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調教ライター 西村武輝

2024/09/28 18:00

スプリンターズステークス2024 最終結論【調教】若き名伯楽の調整手腕を信頼 悲願GI獲り狙う実力馬に◎【重賞深掘りPROJECT】

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【スプリンターズステークス 2024|調教診断】“人馬一体の絆”充実一途の超伏兵馬を【S評価】!

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さあいよいよ「スプリンターズS」ですね。ここから12月末まで毎週ビッグレースの連続。まずはこの一戦を仕留めるのが全競馬ファン、馬券ファンの願いでしょう。

調教傾向は2019年-2023年の過去5年15例から見ることとします。

最終追いは坂路が11、ウッドコースが4。ちなみウッドは4例すべてが美浦ウッドで栗東CWで最終追いだった馬の馬券圏内入りはなし。

そしてウッド組4例すべてが中間に坂路追いをこなしており、坂路調整をこなしているのが必須条件です。

坂路追いでは中間にラスト2F24秒6以下が望ましい。坂路調整馬で中間2F24秒6以下を出せていなかったのは2020年2着ダノンスマッシュだけ。この時はほぼ仕上がっていたセントウルS(1着)から中2週だったため、無理をさせなかったものでしょう。

そして15例中14例で「日曜追い」を消化していました。健康面の良さの証明と言えますし、最終追いの指針を決めるためにもこなしておくべき調整ということでしょう。

日曜追いがなかった例外1例は2021年2着レシステンシア。この馬もセントウルS(1着)から中2週で、1週前追いを金曜にこなしたのでパスしたもので納得はできます。

以上を踏まえ、まずは「スプリンターズS」追い切り診断で【8点】【7点】と上位評価された馬を見ていきましょう。

■ウイングレイテスト【8】
松岡騎手騎乗 美浦ウッド単走 1週前に速い全体時計を出しており、総仕上げの今週は鞍上が反応面を磨き上げることに主眼を置いたような内容だった。落ち着きつつ、しっかり闘志を内に秘めたような雰囲気で進み、巧みなコーナリングで正対。馬場の内目を通りまったくの馬なりを保って一直線に加速していくと、最後の数十メートルでさらに体を沈めて切れた。目下の充実ぶりを物語る絶好の攻め気配だ。

■ウインマーベル【7】
助手騎乗 美浦ウッド併せ馬 2勝クラスを追走。序盤はやや掛かり気味ではあったが、馬なりのまま取り付いて併走に持ち込む。手応えで若干だけ見劣ったが、気持ちの強さを出して加速し併入とした。中間の負荷は申し分なく、4カ月ぶりを感じさせない好気配。

■オオバンブルマイ【7】
助手騎乗 栗東坂路単走 武豊騎手が騎乗した1週前追いで豪快な追走先着を果たしており、これが実質の最終追い。今週は終い重点で切れを確認するような内容をこなした。小気味いいピッチ走法から自然と加速していき、機敏に手前を替えてからはさらに切れた。海外遠征帰りだった前走で好走した反動は感じられず、上積みだけ見込める状況だ。

■サトノレーヴ【7】
D.レーン騎手騎乗 美浦坂路併せ馬 外2頭を先に行かせて追走。オーバーワークを避けたか、ピタッとは体を並べずある程度距離を取り3頭横並びの最内で併走。まったくの馬なりを保ってラストは鋭く加速し、格下2頭相手ではあったが楽々追走併入を果たしている。初となる坂路での最終追いがどう出るかだが、攻め気配は申し分なし。高いレベルで安定だ。

■ダノンスコーピオン【7】
助手騎乗 栗東坂路単走 序盤から活気にあふれた行きっぷりを見せ、躍動感あるフォームで登坂。それでいて脚は残っており、ラストは馬なりのまま加速ラップを刻んで駆け抜けた。休み明けの前走時も上々の仕上げに思えたが、そこからさらに1段階アップか。

■トウシンマカオ【7】
菅原明騎手騎乗 美浦ウッド併せ馬 中2週を考慮し楽な相手を目標としてレース感覚をより研ぎ澄ますような内容だった。抑え切れないほどの前向きさを見せ先行馬に取り付いていくと、首をリズミカルに使い手応え優勢で併走。ラストはまったく自然体のまま切れで優って半馬身の先着としている。前走快勝の反動は感じられず、依然高いレベルで好調。

■ナムラクレア【7】
長谷川師騎乗 栗東坂路単走 1週前に横山武騎手を背に強い負荷を掛けられており、今週は指揮官が終い重点の微調整を施した。坂への入り際でミスステップがあったようだが、ご愛敬レベル。即座に立て直され正対すると気迫十分に加速していき、手前を替えてからのラストでさらに回転数を上げて切れた。踏み込みはパワフルでいかにも体調は良さそう。悲願達成へ、盤石の好気配。

■マッドクール【7】
坂井騎手騎乗 栗東坂路単走 坂井騎手を背に敢えて混雑した時間帯に追うのは今春の高松宮記念最終追いと同じ。若干の気負いはありつつ、久々を感じさせない前向きと力強さで登坂。ラスト2Fは12秒3-12秒3と等速ラップに留まっているが序盤飛ばした分と、混雑して馬が前を気にした分もあるだろう。ほぼ万全の仕上がり。

■ママコチャ【7】
川田騎手騎乗 栗東坂路併せ馬 中2週を考慮し、終いだけ重点の内容。2勝クラスの後ろでじっくり我慢させ、抜き去る感覚に磨きを掛けた。あと少しだけ鋭く切れて欲しかった感はあるものの、手応え圧倒で抜け出し半馬身の先着としている。中2週は古馬となってからもっとも短い間隔でのレースとなるが、疲れは感じさせず好調維持。

■ルガル【7】
西村淳騎手騎乗 栗東坂路単走 1週前に強い負荷を掛けられており、今週は息を整える程度の軽い内容。いい意味で遊びのある雰囲気で序盤は入り、ラストでは滑らかな加速を示した。馬場は混雑していたが、泰然と走れていたのもいい。骨折明けの半年ぶりとは到底思えない好気配。

▼「スプリンターズS」全頭追い切り評価はコチラ
https://uma-jin.net/new/salon/salon_detail/19660/0/112

スプリント戦、しかもGIとあってどの馬の調教もかなりよく見えました。相対評価ではなく絶対評価としているため【7】点が多くなった点はご容赦いただければ。

そのなかでも特によく見えたのはウイングレイテストでしたね。落ち着きと操縦性は申し分なく、馬が鞍上を信頼しきっているかのよう。無駄なことせず、余力をしっかり残して最後は一気に弾ける理想的な内容。ウッド主体も日曜に坂路追いを挟んでおり、好走条件クリアです。

1週前追い直前に他厩舎の馬から蹴られ外傷を負った影響があったとのことですが、それであの迫力満点の動き。傷がなければどれだけ走ったことか。傷は5cm角程度の軽微なものらしく、腱や骨、筋肉に問題なし。レース本番までにある程度の回復は見込めるはずです。

近2走はいずれも59キロを背負って差のない2着で充実一途。一発も……と思いましたが、指揮官が天を仰いだという大外16番枠がさすがにネック。“あって2着まで”の☆評価とします。

オオバンブルマイは前走時の馬体重が448キロと華奢。ゆえに使った反動が気になるところでしたが、中間は入念そのものです。1週前の坂路追いではラスト2Fラップ12秒3-11秒9(馬なり)と理想的な動きを見せており、日曜追いを経て今週も素軽さ満点。言うことなしの調整過程です。NHKマイルC3着も中2週でしたし、間隔が詰まって問題ないのはいいですね。

その前走が自身初の1200m戦、しかも海外遠征帰りの4カ月ぶりという厳しい条件ながら0秒3差3着。イン前有利な展開を4角最後方から猛然と追い上げてのもので勝ちに等しい内容でした。スプリント適性は間違いなく上位。

決め手が売りなのはもちろんですが、小回りコースのタイトな流れのなか脚を溜めることができるのも長所。札幌のキーンランドCしかり、そして5億円をかっさらった昨年の11月のゴールデンイーグル勝ちも舞台は四角く握った“おにぎり”を思わせる形状の豪ローズヒルガーデンズ競馬場でした。

ゴールデンイーグルでは2番枠から密集馬群中位で運び、最後は狭いところを割って抜け出したもの。タイトな中山芝1200mはベストの舞台かもしれません。今回も好走パターンの内枠に入りました。

できれば前走のような大外ブン回しではなく、ゴールデンイーグルのような馬群を突く形が望ましい。ゴールデンイーグルはジョシュア・パー騎手が代打ゆえに大胆な騎乗ができた感があり、前走外を回した武豊騎手にあのイン突きができるかどうか……。その点だけ割り引いての対抗です。

本命はスプリントGIで5着、2着、3着、2着のナムラクレア

単純な競走能力の高さは言うまでもありませんし、常にいい健康状態をキープできる体質面と回りの左右を問わず走れる対応力も素晴らしい馬ですね。

悲願のGI獲りへ、今回もいつも通り順調な調整過程で臨んできています。

今春の高松宮記念はCW主体の調整に切り替えて臨んでおり個人的に違和感を覚えたんですが、結果はアタマ差2着。その時々の馬の課題、状況に応じた調整パターン変更で結果を残すあたり、長谷川師の確かな手腕を再認識させられました。

今回はこの馬にとってかなり久々となる坂路オンリー調整。これも「全体的な筋力のパンプアップを意図して」と師はコメントしており、急坂中山での最後の粘りを考え策を練ってきたようです。“若き名伯楽”の柔軟な発想、調整術を信頼して◎。

主戦・浜中騎手の騎乗停止で横山武騎手への手替わりとなりますが、これが刺激策となって最後のピースがハマる格好になる可能性は十分です。

▲に昨年の覇者ママコチャ。前走はあくまで前哨戦仕上げで大外枠、牝馬で57キロ、そして主戦でない鮫島駿騎手騎乗という状況ながら差のない2着。トウシンマカオに強襲される形でなければもっと際どかったかもしれません。

オーバーワークを避けた今週の攻めでは行きたがるような面も感じさせ、叩いての活気上昇はかなりありそうです。確勝級と感じさせた昨年の攻めの迫力にはあと一歩だけ届かないものの、▲以下には落とせませんでした。枠はくしくも昨年と同じ3枠6番。

久々でも☆2番手ルガルの動きはかなりよく見えました。特にラストに少しだけ重苦しかった1週前と比べ、今週の動きは絶品の素軽さ。本番までにさらに良くなってきそうです。平坦巧者な雰囲気はあるものの、キャリアが少ないゆえの未知の魅力も。

マッドクールは最終追いであと少し時計を詰めて欲しかったですが、走路がかなり混雑していた分もあります。それで2F24秒6(馬なり)なら問題なし。能力上位なのは過去の実績から確かです。ただし理由は判然としませんが1週前追いが金曜にズレ込み、その影響か日曜追いをパスしているのがどうか。△までとします。

1番人気濃厚なサトノレーヴは最終追いが自身初の坂路。近2走は北海道なので仕方ないとして、今春の阪急杯や春雷Sも坂路ではなくウッドで最終追いを掛けていたわけでなにかしら夏場の疲れが気になる状況なのかもしれません。その坂路最終追いも動きは上々ながら、併せ馬でピタッと体を並べず少し距離を取ってできるだけ消耗を避けたような内容。日曜追いをパスしているのも引っかかると言えば引っかかります。能力には敬意を払いつつ、この馬も押さえまで。

トウシンマカオはいつも調教で動きますし、この中間も安定した走りっぷり。中2週でも日曜追いを含めて3本消化は体調安定の証です。<前哨戦勝ち→中2週でGI>だった今春の高松宮記念は0秒8差6着に終わっていますが、これは多分に馬場の影響があったもの。前走のいい状態は維持して走れそうです。

ただし大跳びゆえに外枠が欲しかった。同じ中山芝1200mの今年3月オーシャンS勝ちは16頭立て15番枠。今回の枠はいかにも厳しく感じます。この馬もGIを獲れる力はあるはずですが、この評価としました。

香港馬2頭は調教からの評価がなかなか難しいところ。ビクターザウィナーは本馬場での走りを見る限り、高松宮記念時のほどの迫力は感じませんでした。無印。ムゲンはいまが充実期のようですし、休み明けでも走れるタイプ。軽めとはいえ併せ馬の調整ができており、メンタルも安定か。ティータン騎手との好相性も魅力です。流れ次第ですが、腹を決めてのイン突きがハマれば上位食い込みも。押さえます。

ダノンスコーピオンは前走より気配はアップしているようで、GI馬の底力に怖さもあります。しかし走りのバランス的にまだ荒削りで、右回り内回りのGI競走で能力を出し切るのは、よほど恵まれないと難しそう。ウインマーベルは精神面でほぼ整っており、肉体がそれにちょっと追いついてないかなという仕上がり。スタートが不安定なクチで、そうなるとこの枠も仇か。そもそも過去2回のスプリンターズS(2着、6着)はいずれもキーンランドCから中4週でしたしね。

この2頭は無印としました。

以下、最終結論です。どうぞご参考に!

<調教ライター・西村武輝「スプリンターズS」最終結論>
◎5 ナムラクレア
○1 オオバンブルマイ
▲6 ママコチャ
☆16 ウイングレイテスト
☆13 ルガル
△7 マッドクール
△12 サトノレーヴ
△2 トウシンマカオ
△9 ムゲン

【単勝】5(1点)
【馬連】5=1,6,16,13,7,12,2,9(8点)
【3連複/フォーメ】5,1=5,1,6,16,13=5,1,6,16,13,7,12,2,9(37点)
【3連単/フォーメ】5,1→5,1,6,16,13→5,1,6,16,13,7,12,2,9(56点)


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