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血統サイエンティスト ドクトル井上

2024/05/20 21:00

【日本ダービー 2024 血統展望】ジャスティンミラノに死角あり 世界的名血が新たな時代の扉をこじ開ける!

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≪今週の動画≫


皆さま、お元気ですか。“血統サイエンティスト”のドクトル井上です。

オークスはルメール騎手が跨るチェルヴィニアが勝利。前走13着の鬱憤を晴らすともに、母チェッキーノが2着に終わったリベンジを果たしました。いやはや強かった。

ステレンボッシュも落鉄があったようですが強い2着。馬群でプレッシャーを受け続ける形でしたが、最後しっかり伸びてきたのは地力と精神力の賜物でしょう。ライトバックは肚をくくって直線にかけた坂井騎手の好判断でした。

予想の方も○→◎→△でお安いとはいえ3連複が的中。正直なところ、チェルヴィニアはもっと人気しない想定で週頭の動画や展望を撮っていたのですがフタを開ければしっかり2番人気。皆さまお上手ですな。

さてこの記事は東京優駿(日本ダービー)について血統面からの展望を。ごゆるりとお付き合いいただけますと幸いです。

ジャスティンミラノは距離をこなせるのか?

近年の日本ダービーはディープインパクト産駒が席巻していたのはご存じのとおり。産駒が初めて日本ダービーに出走した2011年以降、実に7回を同産駒が制した。またディープ産駒に限らず、近年の日本ダービーは「古馬芝2400m以上のGI勝ち馬の父×母か母父が短距離もしくはダート実績馬」という配合をした馬の好走が目立っていた。

日本ダービーは2400mのレースである一方、3歳春のレースでもある。父が12F向きなだけではスタミナの確保のみに留まり、ダービー好走に求められる仕上がりの早さを手に入れることができないため、母方の短距離血統やダート血統から早期に動ける筋力やスピードを補強する必要があったということだろう。

ここで考えたいのが今年の1人気想定ジャスティンミラノの配合について。

同馬の母は5FのGI勝ち馬マーゴットディドで、母父は豪州でスプリントGI2勝のエクシードアンドエクセル。明らかな短距離血統だ。

その一方で父はキズナ。確かに2400mの日本ダービーは勝っているものの、古馬芝2400m以上のGIにおける好走歴はなく、2回挑戦した春の天皇賞はいずれも4着以下に敗れている。

また「父ディープインパクト×母父ストームキャット」の牡馬は、リアルスティール(ドバイターフ)、ダノンキングリー、サトノアラジン(いずれも安田記念)と、1600-2000mベストに落ち着くことが多かった。キズナもエピファネイアを完封した産経大阪杯@阪神芝2000mを見るかぎり、2000m以下の距離がベストの中距離馬だったように思う。

古馬2400m向きの父に短距離要素のある母の組み合わせであれば、ダービーで求められるスタミナと仕上がりの早さを両立できたわけだが、果たして2000m向きの父と短距離馬の母との配合で話は同じようにいくのかどうか? スタミナ成分がやや不足しないかという点が気がかりだ。

加えて気になる要素がもう1点。

過去、皐月賞を1分58秒9以内の時計で勝った馬はジャスティンミラノ以外に8頭いるのだが、その8頭のダービー成績は【1-0-1-6】で勝率12.5%、複勝率25.0%に留まる。

馬券になったのは2015年のドゥラメンテと2016年ディーマジェスティ。ドゥラメンテの母はエリザベス女王杯連覇のアドマイヤグルーヴ、ディーマジェスティの母エルメスティアラはブライアンズタイム×サドラーズウェルズ×ドフザダービー(英ダービー馬ジェネラスの母)といういずれ劣らぬ重厚な血統だった。

反対にサンデーサイレンス×ノーザンテーストのダイワメジャーやローエングリン×サンデーのロゴタイプなどは3着を外す結果に終わった一方、古馬になってからマイルの距離でGIを制した。

高速決着の皐月賞を制す馬は本質的にマイルから2000m向きであり、ダービーで連続好走するためには母からスタミナ成分を押さえておく必要があるようだ。

以上の2点から、中距離馬の父×短距離馬の母という配合かつ皐月賞を破格のレコードで制したジャスティンミラノは本質的にマイラーなのではなかろうか? という仮説が立てられる。皐月賞のパフォーマンスから抜けた人気に支持されることが想定されるが、ラスト1Fで止まるリスクも織り込んで予想すべき、というのを今年の日本ダービー予想の立脚点としたい。

各馬の個別検討

ジャスティンミラノ
とにかく皐月賞が圧巻のパフォーマンス。スローの競馬しか経験していなかったのにもかかわらず、初の小回り中山でハイペースを先行して抜け出し勝利。レースセンスの高さと脚力を証明してみせた。加えて配合から東京向きなのは間違いないと思っているし、抜けた1人気になるのも納得の存在だ。

ただやはり気がかりなのは中距離馬×短距離馬という配合パターンの同馬が、高速決着の皐月賞であれほどまでに強い競馬を「してしまった」点。ベストは8-9Fというタイプなのではなかろうかと思えてしまう。

歴史は繰り返す。ロゴタイプがそうだったように最後に止まるリスクは考えておくべき。週頭の段階ではあるがこの馬に◎を打つことはないと予め宣言しておきたい。同馬が3着を外しても的中するような形で馬券を組もうと考えている。

シンエンペラー
父は欧州の名種牡馬シユーニ、母は早逝した世界的名繁殖牝馬スターレッツシスター、全兄には仏ダービーと凱旋門賞を制したソットサス。世界中どこへいっても通用する良血馬がこのシンエンペラーだ。

母スターレッツシスターはミスプロ系における中長距離の名血ミスワキの3×3という強烈なクロスと薄いながらもアクロポリス=アリシドンというステイヤーの全兄弟クロスを抱えていたため、スタミナと持久力(とミスワキ由来の柔らかさ)をしっかりと伝える能力を備えていた。そのためスプリンターやマイラー種牡馬との配合だったのにもかかわらず、ソットサスやシスターチャーリーのような10-12F向きの中長距離馬を次々に輩出することができたと考えられる。

スターレッツシスターの仔であるからには、シンエンペラーも距離は全く心配要らないし、コーナーで手が動いていたここ数戦の走りやミスワキのクロスにコジーンが絡む配合形を見ても広いコースに替わるのはプラスだろう。

また前走の皐月賞はシンプルに時計が速過ぎた感もある。7枠から馬群の外々を追走する格好になり、早めに脚が売り切れたのも敗因にありそう。同じような場所を走っていたジャスティンミラノとの差はマイラーとしての適性差、追走力の差のみで能力差ではないと考える。むしろあのペースで追走に苦労していた点は、距離が延びることを考えればむしろプラスに働くように見える。

マル外にクラシック競走が開放されてから20数年が経った。クロフネやシンボリクリスエスが跳ね返されてきた壁を打ち破り、シンエンペラーが新たな時代の扉をこじ開けることを期待したい。

レガレイラ
スワーヴリチャード×ハービンジャー×ダンスインザダーク×ウインドインハーヘア(※ディープインパクトの母)という配合で、どこからどう見ても距離が延びるのはプラス材料。皐月賞では勝負どころでモタついたように見えたので東京替わりも大歓迎だろう。

頼れる相棒ルメール騎手が鞍上に戻ってくるのも心強いかぎり。牝馬ながらここはチャンスありと見る。

ただ父、母父、母母いずれも古馬12Fタイプの配合だと、ヴェルトライゼンデやアドミラブルのような「強い3着」の可能性も。そこだけは織り込んで予想に取り掛かりたい。

アーバンシック
基本的には同血のいとこレガレイラと同じような取り扱いでOKだろう。この馬も皐月賞の脚を見るかぎり、東京コース&距離延長は歓迎材料だ。

ただ重賞未勝利の身で想定3人気というのは少々妙味に欠ける感も。そのあたりは当日までの気配と天秤にかけつつ推移を見守りたい。

シックスペンス
父はキズナ、母フィンレイズラッキーチャームはアメリカでダート7FのGI勝ち。母父もダート7FのGI勝ち馬だ。キズナに短距離馬の母ということで配合の方向性としてはジャスティンミラノに近いものがある。

1人気馬との違いを挙げるとすれば、母が米血主体でありここから小回り向きの馬力や機動力を手に入れたこと。成績どおりの中山向きのマイラーという感があり、東京コース替わりと距離延長には些か不安が残る。

ダノンエアズロック
モーリスに母父デインヒル系というのは豪州で多くみられる配合パターン。母モシーンはオーストラリアの名牝なので、ノーザンファームもそれを意識して配合プランを立てたのかも。

3戦3勝の東京が合っているのは間違いないが、血統背景からは2400mは少々長いように見える。半姉にヴィクトリアマイル2着のプリモシーンがいるモーリス産駒であれば、1600mベストに落ち着くのが道理だろう。

ビザンチンドリーム
父エピファネイア、母父ジャングルポケットはいずれも古馬12Fタイプであり、ここだけ見るとダービーではちょっと足りないようにも思えるが、祖母グリッターカーラはクイーンC勝ち馬ライラプスの全妹で、朝日杯FS勝ち馬フサイチリシャールの半妹にあたるマイラー血統。

母父が古馬12Fタイプの種牡馬で、母母が短距離からマイル血統というのはエフフォーリアと似た配合形であり、祖母マイラーというのはデアリングタクトと似ているパターン。エピファネイア産駒が3歳春に東京芝2400mのGIで勝ち負けするための組み合わせと判断して良かろう。

レースが下手で出遅れからの外ぶん回しはもはやお決まりではあるが、それだけに広い東京コースに替わるのは魅力的だ。

皐月賞凡走からの日本ダービーでの巻き返しはトニービンのお家芸。母父ジャングルポケットも皐月賞で出遅れて3着に敗れたのちダービーを制した。デビュー戦の勝負どころで見せた脚はGIを意識させるに十分なものだったし、この大舞台で一発に期待する手はある。

まとめ

シンエンペラーの東京替わり&距離延長に夢を託したいというのが第一感。「血統派のクセにコテコテの欧州血統に◎を打つんかい!?」とツッコまれてしまいそうだが、血統派だからこそ勝てば種牡馬入りがまず間違いないものとなるダービーを勝って、日本にその血を広める礎を築いてほしいと思ってしまうのもまた事実。

世界最高峰の名血かつサンデーサイレンスの血を引かないのに日本の馬場への対応力をしっかり示せる馬など探しても見つかるものではなく、だからこそここを勝って日本競馬に新たな風を吹き込む存在になってほしいと願ってしまうわけなのだ。

一発の期待ならビザンチンドリーム。デビュー戦、直線手前の勝負どころで外からすっ飛んできた脚は見る者に強烈なインパクトを残した。阪神芝2000mの2歳新馬で上がり3F33秒9の脚を使っている時点で只者ではないのは明らか。広いコースで真価を発揮してほしい。

枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論は土曜日の夜に公開いたしますので、そちらもどうぞお楽しみに。

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<プロフィール>
“血統サイエンティスト”ドクトル井上

在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。
好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。
凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。
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