2017/08/17 平松さとし「世界の騎手列伝」
【世界の騎手列伝 vol.97】アントニー・クラストゥス
今年のワールドオールスタージョッキーズにフランスから選出されたのが今回紹介するアントニー・クラストゥスだ。
1985年4月7日生まれ。父は繋駕競走(騎手が馬の後方で2輪車に乗る競馬競走)のライダーだったため自身も同じ道に憧れた。しかし、その父から「なるなら平地競走のジョッキーに」と勧められ騎手を目指すようになった。
中学に入る少し前から馬に乗り、デビューしたのは2001年。メゾンラフィット競馬場に厩舎を構えるA.リヨン厩舎から見習いとしてデビューしたが当時は体重が37キロしかなかったということもありなかなか勝つことが出来なかった。
しかし、数厩舎をわたり歩いた後の04年、父がオーナーだった馬で初勝利を挙げると、結局その馬で計3勝をマークした。
その後はフランスの名調教師であるE.ルルーシュから依頼を受けることが増え、徐々に勝ち鞍を量産。07年にはピールスカイに騎乗してGIII・エクスバリー賞を勝利。重賞初制覇を飾ると、08年にはアーティカルルアーで優勝したデレゼルボワ賞(GIII)など70勝を挙げ、フランスリーディング9位。さらに09年にはワジールで勝利したGII・オカール賞など重賞7勝を含む84勝を挙げ同8位。同年の10月から翌年の年頭まで短期免許を取得して日本でも騎乗した。
さらに10年の暮れと11年の年頭も日本で騎乗すると、ダンスファンタジアでフェアリーS(GIII)、コスモメドウでダイヤモンドS(GIII)も勝利した。
また、日本との縁という意味ではオルフェーヴルが1回目の凱旋門賞に挑戦した12年に、ペースメーカー役を務めたアヴェンティーノの手綱をとった。
近年ではアヤクシャーナに騎乗して14年のドイツ1000ギニー(GII)、ピントリッチョでやはり14年のバートランドデュベリーユロンジン賞(GIII)、パルヴァネーでは16年にドイツのGIIを勝利。昨年の暮れからは約半年に及びアメリカで騎乗したが、もともと海外での騎乗経験は豊富で、ヨーロッパ各国の他にもインド、香港、モーリシャスなどでも騎乗している。
久しぶりとなる日本の競馬で果たしてどんな手綱捌きをみせてくれるのか。注目したい。(文中敬称略)
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