそうだ。
◎種牡馬系統別
・サンデーサイレンス系/【7.5.3.57】
勝率9.7% 複勝率20.8%
・キングマンボ系/【1.4.4.30】
勝率2.6% 複勝率23.1%
・ロベルト系/【0.2.3.10】
勝率0.0% 複勝率33.3%
今年の登録馬の種牡馬系統は主に上記の3系統。ストームキャット系を含むノーザンダンサー系の父を持つ馬は今年は出走しない。
勝率が高いのはサンデーサイレンス系。同系で注目は3頭出走し2頭が1着になったオルフェーヴル。また、ディープインパクト産駒は【0.2.2.2】複勝率66.7%と、勝ち馬こそ出せなかったものの、新装・京都でも巧者ぶりを発揮している。
一方、ハーツクライ産駒は【0.0.0.6】と全滅。1番人気はいなかったものの、2番人気(4着)、3番人気(4着)、4番人気(10着)と上位人気も出走していたので、少なくとも相性がいいとは言えなさそうだ。
キングマンボ系は勝ち馬は1頭のみながら、複勝率はサンデーサイレンス系より上。今年1番人気濃厚なタイトルホルダーの父ドゥラメンテは、2番人気3着の1例のみで、さすがにこれだけでは判断がつかない。
注目はロベルト系か。勝ち馬は出せていないものの複勝率は33.3%と、系統別ではトップの好走率。しかも1番人気馬はいなかった一方、7番人気3着(あやめ賞のアンテロース)や5番人気2着(3歳未勝利のサンポーニャ)など、穴での好走が複数あり、複勝回収率は153%と高い水準を示していたのだ。
今年ロベルト系の父を持つのは、スクリーンヒーロー産駒のボルドグフーシュだけである。
この3系統以外では、グレイソヴリン系ジャングルポケット産駒のサンレイポケットと、ブランドフォード系ノヴェリスト産駒のブレークアップが参戦予定だが、どちらの系統もサンプル不足ながら先週好走馬はいなかった。
(Text:Hattori)
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