競馬サロン
2024/08/31 18:30
新潟記念2024 最終結論【血統】最終週の新潟でヨーロピアンな斬れ味が炸裂!
≪今週の動画・新潟記念≫
▼好走の鍵は「キンカメ&●●」にあり!
https://uma-jin.net/new/salon/salon_detail/19245/0/111
皆さま、お元気ですか。血統サイエンティストのドクトル井上です。
この記事では、日曜日の新潟メイン・新潟記念の最終結論をば。
■考察
過去10年のキングカメハメハ内包馬の成績は【5-4-1-17】で勝率18.5%、複勝率37.0%。10回のうち5回でキンカメ内包馬が勝利を収めているうえ、回収率も単勝148%、複勝130%とベタ買いOKの数字となっている。
注目したいのがキンカメの持つミルリーフの血。これを直接クロスさせたり、ミルリーフ≒リヴァーマンの組み合わせとして継続した馬から近2年の勝ち馬(ノッキングポイント、カラテ)が出ていることは押さえておきたい。
欧州的な斬れを伝えるミルリーフなので、これを増強することが最終週で荒れた新潟の長い直線への適性を向上させることに繋がるのだろう。
欧州的な要素という点ではニジンスキーの血にも注目。ニジンスキークロスを持つキンカメ内包馬はこの10年で【2-2-1-2】で複勝率71.4%。リピーターのユーキャンスマイルが数字をハネ上げている点は否定しないが、それを補って余りあるくらいに優秀な数字だ。
▼レッドラディエンス
2000mの七夕賞を勝たれた今でもこの馬は2400mベストだと思っており、その根拠はスタミナ色の強い祖母ペルヴェルサの配合。アリシドンやモスボローなどハイペリオン基調のスタミナが色濃いため、距離はもう少しあって良さそうな印象を受ける。
ただディープにストームキャット、エーピーインディ、ミスワキの全妹ホープスプリングスフォーエバーといった血の組み合わせは、間違いなく「大箱>小回り」。福島から新潟の外回りにコースが替わるのはプラスだろう。
このレースで異様に強い友道厩舎の管理馬でもあり、印はキチンと回しておくべき。力はあるのでヘンに揉まれない外枠はかえって好材料と見る。
▼キングズパレス
キンカメ×ドバウィという血統からも9-10Fベストの中距離馬だと思っていて、2200m以上で勝ち切れない競馬を続けていたのは単に距離の壁に泣いていたのだろう。引き続き2000mに出走してくれるのなら高評価すべき、というのがファーストインプレッション。
そのうえ注目ポイントとしたミルリーフクロスとニジンスキークロス(※グリーンダンサークロスではあるが)も抱えており、傾向にもピタリ当てはまる。
今年の新潟大賞典は3着以下に敗れた馬から次走好走した馬が多く、一定以上のレベルにあった感。そこで2着の実績は評価できる。
高速馬場で結果を残してきた馬ではあるものの、キンカメ×ドバウィ×スワーヴダンサーで欧州風味も強い配合なので多少馬場が荒れても無問題。
立ち回りが容易な少頭数になったのもありがたい。得意の左回り替わりでさらなる前進を期待しよう。
▼シンリョクカ
種牡馬サトノダイヤモンドのポイントは、いかにしてアルザオの切れを引き出すか。
有効な手段はカーリアン持ちの牝馬を合わせるパターンで、この組み合わせからは、サトノグランツ、スズハローム、そしてシンリョクカが出た。重賞で馬券になったサトノダイヤモンド産駒4頭のうち3頭がこの組み合わせ。アベレージは高い。
サトノダイヤモンドのスタミナとアルザオ≒カーリアンの切れを受け継いだシンリョクカは、配合どおりの末脚を備えた9-10Fの中距離馬に出た。
なおかつ超スローからの極限の切れ味比べよりも、道中ある程度流れたうえでそこから直線でどこまで脚を伸ばせるかというレースに強いタイプでもある。
昨年の府中牝馬Sのように大箱の牝馬限定重賞はスローで流れることも多く、タフな末脚が武器のシンリョクカにとって展開が向かないことも多い。その一方で、小回りの牝馬限定重賞は、確かに上がりがかかりやすいとはいえ、そもそも血統的にシンリョクカの小脚性能には限界がある。
そんなジレンマを抱えていたシンリョクカにとって、荒れた最終週の新潟外回りかつ速いラップを刻む逃げ馬がいる今年の新潟記念は願ったり叶ったりの条件。強い牡馬が相手にはなるものの、ハンデの差があるので十分に戦える。
さらには注目ポイントとした「ミルリーフ&ニジンスキー」のクロスのあるキンカメ内包馬でもあり、血統的な観点からも評価は高い。一発の期待をかけたい存在だ。
▼ライトバック
ダルシャーン持ちの牝馬らしく、溜めに溜めてからの末脚の爆発力には素晴らしいものがある。メジャーエンブレムを差し切ったデンコウアンジュのアルテミスSが好例だが、末に賭けたダルシャーン牝馬のキレは、時に凄まじい輝きを放つ。
その一方で、自力で勝ちに動くと甘くなるのもダルシャーン牝馬あるある。切れを引き出すには道中の繊細さが要求される。
それを思うと大逃げを打ちそうなアリスヴェリテの存在はなかなか厄介になりそう。
「さすがにタレるだろう」と思っていても、前を行く馬との距離が遠くなり過ぎるとジョッキーには心理的な焦りが出てくるだろうし、かといって「射程圏には入れておこう」と早めに動かしてしまうと、今度はダルシャーンの良さが出ない。
これが人気薄なら「届かなかったらしょうがない」と開き直って乗れるのだろうが、上位人気だとそれなりに格好をつける必要があるうえ、ライトバックが秋華賞への権利を確定させるには是が非でも2着が欲しい場面。
それを踏まえると、道中における前との距離感にはかなり難儀するのでは? というのが素直な感想だ。
これで最後方から前との距離感を間違えず、脚を溜めてズドンで差し切る競馬ができるようなら、それは鞍上の坂井騎手を手放しで褒めるべき案件。
ダルシャーンなライトバックを坂井騎手がどんなレースで導くかがレースの見どころだ。
■新潟記念の最終結論
◎9 キングズパレス
○12レッドラディエンス
▲4 シンリョクカ
△5 ファユエン
△3 ジューンアヲニヨシ
△7 セレシオン
△10バラジ
△2 ライトバック
【3連複/フォーメ】9=12,4=12,4,5,3,7,10,2(11点)
◎キングズパレスに「三度目の正直」を託す。そろそろ勝ってくれんかね? と。
ミルリーフクロスとニジンスキークロスを両立したキンカメ産駒なら舞台適性は間違いない。ヨーロピアンな斬れ味が炸裂するのを期待しよう。
○レッドラディエンスは地力を買って、▲シンリョクカは待望の条件替わりを狙う。
△ライトバックは連下の1番下で押さえる程度。ダルシャーンな牝馬なので道中の進め方はそれなりに難易度が高そうで。
馬券は◎キングズパレスから○▲を2列目に置いた3連複フォーメーションで。
<プロフィール>
“血統サイエンティスト”ドクトル井上
在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。
好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。
凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。
=重賞深掘りPROJECT関連動画=
【DATA診断・新潟記念】お宝DATAハンター リーダー・ハットリ
【馬体診断・新潟記念】馬体アナリスト・伊藤
【調教診断・新潟記念】調教ライター・西村武輝
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