【今週の注目重賞】
■函館記念
7月14日（日）、函館競馬場で第60回・函館記念（3歳上、GIII、ハンデ、芝2000m）が行なわれる。

ホウオウビスケッツ（牡4、美浦・奥村武）は重賞初制覇を目指す。スプリングSでは2着に好走し、ダービーは6着に善戦。両レースで差のない競馬をしたベラジオオペラは今年の大阪杯でGIウイナーになった。先行力が持ち味の馬で、前走・巴賞は逃げて2馬身差の快勝。函館記念も基本的に先行有利なレースなので、ポジションをとれる脚は魅力的。また道悪も得意なので、雨や荒れ馬場も歓迎材料。ただし1800mがベストの印象で1ハロンの延長がどう出るか。また巴賞の勝ち馬は本番で好走しないというジンクスも気がかり。

チャックネイト（セ6、美浦・堀）はメンバー唯一のGII勝ち馬。長らく条件戦を勝ちあぐねていたが、昨夏に去勢を施されると術後2戦目に六社Sを制してOP入り。アルゼンチン共和国杯で3着同着後、AJCCを勝利し6歳にして重賞ウイナーとなった。前走・天皇賞・春は14着大敗も不利な外枠だったし、所属は関西遠征が苦手な堀厩舎。度外視していい結果だ。2000mは若干短い印象ながら、同馬も道悪得意であり、時計のかかる馬場になれば同馬のスタミナが活きるかもしれない。あとはトップハンデ必至なので、斤量がどれくらいになるか。

サヴォーナ（牡4、栗東・中竹）も初タイトルが欲しい一頭。2歳のデビュー時から崩れることなく走っており、これまで7着以下に負けたことがない堅実派。神戸新聞杯と日経新春杯では2着。GIでも菊花賞は5着、天皇賞・春は6着と善戦。一方で勝ち味に遅く、3勝クラス以上の勝ち星はない。2000mも一見距離不足に映るが、菊花賞など3000m超の3戦で最後末がなくなるのを見る限り、そこまでスタミナタイプではないのでは。2000mへの大幅距離短縮がプラスに出る可能性はなくはない。それと中竹厩舎と加藤誠オーナーのタッグは今年2頭が重賞初勝ちを収めており（京都金杯コレペティトール、マーメイドSアリスヴェリテ）、この勢いは見逃せない。

リカンカブール（牡5、栗東・田中克）は今年の中山金杯で重賞初制覇。3戦目の京都新聞杯で4着に善戦するなど、早い時期から能力の一端を覗かせていた馬。そこから条件戦を時間をかけて勝ち上がり、OP昇格後2戦目の中山金杯で厩舎待望の初タイトルを獲得した。前走の大阪杯は不利な外枠で大敗もやむなし。とはいえ中山金杯優勝は、内枠を活かした鞍上・津村騎手の完璧騎乗がハマッたもの。小回りの芝2000mは最適の舞台ながら、ここはローカルのハンデGIIIのわりにメンバーが揃った。ハンデも軽くはならないだろうし、同馬にとってまさに試金石の一戦となりそうだ。

マイネルクリソーラ（牡5、美浦・手塚）は穴人気しそうな一頭。地味な存在ながらデビュー以来、崩れることなく走り続け、出走23戦中、掲示板を外したのはたった2回だけ。昨夏にWASJ第2戦を勝ってOP入り後、初重賞の中山金杯は3着、中山記念も5着と、重賞でも差のない走りを見せている。先行でも差しでもマクリでも好走経験がある、自在性があるのが大きな魅力。重賞で勝ち切るイメージは薄い反面、展開に乗じて2、3着に滑り込むシーンは大いに想像できる。

そのほかには、GIホープフルSでのハナ差2着を筆頭に重賞で2着4回のトップナイフ（牡4、栗東・昆）、一昨年の本レース勝ち馬・ハヤヤッコ（牡8、美浦・国枝）、巴賞2着のデビットバローズ（牡5、栗東・上村）と同3着のアケルナルスター（牡5、美浦・清水英）、パールS勝利のエンパイアウエスト（牝5、美浦・黒岩）、エプソムC6着のグランディア（セ5、栗東・中内田）なども出走を予定している。

【そのほかの重賞】
■函館2歳S
7月13日（土）、函館競馬場では第56回・函館2歳S（2歳、GIII、馬齢、芝1200m）が行なわれる。主な出走予定馬は、東京芝1400mの新馬戦を7馬身差圧勝したサトノカルナバル（牡2、美浦・堀）、函館芝1200mの新馬戦を5馬身差で逃げ切ったエンドレスサマー（牡2、美浦・上原佑）、同コースの新馬戦でこちらは4馬身差勝利のニシノラヴァンダ（牝2、美浦・奥平）、函館芝1000mで2馬身差デビュー勝ちしたGI馬・スリープレスナイトの孫・ヒデノブルースカイ（牡2、栗東・梅田）、函館ダート1000mで6馬身差圧勝のリリーフィールド（牝2、栗東・小崎）など。

（Text:Hattori）