情報提供 World RaceNews.com【WRN】
2019年03月30日(土)
ドバイシーマクラシック(GI)芝2410m
- 【レース格】★★★★
- 【総賞金】600万ドル
- 【開催競馬場】メイダン
- 【勝馬】
- 【騎手】
- 【トレーナー】
見解
【結果詳報】
現地時間30日(日本時間31日)、ドバイのメイダン競馬場にて行われた芝2410mのG1戦、ドバイシーマクラシックは地元UAEのOld Persian(オールドペルシアン)が直線で抜け出して優勝。これまでG1戦は2戦して未勝利も、ここで初のG1制覇を成し遂げた。
2014年にはジェンティルドンナが優勝しているドバイシーマクラシックだが、その後4年は海外勢力に屈していた日本勢。今年は海外勢に大物の参戦はなく、優勝を狙って昨年このレースで4着のレイデオロを筆頭に、スワーヴリチャード、シュヴァルグランといったG1ホース3頭が出走し、レイデオロが1番人気、スワーヴリチャードが3番人気、シュヴァルグランが4番人気に支持された。
日本馬の3頭を含めて全部で8頭と少頭数のレースとなったが、ゲートが開くと、昨年スローペースで折り合いを欠いて負けたレイデオロが同じ轍を踏む訳にはいかないとルメール騎手が考えたのか、ハナを切っていたムーア騎手騎乗のMagic Wand(マジックワンド)を制して途中からハナを奪う形に。
2番手にはそのマジックワンドが位置し、これら2頭を見る形でマジックワンドと同じA.オブライエン厩舎のHunting Horn(ハンティングホーン)と、オールドペルシアンが3番手を併走。シュヴァルグランは中団、スワーヴリチャードは後方に待機する形も、先頭から最後方までそれほど差がなく、一団となってバックストレッチを進んだ。
位置取りに大きな変動もなく、直線に入ると、先頭を走っていたレイデオロにマジックワンドが並びかけたが、後続勢も差を詰めて、残り400mではどの馬が勝っても不思議ない状況であったが、残り300m付近でレイデオロ、マジックワンドが脱落し、オールドペルシアンが先頭に立つと、これを目がけてシュヴァルグラン、スワーヴリチャードが並ぶ形で追い込んできたが、オールドペルシアンに並ぶまでには至らず、同馬が押し切って1着。2着にシュヴァルグラン、3着にスワーヴリチャードといった結果に終わった。ハナを切ったレイデオロは6着に終わっている。
オールドペルシアンは父Dubawi、母Indian Petal(母の父Singspiel)といった血統の4歳牡馬。オーナーはゴドルフィン、調教師C.アップルビー師、騎手ビュイック騎手は昨年このドバイシーマクラシックを制したホークビルと全く同じであった。オールドペルシアンは過去に愛ダービーで6着、英セントレジャーで5着とG1戦は2回走って勝ち星どころか、3着内もなかった馬だが、直前の前哨戦、ドバイシティーオブゴールドを制覇。ゴドルフィンはその内容から、余程この馬に自信があったのか、当初、このドバイシーマクラシックに出走予定であった昨年のメルボルンCの優勝馬であったクロスカウンターを引っ込めて、G2のドバイゴールドカップに出走させていた。通算成績は13戦8勝、G1戦は今回が初制覇。
ドバイシーマクラシックの展望
30日(日本時間同日深夜)、ドバイ・メイダン競馬場ではドバイワールドCデーが開催される。ここでは、芝2410mのG1戦ドバイシーマクラシックの展望をお伝えする。
ドバイシーマクラシックの前身であるドバイターフクラシックが創設されたのは1998年のこと。その後、2000年になってドバイシーマクラシックと名が改められたが、2001年にG2、2002年にG1へ昇格。同じ2002年には、ドバイデューティーフリー(現ドバイターフ)とドバイゴールデンシャヒーンもG1に昇格し、4つのG1が同日に行われることになる。さらに、2010年になって舞台がナドアルシバ競馬場からメイダン競馬場に移ると、ドバイシーマクラシックの施行距離は10m延長されて2410mに。こうして現在に至っている。(半端な10mの延長はメイダン競馬場が1周、ちょうど2400m。つまり2400mのレースではスタートとゴールが同じ箇所になることになるが、ゴール板の前に設備上、発馬機を設置できないことから10mの延長となったそうだ)
日本調教馬はこれまでに延べ17頭が挑戦しており、ステイゴールド(2001年)、ハーツクライ(2006年)、ジェンティルドンナ(2014年)の3頭が優勝。そのほかにもブエナビスタ(2010年)、ジェンティルドンナ(2013年)、ドゥラメンテ(2016年)が世界の強敵を相手に2着に入る活躍を見せた。
また、海外勢の優勝馬にはジャパンCにも出走し、引退後は日本でも種牡馬入りしたファンタスティックライトや香港調教馬として初めてドバイのG1を制したヴェンジェンスオブレイン、9歳まで現役生活を送ったフランスの古豪シリュスデゼーグルなどが名を連ねる。
次に、舞台になる競馬場についてだが、競馬場自体の紹介はドバイワールドCの展望をご覧になっていただきたい。ここでは芝2410mのコースについてのみ紹介する。芝2410mのスタート地点はゴール板の手前にゲートが設けられ、各馬はそこからコースを1周する。1コーナーまでは200mほどしかないが、コース幅が広く、コーナーもゆったりとしているため、枠による有利不利はほとんどないと考えていいだろう。
さて、ここからは出走予定馬の中から注目馬を紹介していきたい。今年のドバイシーマクラシックは、日本から遠征しているレイデオロ、スワーヴリチャード、シュヴァルグランなど、6頭の遠征組を含めた全8頭によって争われる。ここではまず、地元のゴドルフィン勢2頭から紹介していく。
一昨年のジャックホブス(※)、昨年のホークビル(※)と、このレースを連覇しているゴドルフィンの所有馬たち。3連覇が懸かる今年の大将格は、前哨戦のG2ドバイシティオブゴールドを制したOld Persian(オールドペルシアン)。同馬はここまで12戦7勝。G1勝ちこそないが、G2を3勝する活躍を見せており、昨年9月のG1英セントレジャー以来の一戦だった前走では、直線半ばまで進路が開かずに苦しい競馬を強いられたものの、前が開くと鋭く伸び、ゴール前で2着馬を捉えて優勝した。
一度使われた今回は、状態面もさらに上向いてくることが予想されるだけに、日本馬にとっては手強い相手になるだろう。また、鞍上を務めるW.ビュイック騎手は、前述したジャックホブスとホークビルで連覇を果たすなど、過去にこのレースを3回制覇している。相性の良さを生かして、オールドペルシアンに初のビッグタイトルをもたらすことができるだろうか。
もう1頭のRacing History(レーシングヒストリー)は、ドバイシティオブゴールドで逃げ粘って2着。オールドペルシアンに比べると力は落ちる印象だが、前走では3着以下に3馬身の差をつけた。年明け以降、4戦続けてメイダンの重賞で3着以内を確保するなど安定感が光る馬で、軽視は禁物。
一方、海外からの遠征組について。日本から参戦する3頭のことは後述するとして、そのほかで有力視されるのは、アイルランドのA.オブライエン厩舎に所属する4歳牝馬Magic Wand(マジックワンド)だろう。同馬はここまでG1勝ちこそないものの、前走、日本からアエロリットも参戦したG1ペガサスワールドカップターフ招待SなどG1で3度の2着がある。今回は米遠征後のレースになるが、2ヶ月近く間隔を空けているだけに気にすることはなさそう。斤量差のメリットもあったとは思うが、前走ペガサスワールドカップターフ招待Sでは牡馬相手にも通用するところを見せており、侮れない。
同じオブライエン厩舎のHunting Horn(ハンティングホーン)は、G3ハンプトンコートS勝ちの実績があるものの、G1ではアメリカのベルモントダービー招待Sでの3着が最高。一線級が相手のレースでは凱旋門賞(15着)、ブリーダーズCターフ(8着)と苦戦している。そういう意味ではここでも厳しい戦いになりそう。
イギリスからの遠征馬Desert Encounter(デザートエンカウンター)は、昨秋のG1カナディアンインターナショナルSの覇者。当時、1馬身差の2着に下したサンダリングブルー(※)が、次走のジャパンCで10着に惨敗したことを考えると評価は難しいが、久々のドバイシティオブゴールドでも終始外を回りながら3着と、前哨戦としてはまずまずの結果を残している。とはいえ、日本馬やゴドルフィンの馬たち、マジックワンドなどを相手にすることを考えると、少し荷が重いか。
こうした馬たちを相手にする日本の3頭。いずれも大舞台での実績が十分にあり、どの馬が勝っても不思議ではないが、最も期待できそうなのはレイデオロか。昨年のこのレースではスローペースに泣いて4着に終わったが、今年はそのリベンジに期待したいところ。相性の良い左回りでのレースになるスワーヴリチャード、2度目のG1制覇を目指すシュヴァルグランも、それぞれJ.モレイラ騎手、H.ボウマン騎手という心強い鞍上をパートナーに、初めて挑む海外の舞台で一発を狙う。
※記載している出走予定馬については3月29日(午後6時)時点でのものであり、今後、出走取消等により出走しない場合もありますので予めご了承ください。
