2021/12/29 UMAJiN.net/データ部「重賞攻略データ」
【フェアリーS(GIII)攻略データコラム】1番人気が大苦戦! 穴が狙える重賞
フェアリーS(GIII) 3歳牝馬 別定 中山芝1600m
※データについては、過去10年分を対象として分析している。
■人気別成績
1番人気【1.1.0.8】
2番人気【1.0.1.8】
3番人気【5.0.1.4】
4番人気【0.1.1.8】
5番人気【0.1.3.6】
6-9番人気【0.4.4.32】
10番人気以下【3.3.0.64】
ご覧の通り1番人気が大苦戦。この10年で優勝したのは2014年のオメガハートロックだけ。連対に条件を緩めても2017年のアエロリットが加わるのみと厳しい結果に終わっている。また、2番人気も複勝率20.0%とこちらも苦戦傾向だ。
好相性なのは3番人気。近3年のフェアリーSではいずれも3番人気馬が優勝しており、勝率50.0%、複勝率60.0%と抜群の成績を残している。
また、10番人気以下から勝ち馬が3頭出ているのも特徴のひとつ。2着馬も3頭出ており人気薄でも気になる馬がいれば積極的に狙ってみたい。
このおかげで平均馬連配当は1万4280円、平均3連複配当は2万8856円、平均3連単配当に至っては、23万0943円ととんでもないことになっている。穴狙いに振り切るのも戦略としてはありだろう。
■枠番別成績
1枠【2.0.2.16】
勝率10.0%、連対率10.0%、複勝率20.0%
2枠【1.2.2.15】
勝率5.0%、連対率15.0%、複勝率25.0%
3枠【1.1.2.16】
勝率5.0%、連対率10.0%、複勝率20.0%
4枠【3.2.1.14】
勝率15.0%、連対率25.0%、複勝率30.0%
5枠【1.1.0.18】
勝率5.0%、連対率10.0%、複勝率10.0%
6枠【0.1.0.19】
勝率0.0%、連対率5.0%、複勝率5.0%
7枠【1.0.3.16】
勝率5.0%、連対率5.0%、複勝率20.0%
8枠【1.3.0.16】
勝率5.0%、連対率20.0%、複勝率20.0%
1-4枠【7.5.7.61】
勝率8.8%、連対率15.0%、複勝率23.8%
5-8枠【3.5.3.69】
勝率3.8%、連対率10.0%、複勝率13.8%
外枠不利が定説となっている中山マイル。1-4枠と5-8枠の成績を比較するとやはり1-4枠に入った馬の成績が良い。しかしながら、7-8枠は複勝率で見ると3枠と変わらない数字だし、8枠の連対率はトップの4枠に次ぐもの。
外枠でも動きたいときに動けるというメリットを活かせればチャンスがあるということか。そう考えれば、内外に包まれて動きづらく距離ロスのデメリットだけを被りがちな5-6枠の成績がワースト級なのは納得の傾向だ。
ちなみに5-6枠から連対を果たしたのは2013年2着ウキヨノカゼ、2018年2着スカーレットカラー、2021年1着ファインルージュの3頭。それぞれが後に重賞制覇を果たしている。もし5-6枠から連対馬が出るようならその馬を追いかけて損はない。
■前走からの間隔について
連闘【0.0.0.1】
勝率、連対率、複勝率いずれも0.0%
中1週【0.0.0.3】
勝率、連対率、複勝率いずれも0.0%
中2週【1.0.0.21】
勝率4.5%、連対率4.5%、複勝率4.5%
中3週【2.1.2.23】
勝率7.1%、連対率10.7%、複勝率17.9%
中4-8週【3.7.2.25】
勝率4.1%、連対率13.7%、複勝率21.9%
中9週以上【4.2.2.25】
勝率12.1%、連対率18.2%、複勝率24.2%
間隔をとってここに臨む馬の方が好成績。近5年は特にその傾向が顕著で、中9週以上あけた馬が2017年ライジングリーズン、2018年プリモシーン、2021年ファインルージュと3勝。2020年もこの条件に唯一該当したポレンティアが5番人気3着と好走した。
一方で詰まったローテーションの組は苦戦傾向。連闘-中2週の合算値は【1.0.0.25】で勝率、連対率、複勝率いずれも3.8%。唯一勝利を挙げたのは2019年のフィリアプーラだった。
好走率が高いのは中3週以上の間隔をとった組なので、タイトなローテーションの馬は割り引いて考えたい。
■前走クラス別成績
新馬【2.1.4.18】
勝率8.0%、連対率12.0%、複勝率28.0%
未勝利【3.3.3.24】
勝率9.1%、連対率18.2%、複勝率27.3%
1勝クラス【3.6.2.55】
勝率4.5%、連対率13.6%、複勝率16.7%
OP特別【0.0.0.9】
勝率、連対率、複勝率いずれも0.0%
GIII【1.0.0.9】
勝率10.0%、連対率10.0%、複勝率10.0%
GII【0.0.0.2】
勝率、連対率、複勝率いずれも0.0%
GI【1.0.1.11】
勝率7.7%、連対率7.7%、複勝率15.4%
優秀なのは前走新馬戦or未勝利戦組。いずれも複勝率は25.0%を超えているうえに、複勝回収率も100%を超えている(新馬戦組152%、未勝利戦組142%)。この組からいかにして好走馬を見つけるかがポイントになりそうだ。
また、1勝クラス組を前走の距離別に仕分けると以下の通りになった。
今回距離延長【0.1.1.25】
勝率0.0%、連対率3.7%、複勝率7.4%
今回距離短縮【0.1.0.5】
勝率0.0%、連対率16.7%、複勝率16.7%
同距離【3.4.1.25】
勝率9.1%、連対率21.2%、複勝率24.2%
ご覧の通り、前走でマイル戦を使った馬の成績が圧倒的。この組は新馬・未勝利組と互角の成績を残している。一方、マイル未満の1勝クラス戦を使っていた組はかなりの苦戦傾向。先を見据えたレース選択となりがちなこの時期の1勝クラス戦であるにもかかわらず短いところを使うのは、陣営もスプリント色が強いと判断したことの表れ。マイルだと距離の限界が露呈するのだろう。
前走重賞組が苦戦しているのも面白い傾向。前走GI組はネームヴァリューで軒並み人気するのだが、優勝したのは2012年のトーセンベニザクラのみ。2014年グリサージュは2番人気10着、2015年コートシャルマンも2番人気4着と人気に支持されながらそれを裏切るシーンも目立つ。
同じ文脈で前走GIII組もふるわない結果に。唯一勝利を挙げたのは2017年のライジングリーズンだが、この馬は前走のアルテミスSで13着と大敗していたことが響いたのか当日10番人気と低評価。反対にアルテミス3着の実績からフェアリーSで1番人気に支持された2021年のテンハッピーローズは4着に敗れた。
東京マイル重賞での実績はことフェアリーSにおいてはアテにならない。
■所属別成績
美浦所属馬【10.8.9.107】
勝率7.5%、連対率13.4%、複勝率20.1%
栗東所属馬【0.2.1.23】
勝率0.0%、連対率7.7%、複勝率11.5%
近10年美浦所属馬からしか勝ち馬が出ていないという極端な傾向に。連対率、複勝率も美浦所属馬の方が優秀。その割にネームヴァリューで栗東所属馬の方が人気したりするので、美味しい配当が転がっていることも多い。
■馬体重別成績
450キロ未満【3.3.4.63】
勝率4.1%、連対率8.2%、複勝率13.7%
うち、420キロ未満【0.0.2.11】
勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率15.4%
450-499キロ【7.7.6.62】
勝率8.5%、連対率17.1%、複勝率24.4%
うち、480-499キロ【4.2.2.16】
勝率16.7%、連対率25.0%、複勝率33.3%
500キロ以上【0.0.0.5】
勝率、連対率、複勝率いずれも0.0%
馬力が求められる中山マイル戦。そのイメージ通り、基本的には馬体が大きい馬の方が優勢だ。特に馬体重480-499キロのゾーンに該当する馬は複勝率33.3%。単勝回収率220%、複勝回収率109%という数字はなかなかのものだ。
反対に馬体重の軽い馬は苦戦傾向。特に420キロ未満の小さな馬は連対実績がない。
かといってひたすらに大きければいいというわけではないということにも注意。サンプルは少ないが、500キロ以上の馬は近10年馬券に絡んでいない。
大きすぎると身体を持て余すということか。大きすぎないことにも注意を払っておきたい。
<データからのピックアップ>
・スターズオンアース
前走の東京マイル戦・赤松賞ではその後阪神JFで1番人気に支持された(4着)ナミュールの前に敗れたが、それまでは異なる好位からの競馬が出来たのは好材料。今年のフェアリーS登録馬には小柄な馬が多く、前走時馬体重468キロのこの馬でも相対的に大きな部類になる。美浦・高柳瑞厩舎所属で前走からの間隔は余裕たっぷりの中6週。前走の敗戦で人気もそれほどしないようなら狙いとしては面白い。
・フィールシンパシー
美浦・小島厩舎が送り出すこの馬。新馬戦で2着に敗れたが、続く前走・中山マイルの未勝利戦でキッチリ勝ち上がり。前走時馬体重は450キロジャスト、前走から中4週と好走条件をきっちり押さえているのが何とも不気味。地味なプロフィールなので人気の盲点になりそう。今年の穴馬候補筆頭か。
・エリカヴィータ
関東の名門・国枝厩舎がフェアリーSに登録してきたのがこの馬。前走は10月の東京マイル新馬戦を快勝。当時の馬体重は444キロだったが、中11週とたっぷり間隔を取ったことで馬体が増えてくれば好走条件に当てはまる。人気するかもしれないがしっかりフォローしておきたい。
(Text:inoue)
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