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コラム

2015/10/11

独占インタビュー 藤田伸二 ??電撃引退“真相”のすべて?? プロローグ後編 ?もうひとつの真実?

「今の競馬界に藤田伸二が必要なくなった」その理由とは…。

月刊UMAJIN 2015年11月号
独占インタビュー 藤田伸二
??電撃引退“真相”のすべて??
プロローグ・後編 ?もうひとつの真実?


今回は、これまで筆者が見てきた“藤田伸二”の素顔の一部を紹介していこう。月刊UMAJIN11月号のインタビュー内では伝えきれなかった、もうひとつの藤田伸二の真実が、そこから垣間見えると思う。

引退後に、カフェバーをプロデュースしたと聞いたとき、私は“アニキらしい”と思った。それは人をもてなすことが大好きな人だからだ。6年前に初めて取材させてもらってから、インタビューだけでなく、海外取材にも同行。さらには栗東にあったご自宅にも何度か上がらせてもらった。自宅はいつも後輩ジョッキー、厩舎関係者、友人ら、多くの客人を招き、にぎやかだった。

栗東に住んでいた頃の藤田の家は、住宅街にありながらも、遠めから一際目立つ、まさに豪邸だった。とにかく広い。吹き抜けになっているリビングだけで数十平米の広さ。そこにソファーやテーブルが2セット、大型テレビも2カ所、ダーツマシーンが2台、さらに片隅にはマッサージチェアーが鎮座していた。他にもトレーニングルーム、カラオケルームも完備。住居というよりもアミューズメント施設といってもいいくらいだ。そんな藤田邸だから、とくに独身の後輩ジョッキーが頻繁に来訪していた。藤田も「好きなように遊んでいったらいいよ」というスタイルで、遊びにきた後輩たちは、ダーツに熱中する者、テレビゲームにハマっている者、カラオケで熱唱している者、まったりとお酒を楽しんでいる者、さらにはマッサージチェアーで寝ている者など、みんなが自由に楽しく過ごす憩いの場だった。

お祝いパーティーなどで、20人くらい自宅にやってくることもあった。そんなときでも、藤田邸のスタイルはいつも通り。いろんな輪にわかれて、それぞれが自由に楽しい時間を過ごす。藤田もいずれかの輪に入って遊ぶ。ただ、同じ場所に留まらず、他の輪にも積極的に交じる。ダーツをしていたかと思えば、テレビを見ながらの競馬談義にも加わる。グリーンチャンネルで放映されている過去のレースを見ながら、解説している場面もあった。お酒と食べ物が並べられているテーブルでは、箸が止まっている人を見つけると、お腹の具合がどうかと聞いたり、お酒のグラスが空いている人には、お酒を勧めるなど世話を焼く。数十人いても、とにかく周りの人をよく見ており、みんなが楽しんでいるかどうかに気を配っている。その視野の広さ、観察力には恐れ入った。

こういった宴では、お開きの時間が決まっているわけではなく、「帰りたくなった奴は勝手に帰ればいい」というスタイル。これも各自のさじかげんだ。しかし、楽しいひと時は時間が経つことを忘れるもので、真夜中になっても人は減らない。そんなときに誰かが「小腹が空いた」と言うと、藤田は「じゃあラーメン食べるか?」と聞いてくる。包丁を握って料理をすることはないが、藤田はちょぃとひと手間加えたお気に入りのインスタントラーメンを作り始める。

最初にラーメンを作ってもらった人がおいしそうに食べる姿を見て、他の人もうらやましそうに見る。すると、藤田は「おまえも食うか?」と、また鍋でお湯を沸かし、ラーメンを作り始める。そんなこんなで真夜中に5、6杯のラーメンを作っていた。しかし、おいしそうに食べている人たちの顔や反応をみて、藤田はじつにうれしそう。「どうだ? うまいだろ!」という声は、ラーメン屋の大将みたいだった。

2010年に、藤田伸二はファンとの交流イベント「一緒に飲んだらよろしいやん」を札幌、大阪、東京で行った。芸能人などがよく行うディナーショーとは一線を画し、藤田がステージ上でトークをするのではなく、ファンと席を並べて一緒に飲むスタイル。自らファンのテーブルを回り、お酒を注いでいった。「俺は芸能人じゃないから」と、ファンとの間の仕切りを嫌い、直接対話こそが藤田流だった。ファンもお気に入りの現役ジョッキーと対話できるとあって、会場は大盛り上がり。藤田自身もそんなファンのなかに交じって楽しそう。この企画の発案当初から、「俺らしい形でファンが喜んでくれることをやりたい」と言っていたが、毎回100人以上が集まったファンとの一体感に、それが体現されていたと思う。自宅での客人への気配り、イベントでのファンとの接し方を思い出すと、カフェバーのカウンターに立っての接客する姿が、じつに藤田らしいのである。

ただ、ファンとの直接対話のスタイルには心配な一面もあった。それは参加者とのトラブルだ。中にはファンを装って不審者が参加している場合だってある。だが、本人はそんなことなど気にしていない。今回、「cafe’ bar favori」にお邪魔し、インタビューしていたときも、アンチに向けて
「俺は逃げも隠れもしない。文句のある奴がいたら、この店にこい。ここできっちり話を聞いてやるから」
と言っていたほどだ。

こんな場面に遭遇したことがある。それは、2010年の8月、札幌記念の日の夜だった。その日の札幌記念に、藤田は当時3歳だったヒルノダムールに騎乗して参戦。2番人気だったが、結果は勝負どころで前がふさがり、最後は追い上げるも4着に終わっていた。

その日の夜、藤田は友人たちとバーでダーツに興じていた。するとカウンターの奥から、こんな声が聞こえてきた。
「今日、競馬で大損させられちゃって参ったよ。札幌記念でヒルノダムールに大金つっこんだんだけどさ。ジョッキーの藤田が、ひでぇ?レースしやがってさ。全額パーだよ」 なんと見知らぬお客さんが、藤田の文句を言っている。本人はダーツに熱中していたが、話が聞き取りやすいくらい声が大きかったので、耳に入っているに違いない。藤田に対する文句はさらに続く。私は「本人が後ろにいますから…」と伝えてあげたかった。この後一体どうなってしまうのか心配だったからだ。

同じような状況で、自分も含めて普通の人ならば、聞こえないフリをしたり、その場をすぐに離れたくなりそうなものだが、藤田はやはり違った。ダーツを止めて、カウンターに座っているその人に
「ちょっと、そこのお客さん!」
と話しかける。いきなり声をかけられたお客さんも驚く。
「俺や。俺が藤田伸二や!」
お客さんは事態を飲み込めず、言葉につまり、しばしの沈黙が流れる。
すると藤田はこう続けた。
「すまなかったな!」と。
ヒルノダムールの馬券を買っていた競馬ファンだ。元々は藤田のファンかもしれない。ただ馬券で負けた悔しさをぶちまけていたところに、たまたま本人がいたという最悪の偶然だ。すぐにお客さんはバツが悪そうに席を立ち、会計を済ませて帰って行った。その後、藤田は何事もなかったかのようにダーツを再開し、楽しい時間に戻っていった。

あれから数年経った今、私がその出来事について聞いてみた。しかし、本人は覚えていなかった。ただ、それについて、このように答えてくれた。
「競馬のときは、いつも期待に応えたいと思って乗っているけど、10回乗って1回勝てるかどうかで、勝つ確率のほうが少ないわけだろ。それに俺が馬券を買ってくださいって頼んだわけじゃないから、そこは自己責任だよ。ただ、俺も競馬で稼がせてもらって、家族を養ってきたわけで、失敗したときは謝るし、応援してくれたときはありがとうと言いたい。まっすぐに生きたいだけだよ」
 嘘や偽りが大嫌いで真っ正直、それが“藤田伸二”という男。だから、ファンでもアンチでも面と向かって対話したいのである。だからこそ、嘘を並べ立てる人間、偽善で取り繕う人間とは、ウマが合うわけがない。詳細は雑誌本編に譲るが、「今の競馬界に藤田伸二が必要なくなった」というのもうなずける。

 敵も多いが味方もいる。藤田を愛して止まない人たちは、強い絆で結びついている。引退を知った後輩ジョッキーたちは本州から飛行機で札幌に駆けつけ、このカフェバーで引退を惜しんだ。その場で泣き崩れた者、トイレにこもって嗚咽した者、多くの涙が流れた。そんな後輩たちの涙こそ、藤田が愛されている証だ。後輩たちの危ない騎乗に関しては厳しく指導するが、騎乗チャンスが少ない若手には、自分が懇意にしている厩舎を紹介し、厩舎まで一緒に頭を下げて回ってくれる先輩。今の時代で、そこまで親身になってくれる人は聞いたことがない。嬉しいときには一緒に喜び、辛いときには親身になって話を聞いてくれる、さらに、困っているときには、温かく手を差し伸べてくれる。そんな先輩なのだ。

まっすぐすぎる故に敵も作るが、愛して止まないファンも多い藤田伸二。私が見てきたシーンもほんの一部に過ぎないが、誰よりも人間味あふれるジョッキーだった。そんな藤田が語ってくれた引退までの本音。月刊UMAJIN11月号をぜひ読んでください。
(文中敬称略)

■【プロローグ前編 ?カフェバー「favori」?】連載インタビュー「馬と人」vol.12 藤田伸二 ??電撃引退“真相”のすべて??  はコチラ

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