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血統サイエンティスト ドクトル井上

2024/05/13 21:00

【オークス 2024 血統展望】距離延長は大歓迎! 桜の女王が2400mで更なる輝きを放つ

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≪今週の動画≫


皆さま、お元気ですか。“血統サイエンティスト”のドクトル井上です。

先週のヴィクトリアマイルは単勝オッズ200倍超のテンハッピーローズが勝利。テレビで見ていてリアクションに困るGIというのも久々だった気がします。いやはや驚いた。

スロー想定で予想を組み立てていたので、スタニングローズのハナを強引に叩いたコンクシェルが前半600mを33秒8で突っ込んだところで早々に観戦モードへ切り替えることに。さすがにあれはオーバーペース。

ただあの騎乗を責めるつもりは毛頭なくて、岩田望騎手はキチンと自分の仕事を全うしてくれたと思います。あれで逃げてなかった方が私は怒っていたと思います。

コンクシェルが飛ばしてペースが流れた分だけ、短い距離での追走力があったテンハッピーローズが浮上したという格好。終わってみれば理解はできますが、なかなか戦前に予想はしづらいよなぁ……。

とはいえ思った通りにいかないのも競馬の面白さ。切り替えていきましょう。

ちなみに京王杯SCは今年もロードカナロアでした。予想も△→◎→○で3連複6450円を的中。そっちで当てておいて精神的にもお財布的にもだいぶ助かりました……。

さてこの記事は優駿牝馬(オークス)について血統面からの展望を。ごゆるりとお付き合いいただけますと幸いです。

父サンデー系は相対的に不振?

過去10年の父系の成績を見てみると、父サンデーサイレンス(SS)系が【5-5-7-96】で勝率4.4%、複勝率15.0%と控えめな成績に。その他の系統が【5-5-3-51】、勝率7.8%、複勝率20.3%なので、サンデー系は相対的にやや不振と言える。SS系以外の種牡馬もしっかり狙える重賞だ。

父SS系のうち【3-3-2-28】のディープインパクト産駒以外に複数頭の産駒が好走しているのは【1-1-1-16】のハーツクライと【1-0-1-2】のゴールドシップだけ。

2400mという条件もあって、父SS系ではスタミナ色が濃い馬を狙いたいレースと言える。

そんな状況のなか、着々と戦果を挙げているのがドゥラメンテをはじめとする父キングカメハメハ系。この10年で【3-3-1-18】、勝率12.0%、複勝率28.0%なので、父SS系より狙いやすい系統と言える。

父キングカメハメハ系で狙いになるのがオークスまでに2勝以上を挙げていた馬。この10年で【3-3-1-9】で複勝率43.8%と安定感があるうえ、複勝回収率も162%なので配当妙味も見込める。

マイラーのキングマンボ、さらにはミエスクを祖先に持つキングカメハメハなので、自身も後継種牡馬たちも距離が延びてこそというタイプは少ない。

そのため、距離適性によるアドバンテージ、ちゃぶ台返しはなかなか見込めず、結果として白星を重ねるだけの脚力がある馬がシンプルに強いということになるのだろう。

今年の登録馬父キンカメ系は3頭いるが、そのうち2勝以上を挙げているのはミアネーロのみ。同系で狙うならこの馬になりそう。

各馬の個別検討

ステレンボッシュ
父は菊花賞とジャパンCを制したエピファネイア。母父ルーラーシップは日本屈指の名門・ダイナカール牝系の出身で古馬の王道路線で活躍した。さらに3代母ウインドインハーヘアはあのディープインパクトの母親である。

血統表のどこをどう切り取っても本格派、それも日本トップクラスだ。

また血統表の3代目にそれぞれ入るスペシャルウィークとダンスインザダークは同じ「サンデーサイレンス×母父ニジンスキー系」という配合形。ニジンスキー的なゆったりした胴伸びを伝えやすい組み合わせで、実際にステレンボッシュも中距離馬然とした馬体をしている。

桜花賞の時も動画で申し上げたとおり、ステレンボッシュはどう考えてもオークス向き。血統表を見ても実馬を見ても、マイルからの距離延長がマイナスになるとは到底思えないのだ。

そのうえ、外回りの桜花賞を差し追い込みで勝った桜花賞馬は【6-1-1-2】で勝率60%、複勝率80%とオークスで抜群の成績を残してきた。

マイラーとしてのスピードや先行力ではなく、中距離馬としての切れ味を武器に桜花賞を「制してしまった」馬は、そのままオークスでも好走する傾向にある。ステレンボッシュはこのパターンにも合致。相当に買いやすい存在と言える。

もちろん人気には推されるだろうが、私自身としても桜花賞時から「オークス向き」と言っていた以上、ここで評価を下げるわけにはいかない。大注目の存在だ。

ライトバック
父は3歳世代の産駒が好調のキズナ。母インザスポットライトは名門ドフザダービー牝系の出身で、母父エクシードアンドエクセルは豪州で短距離GIを制した実績がある。

皐月賞馬ジャスティンミラノとソックリな配合で、高速馬場でのスピード比べで力を発揮する様子。その対応力は母父のスピード由来と見る。

ダンジグとサドラーズウェルズが入るキズナ産駒ということで、ゆくゆくはバスラットレオンのようなマイラーになるかもしれないが、オークスはマイラーでも脚を溜めれば頑張れるレース。

直線に賭ける競馬ができれば前走くらいはやれると見る。

スウィープフィート
桜花賞では4着だったがライトバック同様に後方から良い脚を使った。

スワーヴリチャード産駒は極限の上がり勝負よりやや上がりのかかるレースを得意としている印象なので、レース上がり600mが34秒1だった桜花賞は若干とはいえ上がりが速過ぎた印象。

桜花賞よりは上がりのかかるオークスなので、スワーヴリチャード的には条件好転と見る。ライトバックとの半馬身差は逆転できる範囲だろう。

チェルヴィニア
ハービンジャー産駒はオークスで【0-1-1-8】で複勝率20.0%。ここだけ見るとビミョーな感じがするものの、母父が芝マイルGI勝ち馬というプロフィールに限定すると【0-1-1-2】で複勝率50%。馬券になったモズカッチャンとナミュールはいずれもこの条件を満たしていた。

放っておくと父に似た晩成の芝12Fタイプになりがちなハービンジャー産駒なだけに、早期から動ける馬を出すには母父の芝マイラーから筋力やスピードを補強する必要があるということだろう。

チェルヴィニアの母父はキングカメハメハ。言わずと知れたNHKマイルC勝ち馬で、このパターンはモズカッチャンと同じ。配合的にはオークスで十分にやれるはず。

前走であまりにも何もなく敗れた点は気がかりだが、2歳時に見せたポテンシャルは間違いない。ルメール騎手が戻ってくるのが良い方に出れば、巻き返しがあっても驚けない。

タガノエルピーダ
母タガノレヴェントンはとっても優秀な繁殖牝馬で、2頭の重賞ウィナーを筆頭にこれまでJRAで走った産駒9頭のうち8頭が勝ち上がり。

ヌレイエフ、ホーンビーム≒アメリゴ、フラワーボウル≒ユアホスト、スワップスなどなどハイペリオン基調の配合で、ここから粘り強さや渋太さを産駒にしっかり伝えてくれる。

なのでタガノレヴェントンの仔は前受けしての粘り強さがストロングポイント。タガノエルピーダもそんな脚質に出た。さすがタガノレヴェントン。

差し優勢のオークスで前受けしてどこまでやれるかという点は気になるものの、この母の仔なので濃淡こそあれど印は回しておきたい。

アドマイヤベル
スウィープフィートと同じくスワーヴリチャード産駒。違いを挙げるとすればこちらはダンジグの血を引かない点だろうか。

スペシャルやリヴァーマンなどを引くあたりは、むしろハーツクライ牝馬の活躍馬に多いパターン。リスグラシューやヌーヴォレコルト的な配合になっている。なかなか好みの形でそりゃあフローラSくらいは勝ちますわなという感じ。

じゃあオークスでも印を回すかという話になると、母父ヌーメラスがジェイドロバリーの全弟という点がどうにもひっかかるところ。GI級での底力に欠けるきらいのあるジェイドなので、クラシックで重い印を打ち切れるかと聞かれると言葉に困ってしまう。

キングマンボとセットになっていないジェイドをクラシックで重視しないマイルールがあるので、この馬をどう取り扱うかを検討するのが、ひとつ今週の宿題になりそうだ。

クィーンズウォーク
父はキズナ、母ウェイヴェルアベニューはダート7FのGI・BCフィリー&メアスプリントを制した活躍馬。

桜花賞の時点で陣営から「オークス向き」というコメントが聞こえてきたこともあって、「距離が延びるここでこそ」と見られているフシもあるが、個人的にはその評価に異議を唱えたい

半兄グレナディアガーズのキズナ牝馬が距離が延びて良いとはどうにも思えないのだ。

オークスにおけるキズナ産駒の成績は【0-0-1-6】で複勝率14.3%。人気薄が多かったとはいえ、正直目立った数字ではない。

また、これまでオークスで馬券になったディープインパクト系種牡馬の産駒はいずれも前走で掲示板に載っていて、前走6着以下だった馬は【0-0-0-20】で全く振るわない。基本的にディープ系は優等生で前走大敗からの巻き返しは少ない。前走でキッチリ好走していた馬を狙うのがオークスに限らず筋になるイメージだ。

また芝2200m以上の重賞における中内田厩舎の成績は【1-4-2-20】で勝率3.7%、複勝率25.9%。勝ったのは単勝オッズ1.4倍だったリバティアイランドのオークスのみだ。

一方、芝2000m以下だと【36-21-12-111】で、勝率20.0%、複勝率38.3%なので、正直に言って長い重賞では苦戦していると言わざるを得ない。

短距離から中距離に特化した陣営が「この馬はオークス向き」と言ったとて、正直ピンと来ないというのが率直な感想だったりする。

確かにオークスはマイラーでも頑張れるレースではあるが、そのためにはしっかり脚を溜める必要がある。だとすれば、前走の桜花賞で内枠から序盤にある程度出していって位置を取りにいったのが裏目に出る恐れも。

もちろんオッズ次第ではあるが、人気するようならエイヤで消す手もあると考える。というかオッズを追って消したい衝動に駆られている。

コガネノソラ
ゴールドシップ×ロージズインメイは21年の勝ち馬ユーバーレーベンと同じ組み合わせ。祖母のコスモチェーロからはオークス2着で香港ヴァーズを制したウインマリリンが出る。

血統からは距離の心配をする必要はなし。後は中2週→中2週とタイトなローテーションになる点がどうかだろう。

エセルフリーダ
意外と数が少ないキタサンブラック×ハービンジャーの組み合わせ。ただ該当の2頭がいずれも早期に勝ち上がっていることから、相性は悪くない模様。

キタサンブラックの父ブラックタイドはダンジグの血と相性が良かった(ex.テイエムイナズマ、マイネルフロスト)ので、その点を引き継いでいるのかもしれない。

スクリーンヒーローなどが出たダイナアクトレスの牝系で筋も通っているエセルフリーダ。前走のミモザ賞で1馬身以上の差をつけて下したニシノティアモは続くスイートピーSでコガネノソラにクビ差の2着。

確かにミモザ賞でのニシノティアモはドン詰まって追い出しが遅れる不利があったとはいえ、単純な着差だけ見ればコガネノソラより前に出る計算。うまいこと内枠でも引けるようなら印を回しておいても?

まとめ

距離が延びてこそ良さが出るステレンボッシュの血統を見ると、さすがに逆らうのは憚られる。個人的には桜花賞でアッサリ突き抜けたことの方よっぽどが驚きで、オークスでパフォーマンスを上げるのは間違いないと考えているところ。

巻き返しの期待を寄せたいのがチェルヴィニア。オークスで馬券になるハービンジャーの配合パターンで、ここは2歳時に見せたポテンシャルの高さに賭ける手もありそうだ。

枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論は土曜日の夜に公開いたしますので、そちらもどうぞお楽しみに。

<プロフィール>
“血統サイエンティスト”ドクトル井上

在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。
好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。
凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。

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