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血統サイエンティスト ドクトル井上

2024/09/13 18:00

愛チャンピオンステークス2024 最終結論【血統】名門のエースの復活に賭ける!

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≪今週の動画その1・愛チャンピオンS≫
▼シンエンペラー&海外馬をガッチリ分析!


皆さま、お元気ですか。血統サイエンティストのドクトル井上です。

この記事では、日本時間の土曜23時25分に発走するアイリッシュチャンピオンステークスの最終結論をば。

考察
アイルランドの大一番とあって、地元の名門・A.オブライエン厩舎の管理馬が結果を残す傾向にある当レース。特に例年同厩舎のエース格と目される馬はほとんど外さず走ってくる。

近10年の愛チャンピオンSにおけるA.オブライエン厩舎管理馬かつ現地のオッズで最も人気のあった馬の成績は【5-3-1-1】で、勝率50.0%、複勝率90.0%。近5年はいずれも該当馬が勝利というトンデモない成績になっている。

ちなみに唯一3着を外した2017年のチャーチルは直線で失速した逃げ馬にドン詰まって追えずじまいという内容。度外視可能な結果と言えよう。

またコース全体としては極端な勾配こそないものの、最終コーナーから最後まで登り坂が続くコース設定のため、欧州競馬らしいタフさが求められるのがレパーズタウンの10F。

そもそもの出走頭数が多いのもあるが、サドラーズウェルズとデインヒルの欧州主流配合が強く、毎年のように好走馬を送り出している。該当馬がいれば評価を上げるイメージで。

エコノミクス
現地のブックメーカーで最上位評価を受けているのが3歳馬のエコノミクス。

英ダービーの前哨戦・ダンテSで2歳GI馬エインシャントウィズダムを6馬身ぶっ千切ると、追加登録が必要だった本番はあえて見送り一足早く夏休みへ。復帰初戦のGII・ギヨームドルナーノ賞を勝ち切りここへ臨むことになった。

オーナーがバーレーンのロイヤルファミリーということで、「ロイヤルバーレーン」の冠がつくここは勝負の鞍と見るが、ヨークやドーヴィルと比べてタフなレパーズタウンをこなせるか? というのが今回のポイントになる。平坦から急坂コースへと替わる点を重く捉えて控えめな印に留める手も。

オーギュストロダン
父は言わずと知れたディープインパクト。母のロードデンドロンはガリレオ産駒のGI3勝馬。2歳時にマイルGIフィリーズマイル、3歳時に牝馬限定の10FのGI・オペラ賞、4歳時には牡馬相手のマイルGI・ロッキンジSを制した名牝で、早期から息長く活躍したのが特徴だった。

陣営はこの馬について「2400mも走れる2000mの馬」と評価している模様。確かに母ロードデンドロンも1600-2000mのGIで活躍した馬で、祖母のハーフウェイトゥヘヴンも愛1000ギニーやサンチャリオットSなどを制した名マイラーだった。

それを思えば2000mへの距離短縮は好材料。叔母のマジカル(愛チャンピオンS連覇の実績あり)も2000mの馬だったことだし。

このレースで無類の強さを誇るA.オブライエン厩舎の管理馬のうち、主戦のR.ムーア騎手はこの馬に跨る。基本的に同厩舎のエースにはムーア大明神が乗るのが通例(例外は2020年のマジカル⇔ジャパンくらい)なので、陣営としてもこの馬がエース格という見立てなのだろう。

「オブライエン厩舎のエースが強い」という傾向からいくと、最注目はやはりこの馬ということになる。

ピンかパーかというタイプなので、1着付けの馬券は握っておきたいところ。近走の成績でオッズがもらえるようなら万々歳だ。

ロスアンゼルス
血統表を見ると、キングマンボの3×3、デインヒルの4×3をはじめ、なかなか密な父母相似配合に。

また注目したいのが4代母に鎮座ましますアレグレッタの文字。要は名牝アーバンシーと同じ一族ということ。しかもサイアーラインはキャメロット、モンジュー、サドラーズウェルズなので、現代ヨーロッパの王道ど真ん中という配合だ。

サドラーズウェルズとデインヒルが強いこのレースの傾向を考えると、血統的にはかなり推せる1頭。同厩舎の使い分けがあったとはいえ、オブライエン調教師がセントレジャーを蹴ってこちらに向かわせたのも納得できる。

気になる要素を挙げるとすれば、厩舎の主戦かつ近2戦で鞍上を務めたムーア騎手がオーギュストロダンに騎乗する点と、どうやら次の凱旋門賞が本番っぽいコメントを出している点。

「愛チャンで上位に入れば凱旋門賞へいきます」というコメントからは、「あくまでここは試走です」というニュアンスが感じられるのが少々引っかかる。この状態でどこまでやれるかだろう。

シンエンペラー
父はヌレイエフ系種牡馬の雄・シユーニ。母は世界の名牝スターレッツシスター。全兄には凱旋門賞とフランスダービーを制したソットサス、半姉にはブリーダーズカップフィリー&メアターフ勝ちのシスターチャーリーなどがいる。

この馬の配合で最初に語るべきは母スターレッツシスターの配合。とにかく素晴らしいのひと言に尽きる。

ガリレオやアリシドン=アクロポリス由来のスタミナや持久力とミスワキ由来の柔らかさをしっかりと伝えられる繁殖牝馬だからこそ、シユーニやマイボーイチャーリーといった短距離からマイルの種牡馬から、長い距離をこなせる産駒を送り出せたわけだ。

またシンエンペラーの配合を見ると、母が持つミスワキの3×3にシユーニ由来のコジーンあたりが絡んでおり、血統的には大箱向き。内回りだった京都2歳もホープフルも弥生賞も皐月賞も4角手前で鞍上の手がわっせわっせと動いていたのは、タイトなコーナリングが苦手だからだろう。

血統的に洋芝がダメということはないはずで、レパーズタウンのコース条件もこの馬には向いているはず。

GIII勝ちしか実績がないので現地ではそれほど売れていないようだが、個人的には今年の日本の3歳世代でTOP3に入る馬だと思っており、十分にチャンスのあるチャレンジだと見ている。

ただ今回は凱旋門賞へ向けての叩き台という側面が色濃い感じ。矢作厩舎は前哨戦を前哨戦として割り切るイメージがあるので、そのあたりがどうか。

実際に1週前には「状態としてはまだ上積みの余地がある」「愛チャンをステップに凱旋門賞へ向けて調子を上げられたらいい」とのコメントが出ていた。この状況でオーギュストロダンやエコノミクスを完封してしまった日にはいよいよ凱旋門賞待ったなし!になるのだろうが、そうはいっても今回は相手も強い。

このメンバーを相手にどれだけやれるのか。まずはそこに注目したい。

≪今週の動画その2・セントライト記念≫
▼複勝率53.8%! 父サンデー系は○○のクロスを狙え!


愛チャンピオンSの最終結論
◎1 オーギュストロダン
○7 ロスアンゼルス
▲8 シンエンペラー
☆3 ルクセンブルク
△5 エコノミクス

【3連複/軸1頭流し】1=7,8,3,5(6点)
【3連単/フォーメ】1→7,8,3→7,8,3,5(9点)


オーギュストロダンの復活に賭ける。R.ムーア騎手を配したという事実から、A.オブライエン厩舎のエースがこの馬ということであれば、それだけで重視する根拠になる。そもそもが昨年の勝ち馬なわけだし。

ロスアンゼルス、▲シンエンペラーは目標が凱旋門賞である分だけ割り引いたが、血統的な適性は十分に見込める。何ってサドラーズウェルズ&デインヒルなので。

ルクセンブルクもコース適性を評価した恰好。もう少し距離があった方が良いのかもしれないが、一昨年の勝ち馬で昨年の2着馬という実績を考えると、ある程度オッズが貰えそうなのはありがたい限り。

エコノミクスはここが試金石と見て、いったん印を薄くする方向で。素質を思えばここをブチ抜いても驚けないが、タフなレパーズタウンでパフォーマンスを下げるリスクの方に重きを置いた。

馬券は◎オーギュストロダン1着の3連単と同馬からの3連複で。エコノミクスは3着以下でお願いできるとありがたい。

<プロフィール>
“血統サイエンティスト”ドクトル井上

在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。
好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。
凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。

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