2016/05/24 UMAJIN.net編集部「【POG 2015-2016】特別企画 2016年のダービー馬を探せ!」
[クラシック座談会]安定感あるマカヒキなど皐月賞上位4頭が強力
POGファン、そしてもちろんすべての競馬ファンにとって待ち遠しかった日本ダービーは今週末開催。今回「【POG 2015-2016】特別企画 2016年のダービー馬を探せ! 最終回」と題して雑誌「月刊UMAJIN」編集長・山田、UMAJIN.net編集部員N、東西トレセンTMが集い、ここまでのクラシック戦線を総括するとともに、日本ダービーへの展望を語りつくします!
UMAJIN.net編集部N(以下、N) ??競馬はダービーに始まり、ダービーに終わります。いよいよ今週末29日に、その日本ダービーが開催ですね。皐月賞の振り返り、そしてダービーの展望について話していきましょう。
UMAJIN山田編集長(以下、山田) ??皐月賞は2歳王者リオンディーズ、弥生賞でそのリオンディーズを破ったマカヒキ、そしてきさらぎ賞を楽勝して器の大きさを感じさせたサトノダイヤモンドが“3強”と目されていたわけだけど……
N ??勝ったのは8番人気のディーマジェスティでしたね。速い流れが向いたにしても、直線で力強く伸び、坂を上がってから更にギアを上げての鋭い切れで人気どころを突き放しました。皐月賞レコードを更新する走破時計でしたし“恵まれてのフロック”なんて見方をさせない、文句なしの勝ちっぷり。
美浦トラックマン(以下、美浦TM) ??山田クンは皐月賞前の座談会で「馬場が悪化するようであれば、ディーマジェスティらにもチャンスはあるけど、それでも頭まではどうか」と言ってたはずだけど、パンパンの良馬場での時計勝負で勝ち切ってしまったよな(笑)
栗東トラックマン(以下、栗東TM) ??共同通信杯で勝ったときが稍重馬場やったから“良馬場やと割り引き”っちゅう思い込みは全体としてあったかもな。ゴールドシップやイスラボニータ、ドゥラメンテがそうであったように、共同通信杯からの直行っちゅうのは近年では最有力ローテなはずなんやけど、まさに盲点っちゅうか落とし穴ちゅうか。
美浦TM ??あの共同通信杯が有力馬と真っ向勝負で勝ち切った、というものだったならもっと高く評価されたはずなんだがな。ハートレー、スマートオーディンがいずれも不可解な凡走に終わり、それに助けられたという印象がどうしても拭えなかった。
山田 ??自戒を込めてだけど、皐月賞の馬券を考える際は共同通信杯勝ち馬の存在をちゃんと意識しないといけないな。さて、そのディーマジェスティが2冠獲りを狙い、ダービーにもエントリー。
栗東TM ??皐月賞の勝ちっぷりからすると、この馬が頂点にいちばん近いと思うよ。東京が未知な馬が多いわけやけど、実際走った経験も大きいやろ。去年はドゥラメンテが2冠を制したけど、今年も2冠馬誕生濃厚と考えてええんちゃうかな。
美浦TM ??ディーマジェスティは本来右回りが得意だという話もあるみたいだけど、共同通信杯の勝ち方を見る限り左でそこまで割り引く必要はなさそうだ。ここまで見せてきたパフォーマンスを考えれば、崩れるシーンがちょっと考えられない。
山田 ??ディーマジェスティの皐月賞は、文句なしに強い内容だった。しかし、万全に仕上げていた感があって、ことダービーへ向けての上積みはちょっと疑問。実際、中間の調整はちょっと順調さを欠いているようだ。
美浦TM ??疲れが出た、ということで2週前の日曜追いをパスしているな。でも19日の1週前追いでは3頭併せで軽快に伸びているし、ガクッと落ちた印象はない。馬なりオンリーで状態維持に専念ではあるが、いわゆるいい意味での平行線と捉えていいだろう。
栗東TM ??皐月賞が共同通信杯以来やったから、使われてグンと上昇してもええとこやけど、そういう意味では案外な感じやね。
山田 ??皐月賞馬が現状維持だとすれば、2、3着馬に上積みがあれば当然逆転の目が出てくる。2着だったマカヒキは、ディーマジェスティを凌ぐ上がり最速をマーク。ゴール前の勢いも勝ち馬より勝っていたし、いかにも距離が延びれば逆転……と、思わせるレースぶりだった。1馬身以上、という勝ち馬との差を悲観的に捉える必要はない。ここまですべてのレースで上がり最速をマークできており、安定感はダントツじゃないかな。鞍上鞍下の息がピタッとあっているのが大きいんだろう。
栗東TM ??マカヒキやけど、この中間の攻めは強化されとって間違いなく上積んどるね。体質が前に比べて強くなったっちゅう話で、皐月賞の疲れも想定以上に早く抜けたみたいや。2週前追いの時点でウッド7Fのハード追いを消化っちゅうのは今までにないパターンで、その分、微調整に使える期間が多めに取れとるね。状態に関して言えば、皐月賞時を凌駕や。
美浦TM ??上積みで言えば3着サトノダイヤモンドも大きそう。同じく皐月賞に出るプロフェットと熱のこもったスパーリングを消化し、相手を圧倒しているらしいな。
山田 ??サトノダイヤモンドはきさらぎ賞から皐月賞直行というローテからして、ダービーこそが本番という使われ方。皐月賞では反応に鈍さがあったあたりも、仕上げ切っていなかった証明と言える。そんな状況で、しかも直線では接触する不利がありながら、3着まで押し上げた。ポテンシャルはやはり高い。跳びが大きく、いかにも大箱で真価を発揮しそうで、良馬場なら逆転を見込んでいい。
N ??2歳王者リオンディーズは、前走の皐月賞で掛かり気味に早め先頭に立ってしまい、直線半ばで失速。ガス欠で苦しくなったのか、外に膨らみエアスピネルの進路を塞いで4位入線から5着へと降着になりました。
栗東TM ??朝日杯を勝った当時は3冠総なめもあるで、と思ったが弥生賞、そして皐月賞と前に出していく競馬が裏目っとる感じやね。ほんでも、前走は大崩れしておかしくない状況ながら4位入線やし、ポテンシャルならトップクラスっちゅう評価は変えんでエエと思うよ。制御さえできれば、巻き返せるはずや。シーザリオの仔でエピファネイアの下やし、距離は問題ないやろ。前々走、前走をどう糧にするのか、ミルコ(・デムーロ)の手綱捌きに注目したいね。
山田 ??皐月賞の上位4頭がここでは抜けて強力な存在と見ていい。まず下克上はないと思うけど、もし別路線から一発あるとすればスマートオーディンだな。共同通信杯の前から“皐月はパス”を陣営は明言しており、ダービー一本に絞ってきているあたりが怖い。
栗東TM ??毎日杯で外回り向きの瞬発力を見せ、京都新聞杯ではコーナー4つのコースで折り合えとった。いわゆる“キズナローテ”を使われて、ダービーに向けての課題を高いレベルでクリアし続けとるね。共同通信杯の負け方が不可解やったけど、あの敗戦が糧になったんか、しっかり立ち直ってきよった。
美浦TM ??非皐月賞組では青葉賞を勝ったヴァンキッシュランも注目すべきだろう。降着で勢いを失った馬が、立ち直りに苦労する例もあったりするけどこの馬は500万、青葉賞と平気な顔で連勝している。能力はもちろん、精神的な図太さを評価したい。
N ??ちなみにヴァンキッシュランの「ヴァンキッシュ」は乗り越えて勝つ、という意味の英語。語感のカッコ良さからゲームの名前やプロレスの必殺技の名前に使われていますが、ボクら世代ではやはりミニ四駆の名前として印象深いですね! つづりは「バンキッシュ」なんですけど。シャープなフォルムがとにかく格好良くてですね……
山田 ??(無視して)ヴァンキッシュランはまだ精神的に若いのか、ちょっと力みながら走っているようなところが気になるな。脚が溜まり、すべてがスムーズに運べるようなら勝ち負けに絡んできてもいいが、ここまでの4強プラス1頭と比較すると、割り引かざるを得ない。
栗東TM ??レッドエルディストはヴァンキッシュラン以上の切れ味を見せ青葉賞で2着。あのレースでもズブいようなところはあったし、今回はさらに鋭い決め手を使ってきても驚けんで。勝ち負けはともかく、流れひとつで馬券圏内は十分ありそうや。
美浦TM ??穴っぽいところなら、プロディガルサンも忘れてはいけないな。青葉賞では4着だったけど休み明けで折り合いを著しく欠いたもの。休む原因となった骨膜炎はしっかり癒えてるらしいし、なんと言ってもリアルスティールの全弟という血筋だ。上位争いは可能だろう。
山田 ??そんなわけで、日本ダービーの結論としては安定感を買ってマカヒキを中心として信頼したい。それを含めた皐月賞上位4頭が“4強”でいいと思う。さっきも言ったけど、この4頭に割って入れそうな存在はスマートオーディンぐらいかな。どう馬券を組み立てるかは最終追い切りを見て判断したいが、さっきも言ったように下克上はまずない、と思う。あと、1枠1番に入った馬が極端に強い、というのは忘れないで欲しい。
栗東TM ??2400mやから枠の内外関係ないやろ、と思いたいとこやが実際データが物語っとるから一概にオカルトと切り捨てられん話やね。
山田 ??オークスではUMAJIN POGの今シーズン(2015-2016)、一口馬主モードでナンバーワンの指名を受けていたシンハライトが優勝した。一口馬主モードで牡馬ナンバーワンの指名を受けているのはリオンディーズで、地獄モードで言えばダービー出走馬でもっとも上位なのは23位のスマートオーディン。彼らが期待に応える走りをできるかどうかも含め、この史上最高のハイレベル決戦がどういう結末に終わるのか、楽しみに待とう。
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