2023/03/07 UMAJiN.net/データ部「重賞攻略データ」
【中山牝馬S(GIII)攻略データコラム】中山内回りコースにもかかわらず、意外な傾向が!?
中山牝馬S(GIII) 4歳上 ハンデ 中山芝1800m
※近10年分のレースデータを基に分析する。
■人気
・1番人気/【1.2.3.4】
勝率10.0% 複勝率60.0%
・2番人気/【0.2.0.8】
勝率0.0% 複勝率20.0%
・3番人気/【2.1.0.7】
勝率20.0% 複勝率30.0%
・4-6番人気/【5.3.2.20】
勝率16.7% 複勝率33.3%
・7-9番人気/【1.0.2.7】
勝率3.3% 複勝率10.0%
・10番人気以下/【1.3.2.58】
勝率1.6% 複勝率9.4%
1番人気は過去10年で1勝しかしていないものの、複勝率は60.0%と、ハンデ戦としては及第点。2番人気が低調なだけに、上位人気で重視するなら1番人気が無難か。
3番人気は2勝、4?6番人気が5勝、そして7番人気が【1.0.1.8】で1勝と、この人気帯が8勝を挙げており、中穴人気の馬がよくアタマを獲っている。3-7番人気の合算成績は、【8.4.3.35】勝率16.0%、複勝率30.0%、単勝回収率156%と優秀な成績。ホットゾーンはここだ。
10番人気以下も好走率こそ低いものの、過去10年のうち5年、2年に1回の割合で3着以内に好走。昨年は15番人気のクリノプレミアム1着、12番人気アブレイズが2着と、フタ桁人気のワンツー決着という大波乱だった。
近4年連続で3連単配当が10万超え、昨年などは173万馬券が飛び出したように、牝馬限定のハンデ戦ということで荒れるレース。ここはホームラン狙いに徹してもいいかもしれない。
■年齢
・4歳/【3.2.1.36】
勝率7.1% 複勝率14.3%
・5歳/【6.6.5.39】
勝率10.7% 複勝率30.4%
・6歳/【1.3.1.39】
勝率2.3% 複勝率11.4%
・7歳/【0.0.2.9】
勝率0.0% 複勝率18.2%
・8歳/【0.0.0.1】
勝率0.0% 複勝率0.0%
勝率・複勝率ともに5歳馬がトップ。実際の勝ち数も6勝と他を大きく引き離している。さらに回収率を見れば、複勝が158%、単勝にいたっては261%という驚異的な数字。3連単173万と大荒れとなった昨年は5歳馬が3着内を独占していた。
直線の短い小回り急坂コースで行なわれるせいか、例年流れが厳しくなるので、タフさが増してくる充実の5歳馬にアドバンテージがあるのだろう。
6歳以上でも好走馬がいるように、相手やヒモにとる分には5歳馬以外から選んでも構わない。とはいえ、馬券の軸に据えるのであれば、5歳馬がもっとも的確だ。
☆5歳馬⇒イリマ、エイシンチラー、シャーレイポピー、スライリー、スルーセブンシーズ
■トップハンデ
・トップハンデ/【1.3.0.12】
勝率6.3% 複勝率25.0%
今年から斤量規定が変わったため、ハンデ別での成績は参考にならないと判断し省略。トップハンデ馬についてのみデータを調べた。
結果は平均値(勝率6.5%、複勝率19.5%)より好走率は高いものの、人気になるケースも多いので回収率は単複ともに50%以下と厳しい成績。
また2015年はトップハンデ馬が1、2着したのだが、この年のトップハンデは54キロと“トップ”とは思えない斤量だった。そのうえ、そのトップハンデ馬が5頭(1頭は出走取消)もいる異例の年でもあったので、この好走例は例外扱いしてもいいかもしれない。
近年のハンデ戦はハンデが重い馬のほうが走る傾向にあるのだが、このレースに限ってはそうとは言えなさそう。実際、2018年以降5年連続でトップハンデ馬は馬券に絡めていない。
■枠順
・1枠/【0.0.1.16】
勝率0.0% 複勝率5.9%
・2枠/【3.0.1.14】
勝率16.7% 複勝率22.2%
・3枠/【1.0.2.17】
勝率5.0% 複勝率15.0%
・4枠/【0.2.1.17】
勝率0.0% 複勝率15.0%
・5枠/【1.1.1.17】
勝率5.0% 複勝率15.0%
・6枠/【1.2.1.16】
勝率5.0% 複勝率20.0%
・7枠/【1.4.0.14】
勝率5.3% 複勝率26.3%
・8枠/【3.2.2.13】
勝率15.0% 複勝率35.0%
・1-4枠/【4.2.5.64】
勝率5.3% 複勝率14.7%
単勝回収率42% 複勝回収率63%
・5-8枠/【6.9.4.60】
勝率7.6% 複勝率24.1%
単勝回収率187% 複勝回収率115%
小回り中山の内回りコースなので内枠有利かと思いきや、なんともっとも成績が悪いのが1枠。近10年で連対したことは一度もなく、6年前の3着1回きりだ。
反対にもっとも成績が良かったのが、大外の8枠。昨年ブービー15番人気で優勝したクリノプレミアムも大外16番枠だった。
内外で分類しても、上掲のデータのように、好走率も回収率も外めの5-8枠が内めの1-4枠を上回っている。大幅プラスの単勝回収率は確かに昨年15番人気1着のクリノプレミアム1頭が大きく貢献しているとはいえ、それを除外しても単勝回収率65%、複勝回収率91%と、1-4枠よりも高い数字を示していた。
この後の項で詳述するが、本レースは差し馬の好走がひじょうに目立つ。また中山の内回りは直線ごちゃつくケースも多いので、のびのびと脚を伸ばせる外枠が有利になるのだろう。実際、大外枠は【3.0.2.5】勝率30.0%、複勝率50.0%という見事な数字も残している。
■脚質
・逃げ/【1.1.0.8】
勝率10.0% 複勝率20.0%
・先行/【1.4.2.26】
勝率3.0% 複勝率21.4%
・差し/【8.6.4.44】
勝率12.9% 複勝率29.0%
・追込/【0.0.3.45】
勝率0.0% 複勝率6.3%
・マクリ/【0.0.0.1】
勝率0.0% 複勝率0.0%
枠別データ同様に、脚質別データも意外な結果が出た。先行有利が定説の中山コースにもかかわらず、過去10年で8勝2着6回と、差し馬の活躍が圧倒的なのだ。
これだけ走っているのだから、当然回収率も高く、単勝は256%、複勝は114%と儲かる数字になっている。近4年連続で差し馬が勝利しており、トレンド的にも優勢だといえる。
ペースがそこまで速くならなくても差しが決まっており、昨年も前半3ハロン36秒2=後半35秒0と、字面のペースは“後傾ラップ”。にもかかわらず、中団から脚を伸ばした馬が馬券圏内を独占した。これはもはや“レースの特性”といってかまわないだろう。
ただし、さすがに中山の内回りで直線一気は決まらず、追い込みで連対したケースはない。直線の短い小回りコースゆえに、最低限のスピードと一定の器用さは必要なのだ。
それを裏付けるように、上がり上位の馬が必ずしも好走しているわけではなく、上がり2位以内の成績は【2.2.2.16】勝率9.1%、複勝率27.3%と、パッとしない。ところが上がり3-5位となると、【6.1.5.19】勝率19.4%、複勝率38.7%、単勝回収率456%、複勝回収率218%と、途端に狙いが立つ。
まとめると、ある程度の差し脚があり、中山小回りにも対応できる器用さを持つ馬が有利である、と言えることができる。
■種牡馬系統
・サンデーサイレンス系/【6.5.4.79】
勝率6.4% 複勝率16.0%
・キングマンボ系/【2.3.2.14】
勝率9.5% 複勝率33.3%
・ノーザンダンサー系/【1.2.1.19】
勝率4.3% 複勝率17.4%
・ロベルト系/【0.0.1.8】
勝率0.0% 複勝率11.1%
勝ち数自体はサンデーサイレンス系が6勝とトップに立つが、出走数も多く、好走率自体は平均値とほぼ変わらない。また、内訳を見てもディープインパクト産駒が2勝しているのが目立つ程度で、特に傾向は見当たらない。
好走率が高いのはキングマンボ系。突出した成績ではないものの、近4年連続で馬券に絡んでいる点は強調できる。またキングマンボ系以外のミスタープロスペクター系も【0.1.1.2】と、サンプル不足ながら好走率50.0%を示しており、馬券に絡んだ2頭はどちらもフタ桁人気の大穴馬だった(2020年14番人気2着リュヌルージュと2016年15番人気3着メイショウスザンナ)。
これらの好走例からも、この系統が相性がいいレースであることは間違いなさそう。
ノーザンダンサー系は好走率は低めながらも、勝ち馬1頭と2着馬2頭は輩出している。気になるのはロベルト系の不振。出走数が少ないとはいえ、連対ゼロで3着が1回きり。さらに10年さかのぼっても好走は3回しかおらず、そのうち2回は同一馬(オールザットジャズ)によるものだった。
今年は愛知杯を快勝して臨む重賞2勝馬・アートハウスが1番人気に推されそうだが、同馬の父はロベルト系のスクリーンヒーロー。果たして、このネガティブなレース傾向を跳ね返すことができるのか?
☆父キングマンボ系⇒ストーリア、ルビーカサブランカ
(Text:sakura kyosuke)
☆競馬評論家・田原基成氏の「重賞出走馬全頭分析」は【毎週木曜日】18時公開!
