【競馬サロン】読者の皆さん、こんにちは。

調教ライター・西村武輝です。

今週から秋競馬が開幕。中山ではさっそく土日に2重賞が行われますね。

その中山で日曜に行われるのはサマーマイルシリーズの最終戦「京成杯AH」です。

調教面で確認したいのは心肺能力や脚捌きなど基礎的な部分もそうですが、“トリッキー”とされる中山芝マイルで戦えるレース感覚が磨かれているかも見ておきたいところ。

まずはシンプルに調整過程と動きの部分での気配評価、採点を行った以下のレポートをご確認ください。週末にはこの「調教診断」を軸として調教ライター・西村武輝の「印・見解・買い目」を公開する重賞の最終結論コラムもお届けいたします。こちらもどうぞご期待ください。

それでは「京成杯AH」全頭追い切り診断となります。

●9月8日　京成杯AH（GIII、中山、芝1600m）
　
■アスコリピチェーノ　北村宏騎手騎乗　美浦ウッド併せ馬　2頭を先に行かせて追走。最内へ進路を取り、直線に正対してもまだ2頭との差があったが、そこから気持ちを乗せて一気に加速。スルッと抜け出しあっさり最先着とした。ラスト1Fは圧巻の11秒0（馬なり）。前向きさがありながら、しっかりと脚を溜めることができており精神面はピタッと整っている。文句なしの好仕上がり。【8】

■エアファンディタ　助手騎乗　栗東CW併せ馬　外先導で2勝クラスを迎撃する形。道中はまずまずリズミカルに動けていたが、相手が迫ってくるとスッと対応できず、結局2馬身の遅れ入線に終わっている。乗り込みは順調だが、実戦勘の部分でどうか。10カ月半ぶりの復帰戦となるここを使ってからだろう。【4】

■エエヤン　助手騎乗　美浦坂路併せ馬　準オープン馬を1秒近く先に行かせて追走。坂の序盤で取りつき併走に持ち込むが、最後は手応えで見劣り半馬身遅れ入線となった。ただし追走差を考えれば、そこまで悲観的な内容でもなかったか。4F52秒3（一杯）という時計そのものは秀逸。好気配にある。【7】

■オーキッドロマンス　内田騎手騎乗　美浦ウッド併せ馬　先行2頭を追走し直線では最内へ。硬さを残し格下2頭相手に届かずの遅れ入線ではあったが、時計は自己ベストを更新している。このひと追いで走れる態勢は整ったか。【6】

■カテドラル　助手騎乗　栗東坂路単走　混雑した走路のなか、一定のリズムを保って登坂。ラストも高い回転数を維持してジワッと伸びていた。踏み込みに力強さはあったし、実戦で結果は出ていないにしても、状態は安定。【6】

■キタウイング　助手騎乗　美浦ウッド単走　1週前に併せ馬で負荷を掛けており、今週はリラックスして走らせることに主眼を置いた内容。意図した通り気分よく進み、ラストは一定の力強さを感じさせて加速できていた。前走から一定の良化は見込んでいいのでは。【6】

■キャットファイト　大野騎手騎乗　美浦ウッド併せ馬　デビュー前の新馬をマクっていく併せ馬。スムーズに手前を替え、一気に加速して目一杯追われる相手を3馬身突き放しての先着とした。コーナーワークは柔軟で、いかにも中山マイルが良さそうな動き。好気配だ。【7】

■コラソンビート　丹内騎手騎乗　美浦坂路併せ馬　2歳未勝利を追走。坂に入ってからややモタついたものの、馬なりのままジワジワと加速し最後は結局半馬身ほどの先着を果たしている。序盤にしっかり折り合えていたのは収穫。休み明けを苦にするタイプでないし、持てる力をしっかり出せそう。【7】

■サンライズロナウド　助手騎乗　栗東CW併せ馬　15-15ペースの軽い内容で、前に行かせた馬を特に抜きにも行かなかった。平凡だが、テンション面の問題で以前は追い切り時計を出さなかったことを考えれば、この馬なりに常識に掛かってきたということか。順調。【6】

■ジューンオレンジ　富田騎手騎乗　栗東坂路単走　上々の気合い乗りで登坂。坂の半ばで鞍上がステッキ一発を入れると手前をスッと替えて加速した。あと少し鋭く切れて欲しかった感はあるが、中11週とすれば悪くない状態と言える。【6】

■ショウナンマグマ　吉田豊騎手騎乗　美浦ウッド単走　マイル対応を意識してか、序盤からスピードに乗せていく調整。当初はややフォームにブレがあったが、直線半ばで気持ちが整ったようでスムーズに加速できた。あと少し動きに切れは欲しいが、体調は悪くなさそうだ。【6】

■セルバーグ　助手騎乗　栗東坂路単走　ややモタれるような面を見せるが、鞍上の扶助があり問題ないレベル。促されてからの反応は機敏で加速ラップを踏んでフィニッシュとした。気配は安定しており、あとは実戦に出て同型との兼ね合い次第か。【6】

■タイムトゥヘヴン　柴田善騎手騎乗　美浦ウッド併せ馬　巧みなコーナリングで先行馬のインへ潜り込むと、相手が案外伸びなかったこともあり、早めに抜け出し3馬身の先着を果たした。1頭となったあとも仕掛けられたあたり、鞍上が体調の良さを感じ取ったからかも。1週前の動きは豪快だったし、休み明けを2回使われ本調子か。【7】

■ディオ　助手騎乗　栗東坂路単走　中3週で再度の東日本遠征を考慮し終い重点の内容。力みはなくまとまりのあるフォームで走り、加速も上々で目立った疲れは感じられない。絶好に思えた前走時ほどの迫力には及ばないものの、依然好調域にある。【7】

■ディスペランツァ　助手騎乗　栗東坂路併せ馬　土曜に強い負荷を掛けられたのが実質の最終追い。今週はゆったりとしたペースでの併せ馬で息の出し入れの感覚を研ぎ澄ます内容だった。時計は平凡だが、ゴール寸前でスッと切れ勝ちしたあたり精神面はかなりいい状況のよう。前走時も好調と言えたが、そこからさらに上昇か。【7】

■ドルチェモア　北村友騎手騎乗　栗東坂路単走　シャープなフォームで登坂し、鞍上がラストにステッキを入れるといい反応を示し加速した。実戦に出てさっぱりだが、稽古での動きは上々の部類。きっかけひとつか。【7】

＜追い切り評価＞は最終追いを含めた中間の調整全体の総合評価となり、10段階評価（10が最高、1が最低）です。