2023/04/11 UMAJiN.net/データ部「重賞攻略データ」
【皐月賞(GI)攻略データコラム】評判よりも実績と経験値を重視したいクラシック
皐月賞(GI) 3歳 定量 中山芝2000m
※データについては過去10年分を参照した。
■人気
・1人気【3.1.2.4】
勝30.0% 複60.0%
・2人気【2.2.0.6】
勝20.0% 複40.0%
・3人気【1.3.2.4】
勝10.0% 複60.0%
・4人気【0.2.1.7】
勝0.0% 複30.0%
・5人気【1.0.0.9】
勝10.0% 複10.0%
・6-9人気【3.2.4.31】
勝7.5% 複22.5%
・10人気位以下【0.0.1.82】
勝0.0% 複1.2%
1番人気でも全幅の信頼は置きにくい印象。1、2番人気が揃って好走したのは2013年と2014年の古いデータで、2015年以降では揃って馬券外に沈んだ年が2回ある。近年はどちらか一方もしくはどちらも飛ぶパターンが多いので注意したい。
フタ桁人気はさすがに厳しい傾向だが、中穴からの好走が多数あり、8番人気が【1.1.3.5】と好成績を収める。2021年2着のタイトルホルダーや2016年勝ち馬ディーマジェスティも8番人気だった。好走馬はいずれも前走重賞で連対していたり、登竜門とも言われる東スポ杯2歳Sやシンザン記念で好走した馬が含まれており、実績のわりにあまり評価をされていなかった。過去の実績をしっかり評価しておくべきだ。
■前走クラス
・新馬【0.0.0.1】
勝0.0% 複0.0%
・1勝【0.0.0.9】
勝0.0% 複0.0%
・OP特別【0.1.1.32】(リステッド含む)
勝0.0% 複5.9%
・GIII【6.1.4.33】
勝13.6% 複25.0%
・GII【2.7.5.65】
勝2.5% 複17.7%
・GI【2.1.0.3】
勝33.3% 複50.0%
例年、ほぼ前走重賞組で決着している。「5頭以上出走して1回以上好走しているレース」をピックアップすると下記の通り。
・共同通信杯【5.0.2.9】
勝31.3% 複43.8%
・スプリングS【2.1.2.31】
勝5.6% 複13.9%
・毎日杯【1.0.0.8】
勝11.1% 複11.1%
・弥生賞【0.5.3.33】
勝0.0% 複19.5%
・若葉S(L)【0.1.0.5】
勝0.0% 複16.7%
・きさらぎ賞【0.0.1.6】
勝0.0% 複14.3%
・若葉S【0.0.1.16】
勝0.0% 複5.9%
・京成杯【0.0.1.4】
勝0.0% 複20.0%
注目はやはり共同通信杯組。2014年からイスラボニータ、ドゥラメンテ、ディーマジェスティと皐月賞馬が誕生したあと、しばらくは3着が最高着順と勢いを失ったが、2021年にエフフォーリア、昨年にジオグリフが優勝し、復権傾向にある。
同組の好走馬には下記の共通点が見られた。
(1)前走4角2-7番以内かつ勝ちまたは0秒5以内の負け【5.0.2.4】
(2)前走上がり3位以内【5.0.1.6】
(3)関東馬【5.0.1.4】
共同通信杯組は関東馬が優勢で、極端な脚質の馬の成績は振るわない。
出走数が多いのがスプリングS組と弥生賞組。こちらの前哨戦はシンプルに着順と人気で判断できそうだ。
スプリングS組は「良馬場で2着以内」なら【2.1.2.9】複勝率35.7%。弥生賞組は「良馬場で5番人気以内かつ5着以内」なら【0.5.3.11】複勝率42.1%へアップする。
ここで気になるのは「良馬場で」という条件だろう。前走重馬場だった馬は10年中5年で出走があり、その成績は【0.0.0.14】。念のため、3歳のGIレースを対象に前走馬場状態別成績を調べてみると、上記の成績は偶然ではなさそうだった。
3歳限定GIにおける前走芝レース馬場状態別の成績(2013年-2022年)
・良【57.60.60.803】
勝5.8% 複18.1%
・稍重【8.7.7.130】
勝5.3% 複14.5%
・重【4.3.3.62】
勝5.6% 複13.9%
・不良【1.0.0.17】
勝5.6% 複5.6%
これだけでは差のない成績だが、重馬場成績を性別別に見ると違いがみられた。
・牡セ【1.1.0.28】
勝3.3% 複6.7%
・牝馬【3.2.3.34】
勝7.1% 複19.0%
※いずれも間隔は中12週以内。
牝馬が意外にもタフで、前走が重馬場でも次走結果を出しているのに対して牡馬の成績はかなり心許ない。牡馬のほうがさらにタフな戦いを強いられることが影響しているかもしれない。
また前走重馬場で結果を出せていたとしても、GI舞台となると求められる能力や適性に大きな違いがあるために重馬場開催の前哨戦の結果はアテにならないこともしばしばある。さらに皐月賞は「速い馬が勝つ」とも言われるレースだ。消耗度の大きい重馬場で権利を取り、十分な間隔を取れずに挑むとなると、身体的に厳しいのは確かだろう。
よって、今年のスプリングS組は割り引きたい。
☆共同通信杯組で3つの共通点すべてに該当した馬☆
ウインオーディン
☆前走が良馬場の弥生賞で5番人気以内かつ5着以内☆
タスティエーラ、トップナイフ、ワンダイレクト
■キャリア
・1戦【0.0.0.1】
勝0.0% 複0.0%
・2戦【0.1.0.5】
勝0.0% 複16.7%
・3戦【3.3.3.17】
勝11.5% 複34.6%
・4戦【4.3.4.38】
勝8.2% 複22.4%
・5戦【2.3.2.33】
勝5.0% 複17.5%
・6戦【0.0.1.28】
勝0.0% 複3.4%
・7戦【1.0.0.12】
勝7.7% 複7.7%
・8戦以上【0.0.0.9】
勝0.0% 複0.0%
昨年はキャリア2戦馬のイクイノックスとダノンベルーガが出走し、イクイノックスが2着した。相当な素質がない限りキャリアの浅い馬には厳しい傾向。キャリア2戦のソールオリエンスとタッチウッドはイクイノックス級なのか熟考すべきだろう。
キャリア7戦で勝利したのは朝日杯FS→スプリングSと連勝街道を進み、当日1番人気に推されたロゴタイプのみ。基本、キャリア6戦以上は軽視したいが今年はキャリア8戦馬のトップナイフが有力候補となっている。
キャリア6戦以上で見ると、上位人気馬はロゴタイプの他に4番人気4着だったワンアンドオンリーのみで、フタ桁人気などの人気薄ばかりだった。人気くらいは走れると判断していいかもしれない。
キャリアの浅い馬、多い馬が人気を集めるが、馬券はキャリア3-4戦馬から組み立てたほうが安心か。
■所属
●調教師
・美浦【6.3.4.51】
勝9.4% 複20.3%
・栗東【4.7.6.92】
勝3.7% 複15.6%
●騎手
・美浦【4.1.5.72】
勝4.9% 複12.2%
・栗東【6.8.4.66】
勝7.1% 複21.4%
・外国【0.1.1.5】
勝0.0% 複28.6%
近2年の連対はいずれも関東馬で成績は右肩上がり。関東馬のうち、前走重賞で連対していた場合は【6.3.3.23】勝率17.1%・複勝率34.3%にアップする。
一方、関東馬が1頭も好走できなかった年が1回あるのに対して関西馬は毎年好走を果たしている。関西馬で好走した17頭のうち15頭は中山か東京のOPクラスで5着以内の実績があった。長距離輸送の経験とそこでの実績があれば心強い。関東への遠征経験のないダノンタッチダウンには割引が必要か。
騎手に関しては関西騎手がリード。関西騎手の場合、継続騎乗が【2.6.2.44】勝率3.7%に対して乗り替わりが【4.2.2.21】勝率13.3%と勝率に大きな差が見られた。関東騎手は継続騎乗の際が【4.0.4.33】と明確な結果が出ている。
短期免許で来日する外国人騎手は勝ち切れていないが、2020年は2頭が揃って好走を飾った。今年はD.レーン騎手がフリームファクシで参戦予定。初の皐月賞となった2020年にはサリオスで2着に入っている。
また同騎手はこれまで11の芝GIレースに参戦して、NHKマイルC以外の10レースで好走。その成績は【4.5.2.12】複勝率47.8%、複勝回収率151%をマークしている。
中山では上記の皐月賞とリスグラシューの有馬記念で【1.1.0.0】。サンプル数は少ないもののトリッキーなコースは問題ない。フリームファクシはパッとしないきさらぎ賞組であるものの、軽視はできない。
☆前走重賞で連対した関東馬☆
タスティエーラ、ソールオリエンス、ホウオウビスケッツ
☆中山か東京のOPクラスで5着以内の実績がある関西馬☆
トップナイフ、ファントムシーフ、ベラジオオペラ、ワンダイレクト
☆乗り替わりの関西騎手☆
ショウナンバシット、タッチウッド、ワンダイレクト
☆継続騎乗の関東騎手☆
グラニット、ソールオリエンス、トップナイフ、ホウオウビスケッツ、メタルスピード
■脚質
・逃げ【0.1.1.11】
勝0.0% 複15.4%
・先行【4.6.3.23】
勝11.1% 複36.1%
・中団【6.2.5.60】
勝8.2% 複17.8%
・後方【0.1.1.49】
勝0.0% 複3.9%
------------------
※上がり3F順位
・1位【3.1.1.7】
勝25.0% 複41.7%
・2位【2.3.1.7】
勝15.4% 複46.2%
・3位【2.1.2.2】
勝28.6% 複71.4%
・4-5位【3.2.2.16】
勝13.0% 複30.4%
・6位以下【0.3.4.111】
勝0.0% 複5.9%
瞬発力や爆発力よりも、立ち回りの巧さや長くいい脚を使える馬が好走しやすいレース。よって、逃げや追い込みといった極端な脚質は苦戦している。
馬券の中心は先行馬と差し馬。複勝率は先行馬が上だが、勝ち星は差し馬が上回っている。
脚質傾向は上がり順位別の成績を見ると、より明解になってくる。一般的な芝レースでは好走率トップになる上がり1位は複勝率では3位止まり。上がり2位と3位のほうが好走率が高く出ている。
先行差し&上がり2-3位と、そこそこの位置でそこそこの上がりが使える「立ち回りが巧さ」が求められていることを示している。
■枠
・1枠【2.0.0.17】
勝10.5% 複10.5%
・2枠【1.1.2.16】
勝5.0% 複20.0%
・3枠【0.1.0.19】
勝0.0% 複5.0%
・4枠【3.3.1.13】
勝15.0% 複35.0%
・5枠【0.0.2.18】
勝0.0% 複10.0%
・6枠【2.0.3.15】
勝10.0% 複25.0%
・7枠【1.3.0.23】
勝3.7% 複14.8%
・8枠【1.2.2.22】
勝3.7% 複18.5%
枠の内外で大きな差は見られない。内めの枠だと揉まれたり、進路が塞がったりするリスクがあり、外めの枠は4角での距離ロスが大きく響きやすい。どちらもリスクはあり、中山芝2000m自体、実は枠の有利不利は少なく、その傾向がそのまま反映された格好だ。
強いていえば4枠の成績が高く出ている。立ち回りの巧さを活かしやすい枠なのかもしれない。
(Text:funaki)
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