2018/10/25 平松さとし「世界の騎手列伝」
【世界の騎手列伝 vol.159】パット・コスグレイヴ(PART-2)
日本でも馬券が発売されたコーフィールドC(10月20日、オーストラリア、コーフィールド競馬場、芝2400m、GI)を制したのはイギリスからの遠征馬・ベストソリューション。手綱を取ったのは同馬のために遠征してきたパット・コスグレイヴ騎手だった。彼の事は偶然にも先月記したばかりだが、ここでビッグタイトルを手にし、この後もオーストラリアで有力馬に乗るので、改めて記していこう。
パット・コスグレイヴは北アイルランドのバンブリッジで1982年6月2日に生まれた。現在36歳。アイルランドやイギリスを中心に活躍している。
プロ騎手としてデビューする前は、ポニーのレースで35勝を挙げた。正式に騎手デビューを果たしたのは1999年4月24日、アイルランドでの事。エイダン・オブラエイン調教師の目に留まった事もあり、2003年10月には同厩舎のインザライムライトでガーネットSを勝利し、自身初の準重賞勝ちを記録。
その年に勝った大きなレースはそれのみだったものの、同年の見習い騎手チャンピオンとなると、翌04年頃からイギリスをベースにし、同年12月のリングフィールド競馬場でのレースを皮切りに冬場のオールウェザーでの競馬にも積極的に騎乗を開始。06年にはエーカームでブレイヴハートSなど準重賞を2勝。08年、ボーダーレスコットに騎乗してナンソープS(GI)で自身初のGI制覇を飾ると、同馬とのコンビでその後もマーキュリーSとシティウォールSの準重賞を2勝した。
10年にはマルカブでヘイドックスプリントC(GI)など重賞を2勝した。
さらに11年にはソサイエティロックでゴールデンジュビリーS(GI)を優勝。ロイヤルアスコット開催で自身初となるGI優勝も成し遂げた。
15年にはベシャラーでロウザーS(GII)やプリンセスマーガレットS(GIII)、ストームザスターズでグレートボルティガS(GII)すると自身初めてイギリスで年間100勝を突破する104勝、16年にもムフリハでダーレーS(GIII)や準重賞も優勝すると、自身の記録を更新する120勝を挙げた。
近年はマイケル・デコック、ウィリアム・ハガス、ゴドルフィンのサイード・ビン・スルール厩舎からの騎乗依頼も増え、ゴドルフィンの主戦としてはイギリスばかりでなくドバイでも騎乗している。
今年はプロミッシングランによるドバイのバランシーン(GII)、ストーミーアンタークティックとのコンビではドイツのバーデナーマイル(GII)なども勝っているが、何と言っても冒頭に紹介したサイード・ビン・スルール厩舎のベストソリューションとのコンビでの活躍が顕著。17年のダービートライアル(準重賞)を勝ったのを皮切りに、今年に入ってからはプリンセスオブウェールズS(GII)、ベルリン大賞(GI)、バーデン大賞(GI)、そしてコーフィールドC(GI)と重賞を4連勝。次走は11月6日のメルボルンC(GI)が予定されている。
また、同じくオーストラリアへ遠征しているベンバトル(今年のドバイターフではオイシン・マーフィー騎手を乗せて優勝)とのコンビではすでにコーフィールドS(GI)を優勝。10月27日に行われるコックスプレート(GI、ムーニーヴァレー競馬場)でも引き続き騎乗する予定で、史上初の同競走4連覇に挑むウィンクスと対戦する。(文中敬称略)
・<「PART-1」にあたる2015年10月のコラムはコチラ!>【世界の騎手列伝 vol.153】パット・コスグレイヴ(UMAJINコラム 2018/09/13)
■【海外競馬】レース展望や結果詳報など、世界の競馬はコチラから確認できます!
■【絶賛発売中!】平松さとしの最新刊「栄光のジョッキ